わり算の方程式を解く/四つの形を見分ける
このレッスンでできるようになること
- \(\dfrac{x}{a} = b\) の形の方程式を、両辺に \(a\) をかけて解ける
- 方程式を見て基本の四つの形のどれかを見分け、使う性質を自分で選べる
- 等式の性質①〜④を一覧で確かめ、必要なときにこのページに戻ってこられる
前のレッスンの確認
- 係数 … 文字にかけられている数のこと
- 解く … 解を求めること/代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
- 等式の性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
- 等式の性質④ … \(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
前のレッスンでは \(6x = 18\) のように、\(x\) に数がかけられている方程式を、両辺を係数で割って解きました。今回はその反対、\(x\) が割られている方程式です。この形は性質③のレッスンですでに解いています。同じやり方をもう一度確かめたうえで、四つの形を並べて見分けられるようにします。
\(x\) が割られている形
\(\dfrac{x}{3} = 5\)
左辺をよく見ます。\(\dfrac{x}{3}\) は、\(x\) を3で割った形です。\(x\) そのものではありません。
\(x\) だけを残したいので、3で割られていることを打ち消します。割り算を打ち消すのはかけ算です。両辺に3をかけます。使うのは、両辺に同じ数をかけてよいという等式の性質③です。
x ÷ 3 = 5
x ÷ 3 × 3 = 5 × 3 ← 両辺に3をかけた(性質③)
x = 15
3で割ってから3をかけたので、左辺では割った分がそのまま戻り、\(x\) だけが残りました。
確かめ
左辺 = 15 ÷ 3 = 5
右辺 = 5
左辺 = 右辺 なので x=15 は解
\(\dfrac{x}{3}\) の3は、\(x\) にかけられている数ではありません。ですから前のレッスンのように「係数で割る」のではなく、割った数をかけ戻すことになります。ここが入れかわりやすいところです。
答えが負になる場合
\(\dfrac{x}{4} = -2\)
右辺が負の数でも、やることは変わりません。左辺は \(x\) が4で割られているので、両辺に4をかけます。
x ÷ 4 = −2
x ÷ 4 × 4 = −2 × 4 ← 両辺に4をかけた(性質③)
x = −8
確かめ
左辺 = −8 ÷ 4 = −2
右辺 = −2
左辺 = 右辺 なので x=−8 は解
\(-2 \times 4 = -8\) です。右辺の符号をそのまま持ち越すこと。ここで \(8\) と書いてしまうと、\(8 \div 4 = 2\) となり、右辺の \(-2\) と合いません。
左右が入れかわっていても同じ
\(9 = \dfrac{x}{2}\)
\(x\) があるのは右辺です。等号は向きを持たないので、慌てる必要はありません。\(x\) のある側を見て、そこに何がされているかで操作を決めます。右辺は \(x\) が2で割られているので、両辺に2をかけます。
9 = x ÷ 2
9 × 2 = x ÷ 2 × 2 ← 両辺に2をかけた(性質③)
18 = x
x = 18 ← 答えは x = の向きにそろえる
確かめ
左辺 = 9
右辺 = 18 ÷ 2 = 9
左辺 = 右辺 なので x=18 は解
四つの形を見分ける
ここまでで、基本の形は出そろいました。\(x\) に1つだけ操作がされている方程式は、次の四つしかありません。
| 形 | \(x\) に何がされているか | 打ち消す操作 | 使う性質 |
|---|---|---|---|
| \(x + a = b\) | \(a\) が足されている | 両辺から \(a\) を引く | ② |
| \(x - a = b\) | \(a\) が引かれている | 両辺に \(a\) を足す | ① |
| \(ax = b\) | \(a\) がかけられている | 両辺を \(a\) で割る | ④ |
| \(\dfrac{x}{a} = b\) | \(a\) で割られている | 両辺に \(a\) をかける | ③ |
四つとも、していることは同じです。\(x\) にされている操作を、反対の操作で打ち消す。 足すと引く、かけると割るが、それぞれ打ち消し合う組になっています。
選び方の三段階
方程式を見たら、次の順に考えます。
- \(x\) に何がされているかを見る。 足されているのか、引かれているのか、かけられているのか、割られているのか。
- その反対の操作を選ぶ。 足されているなら引く。かけられているなら割る。割られているならかける。
- 両辺に同じ操作をする。 片方だけにしてはいけません。両辺だから等式が保たれます。
この三段階は、四つの形すべてに共通です。覚えるべきは四つの解き方ではなく、この一本の考え方です。
同じ数字でも、形が違えば答えは違う
四つの形を並べて比べます。使う数字はどれも6と12です。
| 方程式 | \(x\) に何がされているか | 両辺にする操作 | 解 |
|---|---|---|---|
| \(x + 6 = 12\) | 6が足されている | 6を引く(②) | \(x = 6\) |
| \(x - 6 = 12\) | 6が引かれている | 6を足す(①) | \(x = 18\) |
| \(6x = 12\) | 6がかけられている | 6で割る(④) | \(x = 2\) |
| \(\dfrac{x}{6} = 12\) | 6で割られている | 6をかける(③) | \(x = 72\) |
解は \(6\)、\(18\)、\(2\)、\(72\)。同じ数字を使っているのに、答えは一つも重なりません。
順に手を動かして確かめます。
x + 6 = 12 x − 6 = 12
x + 6 − 6 = 12 − 6 x − 6 + 6 = 12 + 6
x = 6 x = 18
6x = 12 x ÷ 6 = 12
6x ÷ 6 = 12 ÷ 6 x ÷ 6 × 6 = 12 × 6
x = 2 x = 72
