文章題を最後まで解ききる
このレッスンでできるようになること
- 文章題を、立てて、解いて、答えるところまで一続きにできる
- 五つの手順にそって、解いた道すじを書き残せる
- 問われたものに、単位をつけて答えられる
- 出てきた数が場面に合っているかどうかを、自分で判断できる
前のレッスンの確認
- 項 … 式を \(+\) と \(-\) で区切った、ひとかたまりのこと(符号は項に含まれる)
- 同類項 … 文字の部分がまったく同じ項どうしのこと
- 移項 … 項を、符号を変えて反対の辺へ移すこと
- 係数 … 文字にかけられている数のこと
- 分配法則 … \(a(b + c) = ab + ac\)
- 最小公倍数 … 公倍数のうちいちばん小さいもの
- 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
- 解 … その方程式を成り立たせる、文字の値
セクション1で止まっていたところ
セクション1で、文章から方程式を作る手順を練習しました。
- 分からない数を \(x\) とおく
- \(x\) にした計算を、書かれている順に式にしていく
- 「等しい」と書かれているところを \(=\) で結ぶ
ここまでで、\(120x + 50 = 650\) のような式は作れていました。**でも、そこから先へ進めませんでした。**方程式の解き方をまだ知らなかったからです。答えを出すときは、与えられた値を代入して合うかどうかを確かめるだけでした。
セクション2から5で、かっこや小数や分数が入っていても、一次方程式なら解けるようになりました。道具がそろったので、この回で初めて、式を立てるところから答えを書くところまでが一続きになります。
五つの手順
文章題は、次の五つの順で進めます。この順に書いたものが、そのまま解いた道すじの記録になります。
- 何を \(x\) とおくか決めて、単位まで書く(「パンの個数を \(x\) 個とする」)
- 数量を式で表す(表を使ってよい)
- 等しい関係を見つけて方程式を作る
- 方程式を解く
- 場面に合うか確かめて、単位をつけて答える
①から③はセクション1でやったところです。④と⑤が、この回で新しくつながるところです。⑤まで書いて、はじめて文章題を解いたことになります。
例題1 代金の問題
1個120円のパンを何個かと、50円の袋を1枚買ったら、代金は650円でした。パンは何個買いましたか。
① 何を \(x\) とおくか決める
聞かれているのはパンの個数です。パンの個数を \(x\) 個とします。「個」まで書いておくと、あとで答えを書くときに迷いません。
② 数量を式で表す
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| パン | \(120\) 円 | \(x\) 個 | \(120x\) 円 |
| 袋 | \(50\) 円 | \(1\) 枚 | \(50\) 円 |
③ 方程式を作る
代金の合計が650円なので、
\(120x + 50 = 650\)
④ 方程式を解く
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(120x + 50 = 650\) | もとの方程式 |
| \(120x = 650 - 50\) | \(50\) を右辺へ移項した |
| \(120x = 600\) | 右辺を計算した |
| \(x = 5\) | 両辺を \(x\) の係数 \(120\) で割った |
⑤ 確かめて答える
左辺 = 120 × 5 + 50 = 650
右辺 = 650
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
パンの個数が5。整数なので場面にも合っています。聞かれていたのは「パンは何個か」でした。
答え パンは5個
\(x = 5\) で止めてはいけません。\(x = 5\) は式の解です。問題の答えは「5個」です。
例題2 数を当てる問題
ある数を4倍して7を引くと、その数に29を足した数と等しくなりました。ある数はいくつですか。
① ある数を \(x\) とします。
② 4倍して7を引いた数は \(4x - 7\)。その数に29を足した数は \(x + 29\)。
③ この2つが等しいので、
\(4x - 7 = x + 29\)
④
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(4x - 7 = x + 29\) | もとの方程式 |
| \(4x - x = 29 + 7\) | \(x\) を左辺へ、\(-7\) を右辺へ移項した |
| \(3x = 36\) | 両辺の同類項をまとめた |
| \(x = 12\) | 両辺を \(3\) で割った |
⑤ 確かめて答える
左辺 = 4 × 12 − 7 = 41
右辺 = 12 + 29 = 41
左辺 = 右辺 なので x=12 は解
答え ある数は12
この問題では「ある数」に単位がありません。単位がないときは、そのまま数を書きます。単位があるのに落とすのがいけないだけです。
例題3 単位をそろえてから式にする
