数当て問題を方程式にする
このレッスンでできるようになること
- 分からない数を x とおき、書かれている順に計算を式にして、方程式を組み立てられる
- 「3倍して5を足す」と「5を足してから3倍する」を区別し、かっこが必要な場面を見分けられる
- 作った方程式が問題文と合っているかを、数を入れて確かめられる
前のレッスンの確認
このレッスンで実際に使う言葉だけを挙げます。あやしい人は思い出してください。
- 等式 … 等号 \(=\) で結ばれた式
- 左辺 … 等号の左側にある式
- 右辺 … 等号の右側にある式
- 両辺 … 左辺と右辺の両方
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
- 方程式 … 文字を含む等式で、文字に入れる数によって成り立ったり成り立たなかったりするもの
- 解 … その方程式を成り立たせる、文字の値
- 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
- 文字式の約束 … \(\times\) は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/\(\div\) は使わず分数の形(\(x \div 3\) は \(\dfrac{x}{3}\))/足し算は省略できない
数当て問題とは
ある数を3倍して5を足すと20になりました。ある数はいくつですか。
「ある数」がいくつかは書いてありません。書いてあるのは、その数にした計算の手順(3倍する、5を足す)と、その結果(20になった)だけです。
そこで分からない数に \(x\) と名前をつけ、分からないまま式にします。問題文から方程式を作ることを 立式(りっしき)といい、上の問題を \(3x + 5 = 20\) と書きかえるのが立式です。
天びんの考え方で、\(x + 3 = 10\) のような足し算と引き算だけでできている方程式なら解けるようになりました。でも \(3x + 5 = 20\) のようにかけ算がからむ方程式は、まだ解く手順を習っていません。だからこのレッスンでは、方程式を立てるところまでを目標にします。
立式の三つの手順
| 手順 | やること | さっきの問題では |
|---|---|---|
| ① | 分からない数を x とおく | 「ある数」を x とおく |
| ② | x にした計算を、書かれている順に式にしていく | 3倍する → \(3x\)、5を足す → \(3x + 5\) |
| ③ | 「等しい」と書かれているところを \(=\) で結ぶ | 「20になる」→ \(3x + 5 = 20\) |
手順①:分からない数を x とおく
問題文が「いくつですか」と聞いているものが分からない数です。「ある数を x とする」と、まず紙に書きます。
手順②:計算を、書かれている順に式にしていく
ここがいちばん間違えるところです。頭の中でまとめず、一つの計算につき矢印を一本書きます。箱に「いまの数」、矢印の上に「これからする計算」を書いていきます。
「ある数を3倍して、5を足す」なら、\(x\) →(3倍する)→ \(3x\) →(5を足す)→ \(3x + 5\)。最後に残った \(3x + 5\) が、「ある数を3倍して5を足した数」です。この書き方は、次の節の図の①の段でもう一度出てきます。
手順③:「等しい」を = で結ぶ
「20になりました」が「等しい」の合図です。\(=\) は「答えはこうなる」という合図ではなく、左と右が同じ量だという宣言でした。
3x + 5 = 20
左辺 \(3x + 5\) が計算の手順、右辺 \(20\) がその結果です。日本語では「〜になる」「〜と等しい」「〜は…である」が \(=\) にあたります。
「3倍して5を足す」と「5を足してから3倍する」
ここがこのレッスンの山場です。
- ① ある数を3倍して、5を足す
- ② ある数に5を足してから、3倍する
使う数はどちらも 3 と 5 ですが、計算の順番がちがいます。矢印図を並べます。
②では途中の箱が \(x + 5\) になり、最後に3倍するのは x ではなく \(x + 5\) というかたまり全体です。それを表すのが かっこ です。
かっこ … 先に計算するひとまとまりを表す記号。\(3(x + 5)\) は、まず \(x + 5\) を計算し、その結果を3倍する、という意味です。
\(3\) と \((\) のあいだにも \(\times\) が省略されています。もとの形は \(3 \times (x + 5)\) です。
