LESSON 01

等式の性質

わり算の方程式を解く/四つの形を見分ける

分母に文字がある形を両辺にかけて解く。あわせて基本の四つの形を見分け、どの性質を使うかを自分で選べるようにする。天びんで表せなくなる場面にも触れる。

わり算の方程式を解く/四つの形を見分ける

このレッスンでできるようになること

  • \(\dfrac{x}{a} = b\) の形の方程式を、両辺に \(a\) をかけて解ける
  • 方程式を見て基本の四つの形のどれかを見分け、使う性質を自分で選べる
  • 等式の性質①〜④を一覧で確かめ、必要なときにこのページに戻ってこられる

前のレッスンの確認

  • 係数 … 文字にかけられている数のこと
  • 解く … 解を求めること/代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
  • 等式の性質③\(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
  • 等式の性質④\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)

前のレッスンでは \(6x = 18\) のように、\(x\) に数がかけられている方程式を、両辺を係数で割って解きました。今回はその反対、\(x\)割られている方程式です。この形は性質③のレッスンですでに解いています。同じやり方をもう一度確かめたうえで、四つの形を並べて見分けられるようにします。

\(x\) が割られている形

\(\dfrac{x}{3} = 5\)

左辺をよく見ます。\(\dfrac{x}{3}\) は、\(x\) を3で割った形です。\(x\) そのものではありません。

\(x\) だけを残したいので、3で割られていることを打ち消します。割り算を打ち消すのはかけ算です。両辺に3をかけます。使うのは、両辺に同じ数をかけてよいという等式の性質③です。

x ÷ 3 = 5
x ÷ 3 × 3 = 5 × 3      ← 両辺に3をかけた(性質③)
        x = 15

3で割ってから3をかけたので、左辺では割った分がそのまま戻り、\(x\) だけが残りました。

確かめ

左辺 = 15 ÷ 3 = 5
右辺 = 5
左辺 = 右辺 なので x=15 は解

\(\dfrac{x}{3}\) の3は、\(x\) にかけられている数ではありません。ですから前のレッスンのように「係数で割る」のではなく、割った数をかけ戻すことになります。ここが入れかわりやすいところです。

答えが負になる場合

\(\dfrac{x}{4} = -2\)

右辺が負の数でも、やることは変わりません。左辺は \(x\) が4で割られているので、両辺に4をかけます。

x ÷ 4 = −2
x ÷ 4 × 4 = −2 × 4      ← 両辺に4をかけた(性質③)
        x = −8

確かめ

左辺 = −8 ÷ 4 = −2
右辺 = −2
左辺 = 右辺 なので x=−8 は解

\(-2 \times 4 = -8\) です。右辺の符号をそのまま持ち越すこと。ここで \(8\) と書いてしまうと、\(8 \div 4 = 2\) となり、右辺の \(-2\) と合いません。

左右が入れかわっていても同じ

\(9 = \dfrac{x}{2}\)

\(x\) があるのは右辺です。等号は向きを持たないので、慌てる必要はありません。\(x\) のある側を見て、そこに何がされているかで操作を決めます。右辺は \(x\) が2で割られているので、両辺に2をかけます。

9 = x ÷ 2
9 × 2 = x ÷ 2 × 2      ← 両辺に2をかけた(性質③)
   18 = x
    x = 18             ← 答えは x = の向きにそろえる

確かめ

左辺 = 9
右辺 = 18 ÷ 2 = 9
左辺 = 右辺 なので x=18 は解

四つの形を見分ける

ここまでで、基本の形は出そろいました。\(x\) に1つだけ操作がされている方程式は、次の四つしかありません

\(x\) に何がされているか 打ち消す操作 使う性質
\(x + a = b\) \(a\) が足されている 両辺から \(a\) を引く
\(x - a = b\) \(a\) が引かれている 両辺に \(a\) を足す
\(ax = b\) \(a\) がかけられている 両辺を \(a\) で割る
\(\dfrac{x}{a} = b\) \(a\) で割られている 両辺に \(a\) をかける

