LESSON 01

等式の性質

両辺を同じ数で割る/0で割れないのはなぜか

両方の皿の中身を同じ数の山に等分しても、つり合いは保たれる。これを等式の性質④として確定させ、あわせて0で割ることだけがなぜ許されないのかを納得できる形で扱う。

両辺を同じ数で割る/0で割れないのはなぜか

このレッスンでできるようになること

  • 等式の性質④を、自分の言葉と式で説明できる
  • 両辺を同じ数で割って、\(x\) にかけられている数を外せる
  • 0で割ることだけがなぜできないのかを、理由をつけて説明できる

前のレッスンの確認

  • 両辺 … 左辺と右辺の両方
  • 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
  • … その方程式を成り立たせる、文字の値
  • 代入 … 式の中の文字を、数に置き換えること
  • 等式の性質③\(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)

前のレッスンの最後に、ひとつ気になる話が残っていました。両辺に0をかけると、両辺とも0になって \(x\) が分からなくなる、という話です。今回は割り算を扱いますが、ここでも0だけが特別なあつかいになります。しかも、かけるときの0とは理由がちがいます。そこまで見ていきます。

等分しても、つり合ったまま

天びんに戻ります。左の皿と右の皿がつり合っています。ここで、こんな操作をします。

両方の皿の中身を、同じ数の山に等分して、1山ずつ残す

左の皿の中身を3つの山に等分して、そのうち1山だけを残す。右の皿の中身も3つの山に等分して、同じように1山だけを残す。どちらも元の \(\dfrac{1}{3}\) になりました。

元が同じ重さで、同じ数の山に分けて、同じ数だけ残したのですから、残った1山どうしもやはり同じ重さです。さおは水平のままです。

両方の皿の中身を3等分して1山だけ残した天びん 上の天びんは左右の皿にそれぞれ3つの山が乗ってつり合っている。下の天びんは両方の皿から2山ずつ取り除いて1山だけ残した状態で、さおは水平のままつり合っている。 両方の皿の中身を3つの山に等分する 左は3つの山 右も3つの山 1山だけ残す 左は1山 右も1山 どちらも元の3分の1 → 水平のまま

これが割り算です。両辺を3で割る、というのは「両方の皿の中身を3つの山に等分して、1山だけにする」ことです。

等式の性質④(両辺を同じ数で割る)

\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)

言葉にすると「等しい2つの量を同じ数で割っても、等しいままである。ただし0で割ることはできない」ということです。

性質①②③には、こういうただし書きはありませんでした。足すのも、引くのも、かけるのも、どんな数でもできます。割り算のときだけ「0はだめ」という条件がつきます。 なぜこの条件が必要なのかは、このレッスンの後半でじっくり見ます。

まず、数だけの等式で確かめておきます。\(12 = 12\) は当たり前に成り立っている等式です。この両辺を4で割ってみます。

12 = 12
12 ÷ 4 = 12 ÷ 4      ← 両辺を4で割った(性質④)
     3 = 3

左辺も右辺も3になりました。等式は保たれています。もちろん6で割れば \(2 = 2\)、12で割れば \(1 = 1\) で、やはり成り立ちます。同じ数で割るかぎり、等式はくずれません。

\(x\) にかけられている数で割る

いよいよ方程式です。\(3x = 12\) を解きます。

\(3x\) は「\(x\) が3つ分」、つまり \(x\) に3がかけられている形です。\(x\) だけを残したいので、この3を外します。かけられているものを外すには、割ります

3x = 12
3x ÷ 3 = 12 ÷ 3      ← 両辺を3で割った(性質④)
     x = 4

確かめ

左辺 = 3 × 4 = 12
右辺 = 12
左辺 = 右辺 なので x=4 は解

天びんでいえば、左の皿には \(x\) が3つ、右の皿には12が乗っています。両方を3つの山に等分して1山ずつ残すと、左には \(x\) が1つ、右には4が残ります。つまり \(x = 4\) です。

