LESSON 01

方程式との出会い

「=」は答えの合図ではない

小学校で使ってきた「答えはこうなる」という等号の見方から、「左と右が同じ量である」という見方へ切りかえる。天びんの図で、つり合いが保たれる操作と崩れる操作を見分ける。

「=」は答えの合図ではない

このレッスンでできるようになること

  • 等号 \(=\) を「左と右が同じ量である」という意味で読める
  • 天びんの図を見て、つり合いが保たれる操作と崩れる操作を区別できる
  • ある数を入れたとき方程式が成り立つかどうかを、左辺と右辺を比べて判定できる

前のレッスンの確認

このレッスンでは、前回決めた言葉をそのまま使います。あやしい人はここで思い出してください。

  • 等式 … 等号 \(=\) で結ばれた式
  • 左辺 … 等号の左側にある式
  • 右辺 … 等号の右側にある式
  • 両辺 … 左辺と右辺の両方
  • 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること

小学校での「=」の使い方

小学校では、\(=\) をこんなふうに使ってきました。

8 + 5 = 13

このとき頭の中では「8たす5を計算しなさい → 答えは13」と読んでいたはずです。つまり \(=\)「答えはこうなる」という合図、計算の向きを示す矢印のようなものでした。

その読み方をしていると、こういう書き方をしてしまいます。

✗ 8 + 5 = 13 + 2 = 15

「8たす5は13、それに2を足して15」と、頭の中の作業を左から順に書いたものです。気持ちは分かりますが、この式はまちがいです。なぜなら、\(8 + 5\) は 13 で、\(13 + 2\) は 15。13 と 15 は同じではないからです。等号で結ばれているのに、左と右の値がちがっています。

中学からの「=」の読み方

中学からは、\(=\) をこう読みます。

\(A = B\) は、AとBが同じ量であるという宣言である。

「これから計算します」でも「答えはこうなる」でもありません。すでに左と右が同じ量になっている、という事実の報告です。

だから \(=\) は向きを持ちません。

x = 7   と   7 = x   は、まったく同じことを言っている

どちらも「xと7は同じ量だ」と言っているだけです。書く向きが変わっても意味は変わりません(答えを書くときは \(x = 7\) の向きにそろえるのが習慣です)。

天びんで見る

この「同じ量である」という感じは、天びんで見るといちばんはっきりします。

\(x + 3 = 10\) という方程式を、天びんだと思ってください。左の皿には「重さの分からない箱x」と「3gのおもり」、右の皿には「10gのおもり」が乗っていて、つり合っている状態です。

つり合った天びん 左の皿にx+3、右の皿に10が乗り、さおが水平につり合っている天びんの図 x + 3 10

さおが水平であること、それが \(=\) です。

片方だけをさわると、つり合いは崩れる

ここで「xだけにしたいから、左の3gを取り除こう」と考えたとします。左の皿からだけ3gを取ると、どうなるでしょうか。

左だけ軽くして傾いた天びん 左の皿からだけ3を取り除いたため、左が上がり右が下がって傾いた天びんの図 x 10 左だけ 3 を取った → 傾いた

左が軽くなったので、左が上がり、右が下がりました。もうつり合っていません。

式で書くと、こういうことをしたことになります。

✗ x + 3 = 10
✗     x = 10      ← 左からだけ3を消した

これはまちがいです。実際 x は7なので、左辺は7、右辺は10。7 = 10 という、成り立たない式を書いてしまっています。

両方から同じだけ取れば、つり合ったまま

正しくは、左から3g取ったなら、右からも3g取ります

両方から3を取り除いた天びん 両方の皿から3を取り除いたので、左にx、右に7が残り、水平のままつり合っている図 x 7 両方から 3 を取った → つり合ったまま

さおは水平のままです。そして左の皿には x だけが残り、右の皿には7が残りました。つまり \(x = 7\)答えが出ています。

式で書くと、こうです。

○ x + 3 = 10
○ x + 3 − 3 = 10 − 3      ← 両方から3を取った
○         x = 7

これが、方程式を解くという作業の正体です。つり合いを崩さないように、両方に同じことをしながら、xだけを残していく。 この単元でこれから何度も出てくる考え方は、全部これです。

