かっこを外して式を整理する
このレッスンでできるようになること
- かっこを外す作業と、同類項をまとめる作業を、行を分けて書ける
- かっこを外したあと、文字の項と数の項をそれぞれ数えてからまとめられる
- 整理した式が元の式と同じかどうかを、同じ数を代入して確かめられる
前のレッスンの確認
- 項 … 式を \(+\) と \(-\) で区切った、ひとかたまりのこと(符号は項に含まれる)
- 同類項 … 文字の部分がまったく同じ項どうしのこと
- 係数 … 文字にかけられている数のこと
- 移項 … 項を、符号を変えて反対の辺へ移すこと
- 分配法則 … \(a(b + c) = ab + ac\)
前のレッスンでは、長方形の面積を使って分配法則を確かめました。\(3(x + 2)\) の \(3\) を、かっこの中の \(x\) と \(2\) の両方にかけて \(3x + 6\) にする、という外し方です。
ここからは、かっこの外にまだ項が残っている式を扱います。たとえば \(2(x + 3) + 4x\) です。かっこを外しただけでは終わりません。同じ仲間の項をまとめる作業が残っています。
出てくるかっこは、外にある数が正の数か、かっこの前が \(+\) のものだけです。\(-2(x + 5)\) のように前がマイナスの形は次のレッスンで扱います。また、ここでは方程式を解きません。式を短く整理するところまでです。
作業は二つある
\(2(x + 3) + 4x\) を整理します。やることは二つです。
- 作業1:かっこを外す(分配法則を使う)
- 作業2:同類項をまとめる
順番も決まっています。かっこの中にある \(x\) と \(3\) は、まだ \(2\) 倍される前の状態なので、外にある \(4x\) とは足せません。先にかっこを外して、すべての項を横一列に並べてからまとめます。
書くとこうなります。
2(x + 3) + 4x
= 2x + 6 + 4x ← 作業1:かっこを外した
= 6x + 6 ← 作業2:2x と 4x をまとめた
この二つを、1行にまとめて書かないでください。 面倒でも行を分けます。
一行でやると、どこで間違えたか分からなくなる
同じ式を、頭の中で二つの作業を同時にやりながら1行で書いてみます。よくこうなります。
✗ 2(x + 3) + 4x = 6x + 3
「\(2x\) と \(4x\) を足して \(6x\)、かっこの中の3はそのまま」と処理してしまった形です。\(2\) を \(3\) にかけ忘れています。
\(x = 2\) を入れて確かめます。
元の式 = 2 × (2 + 3) + 4 × 2 = 10 + 8 = 18
この答え = 6 × 2 + 3 = 12 + 3 = 15
18と15で合いません。まちがっていることは分かりました。では、どこで間違えたのでしょうか。
1行しか書いていないと、答えられません。左辺と右辺があるだけで、その間で何が起きたのかは紙に残っていないからです。
行を分けて書いてあれば、こうなります。
2(x + 3) + 4x
= 2x + 3 + 4x ← ここで 2 を 3 にかけ忘れている
= 6x + 3
1行目と2行目を見比べれば、\(3\) が \(6\) になっていないことが目で分かります。3行目のまとめ方は正しいので、直すのは2行目だけです。
間違いは、行と行の間で起きます。行がなければ、間違いを置く場所がありません。 行を分けるのは、ていねいに見せるためではなく、あとから自分の間違いを見つけられるようにするためです。
かっこを外したら、いったん止まって項を数える
作業1が終わったところで、すぐまとめにいかず一度止まります。
\(2x + 6 + 4x\)
ここで、文字の項が何個あるか、数の項が何個あるかを数えます。
- 文字の項 … \(2x\) と \(4x\) の2個
- 数の項 … \(6\) の1個
数え終わってから、まとめます。文字の項は \(2x + 4x\) なので、係数の \(2\) と \(4\) を足して \(6x\)。数の項は1個しかないので、\(6\) はそのまま動きません。
2x + 6 + 4x
= 6x + 6
数えてからまとめるのは、まとめ落としを防ぐためです。項が4個5個と並ぶと、1個置き去りにしても目では気づけません。「文字の項は2個あった。2個とも使ったか」と確かめれば気づけます。
かっこの中に引き算があるとき
\(3(2x - 1) + 5\) を整理します。
3(2x − 1) + 5
= 6x − 3 + 5 ← 作業1:3 を 2x と −1 の両方にかけた
= 6x + 2 ← 作業2:−3 と 5 をまとめた
項を数えます。文字の項は \(6x\) の1個、数の項は \(-3\) と \(5\) の2個です。今度はまとめる相手が数の項のほうです。\(-3 + 5 = 2\) なので \(6x + 2\) になります。
