小数と分数の混合練習
このレッスンでできるようになること
- 小数と分数が混ざった方程式を、両辺を何倍するか自分で決めて解ける
- 式の形を見て、10倍・100倍・最小公倍数のどれを使うかを判断できる
- このセクションで学んだ注意点を、一覧として使える
前のレッスンの確認
- 項 … 式を \(+\) と \(-\) で区切った、ひとかたまりのこと(符号は項に含まれる)
- 同類項 … 文字の部分がまったく同じ項どうしのこと
- 移項 … 項を、符号を変えて反対の辺へ移すこと
- 係数 … 文字にかけられている数のこと
- 分配法則 … \(a(b + c) = ab + ac\)
- 最小公倍数 … 公倍数のうちいちばん小さいもの
- 等式の性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
- 等式の性質④ … \(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
このセクションではここまでに、小数だけの式(10倍・100倍する)、分数だけの式(分母の最小公倍数をかける)、分子がひとまとまりの式(かっこを付ける)、分数の前がマイナスの式(中の全部の符号が変わる)を扱いました。残るは、これらが同じ式に混ざったときです。
小数と分数が混ざった式
\(0.5x + \dfrac{x}{3} = 10\) を見てください。10倍すると \(\dfrac{x}{3}\) が \(\dfrac{10x}{3}\) になって分母が残り、3をかけると \(0.5x\) が \(1.5x\) になって小数が残ります。どちらの一手も、片方しか片づきません。
まず小数を分数に直す
両辺にかけてよい数はいくつでもありますが、一度にかけられるのはひとつの数だけです。小数の項だけ10倍して分数の項だけ3倍する、ということはできません。片方の辺の一部だけをさわることになるからです。
そこで、先に小数を分数に直します。すると消したいものが「分母」の1種類だけになり、その最小公倍数として倍率がひとつに決まります。小数を分数に直すのは、倍率をひとつに決めるための下ごしらえです。
| 小数 | 分数 |
|---|---|
| \(0.5\) | \(\dfrac{1}{2}\) |
| \(0.25\) | \(\dfrac{1}{4}\) |
| \(0.2\) | \(\dfrac{1}{5}\) |
| \(0.75\) | \(\dfrac{3}{4}\) |
表にないものは、小数第1位なら分母10、小数第2位なら分母100にします(\(0.3 = \dfrac{3}{10}\))。**約分できるときは約分します。**分母が小さいほど倍率も小さくてすみます。
例題1
\(0.5x + \dfrac{x}{3} = 10\) を解きます。\(0.5 = \dfrac{1}{2}\) なので分母は \(2\) と \(3\)、最小公倍数は \(6\) です。
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(\dfrac{x}{2} + \dfrac{x}{3} = 10\) | \(0.5\) を \(\dfrac{1}{2}\) に直した |
| \(6 \times \dfrac{x}{2} + 6 \times \dfrac{x}{3} = 6 \times 10\) | 両辺に6をかけた(性質③) |
| \(3x + 2x = 60\) | 各項を計算した |
| \(5x = 60\) | 同類項をまとめた |
| \(x = 12\) | 両辺を5で割った(性質④) |
確かめ 元の式に代入します。左辺は \(0.5 \times 12 + \dfrac{12}{3} = 6 + 4 = 10\)、右辺は \(10\)。等しいので \(x = 12\) は解です。
形を見て一手を決める
式を見たら、まずこの表のどの行かを決めます。
| 式に何が入っているか | 両辺に何をかけるか |
|---|---|
| 小数だけ(小数第1位まで) | 10 |
| 小数だけ(小数第2位まで) | 100 |
| 分数だけ | 分母の最小公倍数 |
| 小数と分数の両方 | 小数を分数に直してから、分母の最小公倍数 |
いちばん右の道だけ、箱がひとつ多いことに注目してください。小数を分数に直す一手を先に打てば、あとは分数だけの式と同じ道に合流します。
例題2
\(\dfrac{x}{4} - 0.25 = 1\) を解きます。\(0.25 = \dfrac{1}{4}\) なので分母は \(4\) だけ、倍率も \(4\) です。
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(\dfrac{x}{4} - \dfrac{1}{4} = 1\) | \(0.25\) を \(\dfrac{1}{4}\) に直した |
