両辺を同じ数で割る/0で割れないのはなぜか
このレッスンでできるようになること
- 等式の性質④を、自分の言葉と式で説明できる
- 両辺を同じ数で割って、\(x\) にかけられている数を外せる
- 0で割ることだけがなぜできないのかを、理由をつけて説明できる
前のレッスンの確認
- 両辺 … 左辺と右辺の両方
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
- 解 … その方程式を成り立たせる、文字の値
- 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
- 等式の性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)
前のレッスンの最後に、ひとつ気になる話が残っていました。両辺に0をかけると、両辺とも0になって \(x\) が分からなくなる、という話です。今回は割り算を扱いますが、ここでも0だけが特別なあつかいになります。しかも、かけるときの0とは理由がちがいます。そこまで見ていきます。
等分しても、つり合ったまま
天びんに戻ります。左の皿と右の皿がつり合っています。ここで、こんな操作をします。
両方の皿の中身を、同じ数の山に等分して、1山ずつ残す。
左の皿の中身を3つの山に等分して、そのうち1山だけを残す。右の皿の中身も3つの山に等分して、同じように1山だけを残す。どちらも元の \(\dfrac{1}{3}\) になりました。
元が同じ重さで、同じ数の山に分けて、同じ数だけ残したのですから、残った1山どうしもやはり同じ重さです。さおは水平のままです。
これが割り算です。両辺を3で割る、というのは「両方の皿の中身を3つの山に等分して、1山だけにする」ことです。
等式の性質④(両辺を同じ数で割る)
\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
言葉にすると「等しい2つの量を同じ数で割っても、等しいままである。ただし0で割ることはできない」ということです。
性質①②③には、こういうただし書きはありませんでした。足すのも、引くのも、かけるのも、どんな数でもできます。割り算のときだけ「0はだめ」という条件がつきます。 なぜこの条件が必要なのかは、このレッスンの後半でじっくり見ます。
まず、数だけの等式で確かめておきます。\(12 = 12\) は当たり前に成り立っている等式です。この両辺を4で割ってみます。
12 = 12
12 ÷ 4 = 12 ÷ 4 ← 両辺を4で割った(性質④)
3 = 3
左辺も右辺も3になりました。等式は保たれています。もちろん6で割れば \(2 = 2\)、12で割れば \(1 = 1\) で、やはり成り立ちます。同じ数で割るかぎり、等式はくずれません。
\(x\) にかけられている数で割る
いよいよ方程式です。\(3x = 12\) を解きます。
\(3x\) は「\(x\) が3つ分」、つまり \(x\) に3がかけられている形です。\(x\) だけを残したいので、この3を外します。かけられているものを外すには、割ります。
3x = 12
3x ÷ 3 = 12 ÷ 3 ← 両辺を3で割った(性質④)
x = 4
確かめ
左辺 = 3 × 4 = 12
右辺 = 12
左辺 = 右辺 なので x=4 は解
天びんでいえば、左の皿には \(x\) が3つ、右の皿には12が乗っています。両方を3つの山に等分して1山ずつ残すと、左には \(x\) が1つ、右には4が残ります。つまり \(x = 4\) です。
ここで感じてほしいのは、\(x\) にかけられている数で両辺を割ればよい、ということだけです。\(3x\) なら3で、\(5x\) なら5で割る。いまはそれで十分です。
もう1問やってみます。\(5x = 35\) です。\(x\) にかけられているのは5なので、両辺を5で割ります。
5x = 35
5x ÷ 5 = 35 ÷ 5 ← 両辺を5で割った(性質④)
x = 7
確かめ
左辺 = 5 × 7 = 35
右辺 = 35
左辺 = 右辺 なので x=7 は解
0で割ることだけが、なぜできないのか
後回しにしていた条件です。なぜ0だけがだめなのでしょうか。
「0で割る計算そのものが決まっていないから」という言い方を聞くことがあります。でもこれは同じことを言いかえただけで、理由になっていません。どうして決められないのかを、順に見ます。
わり算は、かけ算に戻して考えられる
出発点はこれです。
\(6 \div 3 = 2\) なのは、\(2 \times 3 = 6\) だからである。
わり算の答えとは、「その数に、割る数をかけると、もとの数に戻る数」のことです。\(20 \div 4 = 5\) なのも、\(5 \times 4 = 20\) だからです。わり算は、いつでもかけ算に戻して確かめられます。
\(6 \div 0\) を考える
同じやり方で \(6 \div 0\) を考えます。答えを \(\square\) とおくと、次が成り立たなければなりません。
\(\square \times 0 = 6\)
ところが、どんな数も0倍すれば0になります。\(1 \times 0 = 0\)、\(7 \times 0 = 0\)、\(100 \times 0 = 0\)。何を入れても答えは0にしかならず、\(6\) になる \(\square\) はひとつも存在しません。