四つとも、していることは同じです。\(x\) にされている操作を、反対の操作で打ち消す。 足すと引く、かけると割るが、それぞれ打ち消し合う組になっています。

選び方の三段階

方程式を見たら、次の順に考えます。

  1. \(x\) に何がされているかを見る。 足されているのか、引かれているのか、かけられているのか、割られているのか。
  2. その反対の操作を選ぶ。 足されているなら引く。かけられているなら割る。割られているならかける。
  3. 両辺に同じ操作をする。 片方だけにしてはいけません。両辺だから等式が保たれます。

この三段階は、四つの形すべてに共通です。覚えるべきは四つの解き方ではなく、この一本の考え方です。

四つの形と打ち消す操作の対応 x+a=b には両辺からaを引く操作(性質2)、x-a=b には両辺にaを足す操作(性質1)、ax=b には両辺をaで割る操作(性質4)、xをaで割った式=b には両辺にaをかける操作(性質3)が対応することを、矢印で結んで示した表。 式の形 打ち消す操作 性質 x + a = b 両辺から a を引く x - a = b 両辺に a を足す ax = b 両辺を a で割る x a = b 両辺に a をかける

されている操作を見て、その反対を両辺に

同じ数字でも、形が違えば答えは違う

四つの形を並べて比べます。使う数字はどれも6と12です。

方程式 \(x\) に何がされているか 両辺にする操作
\(x + 6 = 12\) 6が足されている 6を引く(②) \(x = 6\)
\(x - 6 = 12\) 6が引かれている 6を足す(①) \(x = 18\)
\(6x = 12\) 6がかけられている 6で割る(④) \(x = 2\)
\(\dfrac{x}{6} = 12\) 6で割られている 6をかける(③) \(x = 72\)

解は \(6\)\(18\)\(2\)\(72\)。同じ数字を使っているのに、答えは一つも重なりません。

順に手を動かして確かめます。

x + 6 = 12                 x − 6 = 12
x + 6 − 6 = 12 − 6         x − 6 + 6 = 12 + 6
        x = 6                      x = 18
6x = 12                    x ÷ 6 = 12
6x ÷ 6 = 12 ÷ 6            x ÷ 6 × 6 = 12 × 6
     x = 2                         x = 72

数字を見て解き方を決めてはいけません。 見るのは、\(x\) と数のあいだにある記号のほうです。

天びんはここまで

このセクションのはじめでは、天びんの絵で考えました。けれども天びんの皿に乗せられるのは重さだけで、負の重さは乗せられません。前のレッスンで天びんを卒業したのは、そのためでした。

x ÷ 4 = −2

この式も絵にはできません。右の皿に \(-2\) の重さは置けないからです。それでも両辺に4をかけて \(x = -8\) と解け、代入すれば正しいと確かめられます。絵が使えなくなっても、等式の性質①〜④はそのまま使えます。

セクション2のまとめ

このセクションで確定した内容です。分からなくなったら、このページに戻ってきてください。

等式の性質

性質 言葉でいうと
\(A = B\) のとき、\(A + C = B + C\) 両辺に同じ数を足しても、等式は成り立つ
\(A = B\) のとき、\(A - C = B - C\) 両辺から同じ数を引いても、等式は成り立つ
\(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\) 両辺に同じ数をかけても、等式は成り立つ
\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\) 0でない同じ数で両辺を割っても、等式は成り立つ

④だけに「\(C\) が0でなければ」という条件が付きます。0で割ることはできないからです。

言葉

言葉 意味
係数 文字にかけられている数のこと
その方程式を成り立たせる、文字の値
解く 解を求めること
代入 式の中の文字を、数に置き換えること
両辺 左辺と右辺の両方

今日の問い

\(6x = 12\)\(\dfrac{x}{6} = 12\) を並べます。出てくる数字はどちらも6と12です。それなのに解は \(x = 2\)\(x = 72\) で、まるで違います。なぜでしょうか。

数字が同じでも、\(x\) にされている操作が反対だからです。

\(6x\) は、\(x\) を6つ分に増やした量です。増やした結果が12なのだから、元の \(x\) は12より小さいはずです。だから \(x = 2\)

\(\dfrac{x}{6}\) は、\(x\) を6等分して減らした量です。減らした結果が12なのだから、元の \(x\) は12より大きいはずです。だから \(x = 72\)