かっこの中の \(-1\) にも必ず \(3\) をかけます。\(3 \times (-1) = -3\) です。符号は項にふくまれるので、\(-1\) をひとかたまりとして扱います。
\(x = 1\) で確かめます。
元の式 = 3 × (2 × 1 − 1) + 5 = 3 × 1 + 5 = 8
整理後 = 6 × 1 + 2 = 6 + 2 = 8
どちらも8なので、整理は正しい
かっこが二つあるとき
\(4(x + 2) + 3(x + 1)\) を整理します。
4(x + 2) + 3(x + 1)
= 4x + 8 + 3x + 3 ← 作業1:かっこを二つとも外した
= 7x + 11 ← 作業2:4x と 3x、8 と 3 をまとめた
かっこが二つあっても、作業は二つのままです。作業1で両方のかっこをまとめて外します。 交互にやると行が増え、まとめた項をもう一度さわることになります。
項を数えます。文字の項は \(4x\) と \(3x\) の2個、数の項は \(8\) と \(3\) の2個。どちらも2個ずつあるので、両方まとめます。
\(x = 1\) で確かめます。
元の式 = 4 × (1 + 2) + 3 × (1 + 1) = 12 + 6 = 18
整理後 = 7 × 1 + 11 = 7 + 11 = 18
どちらも18なので、整理は正しい
かっこが後ろにあるとき
\(5x + 2(x - 4)\) を整理します。
5x + 2(x − 4)
= 5x + 2x − 8 ← 作業1:2 を x と −4 の両方にかけた
= 7x − 8 ← 作業2:5x と 2x をまとめた
かっこが後ろにあっても、やることは変わりません。気をつけるのは、\(2\) がかかっているのはかっこの中だけという点です。前の \(5x\) にはかっこがかかっていないので、何もしません。
\(x = 3\) で確かめます。
元の式 = 5 × 3 + 2 × (3 − 4) = 15 + 2 × (−1) = 15 − 2 = 13
整理後 = 7 × 3 − 8 = 21 − 8 = 13
どちらも13なので、整理は正しい
整理が正しいかを、代入して確かめる
確かめの型をまとめておきます。
整理した式が元の式と同じかどうかは、同じ数を両方の式に入れて、値を比べれば分かります。整理は式の形を変えただけなので、\(x\) にどんな数を入れても、両方の値は必ず同じになるはずだからです。
元の式 = 2 × (2 + 3) + 4 × 2 = 10 + 8 = 18
整理後 = 6 × 2 + 6 = 12 + 6 = 18
どちらも18なので、整理は正しい
\(2(x + 3) + 4x\) と \(6x + 6\) に、\(x = 2\) を入れた形です。値がちがったら、必ずどこかの行が間違っています。 行を分けて書いてあれば、その行を探しにいけます。
入れる数は \(x = 1\) や \(x = 2\) で十分です。ただし \(x = 0\) は避けてください。 文字の項がすべて消えてしまい、係数の間違いを見つけられません。\(6x + 6\) と \(5x + 6\) は、\(x = 0\) ではどちらも \(6\) になってしまいます。
かっこの前にかける数がないとき
\(5 + (x - 3)\) という式もあります。かっこの外に数が書かれていません。前にあるのは \(+\) の記号だけです。
この場合、かっこの中の符号はそのままです。
5 + (x − 3)
= 5 + x − 3 ← 作業1:かっこを外した(中の符号はそのまま)
= x + 2 ← 作業2:5 と −3 をまとめた
\(x = 4\) で確かめます。
元の式 = 5 + (4 − 3) = 5 + 1 = 6
整理後 = 4 + 2 = 6
どちらも6なので、整理は正しい
「そのまま」と丸暗記しないでください。理由があります。
今日の問い
\(5 + (x - 3)\) のかっこを外すと \(5 + x - 3\) になります。かっこの中の \(-3\) が \(-3\) のままなのは、なぜでしょうか。
\(1\) をかけているのと同じだからです。
書かれていないだけで、\(5 + (x - 3)\) は \(5 + 1 \times (x - 3)\) と同じ式です。ここに分配法則を使います。
\(1 \times (x - 3) = 1 \times x + 1 \times (-3) = x - 3\)
\(1\) をかけても数は変わりません。だから、かっこの中身がそのままの形で出てきます。かっこの中の符号が変わらないのではなく、\(1\) をかけた結果として変わらなかった、ということです。
かっこの前に \(2\) があれば、こうなります。
