LESSON 01

等式の性質

係数を知る/かけ算の方程式を解く

文字にかけられている数を係数と呼ぶ。係数で両辺を割ることで、かけ算がからむ方程式を初めて自力で解けるようにする。負の係数や、解が負・分数になる場合も扱う。

係数を知る/かけ算の方程式を解く

このレッスンでできるようになること

  • 係数が何かを説明でき、\(3x\)\(-4x\)\(x\)\(-x\) の係数をそれぞれ答えられる
  • \(3x = 12\) のような、かけ算だけでできている方程式を、等式の性質④を使って解ける
  • 答えが負の数や分数になっても、代入して自分で正しさを確かめられる

前のレッスンの確認

  • 等式の性質③\(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
  • 等式の性質④\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
  • … その方程式を成り立たせる、文字の値
  • 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
  • 文字式の約束\(\times\) は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/\(\div\) は使わず分数の形

\(3x\) の3には名前がある

\(x + 3 = 10\) は、このセクションのはじめのレッスンで解けるようになりました。\(3x = 12\) も、前のレッスンで両辺を3で割って解きました。

見た目は似ていますが、中身は違います。\(x + 3\) は「\(x\) に3を足したもの」、\(3x\) は「\(x\) に3をかけたもの」です。文字式の約束で \(\times\) を省いているので、くっついて見えるだけです。

この、文字にかけられている数には名前があります。

係数 … 文字にかけられている数のこと

\(3x\) の係数は \(3\) です。\(7y\) の係数は \(7\) です。ここまでは素直です。

気をつけたいのは、次の2つです。

マイナスは係数の一部です。 \(-4x\) の係数は \(4\) ではなく \(-4\) です。\(-4x\) は「\(-4\)\(x\) をかけたもの」なので、マイナスまで含めて1つの数と見ます。ここを切り離してしまうと、あとで符号を落とします。

1は書かない約束なので、見えないことがあります。 \(x\) の係数は \(1\)\(-x\) の係数は \(-1\) です。

表にまとめます。

係数 理由
\(3x\) \(3\) \(3 \times x\)\(3\)
\(-4x\) \(-4\) マイナスまで含めて係数
\(x\) \(1\) \(1 \times x\)\(1\) が省略されている
\(-x\) \(-1\) \(-1 \times x\)\(1\) が省略されている

見えない1に気をつける

\(x\) の係数は \(1\) です。 これはこの先ずっと効いてきます。

\(x\) には数がくっついていないので、係数がないように見えます。でも文字式の約束は「1は書かない」でした。つまり \(x\)\(1x\) のことで、\(1\) を書かずに済ませているだけです。同じように \(-x\)\(-1x\) のことです。

なぜこれが大事かというと、方程式を解いた最後にたどり着きたい形が $x = $ 何か、つまり係数が1の形だからです。\(3x = 12\)\(x = 4\) にするのは、係数を \(3\) から \(1\) にする作業だと言えます。

\(3x\) は「\(x\) が3個ぶん」

\(3x = 12\) が何を言っているのか、絵にしてみます。

\(3x\)\(x\) を3回足したもの、つまり長さ \(x\) の棒が3本ぶんです。それが合わせて12だ、というのが \(3x = 12\) です。

3x は x が3個ぶん 長さxの棒が3本横に並び、合わせた長さが12であることを示す図。棒1本ぶんは12を3で割った4になる。 3本ぶんで 12 x x x 1本ぶん = 4

3本ぶんで12なら、1本ぶんはいくつでしょうか。12を3等分すればよいので \(12 \div 3 = 4\) です。つまり \(x = 4\) です。

係数は「何個ぶんか」を表していて、それで割れば1個ぶんが出ます。 そして1個ぶんが \(x\) そのものです。

式の言葉で書くと、これは等式の性質④(両辺を同じ数で割ってもよい)を使ったことになります。\(3x\) を3で割ると \(x\) が残り、\(12\) を3で割ると \(4\) が残ります。