数字を見て解き方を決めてはいけません。 見るのは、\(x\) と数のあいだにある記号のほうです。
天びんはここまで
このセクションのはじめでは、天びんの絵で考えました。けれども天びんの皿に乗せられるのは重さだけで、負の重さは乗せられません。前のレッスンで天びんを卒業したのは、そのためでした。
x ÷ 4 = −2
この式も絵にはできません。右の皿に \(-2\) の重さは置けないからです。それでも両辺に4をかけて \(x = -8\) と解け、代入すれば正しいと確かめられます。絵が使えなくなっても、等式の性質①〜④はそのまま使えます。
セクション2のまとめ
このセクションで確定した内容です。分からなくなったら、このページに戻ってきてください。
等式の性質
| 性質 | 式 | 言葉でいうと |
|---|---|---|
| ① | \(A = B\) のとき、\(A + C = B + C\) | 両辺に同じ数を足しても、等式は成り立つ |
| ② | \(A = B\) のとき、\(A - C = B - C\) | 両辺から同じ数を引いても、等式は成り立つ |
| ③ | \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\) | 両辺に同じ数をかけても、等式は成り立つ |
| ④ | \(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\) | 0でない同じ数で両辺を割っても、等式は成り立つ |
④だけに「\(C\) が0でなければ」という条件が付きます。0で割ることはできないからです。
言葉
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 係数 | 文字にかけられている数のこと |
| 解 | その方程式を成り立たせる、文字の値 |
| 解く | 解を求めること |
| 代入 | 式の中の文字を、数に置き換えること |
| 両辺 | 左辺と右辺の両方 |
今日の問い
\(6x = 12\) と \(\dfrac{x}{6} = 12\) を並べます。出てくる数字はどちらも6と12です。それなのに解は \(x = 2\) と \(x = 72\) で、まるで違います。なぜでしょうか。
数字が同じでも、\(x\) にされている操作が反対だからです。
\(6x\) は、\(x\) を6つ分に増やした量です。増やした結果が12なのだから、元の \(x\) は12より小さいはずです。だから \(x = 2\)。
\(\dfrac{x}{6}\) は、\(x\) を6等分して減らした量です。減らした結果が12なのだから、元の \(x\) は12より大きいはずです。だから \(x = 72\)。
解く前から、\(x\) が12より大きくなるか小さくなるかは見当がつきます。見るべきは数字ではなく、\(x\) に何がされているか。 三段階の第1段階が、いちばん大事な段階です。
よくある間違い
まちがい1:割られているのに、さらに割る
✗ x ÷ 9 = 4
✗ x ÷ 9 ÷ 9 = 4 ÷ 9 ← 両辺を9で割った
\(x\) はすでに9で割られています。そこをさらに9で割ったので、左辺は \(\dfrac{x}{81}\) になりました。\(x\) だけを残すという目標から遠ざかっています。打ち消すにはかけるのが正解です。
○ x ÷ 9 = 4
○ x ÷ 9 × 9 = 4 × 9
○ x = 36
左辺 = 36 ÷ 9 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=36 は解
まちがい2:かけられているのに、さらにかける
✗ 8x = 4
✗ 8x × 8 = 4 × 8
✗ 64x = 32
まちがい1の裏返しです。\(x\) には8がかけられているのだから、打ち消すには割ります。
○ 8x = 4
○ 8x ÷ 8 = 4 ÷ 8
○ x = 1/2
答えは \(x = \dfrac{1}{2}\) です。割り切れなくても、そのまま分数で書きます。
左辺 = 8 × 1/2 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=1/2 は解
まちがい3:右辺の符号を落とす
✗ x ÷ 4 = −2
✗ x ÷ 4 × 4 = 2 × 4
✗ x = 8
操作の選び方は合っています。ところが右辺で \(-2\) を \(2\) として計算してしまいました。\(-2 \times 4 = -8\) です。
○ x ÷ 4 = −2
○ x ÷ 4 × 4 = −2 × 4
○ x = −8
誤答の \(8\) を元の式に入れると、左辺は \(8 \div 4 = 2\) で、右辺の \(-2\) と合いません。代入して合わなければ、必ずどこかの行が違います。
まちがい4:片方の辺だけにかける
✗ x ÷ 5 = 4
✗ x = 4 ← 左辺にだけ5をかけた
左辺の \(\div 5\) は消えましたが、右辺には何もしていません。片方の皿だけをさわった状態と同じで、等式は保たれません。
○ x ÷ 5 = 4
○ x ÷ 5 × 5 = 4 × 5
○ x = 20
誤答の \(x = 4\) を入れると左辺は \(4 \div 5 = \dfrac{4}{5}\) となり、右辺の4と合いません。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。両辺に何をしたのかを、必ず式に書き残すこと。
等式の性質①〜④を、\(A\)、\(B\)、\(C\) を使った式で書きなさい。また、係数とは何か、言葉で説明しなさい。
\(\dfrac{x}{6} = -3\) を解きなさい。
\(x + 9 = 4\) を解きなさい。
\(4x = 10\) を解きなさい。
\(x - 7 = 2\) を解きなさい。
次の3つを解いて、答えを比べなさい。
\(x + 8 = 24 \qquad 8x = 24 \qquad \dfrac{x}{8} = 24\)
- 次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。理由を書き、正しく解き直しなさい。
x ÷ 7 = 3
x ÷ 7 ÷ 7 = 3 ÷ 7
x = 3/7
答えと考え方
1.