ここで感じてほしいのは、\(x\) にかけられている数で両辺を割ればよい、ということだけです。\(3x\) なら3で、\(5x\) なら5で割る。いまはそれで十分です。

もう1問やってみます。\(5x = 35\) です。\(x\) にかけられているのは5なので、両辺を5で割ります。

5x = 35
5x ÷ 5 = 35 ÷ 5      ← 両辺を5で割った(性質④)
     x = 7

確かめ

左辺 = 5 × 7 = 35
右辺 = 35
左辺 = 右辺 なので x=7 は解

0で割ることだけが、なぜできないのか

後回しにしていた条件です。なぜ0だけがだめなのでしょうか。

「0で割る計算そのものが決まっていないから」という言い方を聞くことがあります。でもこれは同じことを言いかえただけで、理由になっていません。どうして決められないのかを、順に見ます。

わり算は、かけ算に戻して考えられる

出発点はこれです。

\(6 \div 3 = 2\) なのは、\(2 \times 3 = 6\) だからである。

わり算の答えとは、「その数に、割る数をかけると、もとの数に戻る数」のことです。\(20 \div 4 = 5\) なのも、\(5 \times 4 = 20\) だからです。わり算は、いつでもかけ算に戻して確かめられます。

\(6 \div 0\) を考える

同じやり方で \(6 \div 0\) を考えます。答えを \(\square\) とおくと、次が成り立たなければなりません。

\(\square \times 0 = 6\)

ところが、どんな数も0倍すれば0になります。\(1 \times 0 = 0\)\(7 \times 0 = 0\)\(100 \times 0 = 0\)。何を入れても答えは0にしかならず、\(6\) になる \(\square\)ひとつも存在しません

答えになれる数が1つもないのですから、\(6 \div 0\) は答えを決められません。

\(0 \div 0\) も見ておく

「割られる数のほうが0ならよいのでは」と思うかもしれません。\(0 \div 0\) の答えを \(\square\) とおくと、今度はこうです。

\(\square \times 0 = 0\)

これは \(\square\) が1でも、5でも、100でも成り立ってしまいます。さっきとは反対に、答えの候補が多すぎて、1つに決まりません

どちらにしても答えが決まらない

\(6 \div 0\) は答えが1つもなく\(0 \div 0\) は答えが1つに決まらない。どちらにしても、答えが決まりません。そこで数学では、0で割る計算は使わないと決めてあります。性質④に「\(C\) が0でなければ」という条件がついているのは、このためです。

天びんでいえば、「中身を0個の山に分ける」という操作にあたります。0個の山に分ける作業は、やろうとしても手のつけようがありません。やりたくてもできない、それが割り算の0です。

かけるときの0と、割るときの0はちがう

前のレッスンで、両辺に0をかける話が出ました。並べて比べます。

\(x = 4\) という等式の両辺に0をかけると、こうなります。

x = 4
x × 0 = 4 × 0      ← 両辺に0をかけた(性質③)
    0 = 0

この \(0 = 0\) という式は、まちがってはいません。左辺も右辺も0で、ちゃんと成り立っています。ただ、\(x\) がどこかへ消えてしまい、\(x\) が4だという手がかりが残っていません。

いっぽう、両辺を0で割ろうとすると、\(\dfrac{x}{0}\)\(\dfrac{4}{0}\) も答えが決まらないので、次の行を書くことすらできません

両辺に0をかける 両辺を0で割る
その操作はできるか できる できない
書いた結果 \(0 = 0\) になる 式が書けない
何が問題か 等式は成り立つが、\(x\) の手がかりが消える 答えが決まらず、操作そのものが認められない

かけるときの0は「できるけれど、意味がなくなる」。割るときの0は「そもそもできない」。 この2つは別のことです。混ぜないでください。

今日の問い

\(3x = 12\) を解くとき、両辺を3で割りました。では、両辺を4で割ってはいけないのでしょうか。

やってみます。4は0ではないので、性質④は使えます。

3x = 12
3x ÷ 4 = 12 ÷ 4      ← 両辺を4で割った(性質④)