長さ4mのテープから、同じ長さのリボンを6本切り取ったら、40cm残りました。リボン1本の長さは何cmですか。
① リボン1本の長さを \(x\) cmとします。
② 6本ぶんの長さは \(6x\) cm、残りは \(40\) cmです。もとのテープは4mですが、**このままでは式にできません。**mとcmが混ざっているからです。\(4\) m \(= 400\) cmに直します。
③
\(6x + 40 = 400\)
④
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(6x + 40 = 400\) | もとの方程式 |
| \(6x = 400 - 40\) | \(40\) を右辺へ移項した |
| \(6x = 360\) | 右辺を計算した |
| \(x = 60\) | 両辺を \(6\) で割った |
⑤ 確かめて答える
左辺 = 6 × 60 + 40 = 400
右辺 = 400
左辺 = 右辺 なので x=60 は解
答え リボン1本の長さは60cm
**単位をそろえるのは、式を立てる前です。**解いたあとで気づくと、はじめからやり直しになります。
例題4 かっこが出てくる問題
ケーキを3個と、そのケーキより1個50円安いプリンを2個買ったら、代金は1150円でした。ケーキ1個の値段はいくらですか。
① ケーキ1個の値段を \(x\) 円とします。
② プリン1個はケーキより50円安いので \(x - 50\) 円です。
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| ケーキ | \(x\) 円 | \(3\) 個 | \(3x\) 円 |
| プリン | \(x - 50\) 円 | \(2\) 個 | \(2(x - 50)\) 円 |
プリンの代金は、単価がひとかたまりなのでかっこでくくります。
③
\(3x + 2(x - 50) = 1150\)
④
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(3x + 2(x - 50) = 1150\) | もとの方程式 |
| \(3x + 2x - 100 = 1150\) | 分配法則でかっこを外した |
| \(5x - 100 = 1150\) | 左辺の同類項をまとめた |
| \(5x = 1250\) | \(-100\) を右辺へ移項した |
| \(x = 250\) | 両辺を \(5\) で割った |
⑤ 確かめて答える
左辺 = 3 × 250 + 2 × (250 − 50) = 750 + 400 = 1150
右辺 = 1150
左辺 = 右辺 なので x=250 は解
答え ケーキ1個は250円
セクション4で学んだかっこの外し方が、そのまま文章題でも使えます。文章題だからといって、解き方が変わるわけではありません。
問われたものと、おいた文字がちがうとき
\(x\) とおいたものが、そのまま答えになるとはかぎりません。
鉛筆を5本と、100円の消しゴムを1個買ったら、代金は550円でした。この鉛筆を1ダース(12本)買うと、代金はいくらですか。
① 鉛筆1本の値段を \(x\) 円とします。
②③ 鉛筆5本で \(5x\) 円、消しゴムが \(100\) 円。合わせて550円なので、
\(5x + 100 = 550\)
④
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(5x + 100 = 550\) | もとの方程式 |
| \(5x = 550 - 100\) | \(100\) を右辺へ移項した |
| \(5x = 450\) | 右辺を計算した |
| \(x = 90\) | 両辺を \(5\) で割った |
⑤ 確かめて答える
左辺 = 5 × 90 + 100 = 550
右辺 = 550
左辺 = 右辺 なので x=90 は解
ここで止めると、こうなります。
✗ x = 90
✗ 答え 90円 ← 聞かれているのは1ダースの代金
\(x = 90\) は「鉛筆1本の値段」です。問題が聞いているのは1ダースの代金なので、もう一度計算が要ります。
\(90 \times 12 = 1080\)
答え 1080円
**⑤にたどり着いたら、問題文をもう一度読んでください。**何を聞かれていたかを見てから答えを書きます。
出てきた数が、場面に合っているか
方程式は、立て方をまちがえても、たいてい何か答えを出してくれます。だから最後にその数が場面としてありうるかを見ます。
たとえば、例題1の代金が600円だったとします。
120x + 50 = 600
120x = 550
x = 550 ÷ 120
\(x = \dfrac{55}{12}\) となり、およそ4.58です。**パンは数えるものなので、個数は整数でなければなりません。**分数や小数になったら、立式か計算のどちらかが違うか、そもそもその代金にならない、ということです。
人数や個数が負の数になったときも同じです。\(-3\) 人という人数はありません。
ただし、なんでも整数でなければいけないわけではありません。
| 何をたずねているか | 出てよい数 | 例 |
