場面のある文章を方程式にする
このレッスンでできるようになること
- 代金や長さのように単位のある場面を、表や線分図に整理して方程式にすることができる。
- 同じ場面から二通りの式が立つことを知り、それぞれの式を日本語に戻して読むことができる。
- 式の解と問題の答えのちがいが分かり、単位をつけて問われたものに答えることができる。
前のレッスンの確認
このレッスンで使う言葉と約束です。あやしい人はここで思い出してください。
- 等式 … 等号 \(=\) で結ばれた式
- 左辺 … 等号の左側にある式
- 右辺 … 等号の右側にある式
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
- 方程式 … 文字を含む等式で、文字に入れる数によって成り立ったり成り立たなかったりするもの
- 解 … その方程式を成り立たせる、文字の値
- 解く … 解を求めること
- 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
- 文字式の約束 … ×は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/÷は使わず分数の形(\(x \div 3\) は \(\dfrac{x}{3}\))/足し算は省略できない
- 立式の三つの手順 … ①$x$ とおく ②$x$ にした計算を、書かれている順に式にしていく ③等しいところを \(=\) で結ぶ
- 等号は向きを持たない(\(x = 7\) と \(7 = x\) は同じ)
単価×個数がなぜ代金になるのか
前のレッスンでは、数当て問題を方程式にしました。今度は同じやり方を、「1個120円のパン」「全長20mのひも」のように単位のついた場面で使います。単位とは、円・m・分・個のように、数がどんな量を表しているかを示す言葉です。単位がつくと、注意が三つ増えます。数量を整理すること、単位をそろえること、式の解を問題の答えに書き直すことです。
まずは、代金の場面から始めます。単価とは、品物1個あたりの値段です。「1個120円のパン」なら単価は120円です。代金とは、実際に支払う金額です。
「1個120円のパンを \(x\) 個で \(120x\) 円」と、いきなり書いてはいけません。なぜそうなるかを確かめます。
- 1個 … 120円
- 2個 … \(120 + 120 = 240\) で240円
- 3個 … \(120 + 120 + 120 = 360\) で360円
変わっているのは「120円が何個ぶん集まるか」だけです。かけ算は、同じ数がいくつぶん集まるかを短く書く計算でした。だから3個のときの \(120 + 120 + 120\) は \(120 \times 3\) と書けます。
\(x\) 個のときも同じです。120円が \(x\) 個ぶん集まるので、代金は \(120 \times x\) 円。文字式の約束を使って \(120 \times x = 120x\) と書きます。
数量を表に整理する
品物が二つ以上出てくると数量がこんがらがります。列を「品物」「単価」「個数」「代金」とした表に整理します。
1個120円のパンを \(x\) 個と、50円の袋を1枚買って、代金の合計は650円でした。
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| パン | 120円 | \(x\) 個 | \(120x\) 円 |
| 袋 | 50円 | 1枚 | 50円 |
| 合計 | 650円 |
単価と個数は問題文から書き写し、代金の列はその行の「単価×個数」で埋めます。パンの行は \(120 \times x = 120x\) 円、袋の行は \(50 \times 1 = 50\) 円です。
代金の列を縦に見ます。 パンの代金と袋の代金を合わせると、合計の代金になるはずです。
120x + 50 = 650
左辺は「パンと袋の代金を合わせた金額」、右辺は「実際に支払った金額」。同じ金額を二通りに表しているので \(=\) で結べます。
縦にたせるのは代金の列だけです。単価の列をたして \(120 + 50 = 170\) としても、170円は「パン1個と袋1枚を1組にした値段」で、今の合計ではありません。個数の列も、\(x\) 個と1枚では数えているものがちがうのでたせません。同じ種類の量どうしだけがたし算できます。
長さの場面を線分図で整理する
全長20mのひもから \(x\) m 使ったところ、残りが8mになりました。
長さのようにまっすぐつながっている量は、線分図に整理します。線分図とは、量の大きさを帯や線の長さで表した図です。全体20mの帯をかき、使った長さ \(x\) m と残りの8mの二つに分けます(この線分図は、次の節の図の上段にそのまま出てきます)。