解く前から、\(x\) が12より大きくなるか小さくなるかは見当がつきます。見るべきは数字ではなく、\(x\) に何がされているか。 三段階の第1段階が、いちばん大事な段階です。

よくある間違い

まちがい1:割られているのに、さらに割る

✗ x ÷ 9 = 4
✗ x ÷ 9 ÷ 9 = 4 ÷ 9      ← 両辺を9で割った

\(x\) はすでに9で割られています。そこをさらに9で割ったので、左辺は \(\dfrac{x}{81}\) になりました。\(x\) だけを残すという目標から遠ざかっています。打ち消すにはかけるのが正解です。

○ x ÷ 9 = 4
○ x ÷ 9 × 9 = 4 × 9
○         x = 36
左辺 = 36 ÷ 9 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=36 は解

まちがい2:かけられているのに、さらにかける

✗ 8x = 4
✗ 8x × 8 = 4 × 8
✗    64x = 32

まちがい1の裏返しです。\(x\) には8がかけられているのだから、打ち消すには割ります。

○ 8x = 4
○ 8x ÷ 8 = 4 ÷ 8
○      x = 1/2

答えは \(x = \dfrac{1}{2}\) です。割り切れなくても、そのまま分数で書きます。

左辺 = 8 × 1/2 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=1/2 は解

まちがい3:右辺の符号を落とす

✗ x ÷ 4 = −2
✗ x ÷ 4 × 4 = 2 × 4
✗         x = 8

操作の選び方は合っています。ところが右辺で \(-2\)\(2\) として計算してしまいました。\(-2 \times 4 = -8\) です。

○ x ÷ 4 = −2
○ x ÷ 4 × 4 = −2 × 4
○         x = −8

誤答の \(8\) を元の式に入れると、左辺は \(8 \div 4 = 2\) で、右辺の \(-2\) と合いません。代入して合わなければ、必ずどこかの行が違います。

まちがい4:片方の辺だけにかける

✗ x ÷ 5 = 4
✗     x = 4      ← 左辺にだけ5をかけた

左辺の \(\div 5\) は消えましたが、右辺には何もしていません。片方の皿だけをさわった状態と同じで、等式は保たれません。

○ x ÷ 5 = 4
○ x ÷ 5 × 5 = 4 × 5
○         x = 20

誤答の \(x = 4\) を入れると左辺は \(4 \div 5 = \dfrac{4}{5}\) となり、右辺の4と合いません。

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。両辺に何をしたのかを、必ず式に書き残すこと。

  1. 等式の性質①〜④を、\(A\)\(B\)\(C\) を使った式で書きなさい。また、係数とは何か、言葉で説明しなさい。

  2. \(\dfrac{x}{6} = -3\) を解きなさい。

  3. \(x + 9 = 4\) を解きなさい。

  4. \(4x = 10\) を解きなさい。

  5. \(x - 7 = 2\) を解きなさい。

  6. 次の3つを解いて、答えを比べなさい。

\(x + 8 = 24 \qquad 8x = 24 \qquad \dfrac{x}{8} = 24\)

  1. 次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。理由を書き、正しく解き直しなさい。
x ÷ 7 = 3
x ÷ 7 ÷ 7 = 3 ÷ 7
        x = 3/7
答えと考え方

1.

  • 性質① … \(A = B\) のとき、\(A + C = B + C\)
  • 性質② … \(A = B\) のとき、\(A - C = B - C\)
  • 性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
  • 性質④ … \(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)

係数とは、文字にかけられている数のことです。\(6x\) の係数は6、\(-3x\) の係数は \(-3\) です。\(\dfrac{x}{6}\) の6は \(x\) にかけられている数ではないので、係数ではありません。

2. 左辺は \(x\) が6で割られているので、両辺に6をかけます(性質③)。

x ÷ 6 = −3
x ÷ 6 × 6 = −3 × 6      ← 両辺に6をかけた
        x = −18
左辺 = −18 ÷ 6 = −3
右辺 = −3
左辺 = 右辺 なので x=−18 は解

3. 左辺の \(x\) には9が足されているので、両辺から9を引きます(性質②)。

x + 9 = 4
x + 9 − 9 = 4 − 9      ← 両辺から9を引いた
        x = −5
左辺 = −5 + 9 = 4
右辺 = 4
左辺 = 右辺 なので x=−5 は解