ただし、いまのやり方で解けるようになったのは、\(x + 3 = 10\)\(x - 3 = 6\) のような、足し算と引き算だけでできている方程式です。両方から同じ数を取る、または両方に同じ数を足す。それだけで x だけを残せる形です。

\(3x + 5 = 20\) のようにかけ算がからむ方程式は、これだけでは最後まで行けません。\(3x\) の3を外すには、両辺に同じ数をかけたり、両辺を同じ数で割ったりする操作が必要になります。それは次のセクションで扱います。

このルール(両辺に同じことをしてよい)には 等式の性質 という名前がついています。次のセクションで、足し算・引き算だけでなく、かけ算・割り算についてもきちんと確かめます。

今日の問い

\(x + 3 = 10\) は、xに7を入れれば成り立ちます。では、5や9を入れたときはどうなるでしょうか。

xに入れる数 左辺 \(x + 3\) 右辺 \(10\) 成り立つ?
5 \(5 + 3 = 8\) \(10\) 成り立たない(\(8 \neq 10\)
7 \(7 + 3 = 10\) \(10\) 成り立つ
9 \(9 + 3 = 12\) \(10\) 成り立たない(\(12 \neq 10\)

方程式は、どんな数でも成り立つわけではありません。成り立たせる数がたった1つあって、それが解です。

これがふつうの計算(\(3 + 5 = 8\) のように、いつでも成り立つ等式)との大きなちがいです。

よくある間違い

まちがい1:等号を「つなぎ」に使ってしまう

✗ 12 + 8 = 20 × 3 = 60

「12たす8は20、それを3倍して60」と読ませたいのでしょうが、\(12 + 8\) は20、\(20 \times 3\) は60で、20と60は同じではありません

直し方は、行を分けることです。

○ 12 + 8 = 20
○ 20 × 3 = 60

一本の等式の中では、左辺の値と右辺の値がいつでも一致していなければなりません。

まちがい2:片方の辺だけを変える

✗ x + 5 = 12
✗     x = 12      ← 左の +5 だけ消した

天びんの2枚目の図と同じことをしています。左だけ軽くしたので傾いてしまいました。実際 x は7なので、この式は \(7 = 12\) と言っていることになります。

○ x + 5 = 12
○ x + 5 − 5 = 12 − 5
○         x = 7

**「消える」のではなく「両方から引いた結果いなくなる」**と考えてください。

まちがい3:両辺に同じ数を使ったが、操作がちがう

✗ x + 4 = 9
✗ x + 4 − 4 = 9 + 4      ← 左は引いて、右は足した

同じ「4」を使っていますが、左は引き算、右は足し算です。天びんでいえば、左からおもりを取って右にはおもりを足したことになるので、当然傾きます。

同じ数で、同じ操作をしてはじめてつり合いが保たれます。

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。

  1. 次の式はどこがまちがっていますか。正しく直しなさい。 \(7 + 6 = 13 - 4 = 9\)

  2. \(x = 4\)\(4 = x\) は同じことを言っていますか。理由も書きなさい。

  3. \(x + 6 = 15\) について、xに 7、9、11 を入れたときの左辺の値をそれぞれ求め、成り立つのはどれか答えなさい。

  4. 天びんの左の皿に \(x + 5\)、右の皿に \(12\) が乗ってつり合っています。左の皿から5を取り除いたとき、つり合いを保つには右の皿に何をすればよいですか。

  5. 次の変形はまちがっています。天びんの言葉を使って、何がいけないのか説明しなさい。

    x + 8 = 20
        x = 20
    
  6. \(x - 3 = 6\) を、天びんの考え方で解きなさい。両辺に何をするかを式に書いてから答えを出すこと。

答えと考え方

1. \(7 + 6\) は13、\(13 - 4\) は9。しかし 13 と 9 は同じではないのに等号で結んでいるのがまちがいです。

正しくは行を分けます。

7 + 6 = 13
13 − 4 = 9

一本の等式の中では、左辺と右辺の値がいつでも一致していなければなりません。

確かめ:直した2本を1本ずつ見ます。1本目は左辺 \(7 + 6 = 13\)、右辺 \(13\) で一致。2本目は左辺 \(13 - 4 = 9\)、右辺 \(9\) で一致。どちらの行も左と右が同じ量になりました。