帯を全体として見れば20m、二つに分けた部分を合わせて見れば \(x\) と \(8\) の和。同じひもの長さなので \(=\) で結べます。
x + 8 = 20
同じ場面から二通りの式が立つ
この線分図は、ちがう向きからも読めます。「全体の20mから使った長さ \(x\) m を取りのぞくと、残りの8mになる」と読めば \(20 - x = 8\) です。
どちらが正しいのでしょうか。どちらも正しいが答えです。確かめ方は、式を日本語に戻して読むことです。
| 式 | 日本語に戻して読むと | 場面に合うか |
|---|---|---|
| \(x + 8 = 20\) | 使った長さと残りを合わせると、全体の20mになる | 合う |
| \(20 - x = 8\) | 全体の20mから使った長さをひくと、残りの8mになる | 合う |
この場面で使った長さは、全体の20mから残りの8mを取りのぞいた12mです。両方の式に \(x = 12\) を代入します。
左辺 = 12 + 8 = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=12 は解
左辺 = 20 − 12 = 8
右辺 = 8
左辺 = 右辺 なので x=12 は解
同じ数が両方の式を成り立たせます。自分の式が教科書やまわりの人と形がちがっていても、それだけでまちがいではありません。書き直す前に、日本語に戻して読んでみてください。
式の解と、問題の答えはちがう
パンの場面の式は \(120x + 50 = 650\) でした。この式を成り立たせる数は5です。代入して確かめます。
左辺 = 120 × 5 + 50 = 600 + 50 = 650
右辺 = 650
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
\(x = 5\) は式の解であって、問題の答えではありません。問題が聞いているのは「パンを何個買ったか」です。\(x\) はパンの個数を表す数だと決めたので、答えは「パン5個」です。
| 中身 | 書き方 | |
|---|---|---|
| 式の解 | 方程式を成り立たせる文字の値 | \(x = 5\) |
| 問題の答え | 問題が聞いているもの | パンを5個買った |
式を作る前に「\(x\) を何とおくか」を言葉で書いておけば、\(5\) を「5個」に戻せます。
単位はそろえてから式にする
単位のちがう量は、そのままたしたりひけません。やってみます。
家から学校までの道のりは2kmです。家から公園まで \(x\) m 歩き、公園から学校までは500mでした。
全体を「2」のままにすると \(x + 500 = 2\) です。この式を成り立たせる数は \(-498\) で、代入すると \(-498 + 500 = 2\) となり、式としては成り立ちます。けれども道のりが \(-498\) m というのはありえません。式が成り立つのに場面に合わないときは、たいてい単位がそろっていません。
2kmは2000mです。そろえて書けば \(x + 500 = 2000\) となり、成り立たせる数は1500、つまり家から公園までは1500mです。
| そろえたい量 | 関係 |
|---|---|
| 長さ | 1 km = 1000 m、1 m = 100 cm |
| 重さ | 1 kg = 1000 g |
| かさ | 1 L = 1000 mL |
| 時間 | 1 時間 = 60 分、1 分 = 60 秒 |
時間でも同じです。読書を \(x\) 分して30分歩き、合わせて1時間なら \(x + 30 = 60\) と書きます。\(x + 30 = 1\) では、左辺を分で数え、右辺を時間で数えていて、物差しがちがいます。一つの式の中では、全部同じ単位にそろえます。
求めた値を場面に戻して確かめる
数が求まったら場面に戻します。見るところは二つです。
一つ目は負の数になっていないか。パンが \(-1\) 個、道のりが \(-498\) m というものはありません。
二つ目は小数や分数になっていないか。ただし何を数えているかによります。パンの個数や人数が2.5個ならおかしいので見直します。一方、ひもの長さや水の量は2.5mでもかまいません。数えるもの(個数・人数)は整数、量るもの(長さ・重さ・時間)は小数でもよいと考えると迷いません。
たとえば \(120x = 500\) ができたとします。成り立たせる数は割り切れず、パンの個数としておかしくなります。そのときは袋代の入れ忘れや、合計金額の読みちがいを確かめます。
今日の問い
1個120円のパンを何個かと、50円の袋を1枚買ったら、代金は650円でした。この場面は、どうやって方程式にすればよいでしょう。
順にたどります。
- \(x\) を言葉で決める。「パンの個数を \(x\) 個とする」。
