「=」は答えの合図ではない
このレッスンでできるようになること
- 等号 \(=\) を「左と右が同じ量である」という意味で読める
- 天びんの図を見て、つり合いが保たれる操作と崩れる操作を区別できる
- ある数を入れたとき方程式が成り立つかどうかを、左辺と右辺を比べて判定できる
前のレッスンの確認
このレッスンでは、前回決めた言葉をそのまま使います。あやしい人はここで思い出してください。
- 等式 … 等号 \(=\) で結ばれた式
- 左辺 … 等号の左側にある式
- 右辺 … 等号の右側にある式
- 両辺 … 左辺と右辺の両方
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
小学校での「=」の使い方
小学校では、\(=\) をこんなふうに使ってきました。
8 + 5 = 13
このとき頭の中では「8たす5を計算しなさい → 答えは13」と読んでいたはずです。つまり \(=\) は 「答えはこうなる」という合図、計算の向きを示す矢印のようなものでした。
その読み方をしていると、こういう書き方をしてしまいます。
✗ 8 + 5 = 13 + 2 = 15
「8たす5は13、それに2を足して15」と、頭の中の作業を左から順に書いたものです。気持ちは分かりますが、この式はまちがいです。なぜなら、\(8 + 5\) は 13 で、\(13 + 2\) は 15。13 と 15 は同じではないからです。等号で結ばれているのに、左と右の値がちがっています。
中学からの「=」の読み方
中学からは、\(=\) をこう読みます。
\(A = B\) は、AとBが同じ量であるという宣言である。
「これから計算します」でも「答えはこうなる」でもありません。すでに左と右が同じ量になっている、という事実の報告です。
だから \(=\) は向きを持ちません。
x = 7 と 7 = x は、まったく同じことを言っている
どちらも「xと7は同じ量だ」と言っているだけです。書く向きが変わっても意味は変わりません(答えを書くときは \(x = 7\) の向きにそろえるのが習慣です)。
天びんで見る
この「同じ量である」という感じは、天びんで見るといちばんはっきりします。
\(x + 3 = 10\) という方程式を、天びんだと思ってください。左の皿には「重さの分からない箱x」と「3gのおもり」、右の皿には「10gのおもり」が乗っていて、つり合っている状態です。
さおが水平であること、それが \(=\) です。
片方だけをさわると、つり合いは崩れる
ここで「xだけにしたいから、左の3gを取り除こう」と考えたとします。左の皿からだけ3gを取ると、どうなるでしょうか。
左が軽くなったので、左が上がり、右が下がりました。もうつり合っていません。
式で書くと、こういうことをしたことになります。
✗ x + 3 = 10
✗ x = 10 ← 左からだけ3を消した
これはまちがいです。実際 x は7なので、左辺は7、右辺は10。7 = 10 という、成り立たない式を書いてしまっています。
両方から同じだけ取れば、つり合ったまま
正しくは、左から3g取ったなら、右からも3g取ります。
さおは水平のままです。そして左の皿には x だけが残り、右の皿には7が残りました。つまり \(x = 7\)。答えが出ています。
式で書くと、こうです。
○ x + 3 = 10
○ x + 3 − 3 = 10 − 3 ← 両方から3を取った
○ x = 7
これが、方程式を解くという作業の正体です。つり合いを崩さないように、両方に同じことをしながら、xだけを残していく。 この単元でこれから何度も出てくる考え方は、全部これです。
ただし、いまのやり方で解けるようになったのは、\(x + 3 = 10\) や \(x - 3 = 6\) のような、足し算と引き算だけでできている方程式です。両方から同じ数を取る、または両方に同じ数を足す。それだけで x だけを残せる形です。
\(3x + 5 = 20\) のようにかけ算がからむ方程式は、これだけでは最後まで行けません。\(3x\) の3を外すには、両辺に同じ数をかけたり、両辺を同じ数で割ったりする操作が必要になります。それは次のセクションで扱います。
このルール(両辺に同じことをしてよい)には 等式の性質 という名前がついています。次のセクションで、足し算・引き算だけでなく、かけ算・割り算についてもきちんと確かめます。
今日の問い
\(x + 3 = 10\) は、xに7を入れれば成り立ちます。では、5や9を入れたときはどうなるでしょうか。
| xに入れる数 | 左辺 \(x + 3\) | 右辺 \(10\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 5 | \(5 + 3 = 8\) | \(10\) | 成り立たない(\(8 \neq 10\)) |
| 7 | \(7 + 3 = 10\) | \(10\) | 成り立つ |
| 9 | \(9 + 3 = 12\) | \(10\) | 成り立たない(\(12 \neq 10\)) |
方程式は、どんな数でも成り立つわけではありません。成り立たせる数がたった1つあって、それが解です。
これがふつうの計算(\(3 + 5 = 8\) のように、いつでも成り立つ等式)との大きなちがいです。
よくある間違い
まちがい1:等号を「つなぎ」に使ってしまう
✗ 12 + 8 = 20 × 3 = 60
「12たす8は20、それを3倍して60」と読ませたいのでしょうが、\(12 + 8\) は20、\(20 \times 3\) は60で、20と60は同じではありません。
直し方は、行を分けることです。
○ 12 + 8 = 20
○ 20 × 3 = 60
一本の等式の中では、左辺の値と右辺の値がいつでも一致していなければなりません。