5 + 2(x − 3)
= 5 + 2x − 6 ← 2 を x と −3 の両方にかけた
= 2x − 1
\(-3\) が \(-6\) に変わりました。かける数が \(1\) ではないからです。かっこの前にかくれている数を見つけると考えれば、どちらも同じ分配法則の話です。
よくある間違い
まちがい1:かっこの中の一部にかけ忘れる
✗ 6(x + 2) + 3x
✗ = 6x + 2 + 3x
✗ = 9x + 2
\(6\) を \(x\) にはかけたのに、\(2\) にはかけていません。分配法則は、かっこの中のすべての項にかける約束です。
○ 6(x + 2) + 3x
○ = 6x + 12 + 3x
○ = 9x + 12
\(x = 1\) を入れると、元の式は \(6 \times 3 + 3 = 21\)。誤答の \(9x + 2\) は \(11\) で合いません。\(9x + 12\) は \(21\) で合います。
まちがい2:文字の項と数の項をまとめてしまう
✗ 2(x + 5) + 3x
✗ = 2x + 10 + 3x
✗ = 15x
2行目までは正しいのに、3行目で \(5x\) と \(10\) を足して \(15x\) にしています。\(5x\) は文字の項、\(10\) は数の項です。文字の部分がちがうので同類項ではありません。 まとめられません。
○ 2(x + 5) + 3x
○ = 2x + 10 + 3x
○ = 5x + 10
\(x = 2\) を入れると、元の式は \(2 \times 7 + 6 = 20\)。誤答の \(15x\) は \(30\) で合いません。\(5x + 10\) は \(20\) で合います。
項を数えてからまとめれば、この間違いは減ります。文字の項2個、数の項1個と数えてあれば、まとめたあとにも数の項が1つ残るはずだと分かります。
まちがい3:かっこの外の項にまでかけてしまう
✗ 4x + 6(x + 5)
✗ = 24x + 6x + 30
✗ = 30x + 30
\(6\) を、かっこの外にある \(4x\) にまでかけています。\(6\) がかかっているのはかっこの中だけです。
○ 4x + 6(x + 5)
○ = 4x + 6x + 30
○ = 10x + 30
\(x = 1\) を入れると、元の式は \(4 + 6 \times 6 = 40\)。誤答の \(30x + 30\) は \(60\) で合いません。\(10x + 30\) は \(40\) で合います。
まちがい4:かっこの前が足し算なのに符号を変えてしまう
✗ 7 + (x − 2)
✗ = 7 + x + 2
✗ = x + 9
かっこを外すときに、中の \(-2\) を \(+2\) に変えてしまいました。かっこの前は \(+\) なので、かけているのは \(1\) です。\(1 \times (-2) = -2\) で、符号は変わりません。
○ 7 + (x − 2)
○ = 7 + x − 2
○ = x + 5
\(x = 3\) を入れると、元の式は \(7 + 1 = 8\)。誤答の \(x + 9\) は \(12\) で合いません。\(x + 5\) は \(8\) で合います。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。作業1と作業2は、必ず行を分けて書くこと。
\(3(x + 4) + 2x\) を整理しなさい。
\(2(3x - 2) + 7\) を整理しなさい。
\(5(x + 1) + 2(x + 8)\) を整理しなさい。
\(8 + (x - 5) + 2x\) を整理しなさい。
4番で整理した式が正しいかどうかを、\(x = 4\) を代入して確かめなさい。
次の整理はまちがっています。どの行から違いますか。正しく整理しなさい。
9(x + 3) + 4x
= 9x + 3 + 4x
= 13x + 3
- 次の整理はまちがっています。どの行から違いますか。正しく整理しなさい。
2(x + 4) + x
= 2x + 8 + x
= 10x
答えと考え方
1. かっこの外の \(3\) を、\(x\) と \(4\) の両方にかけます。
3(x + 4) + 2x
= 3x + 12 + 2x ← 作業1:かっこを外した
= 5x + 12 ← 作業2:3x と 2x をまとめた
文字の項は \(3x\) と \(2x\) の2個、数の項は \(12\) の1個。まとめるのは文字の項だけです。
元の式 = 3 × (1 + 4) + 2 × 1 = 15 + 2 = 17
整理後 = 5 × 1 + 12 = 5 + 12 = 17
どちらも17なので、整理は正しい
2. \(2\) を \(3x\) と \(-2\) の両方にかけます。\(2 \times (-2) = -4\) です。