例題1:\(3x = 12\) を解く

両辺を、\(x\) の係数で割ります。 係数は3なので、両辺を3で割ります。

3x = 12
3x ÷ 3 = 12 ÷ 3      ← 両辺を3で割った(性質④)
     x = 4

確かめ

左辺 = 3 × 4 = 12
右辺 = 12
左辺 = 右辺 なので x=4 は解

\(ax = b\) の形なら、両辺を \(a\) で割る。やることはこれだけです。

ここで天びんを卒業する

\(3x = 12\) までなら天びんで表せます。左の皿に \(x\) の袋を3つ、右の皿に12。両方を3等分すれば、左に袋1つ、右に4が残ります。

けれど、次からは天びんでは表せません。天びんの皿には、負の重さを載せられないからです。 \(-4x = 20\) の左辺を載せようとしても、\(-4\) 個ぶんの袋というものは現実に存在しません。\(-5\) という解も、皿の上には置けません。

天びんは、ルールを納得するための入口でした。役目はもう果たしています。ここから先は、絵ではなく等式の性質そのものを使います。

  • 天びんで考える … 両方の皿に同じことをすれば、つり合いは保たれる
  • 式で考える … \(A = B\) のとき、両辺に同じことをすれば、等式は成り立ったまま

言っていることは同じですが、下の言い方には「重さ」も「皿」も出てきません。だから負の数でも分数でも、そのまま使えます。

例題2:\(-4x = 20\) を解く

係数は \(-4\) です。マイナスまで含めて係数でした。だから両辺を \(-4\) で割ります。

−4x = 20
−4x ÷ (−4) = 20 ÷ (−4)      ← 両辺を −4 で割った(性質④)
         x = −5

\(20 \div (-4)\) の計算には、正負の数のきまりが効いています。符号が違う2つの数のわり算は、答えの符号がマイナスになるのでした。数の部分は \(20 \div 4 = 5\) なので、答えは \(-5\) です。

割る数を \(4\) と書いてしまうと、左辺は \(-x\) にしかならず、\(x\) になりません。係数はマイナスごと持っていく、と覚えてください。

確かめ

左辺 = −4 × (−5) = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=−5 は解

\(-4\)\(-5\) は符号が同じなので、かけると \(20\) になります。合っています。

例題3:\(2x = 5\) を解く

係数は2なので、両辺を2で割ります。

2x = 5
2x ÷ 2 = 5 ÷ 2
     x = 5/2

\(5 \div 2\) は割り切れません。それでかまいません。答えは \(x = \dfrac{5}{2}\) です。

割り切れないことは、まちがいの合図ではありません。 ここで「計算をやり直さないといけない」と思ってしまう人がとても多いのですが、方程式の解が整数になるとは決まっていません。文字式の約束でも、わり算は \(\div\) を使わず分数の形で書くのでした。\(\dfrac{5}{2}\) は「まだ計算していない式」ではなく、これ以上できない答えです。

確かめ

左辺 = 2 × 5/2 = 5
右辺 = 5
左辺 = 右辺 なので x=5/2 は解

代入すればはっきりします。\(2 \times \dfrac{5}{2}\) は分母の2と約分できて \(5\) になります。右辺と等しいので、\(\dfrac{5}{2}\) は確かに解です。確かめが通ったなら、それが答えです。

例題4:\(-x = 7\) を解く

いちばんつまずきやすい形です。左辺に数が見当たりません。

でも \(x\) の係数は \(1\)\(-x\) の係数は \(-1\) でした。見えないだけで、そこに \(-1\) があります。迷ったら、省略されている1を書き出してみてください。

−x = 7
−1x = 7                     ← 省略されていた係数 −1 を書き出した
−1x ÷ (−1) = 7 ÷ (−1)       ← 両辺を −1 で割った(性質④)
         x = −7

\(7 \div (-1)\) は、符号が違うので答えはマイナス、数の部分は \(7 \div 1 = 7\) なので、\(-7\) です。

確かめ

左辺 = −(−7) = 7
右辺 = 7
左辺 = 右辺 なので x=−7 は解

\(-x\)\(x = -7\) を代入すると \(-(-7)\) となり、マイナスのマイナスで \(7\) になります。

\(-x\)\(x\) は別の式です。 左辺が \(-x\) のままでは、まだ解けていません。

答えが出たら、必ず代入する

このレッスンから、答えが負の数や分数になる場面が増えます。\(-5\)\(\dfrac{5}{2}\) は「合っていそうな顔」をしているので、符号を1つ落としても、そのまま通り過ぎてしまいます。だから、負の数や分数の答えが出たときこそ代入します。

