LESSON 01

小数・分数を含む方程式

最小公倍数を見つける

分母をなくすために必要な、最小公倍数の見つけ方と分数のかけ算を確かめる。ここが曖昧なままだと次のレッスンで必ず止まるので、道具を先にそろえておく。

最小公倍数を見つける

このレッスンでできるようになること

  • 倍数を書き並べて、2つや3つの数の最小公倍数を自分で求められる
  • 分母をなくすために、両辺に何をかければよいかを自分で決められる
  • \(6 \times \dfrac{x}{3}\) のような、整数と分数のかけ算を正しく計算できる

前のレッスンの確認

  • … 式を \(+\)\(-\) で区切った、ひとかたまりのこと(符号は項に含まれる)
  • 係数 … 文字にかけられている数のこと
  • 分配法則\(a(b + c) = ab + ac\)
  • 等式の性質③ … \(A = B\) のとき、\(A \times C = B \times C\)

前のレッスンで、小数の方程式を両辺10倍・100倍して整数に直す方法を学びました。根拠は等式の性質③、すべての項にかかるのは分配法則の結果です。

このレッスンは、同じことを分数でやるための準備です。ただし分数では、10倍・100倍のように「かける数がひと目で決まる」わけではありません。何倍すればよいかを自分で決める必要があります。今日そろえるのは、その決め方と、決めたあとに必要になるかけ算の2つです。方程式は解きません。

何倍すればよいかは、すぐには決まらない

次の方程式を見てください。

\(\dfrac{x}{3} + \dfrac{x}{2} = 5\)

分母の \(3\)\(2\) さえ消えれば、あとはこれまでどおりに解けます。では両辺を何倍すればよいでしょうか。思いつく数を試してみます。

両辺に \(3\) をかけた場合

3 × (x/3) + 3 × (x/2) = 3 × 5
        x + 3 × (x/2) = 15

左の項の分母 \(3\) は消えました。ところが右の項には分母 \(2\) が残っています。

両辺に \(2\) をかけた場合

2 × (x/3) + 2 × (x/2) = 2 × 5
        2 × (x/3) + x = 10

今度は逆です。分母 \(2\) は消えましたが、分母 \(3\) が残りました。

片方の分母だけを見て数を決めると、もう片方が必ず残ります。ほしいのは \(3\) でも \(2\) でも割り切れる数です。そういう数には名前がついています。

倍数・公倍数・最小公倍数

倍数 … その数を1倍、2倍、3倍…した数 公倍数 … 2つ以上の数に共通する倍数 最小公倍数 … 公倍数のうちいちばん小さいもの

\(3\) の倍数は \(3\)\(6\)\(9\)\(12\)\(15\)\(18\)、… と続きます。\(2\) の倍数は \(2\)\(4\)\(6\)\(8\)\(10\)\(12\)、… です。

このうち両方に出てくる数が公倍数で、\(6\)\(12\)\(18\)、… がそれにあたります。いちばん小さいものは \(6\)。これが \(3\)\(2\) の最小公倍数です。

最小公倍数の見つけ方

やり方は単純です。それぞれの倍数を書き並べて、両方に出てくる数のうちいちばん小さいものを選びます。

倍数を並べて最小公倍数を見つける図 1から12までの数を上下2段に並べ、上の段では3の倍数に丸をつけ、下の段では2の倍数に丸をつけている。両方に丸がついた数のうち、いちばん小さいのは6であることを、たての四角で囲んで示している。 3の倍数 2の倍数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 両方に丸がついた数のうち いちばん小さいのは 6

書き出すとこうなります。

3の倍数 … 3, 6, 9, 12, 15, 18, …
2の倍数 … 2, 4, 6, 8, 10, 12, …
両方にある数(公倍数) … 6, 12, 18, …
いちばん小さいもの(最小公倍数) … 6

そこで \(\dfrac{x}{3} + \dfrac{x}{2} = 5\) の両辺には \(6\) をかけます。

6 × (x/3) + 6 × (x/2) = 6 × 5
              2x + 3x = 30

両方の分母が消えました。この先を解くのは次のレッスンです。

早く見つけるコツ

毎回すべて書き並べなくても済む方法があります。大きいほうの数の倍数を順に見て、小さいほうの数で割り切れるかを調べるのです。

\(4\)\(6\) でやってみます。大きいほうは \(6\) です。

6  → 4 で割り切れない
12 → 4 で割り切れる   ← ここで決まり

\(4\)\(6\) の最小公倍数は \(12\) です。小さいほうの \(4\) から並べると 4, 8, 12 と3回かかりますが、大きいほうの \(6\) から見れば2回で見つかります。大きいほうから見るほど、調べる回数が少なくて済みます。