本当に値がちがうのか、数を入れて見る
「順番がちがうだけでは?」と思うかもしれません。x = 4 を代入します。
3x + 5 = 3 × 4 + 5 = 12 + 5 = 17
3(x + 5) = 3 × (4 + 5) = 3 × 9 = 27
17 と 27。同じ x = 4 を入れたのに、出てくる数がちがいました。 見た目が似ているだけの別の式です。
かっこが必要になるのはどんなときか
| 計算の順番 | 日本語 | 式 | かっこ |
|---|---|---|---|
| 3倍する → 5を足す | x を3倍して5を足す | \(3x + 5\) | いらない |
| 5を足す → 3倍する | x に5を足してから3倍する | \(3(x + 5)\) | いる |
| 3で割る → 5を足す | x を3で割って5を足す | \(\dfrac{x}{3} + 5\) | いらない |
| 5を足す → 3で割る | x に5を足してから3で割る | \(\dfrac{x + 5}{3}\) | いる |
式は、かけ算・割り算を先に計算するという約束で読みます。だから、足し算・引き算を先にやりたいときだけ、かっこで囲んで知らせます。
「〜してから」は、かっこの合図です。
日本語と式の対応
| 日本語 | 式 | ポイント |
|---|---|---|
| x を3倍する | \(3x\) | 数が文字の前、\(\times\) は書かない |
| x に5を足す | \(x + 5\) | \(+\) は省略できない |
| x から5を引く | \(x - 5\) | 引かれる x が先 |
| x を3で割る | \(\dfrac{x}{3}\) | \(\div\) は使わず分数の形 |
| x の3倍より5大きい数 | \(3x + 5\) | 「大きい」は足し算 |
| x より5小さい数 | \(x - 5\) | 「小さい」は引き算 |
| x の3倍から5を引いた数 | \(3x - 5\) | 3倍が先 |
「A より B 大きい数」は「A に B を足した数」、「A より B 小さい数」は「A から B を引いた数」です。どちらも基準になるのは「より」の前にある A です。A が x の3倍 のようなまとまりでも同じで、「x の3倍より5大きい数」は \(3x\) に5を足して \(3x + 5\) になります。
割り算は分数の形で書く
\(x \div 3\) は \(\dfrac{x}{3}\) と書きます。矢印で書くときも同じです。
できあがる式は \(\dfrac{x}{3} + 4\)。「9になる」と続くなら \(\dfrac{x}{3} + 4 = 9\) です。x = 15 で確かめます。
左辺 = 15/3 + 4 = 5 + 4 = 9
右辺 = 9
左辺 = 右辺 なので x=15 は解
立てた方程式が正しいか確かめる
方程式は、書けたあとで「これで合っているのかな」といちばん不安になります。そんなときは、数を1つ入れて確かめるのがいちばん速い方法です。
確かめ方1:好きな数を入れて、文章の手順と見比べる
答えが分からなくても使えます。「ある数に5を足してから3倍すると27になる」を \(3x + 5 = 27\) と書いた場合、x = 2 を入れます。
自分の式の左辺 : 3 × 2 + 5 = 6 + 5 = 11
問題文どおり : 2に5を足して7、7を3倍して21
11 と 21 で一致しないので、この時点で立式のまちがいが分かります。 正しい \(3(x + 5)\) なら \(3 \times (2 + 5) = 21\) で問題文どおりです。
確かめ方2:答えらしい数を入れて、両辺が一致するか見る
\(3x + 5 = 20\) で x = 5 を試します。
左辺 = 3 × 5 + 5 = 15 + 5 = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
問題文に戻っても「5を3倍して15、5を足して20」で合っています。左辺と右辺は別々の行に書いてから見比べてください。
今日の問い
「ある数を4で割って3を足すと8になる」を方程式にすると、\(\dfrac{x}{4} + 3 = 8\) と \(\dfrac{x + 3}{4} = 8\) のどちらでしょうか。