| \(x - 1 = 4\) | 両辺に4をかけた(右辺の \(1\) にもかけた) |
| \(x = 5\) | \(-1\) を移項した |
確かめ 左辺は \(\dfrac{5}{4} - 0.25 = 1.25 - 0.25 = 1\)、右辺は \(1\)。等しいので \(x = 5\) は解です。文字のない項も項です。
例題3
\(0.3(x - 6) = \dfrac{x}{5}\) を解きます。\(0.3 = \dfrac{3}{10}\) なので分母は \(10\) と \(5\)、最小公倍数は \(10\) です。
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(\dfrac{3}{10}(x - 6) = \dfrac{x}{5}\) | \(0.3\) を \(\dfrac{3}{10}\) に直した |
| \(3(x - 6) = 2x\) | 両辺に10をかけた |
| \(3x - 18 = 2x\) | 分配法則でかっこを外した |
| \(3x - 2x = 18\) | \(-18\) と \(2x\) を移項した |
| \(x = 18\) | 同類項をまとめた |
確かめ 左辺は \(0.3 \times (18 - 6) = 0.3 \times 12 = 3.6\)、右辺は \(\dfrac{18}{5} = 3.6\)。等しいので \(x = 18\) は解です。**10はかっこの中には入れません。**かっこ全体がひとかたまりなので、前の \(\dfrac{3}{10}\) にだけかかります。
例題4
\(\dfrac{x + 1}{2} - \dfrac{x - 3}{4} = 3\) を解きます。分子がひとまとまりで、2つ目の前がマイナスです。最小公倍数は \(4\) です。
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(2(x + 1) - (x - 3) = 12\) | 両辺に4をかけ、分子にかっこを付けた |
| \(2x + 2 - x + 3 = 12\) | かっこを外した(前がマイナスなので符号が変わる) |
| \(x + 5 = 12\) | 同類項をまとめた |
| \(x = 7\) | \(5\) を移項した |
確かめ 左辺は \(\dfrac{7 + 1}{2} - \dfrac{7 - 3}{4} = 4 - 1 = 3\)、右辺は \(3\)。等しいので \(x = 7\) は解です。
例題5
\(\dfrac{x}{3} - 0.5 = \dfrac{x}{2} + 1\) を解きます。両辺に文字があり、小数も混ざっています。最小公倍数は \(6\) です。
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(\dfrac{x}{3} - \dfrac{1}{2} = \dfrac{x}{2} + 1\) | \(0.5\) を \(\dfrac{1}{2}\) に直した |
| \(2x - 3 = 3x + 6\) | 両辺に6をかけた(4つの項すべてに) |
| \(2x - 3x = 6 + 3\) | \(3x\) と \(-3\) を移項した |
| \(-x = 9\) | 同類項をまとめた |
| \(x = -9\) | 両辺を \(-1\) で割った(性質④) |
確かめ 左辺は \(\dfrac{-9}{3} - 0.5 = -3.5\)、右辺は \(\dfrac{-9}{2} + 1 = -3.5\)。等しいので \(x = -9\) は解です。負の解でも、やることは変わりません。
セクション5のまとめ
迷ったら、このページに戻ってきてください。
一覧1 両辺に何をかけるか
| 式に何が入っているか | 両辺に何をかけるか |
|---|---|
| 小数だけ(小数第1位まで) | 10 |
| 小数だけ(小数第2位まで) | 100 |
| 分数だけ | 分母の最小公倍数 |
| 小数と分数の両方 | 小数を分数に直してから、分母の最小公倍数 |
一覧2 小数を分数に直す
| 小数 | 分数 |
|---|---|
| \(0.5\) | \(\dfrac{1}{2}\) |
| \(0.25\) | \(\dfrac{1}{4}\) |
| \(0.2\) | \(\dfrac{1}{5}\) |
| \(0.75\) | \(\dfrac{3}{4}\) |
一覧3 分母を払うときの注意3点
- **すべての項にかける。**整数の項も右辺の項も、ひとつ残らずかけます。
- 分子がひとまとまりなら、かっこを付ける。\(\dfrac{x + 1}{2}\) に4をかけたら \(2(x + 1)\) です。
- 前がマイナスなら、かっこを外すとき中の全部の符号が変わる。\(-(x - 3)\) は \(-x + 3\) です。
1点目は図で見てください。\(\dfrac{x}{3} + \dfrac{x}{6} = 3\) の両辺に6をかける場面です。