分母が3つあるとき

やり方は変わりません。3つとも割り切れる数のうち、いちばん小さいものを探します。\(2\)\(3\)\(4\) なら、いちばん大きい \(4\) の倍数を順に見ます。

4  → 2 で割り切れる、3 で割り切れない
8  → 2 で割り切れる、3 で割り切れない
12 → 2 で割り切れる、3 でも割り切れる   ← ここで決まり

\(2\)\(3\)\(4\) の最小公倍数は \(12\) です。

よく出る組み合わせを表にしておきます。ただし表を覚えることが目的ではありません。表にない組み合わせが出たら、上のやり方で自分で見つけてください。

分母 最小公倍数
\(2\)\(3\) \(6\)
\(3\)\(6\) \(6\)
\(2\)\(5\) \(10\)
\(4\)\(6\) \(12\)
\(2\)\(3\)\(4\) \(12\)

分母どうしをかけても消せる。ただし損

分母が \(4\)\(6\) のとき、\(4 \times 6 = 24\) を使っても分母は消えます。

24 × (x/4) = 6x
24 × (x/6) = 4x

たしかに消えました。**これはまちがいではありません。**ただし最小公倍数の \(12\) を使えば、同じ場所が \(3x\)\(2x\) で済みます。数が2倍大きくなるぶん、このあとの計算で桁をまちがえやすくなります。まちがいではないが損、と覚えてください。分母どうしをかけた数は公倍数ではありますが、いちばん小さいとはかぎらないのです。

分数と整数のかけ算

道具のもう1つがこれです。\(6 \times \dfrac{x}{3}\) はいくつになるでしょうか。

\(\dfrac{x}{3}\) は、\(x\) を3等分したうちの1つぶんです。それが6個集まっています。3個で \(x\) 1つぶんですから、6個なら \(x\) 2つぶん。つまり \(2x\) です。

計算のときは、「かける数 ÷ 分母」を先に計算します\(6 \div 3 = 2\) を出し、その \(2\)\(x\) にかかって \(2x\) になります。

整数と分数のかけ算の手順 上から下へ三つの箱が並んだ流れ図。はじめの箱に、六かける三分のエックス、というかけ算がある。次の箱で、かける数の六を分母の三で割って二を出し、最後の箱で、その二をエックスにかけて二エックスになることを示している。 6 × x 3 6 ÷ 3 = 2 2 × x = 2x かける数 ÷ 分母 x が 2 個ぶん

同じ型で、あと2つ確かめます。

6 × (1/2)   →  6 ÷ 2 = 3     答え 3
12 × (x/4)  →  12 ÷ 4 = 3    答え 3x

分子が数だけのときは、答えも数になります。\(6 \times \dfrac{1}{2} = 3\) です。分子に \(x\) があるときは、わり算の答えがそのまま \(x\) の係数になります。\(12 \times \dfrac{x}{4} = 3x\) です。

なぜ先に割ってよいのでしょうか。 \(6 \times \dfrac{x}{3}\) は「\(x\) を3で割ってから6倍する」という意味です。順番を入れかえて「6を3で割ってから \(x\) にかける」としても、答えは変わりません。そして先に割ったほうが、あつかう数がずっと小さくて済みます。

今日の問い

\(12 \times \dfrac{x}{4}\)\(3x\) になります。\(12x\) でもなく、\(\dfrac{12x}{4}\) でもありません。なぜでしょうか。

\(\dfrac{x}{4}\)\(x\) を4等分したうちの1つぶんです。それが12個あります。4個集まると \(x\) 1つぶんですから、12個なら \(x\) 3つぶん。だから \(3x\) です。

\(12x\) としてしまうのは、分母の \(4\) を見ていない答えです。\(\dfrac{12x}{4}\) のほうは値としては合っていますが、まだわり算が残っています。分母をなくすためにかけたのですから、\(3x\) まで進めて初めて目的を果たしたことになります。「かける数 ÷ 分母」を先に計算する、という型を思い出してください。

