方程式を見分ける/この単元で学ぶこと
このレッスンでできるようになること
- 等号と文字の2つを見て、「文字を含む等式」かどうかを判定できる
- 文字を含む等式の3つのふるまいを、代入して見分けられる
- 「一次」方程式の「一次」が何かを、自分の言葉で説明できる
前のレッスンの確認
このレッスンで使う言葉だけ並べます。ほかは終わりの「セクション1のことば一覧」にあります。
- 等式 … 等号 \(=\) で結ばれた式
- 左辺 … 等号の左側にある式
- 右辺 … 等号の右側にある式
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
- 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
等号と文字を見る、2ステップ
その式が文字を含む等式かどうかは、2つ見れば決まります。
① 等号 \(=\) があるか。 ② 文字があるか。
両方「ある」ならそうです。片方でも「ない」ならちがいます。
\(x > 2\) の \(>\) は不等号(どちらが大きいかを表す記号)で、等号ではありません。等式でなければ、成り立つ・成り立たないの話ができません。
| 式 | ① 等号 | ② 文字 | 文字を含む等式か |
|---|---|---|---|
| \(x + 4\) | ない | ある | ✗ |
| \(2x = 8\) | ある | ある | ○ |
| \(3 + 5 = 8\) | ある | ない | ✗ |
| \(x > 2\) | ない(不等号) | ある | ✗ |
| \(5x - 1 = 9\) | ある | ある | ○ |
| \(x + 1 = x + 1\) | ある | ある | ○ |
| \(x = x + 1\) | ある | ある | ○ |
○の4つはここまで同じ仲間ですが、\(2x = 8\) と \(x = x + 1\) を同じには扱えません。2ステップは入口まで。もう一段あります。
文字を含む等式には、3つのふるまいがある
数を代入したとき起こることは、3種類しかありません。
ふるまい① ある1つの数だけで成り立つ
| xに入れる数 | 左辺 \(2x\) | 右辺 \(8\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 8 | ✗ |
| 1 | 2 | 8 | ✗ |
| 4 | 8 | 8 | ○ |
| 5 | 10 | 8 | ✗ |
成り立たせる数はちょうど1つ、\(x = 4\) だけです。入れる数によって成り立ったり成り立たなかったりする、これが方程式です。
ふるまい② どんな数でも成り立つ
| xに入れる数 | 左辺 \(x + 1\) | 右辺 \(x + 1\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 1 | 1 | ○ |
| 1 | 2 | 2 | ○ |
| 5 | 6 | 6 | ○ |
| −3 | −2 | −2 | ○ |
全部成り立ちます。左辺と右辺に同じ式が書いてあるので当然です。見た目のちがう例も見ます。
| xに入れる数 | 左辺 \(2x\) | 右辺 \(x + x\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | ○ |
| 1 | 2 | 2 | ○ |
| 5 | 10 | 10 | ○ |
\(2x\) は \(x + x\) を短く書いたもので、同じ量を別の書き方で並べただけだからです。
こういう等式は、文字を含む等式ではあるけれど方程式とは呼びません。どの数も成り立たせてしまい、「成り立ったり成り立たなかったり」にあてはまらないからです。
ふるまい③ 成り立つ数がない
| xに入れる数 | 左辺 \(x\) | 右辺 \(x + 1\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 | ✗ |
| 1 | 1 | 2 | ✗ |
| 5 | 5 | 6 | ✗ |
| −3 | −3 | −2 | ✗ |
どれも成り立ちません。「まだ試していない数にあるかも」ということもありません。右辺は左辺に1を足したものなので、必ず左辺より1だけ大きく、そろわないからです。
3つを並べて見る
②と③を「解きなさい」と言われることは、中1ではありません。
「一次」方程式の「一次」とは何のことか
一次 とは、文字が1個ぶんだけかけられているという意味です。
- \(3x\) は \(3 \times x\)。かけられている x は1個ぶん → 一次
- \(x^2\) は \(x \times x\)。x が2個ぶん → 二次(一次ではありません)
つまり 一次方程式 とは、文字がどこも1個ぶんだけかけられている方程式のことです。
| 方程式 | 文字のかけられ方 | 一次か |
|---|---|---|
| \(3x + 5 = 20\) | \(3x\) は x が1個ぶん | ○ 一次 |
| \(2x + x = 12\) | \(2x\) も \(x\) も1個ぶん | ○ 一次 |
| \(x^2 + 1 = 10\) | \(x^2\) は \(x \times x\) で2個ぶん | ✗ 一次ではない |
| \(x \times x = 16\) | 書き方がちがうだけで2個ぶん | ✗ 一次ではない |
見るのは出てくる回数ではなく、1か所で何個ぶんかけられているかです。
この単元で扱うのは一次方程式だけです。\(x^2\) が出てくる二次方程式は中学3年で学びます。
セクション1のことば一覧
迷ったら、いつでもここに戻ってきてください。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 等式 | 等号 = で結ばれた式 |
\(3 + 5 = 8\)、\(2x = 8\) |
| 左辺 | 等号の左側にある式 | \(5x + 1 = 16\) の \(5x + 1\) |