答えになれる数が1つもないのですから、\(6 \div 0\) は答えを決められません。
\(0 \div 0\) も見ておく
「割られる数のほうが0ならよいのでは」と思うかもしれません。\(0 \div 0\) の答えを \(\square\) とおくと、今度はこうです。
\(\square \times 0 = 0\)
これは \(\square\) が1でも、5でも、100でも成り立ってしまいます。さっきとは反対に、答えの候補が多すぎて、1つに決まりません。
どちらにしても答えが決まらない
\(6 \div 0\) は答えが1つもなく、\(0 \div 0\) は答えが1つに決まらない。どちらにしても、答えが決まりません。そこで数学では、0で割る計算は使わないと決めてあります。性質④に「\(C\) が0でなければ」という条件がついているのは、このためです。
天びんでいえば、「中身を0個の山に分ける」という操作にあたります。0個の山に分ける作業は、やろうとしても手のつけようがありません。やりたくてもできない、それが割り算の0です。
かけるときの0と、割るときの0はちがう
前のレッスンで、両辺に0をかける話が出ました。並べて比べます。
\(x = 4\) という等式の両辺に0をかけると、こうなります。
x = 4
x × 0 = 4 × 0 ← 両辺に0をかけた(性質③)
0 = 0
この \(0 = 0\) という式は、まちがってはいません。左辺も右辺も0で、ちゃんと成り立っています。ただ、\(x\) がどこかへ消えてしまい、\(x\) が4だという手がかりが残っていません。
いっぽう、両辺を0で割ろうとすると、\(\dfrac{x}{0}\) も \(\dfrac{4}{0}\) も答えが決まらないので、次の行を書くことすらできません。
| 両辺に0をかける | 両辺を0で割る | |
|---|---|---|
| その操作はできるか | できる | できない |
| 書いた結果 | \(0 = 0\) になる | 式が書けない |
| 何が問題か | 等式は成り立つが、\(x\) の手がかりが消える | 答えが決まらず、操作そのものが認められない |
かけるときの0は「できるけれど、意味がなくなる」。割るときの0は「そもそもできない」。 この2つは別のことです。混ぜないでください。
今日の問い
\(3x = 12\) を解くとき、両辺を3で割りました。では、両辺を4で割ってはいけないのでしょうか。
やってみます。4は0ではないので、性質④は使えます。
3x = 12
3x ÷ 4 = 12 ÷ 4 ← 両辺を4で割った(性質④)
右辺は \(12 \div 4 = 3\) になります。左辺は \(\dfrac{3x}{4}\) です。\(x\) は4なので、左辺の値は \(3 \times 4 \div 4 = 3\)。等式としては、ちゃんと成り立っています。 つまり、この操作はまちがいではありません。
ではなぜ3で割るのでしょうか。目的が「\(x\) だけを残すこと」だからです。4で割った左辺は \(\dfrac{3x}{4}\) で、\(x\) のまわりに数が残ったままで、一歩も近づいていません。3で割ったときだけ、左辺がちょうど \(x\) ひとつになります。
0でない数ならどれで割っても等式はくずれない。けれど、\(x\) だけを残せるのは、\(x\) にかけられている数で割ったときだけ。 使ってよい操作はたくさんあって、その中から目的に合うものを選ぶ、ということです。
よくある間違い
まちがい1:片方の辺だけを割る
✗ 6x = 24
✗ x = 24
左辺の6だけを外して、右辺はそのままにしています。天びんでいえば、左の皿だけ3つの山に分けて1山にし、右の皿はさわっていない状態です。当然、傾きます。
○ 6x = 24
○ 6x ÷ 6 = 24 ÷ 6
○ x = 4
誤答の \(x = 24\) を元の式に入れると、左辺は \(6 \times 24 = 144\) で、右辺の24と合いません。片方だけ軽くしてはいけません。
まちがい2:かけられている数を、引いて外そうとする
✗ 3x = 12
✗ 3x − 3 = 12 − 3
✗ x = 9
両辺から同じ3を引いているので、性質②の使い方としては正しく見えます。でも、左辺は \(x\) になりません。 \(3x\) は「\(x\) が3つ分」であって、「\(x\) に3を足したもの」ではないからです。3つ分から3を引いても、1つ分にはなりません。
かけられているものは、割って外します。
○ 3x = 12
○ 3x ÷ 3 = 12 ÷ 3
○ x = 4
誤答の \(x = 9\) を入れると左辺は \(3 \times 9 = 27\) となり、右辺の12と合いません。
まちがい3:両辺を、ちがう数で割る
✗ 8x = 24
✗ 8x ÷ 8 = 24 ÷ 4
✗ x = 6
左は8で、右は4で割っています。どちらもわり算ですが、数がそろっていません。天びんでは、左を8つの山に分けて1山、右を4つの山に分けて1山にしたことになります。残る重さがちがうので傾きます。
○ 8x = 24
○ 8x ÷ 8 = 24 ÷ 8
○ x = 3