右辺は \(12 \div 4 = 3\) になります。左辺は \(\dfrac{3x}{4}\) です。\(x\) は4なので、左辺の値は \(3 \times 4 \div 4 = 3\)等式としては、ちゃんと成り立っています。 つまり、この操作はまちがいではありません。

ではなぜ3で割るのでしょうか。目的が「\(x\) だけを残すこと」だからです。4で割った左辺は \(\dfrac{3x}{4}\) で、\(x\) のまわりに数が残ったままで、一歩も近づいていません。3で割ったときだけ、左辺がちょうど \(x\) ひとつになります。

0でない数ならどれで割っても等式はくずれない。けれど、\(x\) だけを残せるのは、\(x\) にかけられている数で割ったときだけ。 使ってよい操作はたくさんあって、その中から目的に合うものを選ぶ、ということです。

よくある間違い

まちがい1:片方の辺だけを割る

✗ 6x = 24
✗  x = 24

左辺の6だけを外して、右辺はそのままにしています。天びんでいえば、左の皿だけ3つの山に分けて1山にし、右の皿はさわっていない状態です。当然、傾きます。

○ 6x = 24
○ 6x ÷ 6 = 24 ÷ 6
○      x = 4

誤答の \(x = 24\) を元の式に入れると、左辺は \(6 \times 24 = 144\) で、右辺の24と合いません。片方だけ軽くしてはいけません。

まちがい2:かけられている数を、引いて外そうとする

✗ 3x = 12
✗ 3x − 3 = 12 − 3
✗      x = 9

両辺から同じ3を引いているので、性質②の使い方としては正しく見えます。でも、左辺は \(x\) になりません。 \(3x\) は「\(x\) が3つ分」であって、「\(x\) に3を足したもの」ではないからです。3つ分から3を引いても、1つ分にはなりません。

かけられているものは、割って外します。

○ 3x = 12
○ 3x ÷ 3 = 12 ÷ 3
○      x = 4

誤答の \(x = 9\) を入れると左辺は \(3 \times 9 = 27\) となり、右辺の12と合いません。

まちがい3:両辺を、ちがう数で割る

✗ 8x = 24
✗ 8x ÷ 8 = 24 ÷ 4
✗      x = 6

左は8で、右は4で割っています。どちらもわり算ですが、数がそろっていません。天びんでは、左を8つの山に分けて1山、右を4つの山に分けて1山にしたことになります。残る重さがちがうので傾きます。

○ 8x = 24
○ 8x ÷ 8 = 24 ÷ 8
○      x = 3

誤答の \(x = 6\) では左辺が \(8 \times 6 = 48\) となり、右辺の24と合いません。同じ数で、同じ操作を、両方に。

まちがい4:0で割ろうとする

✗ 5x = 20
✗ 5x ÷ 0 = 20 ÷ 0

「両辺に同じことをすればよいのだから、0で割ってもよいはずだ」と考えた例です。たしかに両辺で同じ0を使っています。でも \(20 \div 0\) は答えが決まらないので、右辺に書く数がありません。書けない以上、この行はそもそも存在できません。

性質④の「\(C\) が0でなければ」は飾りではなく、使ってよい数の範囲を決めている条件です。

○ 5x = 20
○ 5x ÷ 5 = 20 ÷ 5
○      x = 4

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。両辺に何をしたのかを、必ず式に書き残すこと。

  1. 等式の性質④を、\(A\)\(B\)\(C\) を使った式で書きなさい。\(C\) につく条件も書くこと。

  2. \(4x = 20\) を解きなさい。

  3. \(7x = 42\) を解きなさい。

  4. \(6 \div 0\) は計算できません。その理由を、かけ算に戻して説明しなさい。

  5. 次の変形はまちがっています。どの行から違いますか。正しく解き直しなさい。

9x = 36
9x ÷ 9 = 36
     x = 36
  1. 等式 \(x = 6\) について、次の2つを比べなさい。

    • 両辺に0をかけると、何が起きますか。
    • 両辺を0で割ろうとすると、何が起きますか。

    2つのちがいを、言葉で説明しなさい。

答えと考え方

1.