4. 左辺の \(x\) には4がかけられているので、両辺を4で割ります(性質④)。

4x = 10
4x ÷ 4 = 10 ÷ 4      ← 両辺を4で割った
     x = 10/4 = 5/2

答えは \(x = \dfrac{5}{2}\) です。割り切れないので分数のままにし、約分だけしておきます。

左辺 = 4 × 5/2 = 10
右辺 = 10
左辺 = 右辺 なので x=5/2 は解

5. 左辺の \(x\) からは7が引かれているので、両辺に7を足します(性質①)。

x − 7 = 2
x − 7 + 7 = 2 + 7      ← 両辺に7を足した
        x = 9
左辺 = 9 − 7 = 2
右辺 = 2
左辺 = 右辺 なので x=9 は解

6. 数字はどれも8と24ですが、形が違うので答えも違います。

x + 8 = 24                 8x = 24                  x ÷ 8 = 24
x + 8 − 8 = 24 − 8         8x ÷ 8 = 24 ÷ 8          x ÷ 8 × 8 = 24 × 8
        x = 16                  x = 3                       x = 192

\(x = 16\)\(x = 3\)\(x = 192\)

足されているときは24より少し小さくなり、かけられているときはぐっと小さくなり、割られているときはぐっと大きくなります。数字ではなく、\(x\) にされている操作を見るということが、この3本ではっきりします。

左辺 = 16 + 8 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=16 は解
左辺 = 8 × 3 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
左辺 = 192 ÷ 8 = 24
右辺 = 24
左辺 = 右辺 なので x=192 は解

7. 2行目から違います。

\(x\) はすでに7で割られています。それを打ち消すには、反対の操作であるかけ算を使わなければなりません。ところがここでは、両辺をさらに7で割ってしまいました。反対の操作を選び損ねています。

左辺は \(\dfrac{x}{7} \div 7\)\(\dfrac{x}{49}\) になるので、3行目の \(x\) という書き方もまちがいです。

○ x ÷ 7 = 3
○ x ÷ 7 × 7 = 3 × 7      ← 両辺に7をかけた(性質③)
○         x = 21
左辺 = 21 ÷ 7 = 3
右辺 = 3
左辺 = 右辺 なので x=21 は解

誤答の \(x = \dfrac{3}{7}\) を元の式に入れると、左辺は \(\dfrac{3}{7} \div 7 = \dfrac{3}{49}\) となり、右辺の3と合いません。

次のレッスンへ

これで、\(x\) に操作が1つだけされている方程式は、四つの形すべて解けるようになりました。足す・引く・かける・割る。見分けて、反対の操作を両辺にする。それだけです。

ところが、次のような式はまだ解けません。

\(3x + 5 = 20\)

\(x\) には「3をかける」と「5を足す」の2つの操作が重なっています。反対の操作を1回するだけでは、\(x\) だけを残せません。

次のセクションでは、こうして操作が重なった方程式をどう崩していくかを扱います。使う道具は、今日まとめた等式の性質①〜④のままです。新しいルールが増えるのではなく、同じルールの使い方が一段深くなります。

次のセクションへ 項ってなんだろう/同類項をまとめる →

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:わり算の方程式を解く/四つの形を見分ける

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    $\dfrac{x}{a} = b$ の形について、$x$ にされている操作・両辺にする操作・使う性質の組み合わせとして正しいものはどれですか。
  2. 設問 1
    $4x = 12$ の解は $x = 3$、$\dfrac{x}{4} = 12$ の解は $x = 48$ です。同じ数字を使っているのに解が違うのはなぜですか。
  3. 設問 2
    $\dfrac{x}{5} = -6$ を解きなさい。
  4. 設問 3
    $x + 7 = 28$、$x - 7 = 28$、$7x = 28$、$\dfrac{x}{7} = 28$ の解を、この順に並べたものとして正しいのはどれですか。
  5. 設問 4
    ある人が $\dfrac{x}{3} = 8$ を次のように変形しました。$x \div 3 \div 3 = 8 \div 3$ と書いています。この変形の問題点はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。