|---|---|---|
| 数えるもの(個数、人数、本数、枚数) | 整数のみ。負はなし | パン \(5\) 個 |
| 量るもの(長さ、重さ、時間) | 小数でもよい。負はなし | テープ \(60.5\) cm、\(12.5\) 分 |
**数えるものは整数、量るものは小数でもよい。**この区別ができると、答えを書く前に自分でおかしさに気づけます。
今日の問い
\(x = 5\) と出せたら、そこで終わりにしてよいでしょうか。
よくありません。理由は二つあります。
一つめは、\(x = 5\) は式の解であって、問題の答えではないからです。問題は「パンは何個か」と聞いています。答えるべきなのは「5個」です。単位のない数だけを書いたものは、問いに答えていません。
二つめは、\(x\) とおいたものが、問われたものとちがうことがあるからです。鉛筆1本の値段を \(x\) とおいたのに、聞かれているのは1ダースの代金でした。\(x\) を出したあと、もう一度計算が要ります。
だから最後の⑤では、いつも次の三つを見ます。
- 代入して、左辺と右辺が等しくなるか
- その数は場面としてありうるか
- 問題が聞いていたのは、この数か
よくある間違い
まちがい1:式の解のまま答えにしてしまう
✗ 120x + 50 = 650
✗ x = 5
✗ 答え x = 5
計算は合っていますが、これでは問いに答えていません。
○ 答え パンは5個
**単位をつけて、聞かれたものを書く。**これで解き終わりです。
まちがい2:おいた文字と、問われたものがずれている
鉛筆1本の値段を \(x\) 円とおいて \(x = 90\) を出し、そのまま「90円」と書いてしまう間違いです。聞かれていたのは1ダースの代金でした。
✗ 答え 90円
○ 90 × 12 = 1080
○ 答え 1080円
「何を \(x\) とおいたか」を式の最初に書いておくと、この取りちがえに気づけます。
まちがい3:単位をそろえずに式を立てる
例題3で、4mを400cmに直さずに式を立てると、こうなります。
✗ 6x + 40 = 4 ← 左辺は cm、右辺は m
○ 6x + 40 = 400 ← 4 m を 400 cm に直した
\(6x + 40 = 4\) を解くと \(x = -6\) となり、長さが負の数になります。単位をそろえるのは式を立てる前です。
まちがい4:場面に合わない数をそのまま答えにする
✗ 120x + 50 = 600
✗ 120x = 550
✗ 答え パンは 55/12 個
計算そのものは正しいのですが、\(\dfrac{55}{12}\) 個のパンは買えません。**数えるものが整数にならなかったら、そこで手を止めます。**式を立てるところから読み直します。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。①から⑤まで、全部書くこと。答えには必ず単位をつけます。
1本90円のジュースを何本かと、150円のケーキを1個買ったら、代金は690円でした。ジュースは何本買いましたか。
ある数を5倍して8を足すと、その数に32を足した数と等しくなりました。ある数はいくつですか。
ある人が何分か歩き、そのあと歩いた時間の2倍だけ走ったところ、合わせて1時間15分かかりました。歩いた時間は何分ですか。
ある数の \(\dfrac{1}{3}\) に5を足すと、その数から3を引いた数と等しくなりました。ある数はいくつですか。
兄は弟より5歳年上です。兄の年齢の2倍は、弟の年齢の3倍と等しくなりました。兄は何歳ですか。
次の2つの解答は、どちらもまちがっています。どこがいけないのか、それぞれ説明しなさい。
【A】1個80円のみかんを何個かと、120円のかごを1つ買ったら、520円だった。
みかんは何個か。
80x + 120 = 520
80x = 400
x = 5
答え x = 5
【B】1個70円のあめを何個かと、100円の箱を1つ買ったら、480円だった。
あめは何個か。
70x + 100 = 480
70x = 380
x = 38/7
答え あめは 38/7 個
答えと考え方
1. ジュースの本数を \(x\) 本とします。ジュースの代金は \(90x\) 円、ケーキは \(150\) 円です。
\(90x + 150 = 690\)
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(90x + 150 = 690\) | もとの方程式 |
| \(90x = 690 - 150\) | \(150\) を右辺へ移項した |
| \(90x = 540\) | 右辺を計算した |
| \(x = 6\) | 両辺を \(90\) で割った |
確かめ
左辺 = 90 × 6 + 150 = 690
右辺 = 690
左辺 = 右辺 なので x=6 は解
6は整数なので、本数として問題ありません。
答え ジュースは6本
2. ある数を \(x\) とします。5倍して8を足した数は \(5x + 8\)、その数に32を足した数は \(x + 32\) です。
\(5x + 8 = x + 32\)