- 数量を表か線分図に整理する。今回は品物・単価・個数・代金の表。
- 単位がそろっているか見る。今回はどちらも円。
- 等しい数量を \(=\) で結ぶ。代金の列を縦に見て \(120x + 50 = 650\)。
解が5と分かっても、それは式の解です。答えは「パンを5個買った」と単位をつけて書き、5が個数として自然かを確かめます。
よくある間違い
まちがい1:単価と個数をたしてしまう
1個120円のパンを \(x\) 個買って、代金は720円でした。
- ✗
120 + x = 720 - ○
120x = 720
✗ は「120円と \(x\) 個をたすと720」と読めます。120は円、\(x\) は個で、数えているものがちがうのでたせません。パンが \(x\) 個あるなら、120円が \(x\) 個ぶん集まるのでかけ算です。○ に6を代入すると \(120 \times 6 = 720\) で成り立ちます。
まちがい2:1枚しか買っていない袋にも個数をかけてしまう
1個120円のパンを \(x\) 個と、50円の袋を1枚で650円の場面です。
- ✗
(120 + 50)x = 650 - ○
120x + 50 = 650
✗ はかっこの中を計算すると \(170x = 650\) で、「170円のセットを \(x\) 組買った」という別の場面を表します。袋は1枚しか買っていないので、50円に \(x\) をかけてはいけません。○ に5を代入すると \(120 \times 5 + 50 = 650\) で成り立ちますが、✗ に5を代入すると \(170 \times 5 = 850\) となり650になりません。
まちがい3:単位をそろえずに式にする
家から学校まで2km、家から公園まで \(x\) m、公園から学校まで500mの場面です。
- ✗
x + 500 = 2 - ○
x + 500 = 2000
✗ を成り立たせる数は \(-498\) で、代入すると \(-498 + 500 = 2\) と式は成り立ちますが、道のりが \(-498\) m になり場面に合いません。左辺をmで数えたなら、右辺もmです。
まちがい4:式の解をそのまま問題の答えにする
\(120x + 50 = 650\) の解が5と求まったときの書き方です。
- ✗ 答え:
x = 5 - ○ 答え:パンを5個買った
問題が聞いているのは「パンを何個買ったか」です。\(x = 5\) は式を成り立たせる数を書いただけで、何個なのかが伝わりません。\(x\) をパンの個数とおいたので「個」をつけて答えます。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。
天びんの考え方で、\(x + 3 = 10\) のような足し算と引き算だけでできている方程式なら解けるようになりました。でも \(120x + 50 = 650\) のようにかけ算がからむ方程式は、まだ解く手順を習っていません。だからこのレッスンでは、方程式を立てるところまでを目標にします。数が示されている問題は、その数を代入して確かめましょう。
1. 1冊150円のノートを \(x\) 冊と、1本80円のえんぴつを3本買ったら、代金の合計は840円でした。表のア〜ウをうめ、方程式を作りましょう。
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| ノート | 150円 | \(x\) 冊 | ア |
| えんぴつ | 80円 | 3本 | イ |
| 合計 | ウ |
2. 1本110円のお茶を \(x\) 本と、1個140円のおにぎりを1個買ったら、合計は690円でした。方程式を作り、\(x = 5\) が解かどうかを代入して確かめましょう。
3. 全長15mのリボンから \(x\) m 切り取ったら、残りは6mになりました。線分図をかいて、方程式を作りましょう。
4. あるクラスは全部で30人、男子が \(x\) 人、女子が13人です。この場面を二通りの式で表し、それぞれを日本語に戻して読みましょう。二つとも正しいと言える理由も書きましょう。
5. 単位をそろえてから方程式を作りましょう。
- (1) 家から駅までは1kmです。家から交差点まで \(x\) m 歩き、交差点から駅までは350mでした。
- (2) 宿題を \(x\) 分してから45分休みました。合わせて2時間でした。
6. \(120x + 50 = 650\) で、\(x\) はパンの個数を表しています。解が5と求まりました。
- (1) この問題の答えを、単位をつけて書きましょう。
- (2) \(x = 5\) が解であることを代入して確かめましょう。
- (3) もし解が \(-2\) や 2.5 だったら、なぜ見直しが必要かを説明しましょう。
答えと考え方
1.