やり方はいつも同じです。もとの方程式の \(x\) に出した数を入れて、左辺と右辺をそれぞれ計算します。等しくなれば解、ならなければどこかの行が違います。

左辺 = −2 × 8 = −16
右辺 = 16
左辺 ≠ 右辺 なので x=8 は解ではない

これは \(-2x = 16\)\(x = 8\) としてしまった場合です。代入した瞬間に、符号を落としたことが分かります。正しくは \(16 \div (-2) = -8\) で、\(x = -8\) です。

代入は、答え合わせを自分でできる道具です。

今日の問い

足す・引くのレッスンでは、足されている数を引いて打ち消しました。かけ算の形では、かけられている数を割って打ち消します。なぜ「引く」ではだめなのか、係数の言葉でもう一度はっきりさせておきます。

\(6x = 18\) で、両辺から6を引いてみます。

6x = 18
6x − 6 = 18 − 6
6x − 6 = 12

左辺は \(6x - 6\) になっただけで、\(x\) にはなりません。\(6x\)\(6 + x\) ではなく \(6 \times x\) だからです。足された数は引けば消えますが、かけられた数は引いても消えません。

かけ算を打ち消すのはわり算です。だから両辺を係数で割ります。

6x = 18
6x ÷ 6 = 18 ÷ 6
     x = 3

考え方そのものはこれまでと同じで、左辺を見て、反対の操作を選ぶというだけです。足されているなら引く、引かれているなら足す、かけられているなら割る。\(x\) に何がされているかを先に見る。 それが決め手です。

よくある間違い

まちがい1:負の係数のマイナスを落とす

✗ −3x = 15
✗ −3x ÷ 3 = 15 ÷ 3
✗        x = 5

割る数を \(3\) にしてしまいました。係数は \(-3\) です。しかも左辺は \(-3x \div 3 = -x\) なので、\(x\) にすらなっていません。

○ −3x = 15
○ −3x ÷ (−3) = 15 ÷ (−3)
○          x = −5
左辺 = −3 × (−5) = 15
右辺 = 15
左辺 = 右辺 なので x=−5 は解

マイナスは係数の一部です。 割るときは、まるごと持っていきます。

まちがい2:割り切れないので計算ミスだと思う

✗ 2x = 5
✗ 割り切れないから、どこかで計算をまちがえたはずだ

まちがえていません。\(x = \dfrac{5}{2}\) が答えです。

○ 2x = 5
○ 2x ÷ 2 = 5 ÷ 2
○      x = 5/2
左辺 = 2 × 5/2 = 5
右辺 = 5
左辺 = 右辺 なので x=5/2 は解

不安なら代入してください。確かめが通れば、それが答えです。 割り切れなかったことは、まちがいの証拠にはなりません。

まちがい3:係数が \(-1\) のとき、そのまま答えにする

✗ −x = 7
✗  x = 7

左辺の \(-\) が、勝手に消えています。\(-x\) の係数は \(-1\) なので、両辺を \(-1\) で割る必要があります。

○ −x = 7
○ −1x = 7
○ −1x ÷ (−1) = 7 ÷ (−1)
○          x = −7

\(x = 7\) を元の式に代入すると、左辺は \(-7\) で、右辺の \(7\) と合いません。符号だけの違いは代入すればすぐ出ます。

まちがい4:かけ算なのに引いてしまう

✗ 5x = 30
✗ 5x − 5 = 30 − 5
✗   x = 25

2行目の操作じたいは正しいのですが、左辺は \(5x - 5\) になるだけで \(x\) になりません。

○ 5x = 30
○ 5x ÷ 5 = 30 ÷ 5
○      x = 6

かけられている数は、割って打ち消します。

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。両辺を何で割ったのかを、必ず式に書き残すこと。

  1. 次の式の係数を答えなさい。 (1) \(5x\) (2) \(-2x\) (3) \(x\) (4) \(-x\)

  2. \(4x = 28\) を解きなさい。

  3. \(-6x = 42\) を解きなさい。

  4. \(3x = 8\) を解きなさい。

  5. \(-x = 9\) を解きなさい。

  6. 次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。正しく解き直しなさい。

−7x = 21
−7x ÷ 7 = 21 ÷ 7
       x = 3
  1. \(2x = 9\) を解いたら \(x = \dfrac{9}{2}\) になりました。友だちが「割り切れていないから計算ミスだ」と言っています。まちがいではないことを、代入を使って説明しなさい。
答えと考え方

1. (1) \(5\) (2) \(-2\) (3) \(1\) (4) \(-1\)