| 右辺 | 等号の右側にある式 | \(5x + 1 = 16\) の \(16\) |
| 両辺 | 左辺と右辺の両方 | 「両辺から3を引く」 |
| 成り立つ | 左辺の値と右辺の値が等しくなること | \(x + 3 = 10\) は x=7 のとき成り立つ |
| 未知数 | まだ分かっていない数を表す文字 | \(2x = 8\) の \(x\) |
| 方程式 | 文字を含む等式で、文字に入れる数によって成り立ったり成り立たなかったりするもの | \(2x = 8\) |
| 解 | その方程式を成り立たせる、文字の値 | \(2x = 8\) の解は \(x = 4\) |
| 解く | 解を求めること | 「この方程式を解きなさい」 |
| 代入 | 式の中の文字を、数に置き換えること | \(2x\) の x に 4 を代入すると \(2 \times 4 = 8\) |
| 一次 | 文字が1個ぶんだけかけられていること | \(3x\) は一次、\(x^2\) は一次ではない |
| 文字式の約束 | ×は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/÷は使わず分数の形/足し算は省略できない | \(2 \times x\) は \(2x\)、\(x \div 3\) は \(\dfrac{x}{3}\) |
| 等号は向きを持たない | 等号は「同じ量である」という宣言で、書く向きで意味は変わらない | \(x = 7\) と \(7 = x\) は同じ |
この単元の地図
セクション1はここで終わりです。次からは実際に解く練習に入ります。
今日の問い
\(2x = 8\)、\(x + 1 = x + 1\)、\(x = x + 1\)。同じように「解きなさい」と言ってよいのでしょうか。
答えは「よくない」です。成り立たせる数は順に 4だけ、どんな数でも、1つもない でした。「解く」は成り立たせる値を求めることなので、①でだけ意味を持ちます。方程式と呼ぶのも①で、これから練習する相手はすべて①の仲間です。
よくある間違い
まちがい1:等号がない式を「解こう」とする
✗ x + 4 にかってに等号をつけて x + 4 = 0 とし、x = −4 と答える
○ x + 4 は等式ではないので、「解く」という話が始まらない
\(x + 4\) は「xより4大きい数」を表しているだけです。書かれていない等号を、かってに足してはいけません。
まちがい2:文字のない等式を方程式だと思う
✗ 3 + 5 = 8 は等号があるから方程式
○ 3 + 5 = 8 は、文字がないただの計算の等式
入れる文字がないので、成り立ったり成り立たなかったりしません。②を飛ばさないでください。
まちがい3:x = x + 1 に無理やり解を答える
✗ x = x + 1 の解は x = 0
左辺 = 0
右辺 = 0 + 1 = 1
左辺 と 右辺 がちがうので x=0 は解ではない
○ x = x + 1 には、成り立たせる数が1つもない
「解がない」も立派な答えです。
まちがい4:文字の出てくる回数で「一次」を決める
✗ 2x + x = 12 は x が2回出てくるから二次
○ 2x + x = 12 は一次(2x も x も、かけられている x は1個ぶん)
✗ x² + 1 = 10 は x が1回だから一次
○ x² + 1 = 10 は一次ではない(x² は x × x で2個ぶん)
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。
- 次のうち、文字を含む等式はどれですか。すべて選び、選ばなかったものは理由も書きなさい。 ① \(x - 6\) ② \(4x = 20\) ③ \(7 - 2 = 5\) ④ \(x < 9\) ⑤ \(3x + 1 = 10\) ⑥ \(x + 8 = 8 + x\)
- \(x + 1 = x + 1\) の x に 0、3、10 を代入し、左辺と右辺の値を表にまとめ、気づいたことを1行で書きなさい。
- \(x = x + 1\) の x に 0、4、−2 を代入して調べ、「まだ試していない数の中に成り立つ数があるかもしれないか」に理由をつけて答えなさい。
- 次のうち一次方程式はどれですか。理由もつけて答えなさい。 (1) \(4x - 1 = 7\) (2) \(x^2 = 9\) (3) \(2x + x = 12\) (4) \(x \times x + 3 = 12\)
- 次の言葉の意味を、自分の言葉で書きなさい。(1)「解く」とは何をすることか (2)「解」と「解く」のちがい (3)「代入」とは何をすることか
- 「ある数を3倍して4を足した数は、その数に10を足した数と等しい」について、(1) ある数を x として方程式で表しなさい。(2) x = 2 と x = 3 のどちらが解ですか。代入して確かめなさい。
答えと考え方
1. 文字を含む等式は ②、⑤、⑥
- ① \(x - 6\) … 等号がないので等式ではありません。
- ③ \(7 - 2 = 5\) … 等号はありますが文字がありません(左辺 \(7 - 2\) は5、右辺は5で、いつでも成り立つ計算の等式)。
- ④ \(x < 9\) … \(<\) は不等号で、等号ではありません。
○の3つをふるまいで分けると、②と⑤は成り立つ数が1つに決まる方程式です。
② 左辺 = 4 × 5 = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
⑤も同じで、x=3 のとき 左辺 \(3 \times 3 + 1 = 10\)、右辺 \(10\)。左辺 = 右辺 なので \(x = 3\) が解です。
⑥はふるまい②です。\(x + 8\) と \(8 + x\) は足す順番がちがうだけの同じ量なので、x=0 なら左辺8・右辺8、x=5 なら左辺13・右辺13。どんな数でも成り立ち、解を1つに決められないので方程式とは呼びません。
2.