三つの手順で確かめます。① ある数を x とおく。② 「4で割る」が先 → \(\dfrac{x}{4}\)、「3を足す」が後 → \(\dfrac{x}{4} + 3\)。③ 「8になる」→ \(\dfrac{x}{4} + 3 = 8\)。
答えは \(\dfrac{x}{4} + 3 = 8\) です。\(\dfrac{x + 3}{4}\) は「3を足してから4で割る」という別の順番を表します。この問題の答えは 20 なので、両方に入れます。
x/4 + 3 = 20/4 + 3 = 5 + 3 = 8 ○ 8になった
(x + 3)/4 = (20 + 3)/4 = 23/4 ✗ 8にならない
よくある間違い
まちがい1:「5を足してから3倍する」を 3x + 5 と書く
問題文:ある数に5を足してから3倍すると27になる
✗ 3x + 5 = 27
○ 3(x + 5) = 27
3倍されるのは x ではなく、\(x + 5\) というかたまり全体です。答えの 4 を入れると、✗ が問題文を表していないと分かります。
✗ 3 × 4 + 5 = 12 + 5 = 17 → 27にならない
○ 3 × (4 + 5) = 3 × 9 = 27 → 27になる
まちがい2:「x より5小さい数」を 5 − x と書く
✗ 5 − x
○ x − 5
「A より B 小さい数」は「A から B を引いた数」で、基準は**「より」の前にある A** です。x = 12 で確かめます。
○ x − 5 = 12 − 5 = 7 正しい
✗ 5 − x = 5 − 12 = −7 ちがう
まちがい3:÷ を使ったまま書く
✗ x ÷ 4 + 3 = 8
○ x/4 + 3 = 8
書き方の約束を守っていないので不正解です。割り算が出たら分数の形に直します。
まちがい4:頭の中の作業を、等号でつなげて書く
問題文:ある数を3倍して5を足すと20になる
✗ 3x = 3x + 5 = 20
○ 3x + 5 = 20
\(3x\) と \(3x + 5\) は同じ量ではありません(x = 5 なら 15 と 20)。流れを書くときは等号ではなく矢印を使い、等号で書くのは最後の一本だけです。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。
次を x の式で表しなさい。 (1) x を4倍して7を引いた数 (2) x より6小さい数 (3) x を5で割った数 (4) x の3倍より8大きい数
次を方程式で表しなさい。 (1) ある数を7倍して2を足すと30になる (2) ある数の4倍から7を引くと13になる
「ある数に4を足してから5倍すると45になる」を方程式で表しなさい。かっこが必要かどうかを考えること。
x = 6 のとき、\(2x + 3\) と \(2(x + 3)\) の値をそれぞれ求め、比べなさい。
「ある数を6で割って2を足すと7になる」を方程式で表しなさい。また x = 30 を代入して、成り立つかどうか確かめなさい。
3の問題を、ある人は \(5x + 4 = 45\) と書きました。どこがまちがっているか説明しなさい。また x = 5 を2つの式に入れて、どちらが成り立つか確かめなさい。
「ある数を4倍して7を引いた数は、その数に29を足した数と等しくなります」。この関係を方程式で表しなさい。また、この式を成り立たせる数は 12 です。x = 12 を代入して確かめなさい。
答えと考え方
1.
(1) \(4x - 7\) … 「4倍」が先、「7を引く」が後だから、x →(4倍)→ \(4x\) →(7を引く)→ \(4x - 7\)。 確かめ:x = 3 で \(4 \times 3 - 7 = 12 - 7 = 5\)。文章どおり「3を4倍して12、7を引いて5」と一致。
(2) \(x - 6\) … 「より」の前の x が基準だから、x から6を引きます。 確かめ:x = 10 で \(10 - 6 = 4\)。「10より6小さい数」は 4 で一致。\(6 - x\) は誤り。
(3) \(\dfrac{x}{5}\) … 割り算は分数の形で書く約束だから、\(x \div 5\) は不正解。 確かめ:x = 15 で \(\dfrac{15}{5} = 3\)。「15を5で割った数」は 3 で一致。
(4) \(3x + 8\) … 「〜より…大きい」は足し算で、3倍が先だから。 確かめ:x = 2 で \(3 \times 2 + 8 = 6 + 8 = 14\)。「2の3倍(6)より8大きい数」は 14 で一致。
2.