(2) はマイナスまで含めて係数です。\(2\) ではありません。

(3) と (4) は、文字式の約束で「1は書かない」ことになっているため、見えていないだけです。\(x\)\(1x\)\(-x\)\(-1x\) のことなので、係数はそれぞれ \(1\)\(-1\) です。

2. 係数は \(4\) なので、両辺を4で割ります。

4x = 28
4x ÷ 4 = 28 ÷ 4      ← 両辺を4で割った(性質④)
     x = 7
左辺 = 4 × 7 = 28
右辺 = 28
左辺 = 右辺 なので x=7 は解

3. 係数は \(-6\) です。マイナスごと持っていって、両辺を \(-6\) で割ります。

−6x = 42
−6x ÷ (−6) = 42 ÷ (−6)      ← 両辺を −6 で割った(性質④)
         x = −7

\(42 \div (-6)\) は符号が違うので答えはマイナス、数の部分は \(42 \div 6 = 7\) なので \(-7\) です。

左辺 = −6 × (−7) = 42
右辺 = 42
左辺 = 右辺 なので x=−7 は解

4. 係数は \(3\) なので、両辺を3で割ります。

3x = 8
3x ÷ 3 = 8 ÷ 3
     x = 8/3

\(8 \div 3\) は割り切れませんが、それで正しいのです。答えは \(x = \dfrac{8}{3}\) です。

左辺 = 3 × 8/3 = 8
右辺 = 8
左辺 = 右辺 なので x=8/3 は解

5. \(-x\) の係数は \(-1\) です。省略されている1を書き出すと見えます。

−x = 9
−1x = 9
−1x ÷ (−1) = 9 ÷ (−1)      ← 両辺を −1 で割った(性質④)
         x = −9
左辺 = −(−9) = 9
右辺 = 9
左辺 = 右辺 なので x=−9 は解

6. 2行目から違います。

\(-7x\) の係数は \(-7\) なのに、両辺を \(7\) で割っています。割る数がまちがっているので、左辺は \(-x\) にしかならず、\(x\) にはなりません。それなのに3行目では \(x\) になっています。

○ −7x = 21
○ −7x ÷ (−7) = 21 ÷ (−7)
○          x = −3
左辺 = −7 × (−3) = 21
右辺 = 21
左辺 = 右辺 なので x=−3 は解

誤答の \(x = 3\) を元の式に入れると、左辺は \(-7 \times 3 = -21\) で、右辺の \(21\) と合いません。ここで気づけます。

7. まちがいではありません。代入すれば確かめられます。

左辺 = 2 × 9/2 = 9
右辺 = 9
左辺 = 右辺 なので x=9/2 は解

説明の仕方の例です。「\(x = \dfrac{9}{2}\) をもとの式に代入すると、左辺は \(2 \times \dfrac{9}{2}\) で、2と分母の2が約分できて \(9\) になります。右辺も \(9\) なので、左辺と右辺は等しくなります。だから \(\dfrac{9}{2}\) は解です。」

方程式の解が整数になるとは決まっていません。\(9 \div 2\) が割り切れないのは、\(x\) がたまたま整数ではなかったというだけです。\(\dfrac{9}{2}\) は途中の式ではなく、これ以上できない答えです。

割り切れないこと自体は、まちがいの証拠になりません。判断するのは代入です。

次のレッスンへ

これで \(ax = b\) の形は、係数が正でも負でも、答えが整数でも分数でも解けるようになりました。\(\dfrac{x}{3} = 6\) のように \(x\)割られている形は、性質③のレッスンですでに解いています。次はそれをもう一度確かめたうえで、足す・引く・かける・割るの四つの形を見分けて、どれを使えばよいか自分で決められるようにします。

次のレッスンへ わり算の方程式を解く/四つの形を見分ける →

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:係数を知る/かけ算の方程式を解く

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    係数の意味と、$-x$ の係数の組み合わせとして正しいものはどれですか。
  2. 設問 1
    $5x = 40$ を解くとき、両辺から $5$ を引いてはいけません。その理由として正しいものはどれですか。
  3. 設問 2
    $-8x = 56$ を解きなさい。
  4. 設問 3
    $-6x = 9$ を解きなさい。
  5. 設問 4
    ある人が $-x = 12$ を解いて $x = 12$ と答えました。正しい解と、その理由の組み合わせとして正しいものはどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。