一覧4 整数に直したあとの手順
- かっこがあれば外す(分配法則)
- 文字の項と数の項を、移項で分ける
- 同類項をまとめる
- 文字の係数で両辺を割る(性質④)
- 元の式に代入して確かめる
5番は必ず元の式で行います。整数に直したあとの式で確かめると、直し方そのものの誤りに気づけません。かけ忘れた式に、そのかけ忘れから出た答えを入れれば、合ってしまうからです。
今日の問い
\(0.5x + \dfrac{x}{3} = 10\) の両辺を10倍してはいけないのでしょうか。
いけなくはありません。性質③は「両辺に同じ数をかけてよい」と言っているだけです。
0.5x + x/3 = 10
5x + 10x/3 = 100 ← 両辺を10倍した
これは正しい式ですが、\(\dfrac{10x}{3}\) が残り、もう一度3をかけることになります。**間違いなのではなく、遠回りなのです。**小数を分数に直してから最小公倍数を選べば、いちばん小さい倍率で一度に片づきます。
よくある間違い
まちがい1:倍率を混ぜてしまう
\(0.25x + \dfrac{x}{2} = 3\) を解くときです。
✗ 0.25x + x/2 = 3
✗ 25x + x = 300 ← 100倍したのに、分数の項は分母を消しただけ
✗ 26x = 300
100倍を選んだのに、\(\dfrac{x}{2}\) には「分母を消す」という別の操作をしています。**ひとつの式に2種類の倍率は使えません。**100倍するなら \(\dfrac{x}{2}\) は \(50x\) です。
○ 0.25x + x/2 = 3
○ x/4 + x/2 = 3 ← 0.25 を 1/4 に直した
○ x + 2x = 12 ← 両辺に4をかけた
○ 3x = 12
○ x = 4
まちがい2:整数の項にかけ忘れる
\(\dfrac{x}{3} + 2 = \dfrac{x}{2}\) を解くときです。
✗ x/3 + 2 = x/2
✗ 2x + 2 = 3x ← 6をかけたのは分数の項だけ
✗ x = 2
\(2\) に6をかけていません。\(6 \times 2 = 12\) です。
○ x/3 + 2 = x/2
○ 2x + 12 = 3x
○ 2x − 3x = −12
○ −x = −12
○ x = 12
**分母がない項ほど、かけ忘れます。**先に項の数(この式なら3つ)を数えておくと防げます。
まちがい3:前がマイナスなのに、後ろの符号を変えない
\(\dfrac{x - 1}{2} - \dfrac{x - 5}{3} = 1\) を解くときです。
✗ 3(x−1) − 2(x−5) = 6
✗ 3x − 3 − 2x − 10 = 6 ← マイナスを −5 にかけ忘れた
✗ x − 13 = 6
✗ x = 19
\(-2(x - 5)\) は \(-2 \times x\) と \(-2 \times (-5)\) なので、後ろは \(+10\) です。
○ 3(x−1) − 2(x−5) = 6
○ 3x − 3 − 2x + 10 = 6
○ x + 7 = 6
○ x = −1
まちがい4:直したあとの式で確かめてしまう
まちがい2の誤答 \(x = 2\) を、直したあとの式 \(2x + 2 = 3x\) に入れると、左辺も右辺も \(6\) で合ってしまいます。元の式に入れれば、左辺は \(\dfrac{2}{3} + 2 = \dfrac{8}{3}\)、右辺は \(1\) で合いません。元の式でなければ、直し方の誤りは見つかりません。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。かけた数とその理由を、必ず式のとなりに書き残すこと。
次の式を解くには、両辺に何をかければよいですか。かける数だけ答えなさい。(ア)\(0.7x + 1 = 4.5\) (イ)\(0.06x - 0.1 = 0.5\) (ウ)\(\dfrac{x}{6} - \dfrac{x}{9} = 1\) (エ)\(0.2x + \dfrac{x}{3} = 5\)
\(0.5x + \dfrac{x}{4} = 3\) を解きなさい。
\(0.75x + \dfrac{x}{2} = -5\) を解きなさい。
\(0.4x + \dfrac{x}{2} = 3\) を解きなさい。
\(\dfrac{x + 2}{3} - \dfrac{x - 6}{2} = 3\) を解きなさい。
次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。正しく解き直しなさい。
0.5x + x/8 = 5
5x + x = 50
6x = 50
- 次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。正しく解き直しなさい。
x/4 + 1 = x/2
x + 1 = 2x