2(3x − 2) + 7
= 6x − 4 + 7 ← 作業1:かっこを外した
= 6x + 3 ← 作業2:−4 と 7 をまとめた
文字の項は \(6x\) の1個、数の項は \(-4\) と \(7\) の2個。まとめるのは数の項です。
元の式 = 2 × (3 × 1 − 2) + 7 = 2 × 1 + 7 = 9
整理後 = 6 × 1 + 3 = 6 + 3 = 9
どちらも9なので、整理は正しい
3. かっこが二つあります。作業1で両方まとめて外します。
5(x + 1) + 2(x + 8)
= 5x + 5 + 2x + 16 ← 作業1:かっこを二つとも外した
= 7x + 21 ← 作業2:5x と 2x、5 と 16 をまとめた
文字の項は \(5x\) と \(2x\) の2個、数の項は \(5\) と \(16\) の2個。どちらもまとめます。
元の式 = 5 × (1 + 1) + 2 × (1 + 8) = 10 + 18 = 28
整理後 = 7 × 1 + 21 = 7 + 21 = 28
どちらも28なので、整理は正しい
4. かっこの前が \(+\) なので、かけているのは \(1\) です。中の符号はそのままです。
8 + (x − 5) + 2x
= 8 + x − 5 + 2x ← 作業1:かっこを外した(中の符号はそのまま)
= 3x + 3 ← 作業2:x と 2x、8 と −5 をまとめた
文字の項は \(x\) と \(2x\) の2個、数の項は \(8\) と \(-5\) の2個です。\(x\) の係数は \(1\) なので \(1 + 2 = 3\) で \(3x\)、数の項は \(8 - 5 = 3\) です。
元の式 = 8 + (2 − 5) + 2 × 2 = 8 + (−3) + 4 = 9
整理後 = 3 × 2 + 3 = 6 + 3 = 9
どちらも9なので、整理は正しい
5. \(x = 4\) を、元の式 \(8 + (x - 5) + 2x\) と、整理後の \(3x + 3\) の両方に入れます。
元の式 = 8 + (4 − 5) + 2 × 4 = 8 + (−1) + 8 = 15
整理後 = 3 × 4 + 3 = 12 + 3 = 15
どちらも15なので、整理は正しい
4番では \(x = 2\)、ここでは \(x = 4\) で一致しました。どんな数を入れても一致するのが、正しく整理できた式です。
6. 2行目から違います。
\(9\) を \(x\) にはかけたのに、\(3\) にかけ忘れています。\(9 \times 3 = 27\) なので \(3\) ではなく \(27\) です。3行目のまとめ方(\(9x\) と \(4x\) を足して \(13x\))は正しいので、直すのは2行目だけです。
○ 9(x + 3) + 4x
○ = 9x + 27 + 4x
○ = 13x + 27
元の式 = 9 × (1 + 3) + 4 × 1 = 36 + 4 = 40
整理後 = 13 × 1 + 27 = 13 + 27 = 40
どちらも40なので、整理は正しい
誤答の \(13x + 3\) に \(x = 1\) を入れると \(13 + 3 = 16\) で、元の式の \(40\) と合いません。ここで気づけます。
7. 3行目から違います。
2行目までは正しく外せています。3行目で \(2x\) と \(8\) と \(x\) を全部足して \(10x\) にしてしまいました。\(8\) は数の項なので、文字の項とはまとめられません。まとめられるのは \(2x\) と \(x\) だけです。\(x\) の係数は \(1\) なので \(2 + 1 = 3\) で \(3x\)、\(8\) はそのまま残ります。
○ 2(x + 4) + x
○ = 2x + 8 + x
○ = 3x + 8
元の式 = 2 × (2 + 4) + 2 = 12 + 2 = 14
整理後 = 3 × 2 + 8 = 6 + 8 = 14
どちらも14なので、整理は正しい
誤答の \(10x\) に \(x = 2\) を入れると \(20\) で、元の式の \(14\) と合いません。
次のレッスンへ
ここまで扱ったのは、かっこの外にある数が正のときと、前が \(+\) のときです。どちらも中の符号はいじりませんでした。次は \(-(x - 4)\) や \(5 - 2(x - 3)\) のように、かっこの前がマイナスのときを扱います。ここでは中の符号がすべて変わります。今日の「二つの作業を、行を分けて書く」書き方が、そこでいちばん効いてきます。
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