よくある間違い

まちがい1:分母を見ずに、分子だけにかける

✗ 6 × (x/3) = 6x

分母の3を無視しています。\(\dfrac{x}{3}\)\(x\) より小さい量ですから、6倍しても \(6x\) にはなりません。

○ 6 × (x/3)
○ 6 ÷ 3 = 2
○ 答え 2x

確かめ \(x\) に3を入れて確かめます。

6x に x=3 を入れると 6 × 3 = 18
2x に x=3 を入れると 2 × 3 = 6
もとの式 6 × (3/3) = 6 × 1 = 6
6x のほうは合わないので、2x が正しい

まちがい2:わり算を残したまま止める

✗ 6 × (x/3) = 6x/3

値としてはまちがっていませんが、分母が残ったままです。**分母を消すためにかけたのに、消えていません。**ここで止めると、次のレッスンで分母のある式を持ったまま解くことになり、必ず苦しくなります。

○ 6x/3 = 2x

かけ算をしたら \(2x\) の形まで進める、と決めてください。

まちがい3:両方の分母で割り切れない数をかける

分母が \(4\)\(6\) のときに、\(2\) をかけてしまう例です。

✗ 2 × (x/4) = x/2      ← 分母が残った
✗ 2 × (x/6) = x/3      ← 分母が残った

\(2\)\(4\)\(6\)両方を割り切る数であって、両方で割り切れる数ではありません。ほしいのは後者、つまり公倍数のほうです。

○ 12 × (x/4) = 3x
○ 12 × (x/6) = 2x

小さい数を探すのではなく、倍数を書き並べた中から探す。 これを覚えておくと取りちがえません。

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。最小公倍数の問題では、倍数を書き並べた様子も残すこと

  1. 倍数を書き並べて、\(3\)\(4\) の最小公倍数を求めなさい。

  2. 次の最小公倍数を求めなさい。(ア)\(4\)\(6\)  (イ)\(3\)\(5\)  (ウ)\(6\)\(9\)  (エ)\(2\)\(3\)\(4\)

  3. \(\dfrac{x}{4} + \dfrac{x}{6} = 1\) の分母をなくすには、両辺に何をかければよいですか。その数を選んだ理由も書きなさい。

  4. 次を計算しなさい。(ア)\(8 \times \dfrac{x}{2}\)  (イ)\(10 \times \dfrac{x}{5}\)  (ウ)\(6 \times \dfrac{1}{3}\)  (エ)\(12 \times \dfrac{5}{6}\)

  5. 3の式で、両辺に \(24\) をかけた人がいます。分母は消えますか。消えるとしたら、\(12\) を使う場合とくらべて何が損ですか。

  6. 次の2つは、どちらもこのままでは正しくありません。それぞれどこが違いますか。正しい答えも書きなさい。

✗ 6 × (x/3) = 6x
✗ 6 × (x/3) = 6x/3
  1. \(\dfrac{x}{3} + \dfrac{x}{5} = 2\) の両辺に最小公倍数をかけて、分母のない式に直しなさい。解かなくてよいです。
答えと考え方

1. 答え \(12\)

3の倍数 … 3, 6, 9, 12, 15, 18, …
4の倍数 … 4, 8, 12, 16, 20, …
両方にある数 … 12, 24, …
いちばん小さいもの … 12

大きいほうの \(4\) から見れば、4は3で割り切れない、8も割り切れない、12は割り切れる、と3回で決まります。

2.

(ア)大きいほうの \(6\) の倍数を見ます。

6  → 4 で割り切れない
12 → 4 で割り切れる

答え \(12\)

(イ)大きいほうの \(5\) の倍数を見ます。

5  → 3 で割り切れない
10 → 3 で割り切れない
15 → 3 で割り切れる

答え \(15\)

(ウ)大きいほうの \(9\) の倍数を見ます。

9  → 6 で割り切れない
18 → 6 で割り切れる

答え \(18\)

(エ)いちばん大きい \(4\) の倍数を見ます。

4  → 2 で割り切れる、3 で割り切れない
8  → 2 で割り切れる、3 で割り切れない
12 → 2 で割り切れる、3 でも割り切れる

答え \(12\)