代金の列は、その行の「単価×個数」で計算します。
- ア … 150円が \(x\) 冊ぶん集まるので \(150 \times x = 150x\) 円。
- イ … 80円が3本ぶん集まるので \(80 \times 3 = 240\) 円。
- ウ … 問題文どおり840円。
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| ノート | 150円 | \(x\) 冊 | \(150x\) 円 |
| えんぴつ | 80円 | 3本 | 240円 |
| 合計 | 840円 |
代金の列を縦に見ます。ノートとえんぴつの代金を合わせると合計になるので、
150x + 240 = 840
この式を成り立たせる数は4です。
左辺 = 150 × 4 + 240 = 600 + 240 = 840
右辺 = 840
左辺 = 右辺 なので x=4 は解
ノート4冊は自然な数です。
2.
お茶の本数を \(x\) 本とします。
| 品物 | 単価 | 個数 | 代金 |
|---|---|---|---|
| お茶 | 110円 | \(x\) 本 | \(110x\) 円 |
| おにぎり | 140円 | 1個 | 140円 |
| 合計 | 690円 |
- お茶の代金 … 110円が \(x\) 本ぶん集まるので \(110 \times x = 110x\) 円。
- おにぎりの代金 … 1個しか買っていないので \(140 \times 1 = 140\) 円。
- 代金の列を縦に見て \(=\) で結びます。
110x + 140 = 690
左辺 = 110 × 5 + 140 = 550 + 140 = 690
右辺 = 690
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
お茶5本も自然です。
3.
切り取った長さを \(x\) m とします。全体15mの帯を、切り取った \(x\) m と残り6mに分けてかきます。
- 帯の下から見ると、切り取った長さと残りを合わせた長さ。
- 帯の上から見ると、全体の15m。
- 同じリボンの長さなので \(=\) で結べます。
x + 6 = 15
この式を成り立たせる数は9です。
左辺 = 9 + 6 = 15
右辺 = 15
左辺 = 右辺 なので x=9 は解
\(15 - x = 6\) と書いてもかまいません。
左辺 = 15 − 9 = 6
右辺 = 6
左辺 = 右辺 なので x=9 は解
9mは全体15mより短いので、場面に合っています。
4.
男子の人数を \(x\) 人とします。
| 式 | 日本語に戻して読むと |
|---|---|
| \(x + 13 = 30\) | 男子と女子の人数を合わせると、クラス全体の30人になる |
| \(30 - x = 13\) | クラス全体の30人から男子の人数をひくと、女子の13人になる |
二つとも正しいと言えるのは、どちらも場面をそのまま言い表しているからです。日本語に戻したとき問題文と合っていれば、その式でよいのです。
この場面の答えは17人です。
左辺 = 17 + 13 = 30
右辺 = 30
左辺 = 右辺 なので x=17 は解
左辺 = 30 − 17 = 13
右辺 = 13
左辺 = 右辺 なので x=17 は解
同じ数が両方を成り立たせます。17人も自然な数です。
5.
(1) 全体は km、ほかは m です。m にそろえます。1 km = 1000 m なので、全体は1000mです。
x + 350 = 1000
この式を成り立たせる数は650です。
左辺 = 650 + 350 = 1000
右辺 = 1000
左辺 = 右辺 なので x=650 は解
1000mは1kmなので問題文と合っています。650mも自然です。
(2) 宿題と休みは分、合計は時間です。分にそろえます。1 時間 = 60 分なので、2時間は120分です。
x + 45 = 120
この式を成り立たせる数は75です。
左辺 = 75 + 45 = 120
右辺 = 120
左辺 = 右辺 なので x=75 は解
120分は2時間なので問題文と合っています。
6.
(1) 答え … パンを5個買った。
\(x\) はパンの個数を表す数だと決めたので、解の5は「5個」を意味します。問われているのは個数なので「個」をつけて答えます。
(2) \(x\) に5を代入します。かけ算を先に計算します。
左辺 = 120 × 5 + 50 = 600 + 50 = 650
右辺 = 650
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
(3) \(-2\) のときは、パンを \(-2\) 個買うことができないからです。個数は0か正の数にしかなりません。2.5 のときは、パンを2.5個という買い方をしないからです。どちらも式の立て方か読み取りをまちがえていると考えられるので、表に戻って確かめます。なお、量るものなら2.5でもおかしくありません。
次のレッスンへ
これで、単位のついた場面も方程式にできるようになりました。表と線分図で整理し、単位をそろえ、最後に問われたものへ単位をつけて答える、という流れです。
次のレッスンはこのセクションのまとめです。方程式とそうでない式を見分け、この単元で何を学ぶのかを整理します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。