(1) \(7x + 2 = 30\) … ② 7倍する → \(7x\)、2を足す → \(7x + 2\)。③ 「30になる」が等号の合図。
確かめ:x = 4 を代入します。
左辺 = 7 × 4 + 2 = 28 + 2 = 30
右辺 = 30
左辺 = 右辺 なので x=4 は解
(2) \(4x - 7 = 13\) … ② 「4倍する」が先、「7を引く」が後。「13になる」の「なる」が等号にあたります。
確かめ:x = 5 を代入します。
左辺 = 4 × 5 − 7 = 20 − 7 = 13
右辺 = 13
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
3. \(5(x + 4) = 45\) … ② 先にするのは「4を足す」なので途中の式は \(x + 4\)。5倍するのは x ではなく \(x + 4\) 全体だから、かっこが必要です。
確かめ:x = 5 を代入します。
左辺 = 5 × (5 + 4) = 5 × 9 = 45
右辺 = 45
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
4. x = 6 を、それぞれの式に代入します。
2x + 3 = 2 × 6 + 3 = 12 + 3 = 15
2(x + 3) = 2 × (6 + 3) = 2 × 9 = 18
同じ x = 6 を入れても、15 と 18 でちがう値になりました。 \(2x + 3\) は「2倍する → 3を足す」、\(2(x + 3)\) は「3を足す → 2倍する」で、計算する順番がちがうからです。かっこがあると、中を先に計算します。
確かめ:\(2(x + 3)\) は \(6 + 3 = 9\) を2倍した数なので、\(9 + 9 = 18\)。別のやり方でも 18 になりました。
5. \(\dfrac{x}{6} + 2 = 7\) … ② 「6で割る」が先なので \(\dfrac{x}{6}\)、次に「2を足す」ので \(\dfrac{x}{6} + 2\)。\(\div\) は使いません。
確かめ:x = 30 を代入します。
左辺 = 30/6 + 2 = 5 + 2 = 7
右辺 = 7
左辺 = 右辺 なので x=30 は解
6. 問題文は「4を足してから5倍する」なので、5倍されるのは \(x + 4\) 全体です。ところが \(5x + 4\) は「x を5倍してから4を足す」という、順番が逆の式になっています。
✗ 5x + 4 = 45
○ 5(x + 4) = 45
x = 5 を2つの式に入れて確かめます。
✗ 左辺 = 5 × 5 + 4 = 25 + 4 = 29
右辺 = 45
左辺 ≠ 右辺 なので成り立たない
○ 左辺 = 5 × (5 + 4) = 5 × 9 = 45
右辺 = 45
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
あやしいと思ったら数を入れて確かめる。 それだけでまちがいは見つかります。
7. \(4x - 7 = x + 29\)
① 「ある数」を x とおきます。 ② 等号の左になる部分 … 4倍する → \(4x\)、そこから7を引く → \(4x - 7\)。等号の右になる部分 … その数に29を足す → \(x + 29\)。 ③ 「等しくなります」が等号の合図 → \(4x - 7 = x + 29\)。
この問題では、等号の左にも右にも x が入ります。「〜は…と等しい」の「は」の前が左辺、後ろが右辺です。左右のどちらにも文字があってよく、それでも立式の三つの手順は変わりません。
なお、この式はかけ算がからむので、いまはまだ解く手順を習っていません。だから解は自分では求めず、与えられた 12 を代入して確かめます。
確かめ:x = 12 を代入します。
左辺 = 4 × 12 − 7 = 48 − 7 = 41
右辺 = 12 + 29 = 41
左辺 = 右辺 なので x=12 は解
左辺は「12を4倍して48、7を引いて41」、右辺は「12に29を足して41」。どちらも41でそろったので、この式は x=12 で成り立ちます。
次のレッスンへ
数当て問題を、三つの手順で方程式にできるようになりました。次は、代金や長さのように単位のついた場面の文章を方程式にします。数量が増えると頭の中では整理しきれないので、表や線分図で、何と何が等しいのかを見える形にする方法を学びます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。