- 性質① … \(A = B\) のとき、\(A + C = B + C\)
- 性質② … \(A = B\) のとき、\(A - C = B - C\)
- 性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
- 性質④ … \(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
係数とは、文字にかけられている数のことです。\(6x\) の係数は6、\(-3x\) の係数は \(-3\) です。\(\dfrac{x}{6}\) の6は \(x\) にかけられている数ではないので、係数ではありません。
2. 左辺は \(x\) が6で割られているので、両辺に6をかけます(性質③)。
x ÷ 6 = −3
x ÷ 6 × 6 = −3 × 6 ← 両辺に6をかけた
x = −18
左辺 = −18 ÷ 6 = −3
右辺 = −3
左辺 = 右辺 なので x=−18 は解
3. 左辺の \(x\) には9が足されているので、両辺から9を引きます(性質②)。
x + 9 = 4
x + 9 − 9 = 4 − 9 ← 両辺から9を引いた
x = −5
左辺 = −5 + 9 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=−5 は解
4. 左辺の \(x\) には4がかけられているので、両辺を4で割ります(性質④)。
4x = 10
4x ÷ 4 = 10 ÷ 4 ← 両辺を4で割った
x = 10/4 = 5/2
答えは \(x = \dfrac{5}{2}\) です。割り切れないので分数のままにし、約分だけしておきます。
左辺 = 4 × 5/2 = 10
右辺 = 10
左辺 = 右辺 なので x=5/2 は解
5. 左辺の \(x\) からは7が引かれているので、両辺に7を足します(性質①)。
x − 7 = 2
x − 7 + 7 = 2 + 7 ← 両辺に7を足した
x = 9
左辺 = 9 − 7 = 2
右辺 = 2
左辺 = 右辺 なので x=9 は解
6. 数字はどれも8と24ですが、形が違うので答えも違います。
x + 8 = 24 8x = 24 x ÷ 8 = 24
x + 8 − 8 = 24 − 8 8x ÷ 8 = 24 ÷ 8 x ÷ 8 × 8 = 24 × 8
x = 16 x = 3 x = 192
\(x = 16\)、\(x = 3\)、\(x = 192\)。
足されているときは24より少し小さくなり、かけられているときはぐっと小さくなり、割られているときはぐっと大きくなります。数字ではなく、\(x\) にされている操作を見るということが、この3本ではっきりします。
左辺 = 16 + 8 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=16 は解
左辺 = 8 × 3 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
左辺 = 192 ÷ 8 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=192 は解
7. 2行目から違います。
\(x\) はすでに7で割られています。それを打ち消すには、反対の操作であるかけ算を使わなければなりません。ところがここでは、両辺をさらに7で割ってしまいました。反対の操作を選び損ねています。
左辺は \(\dfrac{x}{7} \div 7\) で \(\dfrac{x}{49}\) になるので、3行目の \(x\) という書き方もまちがいです。
○ x ÷ 7 = 3
○ x ÷ 7 × 7 = 3 × 7 ← 両辺に7をかけた(性質③)
○ x = 21
左辺 = 21 ÷ 7 = 3
右辺 = 3
左辺 = 右辺 なので x=21 は解
誤答の \(x = \dfrac{3}{7}\) を元の式に入れると、左辺は \(\dfrac{3}{7} \div 7 = \dfrac{3}{49}\) となり、右辺の3と合いません。
次のレッスンへ
これで、\(x\) に操作が1つだけされている方程式は、四つの形すべて解けるようになりました。足す・引く・かける・割る。見分けて、反対の操作を両辺にする。それだけです。
ところが、次のような式はまだ解けません。
\(3x + 5 = 20\)
\(x\) には「3をかける」と「5を足す」の2つの操作が重なっています。反対の操作を1回するだけでは、\(x\) だけを残せません。
次のセクションでは、こうして操作が重なった方程式をどう崩していくかを扱います。使う道具は、今日まとめた等式の性質①〜④のままです。新しいルールが増えるのではなく、同じルールの使い方が一段深くなります。
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