\(A = B\) のとき、\(C\) が0でなければ \(\dfrac{A}{C} = \dfrac{B}{C}\)

\(C\) につく条件は「\(C\) が0でないこと」です。言葉でいえば「等しい2つの量を同じ数で割っても、等しいままである。ただし0で割ることはできない」となります。

2. \(x\) にかけられているのは4なので、両辺を4で割ります(性質④)。

4x = 20
4x ÷ 4 = 20 ÷ 4      ← 両辺を4で割った
     x = 5
左辺 = 4 × 5 = 20
右辺 = 20
左辺 = 右辺 なので x=5 は解

3. \(x\) にかけられているのは7なので、両辺を7で割ります(性質④)。

7x = 42
7x ÷ 7 = 42 ÷ 7      ← 両辺を7で割った
     x = 6
左辺 = 7 × 6 = 42
右辺 = 42
左辺 = 右辺 なので x=6 は解

4. わり算はかけ算に戻して考えられます。\(6 \div 3 = 2\) なのは \(2 \times 3 = 6\) だからです。

そこで \(6 \div 0\) の答えを \(\square\) とおくと、\(\square \times 0 = 6\) が成り立たなければなりません。ところがどんな数も0倍すれば0なので、\(6\) になる \(\square\) は存在しません。答えになれる数が1つもないので、\(6 \div 0\) は答えを決められません。

(ついでに \(0 \div 0\) は、\(\square \times 0 = 0\) がどんな \(\square\) でも成り立ってしまうため、今度は答えが1つに決まりません。どちらにしても決まらないので、0で割る計算は使わないと決めてあります。)

5. 2行目から違います。

左辺は9で割っているのに、右辺は割らずに36のままです。片方の辺だけを割っています。 両辺に同じ操作をしなければなりません。

○ 9x = 36
○ 9x ÷ 9 = 36 ÷ 9      ← 両辺を9で割った
○      x = 4
左辺 = 9 × 4 = 36
右辺 = 36
左辺 = 右辺 なので x=4 は解

誤答の \(x = 36\) を元の式に入れると、左辺は \(9 \times 36 = 324\) で、右辺の36と合いません。ここで気づけます。

6.

両辺に0をかけたとき:

x = 6
x × 0 = 6 × 0      ← 両辺に0をかけた(性質③)
    0 = 0

\(0 = 0\) という正しい等式ができます。操作そのものはできます。ただし \(x\) が消えてしまい、\(x\) が6だという手がかりは残りません。

両辺を0で割ろうとしたとき:\(\dfrac{x}{0}\)\(\dfrac{6}{0}\) も答えが決まらないので、次の行を書くことができません。操作そのものができません。

ちがい:0をかけるのは「できるけれど、意味がなくなる」。0で割るのは「そもそもできない」。前者は結果が役に立たないだけ、後者は操作が認められていない、という点がちがいます。

次のレッスンへ

これで、足す・引く・かける・割るの4つがそろいました。\(3x = 12\) で「\(x\) にかけられている数」と呼んできた3には、じつは名前がついています。次のレッスンでその名前を決めて、かけ算の形の方程式をひとまとめに解けるようにします。割り切れないときや、\(x\) にマイナスの数がかけられているときも、そこで扱います。

次のレッスンへ 係数を知る/かけ算の方程式を解く →

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UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:両辺を同じ数で割る/0で割れないのはなぜか

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    等式の性質④を、条件まで含めて正しく表しているのはどれですか。
  2. 設問 1
    $6 \div 0$ の答えを決められないのはなぜですか。
  3. 設問 2
    $9x = 45$ を解きなさい。
  4. 設問 3
    等式 $x = 8$ の両辺に $0$ をかけた場合と、両辺を $0$ で割ろうとした場合について、正しい説明の組み合わせはどれですか。
  5. 設問 4
    ある人が $2x = 14$ を次のように解きました。$2x - 2 = 14 - 2$ と書き、$x = 12$ としています。この解き方の問題点はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。