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(5x + 8 = x + 32\) | もとの方程式 |
| \(5x - x = 32 - 8\) | \(x\) を左辺へ、\(8\) を右辺へ移項した |
| \(4x = 24\) | 両辺の同類項をまとめた |
| \(x = 6\) | 両辺を \(4\) で割った |
確かめ
左辺 = 5 × 6 + 8 = 38
右辺 = 6 + 32 = 38
左辺 = 右辺 なので x=6 は解
答え ある数は6
3. 歩いた時間を \(x\) 分とします。走った時間はその2倍なので \(2x\) 分です。1時間15分は \(75\) 分に直します。ここで単位をそろえます。
\(x + 2x = 75\)
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(x + 2x = 75\) | もとの方程式 |
| \(3x = 75\) | 左辺の同類項をまとめた |
| \(x = 25\) | 両辺を \(3\) で割った |
確かめ
左辺 = 25 + 2 × 25 = 75
右辺 = 75
左辺 = 右辺 なので x=25 は解
歩いた時間が25分、走った時間が50分で、合わせて75分。時間は量るものなので小数でもかまいませんが、ここは整数になりました。
答え 歩いた時間は25分
4. ある数を \(x\) とします。その \(\dfrac{1}{3}\) に5を足した数は \(\dfrac{x}{3} + 5\)、その数から3を引いた数は \(x - 3\) です。
\(\dfrac{x}{3} + 5 = x - 3\)
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(\dfrac{x}{3} + 5 = x - 3\) | もとの方程式 |
| \(x + 15 = 3x - 9\) | 両辺に \(3\) をかけて分母をはらった |
| \(x - 3x = -9 - 15\) | \(3x\) を左辺へ、\(15\) を右辺へ移項した |
| \(-2x = -24\) | 両辺の同類項をまとめた |
| \(x = 12\) | 両辺を \(-2\) で割った |
確かめます。左辺は \(\dfrac{12}{3} + 5 = 4 + 5 = 9\)、右辺は \(12 - 3 = 9\)。左辺と右辺が等しいので、\(x = 12\) は解です。
セクション5でやったとおり、**分母をはらってから解きます。**文章題でも同じです。
答え ある数は12
5. 弟の年齢を \(x\) 歳とします。兄は弟より5歳年上なので \(x + 5\) 歳です。兄の年齢の2倍は \(2(x + 5)\) 歳、弟の年齢の3倍は \(3x\) 歳です。
\(2(x + 5) = 3x\)
| 式 | この行でしたこと |
|---|---|
| \(2(x + 5) = 3x\) | もとの方程式 |
| \(2x + 10 = 3x\) | 分配法則でかっこを外した |
| \(2x - 3x = -10\) | \(3x\) を左辺へ、\(10\) を右辺へ移項した |
| \(-x = -10\) | 両辺の同類項をまとめた |
| \(x = 10\) | 両辺を \(-1\) で割った |
確かめ
左辺 = 2 × (10 + 5) = 30
右辺 = 3 × 10 = 30
左辺 = 右辺 なので x=10 は解
弟は10歳。**でも聞かれているのは兄の年齢です。**兄は \(10 + 5 = 15\) 歳になります。年齢は負にならず、どちらも整数なので場面に合っています。
答え 兄は15歳
6.
【A】単位も、聞かれたものも書いていないのがいけません。
計算は正しく、\(x = 5\) まで合っています。しかし問題が聞いているのは「みかんは何個か」です。\(x = 5\) は式の解にすぎません。
確かめ
左辺 = 80 × 5 + 120 = 520
右辺 = 520
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
○ 答え みかんは5個
【B】場面に合わない数を、そのまま答えにしているのがいけません。
\(\dfrac{38}{7}\) はおよそ5.43です。あめは数えるものなので、個数は整数でなければなりません。\(\dfrac{38}{7}\) 個のあめは買えません。
計算じたいは合っているので、疑うのは式を立てたところか、問題文の読み取りです。整数にならないと分かった時点で答えを書くのをやめ、①から見直します。
**数えるものは整数、量るものは小数でもよい。**この区別が、書く前の最後の関門になります。
次のレッスンへ
これで、文章題を最後まで解ききる形ができました。ここまでの問題は、分からない数が一つで、それをそのまま \(x\) とおけば済むものでした。
でも「あわせて10個買った」のように、二つの数の合計だけが分かっている場面もあります。このとき、一方を \(x\) とおくと、もう一方は \(x\) を使って表せます。次はその表し方を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。