(イ)と(ウ)は本文の表にありません。それでも書き並べれば必ず見つかります。表になければ求める、これができれば大丈夫です。

3. 答え \(12\)

分母は \(4\)\(6\) です。大きいほうの \(6\) の倍数を見ると、\(6\)\(4\) で割り切れず、\(12\) は割り切れます。だから最小公倍数は \(12\)。両辺に \(12\) をかければ、両方の分母が消えます。

12 × (x/4) = 3x     ← 12 ÷ 4 = 3
12 × (x/6) = 2x     ← 12 ÷ 6 = 2

4. どれも「かける数 ÷ 分母」を先に計算します。

(ア) 8 ÷ 2 = 4              答え 4x
(イ) 10 ÷ 5 = 2             答え 2x
(ウ) 6 ÷ 3 = 2              答え 2
(エ) 12 ÷ 6 = 2 、2 × 5 = 10   答え 10

(ウ)は分子が \(1\) なので、わり算の答えがそのまま答えです。\(6 \times \dfrac{1}{3} = 2\)

(エ)は分子が \(5\) です。先に \(12 \div 6 = 2\) を計算し、そのあと分子の \(5\) をかけて \(2 \times 5 = 10\)\(12 \times \dfrac{5}{6} = 10\) です。

5. 消えます。まちがいではありません。ただし数が大きくなるぶん損です。

\(24\)\(4\) でも \(6\) でも割り切れるので、公倍数です。だから分母は消えます。

24 × (x/4) = 6x
24 × (x/6) = 4x
→ 6x + 4x = 24

\(12\) を使うとこうなります。

12 × (x/4) = 3x
12 × (x/6) = 2x
→ 3x + 2x = 12

どちらも分母は消えていますが、\(24\) を使ったほうは係数も右辺も2倍です。最小公倍数を選ぶのは、正しさのためではなく、計算を軽くするためです。

6.

1つめは、分母の \(3\) を見ていません。\(\dfrac{x}{3}\)\(x\) を3等分した1つぶんですから、6個集めても \(x\) 2つぶんにしかなりません。正しくは \(2x\) です。

6x に x=3 を入れると 6 × 3 = 18
もとの式 6 × (3/3) = 6 × 1 = 6
値が合わないので 6x は正しくない

2つめは、計算そのものは合っていますが、わり算が残っています。分母を消すためにかけたのに、\(\dfrac{6x}{3}\) では分母が残ったままです。\(6 \div 3 = 2\) まで進めて \(2x\) とします。

○ 6 × (x/3) = 2x

7. 最小公倍数は \(15\)

分母は \(3\)\(5\) です。大きいほうの \(5\) の倍数を見ます。

5  → 3 で割り切れない
10 → 3 で割り切れない
15 → 3 で割り切れる

両辺に \(15\) をかけます。

x/3 + x/5 = 2
15 × (x/3) + 15 × (x/5) = 15 × 2
                5x + 3x = 30

\(15 \div 3 = 5\) なので左の項は \(5x\)\(15 \div 5 = 3\) なので次の項は \(3x\)、右辺は \(15 \times 2 = 30\) です。分母が消えました。ここから先の手順は次のレッスンで扱います。

次のレッスンへ

これで道具が2つそろいました。分母の最小公倍数を自分で見つけられること、そして \(6 \times \dfrac{x}{3}\) のようなかけ算を \(2x\) まで進められること。次のレッスンでは、この2つを使って分数を含む方程式から分母を消し、実際に解きます。

次のレッスンへ 分数の方程式から分母をなくす →

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:最小公倍数を見つける

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    最小公倍数とは、どのような数のことですか。
  2. 設問 1
    $12 \times \dfrac{x}{4}$ を、先に $12 \div 4 = 3$ と計算してよいのはなぜですか。
  3. 設問 2
    $8$ と $12$ の最小公倍数はいくつですか。
  4. 設問 3
    $\dfrac{x}{9} - \dfrac{x}{6} = 1$ の両辺に分母の最小公倍数をかけて分母をなくすと、どの式になりますか。
  5. 設問 4
    $\dfrac{x}{6} + \dfrac{x}{10} = 1$ の分母をなくすために、両辺に $2$ をかけた人がいます。何がまちがっていますか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。