誤答の \(x = 6\) では左辺が \(8 \times 6 = 48\) となり、右辺の24と合いません。同じ数で、同じ操作を、両方に。
まちがい4:0で割ろうとする
✗ 5x = 20
✗ 5x ÷ 0 = 20 ÷ 0
「両辺に同じことをすればよいのだから、0で割ってもよいはずだ」と考えた例です。たしかに両辺で同じ0を使っています。でも \(20 \div 0\) は答えが決まらないので、右辺に書く数がありません。書けない以上、この行はそもそも存在できません。
性質④の「\(C\) が0でなければ」は飾りではなく、使ってよい数の範囲を決めている条件です。
○ 5x = 20
○ 5x ÷ 5 = 20 ÷ 5
○ x = 4
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。両辺に何をしたのかを、必ず式に書き残すこと。
等式の性質④を、\(A\)、\(B\)、\(C\) を使った式で書きなさい。\(C\) につく条件も書くこと。
\(4x = 20\) を解きなさい。
\(7x = 42\) を解きなさい。
\(6 \div 0\) は計算できません。その理由を、かけ算に戻して説明しなさい。
次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。正しく解き直しなさい。
9x = 36
9x ÷ 9 = 36
x = 36
等式 \(x = 6\) について、次の2つを比べなさい。
- 両辺に0をかけると、何が起きますか。
- 両辺を0で割ろうとすると、何が起きますか。
2つのちがいを、言葉で説明しなさい。
答えと考え方
1.
\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)
\(C\) につく条件は「\(C\) が0でないこと」です。言葉でいえば「等しい2つの量を同じ数で割っても、等しいままである。ただし0で割ることはできない」となります。
2. \(x\) にかけられているのは4なので、両辺を4で割ります(性質④)。
4x = 20
4x ÷ 4 = 20 ÷ 4 ← 両辺を4で割った
x = 5
左辺 = 4 × 5 = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
3. \(x\) にかけられているのは7なので、両辺を7で割ります(性質④)。
7x = 42
7x ÷ 7 = 42 ÷ 7 ← 両辺を7で割った
x = 6
左辺 = 7 × 6 = 42
右辺 = 42
左辺 = 右辺 なので x=6 は解
4. わり算はかけ算に戻して考えられます。\(6 \div 3 = 2\) なのは \(2 \times 3 = 6\) だからです。
そこで \(6 \div 0\) の答えを \(\square\) とおくと、\(\square \times 0 = 6\) が成り立たなければなりません。ところがどんな数も0倍すれば0なので、\(6\) になる \(\square\) は存在しません。答えになれる数が1つもないので、\(6 \div 0\) は答えを決められません。
(ついでに \(0 \div 0\) は、\(\square \times 0 = 0\) がどんな \(\square\) でも成り立ってしまうため、今度は答えが1つに決まりません。どちらにしても決まらないので、0で割る計算は使わないと決めてあります。)
5. 2行目から違います。
左辺は9で割っているのに、右辺は割らずに36のままです。片方の辺だけを割っています。 両辺に同じ操作をしなければなりません。
○ 9x = 36
○ 9x ÷ 9 = 36 ÷ 9 ← 両辺を9で割った
○ x = 4
左辺 = 9 × 4 = 36
右辺 = 36
左辺 = 右辺 なので x=4 は解
誤答の \(x = 36\) を元の式に入れると、左辺は \(9 \times 36 = 324\) で、右辺の36と合いません。ここで気づけます。
6.
両辺に0をかけたとき:
x = 6
x × 0 = 6 × 0 ← 両辺に0をかけた(性質③)
0 = 0
\(0 = 0\) という正しい等式ができます。操作そのものはできます。ただし \(x\) が消えてしまい、\(x\) が6だという手がかりは残りません。
両辺を0で割ろうとしたとき:\(\dfrac{x}{0}\) も \(\dfrac{6}{0}\) も答えが決まらないので、次の行を書くことができません。操作そのものができません。
ちがい:0をかけるのは「できるけれど、意味がなくなる」。0で割るのは「そもそもできない」。前者は結果が役に立たないだけ、後者は操作が認められていない、という点がちがいます。
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これで、足す・引く・かける・割るの4つがそろいました。\(3x = 12\) で「\(x\) にかけられている数」と呼んできた3には、じつは名前がついています。次のレッスンでその名前を決めて、かけ算の形の方程式をひとまとめに解けるようにします。割り切れないときや、\(x\) にマイナスの数がかけられているときも、そこで扱います。
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