x = 1
答えと考え方
1.(ア)10。小数第1位までだからです。(イ)100。\(0.06\) が小数第2位までだからです。(ウ)18。分母 \(6\) と \(9\) の最小公倍数です。(エ)15。\(0.2 = \dfrac{1}{5}\) に直すと分母は \(5\) と \(3\)。その最小公倍数です。
2. \(0.5 = \dfrac{1}{2}\) なので分母は \(2\) と \(4\)、最小公倍数は \(4\) です。
0.5x + x/4 = 3
x/2 + x/4 = 3 ← 0.5 を 1/2 に直した
2x + x = 12 ← 両辺に4をかけた
3x = 12
x = 4
確かめ 左辺は \(0.5 \times 4 + \dfrac{4}{4} = 2 + 1 = 3\)、右辺は \(3\)。等しいので \(x = 4\) は解です。
3. \(0.75 = \dfrac{3}{4}\) なので分母は \(4\) と \(2\)、最小公倍数は \(4\) です。
0.75x + x/2 = −5
3x/4 + x/2 = −5 ← 0.75 を 3/4 に直した
3x + 2x = −20 ← 両辺に4をかけた
5x = −20
x = −4
確かめ 左辺は \(0.75 \times (-4) + \dfrac{-4}{2} = -3 - 2 = -5\)、右辺は \(-5\)。等しいので \(x = -4\) は解です。負の解です。
4. \(0.4 = \dfrac{2}{5}\) なので分母は \(5\) と \(2\)、最小公倍数は \(10\) です。
0.4x + x/2 = 3
2x/5 + x/2 = 3 ← 0.4 を 2/5 に直した
4x + 5x = 30 ← 両辺に10をかけた
9x = 30
x = 10/3
確かめ 左辺は \(0.4 \times \dfrac{10}{3} + \dfrac{10}{3} \div 2 = \dfrac{4}{3} + \dfrac{5}{3} = 3\)、右辺は \(3\)。等しいので \(x = \dfrac{10}{3}\) は解です。わり切れなくても、それが解です。
5. 分子がひとまとまりで、2つ目の前がマイナスです。最小公倍数 \(6\) をかけます。
(x+2)/3 − (x−6)/2 = 3
2(x+2) − 3(x−6) = 18 ← 6をかけ、分子にかっこを付けた
2x + 4 − 3x + 18 = 18 ← 前がマイナスなので中の符号が変わる
−x + 22 = 18
−x = −4
x = 4
確かめ 左辺は \(\dfrac{4 + 2}{3} - \dfrac{4 - 6}{2} = 2 - (-1) = 3\)、右辺は \(3\)。等しいので \(x = 4\) は解です。
6. 2行目から違います。\(0.5x\) は10倍したのに、\(\dfrac{x}{8}\) は分母を消しただけの \(x\) になっています。\(\dfrac{x}{8} \times 10 = \dfrac{10x}{8}\) で、10倍では分母8は払えません。\(0.5\) を \(\dfrac{1}{2}\) に直せば分母は \(2\) と \(8\)、最小公倍数は \(8\) です。
0.5x + x/8 = 5
x/2 + x/8 = 5
4x + x = 40 ← 両辺に8をかけた
5x = 40
x = 8
確かめ 左辺は \(0.5 \times 8 + \dfrac{8}{8} = 4 + 1 = 5\)、右辺は \(5\)。等しいので \(x = 8\) は解です。
**7. 2行目から違います。**両辺に4をかけたのに、整数の項 \(1\) にかけていません。\(4 \times 1 = 4\) です。
x/4 + 1 = x/2
x + 4 = 2x ← 両辺に4をかけた
x − 2x = −4
−x = −4
x = 4
確かめ 左辺は \(\dfrac{4}{4} + 1 = 2\)、右辺は \(\dfrac{4}{2} = 2\)。等しいので \(x = 4\) は解です。誤答の \(x = 1\) を元の式に入れると、左辺は \(\dfrac{1}{4} + 1 = \dfrac{5}{4}\)、右辺は \(\dfrac{1}{2}\) で合いません。
次のレッスンへ
これでこのセクションは終わりです。小数でも分数でも、両方が混ざっていても、整数だけの式に直してから解くという一本道で扱えるようになりました。ここまでで、与えられた方程式を解く話は完了です。
次のセクションからは、方程式はもう与えられません。「ノート3冊とペン1本で500円」といった文章から、自分で方程式を作るところに進みます。何を \(x\) とするか、どこが等しいのかを自分で決める仕事です。解き方の話はここで終わり、これからは立て方の話です。
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