| x | 左辺 \(x + 1\) | 右辺 \(x + 1\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 + 1 = 1 | 0 + 1 = 1 | ○ |
| 3 | 3 + 1 = 4 | 3 + 1 = 4 | ○ |
| 10 | 10 + 1 = 11 | 10 + 1 = 11 | ○ |
気づいたこと:入れる数が何であっても成り立つ。 左辺と右辺にまったく同じ式が書いてあり、同じ数を代入すれば必ず同じ値になるからです。
左辺 = −5 + 1 = −4
右辺 = −5 + 1 = −4
左辺 = 右辺 なので x=−5 でも成り立つ
3.
| x | 左辺 \(x\) | 右辺 \(x + 1\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 + 1 = 1 | ✗ |
| 4 | 4 | 4 + 1 = 5 | ✗ |
| −2 | −2 | −2 + 1 = −1 | ✗ |
左辺 = 4
右辺 = 4 + 1 = 5
左辺 と 右辺 がちがうので x=4 は解ではない
成り立つ数はありません。 右辺は左辺と同じ数に1を足したもので、必ず左辺より1だけ大きいからです。実際「右辺 − 左辺」は 1 − 0 = 1、5 − 4 = 1、−1 −(−2) = 1 と、いつも1のまま。差が0にならないので、まだ試していない数の中にもありません。
4. 一次方程式は (1) と (3)
| 式 | かけられている x | 判定 |
|---|---|---|
| (1) \(4x - 1 = 7\) | \(4x\) は1個ぶん | ○ 一次 |
| (2) \(x^2 = 9\) | \(x^2\) は \(x \times x\) で2個ぶん | ✗ |
| (3) \(2x + x = 12\) | \(2x\) も \(x\) も x が1個ぶん | ○ 一次 |
| (4) \(x \times x + 3 = 12\) | \(x \times x\) で2個ぶん | ✗ |
(3)を「xが2回だから二次」とした人は、まちがい4を読み直してください。(4)は \(x^2\) と書き方がちがうだけです。
(1) 左辺 = 4 × 2 − 1 = 8 − 1 = 7
右辺 = 7
左辺 = 右辺 なので x=2 は解
(3) 左辺 = 2 × 4 + 4 = 8 + 4 = 12
右辺 = 12
左辺 = 右辺 なので x=4 は解
5.
- (1) その方程式を成り立たせる文字の値を求めること。\(2x = 8\) なら、左辺と右辺が等しくなるxを見つける作業です。
- (2) 「解」は求めた結果の数、「解く」はその作業。\(2x = 8\) を解くと、解 \(x = 4\) が出てきます。
- (3) 式の中の文字を、数に置き換えること。\(2x\) の x に 4 を代入すると \(2 \times 4 = 8\) です。
6.
(1) ある数を x とすると、3倍して4を足した数は \(3x + 4\)、その数に10を足した数は \(x + 10\)。「〜は…と等しい」が等号なので、
3x + 4 = x + 10
(2)
左辺 = 3 × 2 + 4 = 6 + 4 = 10
右辺 = 2 + 10 = 12
左辺 と 右辺 がちがうので x=2 は解ではない
左辺 = 3 × 3 + 4 = 9 + 4 = 13
右辺 = 3 + 10 = 13
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
もとの日本語でも確かめられます。「3を3倍して4を足す」と13、「3に10を足す」と13。同じ数になりました。
次のレッスンへ
方程式が何で、解が何かは分かりました。\(x + 3 = 10\) のように足し算と引き算だけでできている方程式なら、天びんの考え方でもう解けます。でも \(4x - 7 = x + 29\) のようにかけ算がからみ、両辺に文字がある式には、まだ手が出ません。次のセクションから、その解き方を順に身につけていきます。
まずは「等式の性質」です。天びんの「両辺に同じことをしてよい」というルールを、かけ算・割り算まで含めて確かめます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。