まちがい2:片方の辺だけを変える
✗ x + 5 = 12
✗ x = 12 ← 左の +5 だけ消した
天びんの2枚目の図と同じことをしています。左だけ軽くしたので傾いてしまいました。実際 x は7なので、この式は \(7 = 12\) と言っていることになります。
○ x + 5 = 12
○ x + 5 − 5 = 12 − 5
○ x = 7
**「消える」のではなく「両方から引いた結果いなくなる」**と考えてください。
まちがい3:両辺に同じ数を使ったが、操作がちがう
✗ x + 4 = 9
✗ x + 4 − 4 = 9 + 4 ← 左は引いて、右は足した
同じ「4」を使っていますが、左は引き算、右は足し算です。天びんでいえば、左からおもりを取って右にはおもりを足したことになるので、当然傾きます。
同じ数で、同じ操作をしてはじめてつり合いが保たれます。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。
次の式はどこがまちがっていますか。正しく直しなさい。 \(7 + 6 = 13 - 4 = 9\)
\(x = 4\) と \(4 = x\) は同じことを言っていますか。理由も書きなさい。
\(x + 6 = 15\) について、xに 7、9、11 を入れたときの左辺の値をそれぞれ求め、成り立つのはどれか答えなさい。
天びんの左の皿に \(x + 5\)、右の皿に \(12\) が乗ってつり合っています。左の皿から5を取り除いたとき、つり合いを保つには右の皿に何をすればよいですか。
次の変形はまちがっています。天びんの言葉を使って、何がいけないのか説明しなさい。
x + 8 = 20 x = 20\(x - 3 = 6\) を、天びんの考え方で解きなさい。両辺に何をするかを式に書いてから答えを出すこと。
答えと考え方
1. \(7 + 6\) は13、\(13 - 4\) は9。しかし 13 と 9 は同じではないのに等号で結んでいるのがまちがいです。
正しくは行を分けます。
7 + 6 = 13
13 − 4 = 9
一本の等式の中では、左辺と右辺の値がいつでも一致していなければなりません。
確かめ:直した2本を1本ずつ見ます。1本目は左辺 \(7 + 6 = 13\)、右辺 \(13\) で一致。2本目は左辺 \(13 - 4 = 9\)、右辺 \(9\) で一致。どちらの行も左と右が同じ量になりました。
2. 同じことを言っています。
等号は「左と右が同じ量である」という宣言なので、向きを持ちません。\(x = 4\) は「xと4は同じ量だ」、\(4 = x\) も「4とxは同じ量だ」で、内容は変わりません。
ただし答えを書くときは \(x = 4\) の向きにそろえるのが習慣です。
3.
| xに入れる数 | 左辺 \(x + 6\) | 右辺 \(15\) | 成り立つ? |
|---|---|---|---|
| 7 | \(7 + 6 = 13\) | \(15\) | 成り立たない(\(13 \neq 15\)) |
| 9 | \(9 + 6 = 15\) | \(15\) | 成り立つ |
| 11 | \(11 + 6 = 17\) | \(15\) | 成り立たない(\(17 \neq 15\)) |
成り立つのは x = 9 のときです。
各行の理由:左辺の \(x + 6\) の x のところに、表の左の数をそのまま入れて計算します。右辺は数だけなので、どの行でも15のままです。
確かめ:\(x = 9\) を元の式に戻すと、左辺 \(9 + 6 = 15\)、右辺 \(15\)。一致するので、9でよいことが確かめられました。7では2小さく、11では2大きくなっていて、そろうのは9のときだけです。
4. 右の皿からも5を取り除きます。
左からだけ取ると左が軽くなって傾いてしまいます。両方から同じ5を取れば水平のままで、左には x、右には \(12 - 5 = 7\) が残ります。つまり \(x = 7\) です。
x + 5 = 12
x + 5 − 5 = 12 − 5 ← 両方から5を取った
x = 7
確かめ:\(x = 7\) を元の式に入れると、左辺 \(7 + 5 = 12\)、右辺 \(12\)。一致するので正解です。
5. 左の皿から8を取り除いたのに、右の皿には何もしていません。左だけが軽くなったので天びんは傾き、つり合いが崩れています。
実際、x は12なので、この式は \(12 = 20\) と言っていることになり、成り立ちません。
正しくは両方から8を取ります。
x + 8 = 20
x + 8 − 8 = 20 − 8 ← 両方から8を取った
x = 12
確かめ:\(x = 12\) を元の式に入れると、左辺 \(12 + 8 = 20\)、右辺 \(20\)。一致するので正解です。まちがった式のほうは、左辺12・右辺20で一致しません。
6. 左の皿から3が引かれている状態なので、両辺に3を足します(引かれているものを打ち消すには足します)。
x − 3 = 6
x − 3 + 3 = 6 + 3 ← 両辺に3を足した
x = 9
確かめ:\(x = 9\) を元の式に入れると、左辺 \(9 - 3 = 6\)、右辺 \(6\)。一致するので正解です。
このように、求めたxを元の式に戻して左辺と右辺を計算する習慣をつけてください。次のレッスンで、この作業を「代入」という名前で詳しく扱います。
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次は、いま最後にやった「求めた数を元の式に戻して確かめる」操作を、代入という言葉で正式に扱います。答えが合っているかを自分で判定できるようになると、解いたあとの不安がなくなります。
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