2. 同じことを言っています。

等号は「左と右が同じ量である」という宣言なので、向きを持ちません。\(x = 4\) は「xと4は同じ量だ」、\(4 = x\) も「4とxは同じ量だ」で、内容は変わりません。

ただし答えを書くときは \(x = 4\) の向きにそろえるのが習慣です。

3.

xに入れる数 左辺 \(x + 6\) 右辺 \(15\) 成り立つ?
7 \(7 + 6 = 13\) \(15\) 成り立たない(\(13 \neq 15\)
9 \(9 + 6 = 15\) \(15\) 成り立つ
11 \(11 + 6 = 17\) \(15\) 成り立たない(\(17 \neq 15\)

成り立つのは x = 9 のときです。

各行の理由:左辺の \(x + 6\) の x のところに、表の左の数をそのまま入れて計算します。右辺は数だけなので、どの行でも15のままです。

確かめ\(x = 9\) を元の式に戻すと、左辺 \(9 + 6 = 15\)、右辺 \(15\)。一致するので、9でよいことが確かめられました。7では2小さく、11では2大きくなっていて、そろうのは9のときだけです。

4. 右の皿からも5を取り除きます。

左からだけ取ると左が軽くなって傾いてしまいます。両方から同じ5を取れば水平のままで、左には x、右には \(12 - 5 = 7\) が残ります。つまり \(x = 7\) です。

x + 5 = 12
x + 5 − 5 = 12 − 5      ← 両方から5を取った
        x = 7

確かめ\(x = 7\) を元の式に入れると、左辺 \(7 + 5 = 12\)、右辺 \(12\)。一致するので正解です。

5. 左の皿から8を取り除いたのに、右の皿には何もしていません。左だけが軽くなったので天びんは傾き、つり合いが崩れています。

実際、x は12なので、この式は \(12 = 20\) と言っていることになり、成り立ちません。

正しくは両方から8を取ります。

x + 8 = 20
x + 8 − 8 = 20 − 8      ← 両方から8を取った
        x = 12

確かめ\(x = 12\) を元の式に入れると、左辺 \(12 + 8 = 20\)、右辺 \(20\)。一致するので正解です。まちがった式のほうは、左辺12・右辺20で一致しません。

6. 左の皿から3が引かれている状態なので、両辺に3を足します(引かれているものを打ち消すには足します)。

x − 3 = 6
x − 3 + 3 = 6 + 3      ← 両辺に3を足した
        x = 9

確かめ\(x = 9\) を元の式に入れると、左辺 \(9 - 3 = 6\)、右辺 \(6\)。一致するので正解です。

このように、求めたxを元の式に戻して左辺と右辺を計算する習慣をつけてください。次のレッスンで、この作業を「代入」という名前で詳しく扱います。

次のレッスンへ

次は、いま最後にやった「求めた数を元の式に戻して確かめる」操作を、代入という言葉で正式に扱います。答えが合っているかを自分で判定できるようになると、解いたあとの不安がなくなります。

次のレッスンへ 代入して確かめる →

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:「=」は答えの合図ではない

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    等式が「成り立つ」とは、どういうことですか。
  2. 設問 1
    $x + 6 = 14$ で、左辺からだけ $6$ を取り除いてはいけないのは、なぜですか。
  3. 設問 2
    天びんの左の皿に $x + 9$、右の皿に $21$ が乗ってつり合っています。左の皿から $9$ を取り除いたとき、つり合いを保つには右の皿をどうすればよいですか。
  4. 設問 3
    $x - 7 = 12$ を天びんの考え方で解き、求めた値を元の式に代入して確かめました。すべて正しいものはどれですか。
  5. 設問 4
    ある人が $9 + 7 = 16 - 4 = 12$ と書きました。この式のどこがいけませんか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。