LESSON 01

生物多様性の三つの見方

生態系・種・遺伝子の多様性を一つの地域から見分けよう

「生物多様性の三つの見方」第1段階。生態系・種・遺伝子の多様性を区別して説明します。

生態系・種・遺伝子の多様性を一つの地域から見分けよう

このレッスンの役割

前のセクションでは、一つの生物の増減が食物網を通って連鎖することを学びました。ここでは、そのつながりを支える生物多様性を三つの尺度から見ます。

目標は、生物多様性を「種類が多いこと」だけで終わらせず、生態系・種・遺伝子の多様性を区別し、一つの地域について三つの視点で説明できることです。

知る・理解する

生態系の多様性は、森林、草原、湿地、川、干潟など、環境と生物のつながりが異なる生態系があることです。種の多様性は、植物、昆虫、魚、鳥など多くの種が存在し、個体数の偏りも小さいことです。遺伝子の多様性は、同じ種の中にも、病気への強さ、花の時期、暑さへの強さなどの違いがあることです。

生物多様性を捉える三つの尺度 生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性を、地域から種、同じ種の個体差へ拡大して見る図 生態系の多様性森林・湿地・川など 種の多様性植物・昆虫・魚など 遺伝子の多様性 地域の環境種の組合せ同じ種の個体差 三つは別々ではなく、入れ子になって支え合う

例えば海辺の地域に、砂浜、干潟、海岸林があれば生態系の多様性があります。干潟にカニ、貝、ゴカイ、魚、水鳥などがいれば種の多様性があります。同じ貝の中に、高温に強い個体と弱い個体がいれば遺伝子の多様性があります。

具体例で使う

水田地域を三つの尺度で見ます。

  • 生態系:水田、用水路、あぜ、近くの林という異なる環境がある。
  • 種:イネ、カエル、トンボ、ドジョウ、サギなどがいる。
  • 遺伝子:同じイネの種でも、病気への強さや実る時期に違いがある。

同じ種の個体が100匹いることは、種の多様性が100という意味ではありません。種数は1ですが、その中にどの程度の遺伝的な違いがあるかは別に調べます。

誤答を直して次の学びへつなげる

「遺伝子の多様性=遺伝子をもつ生物が多種類いること」ではありません。生物はみな遺伝子をもちますが、ここで見るのは主に同じ種の個体間にある遺伝的な違いです。

また、種数だけ調べても、湿地が失われたことや、ある種の個体がほぼ同じ性質だけになったことは見落とします。三つの尺度は、違う問いに答えます。次は、調べたい尺度に合わせて調査方法を選びます。

自分で確かめよう

確認1:森林・湿地・川が同じ地域にあることは、どの多様性?異なる環境と生物のつながりがあるので、生態系の多様性です。
確認2:同じ作物に病気への強さの違いがあることは、どの多様性?同じ種の個体間の違いなので、遺伝子の多様性です。
確認3:種の多様性だけでは見落とすものを二つ挙げよう。森林や湿地など生態系の種類の減少と、同じ種の中にある遺伝的な違いの減少です。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。