LESSON 01

方程式との出会い

代入して確かめる

文字を数に置き換える「代入」を定義し、左辺と右辺を別々に計算して見比べる型を身につける。負の数の代入でかっこが必要な理由と、答えが場面に合うかの吟味まで扱う。

代入して確かめる

このレッスンでできるようになること

  • 式の中の文字を数に置き換える代入ができ、式の値を求められる。
  • 左辺と右辺を別々に計算して見比べ、その数が方程式の解かどうかを判定できる。
  • 負の数を代入するときにかっこが必要な理由を説明でき、答えが場面に合うかまで確かめられる。

前のレッスンの確認

このレッスンで実際に使う言葉だけ、先に思い出しておきます。

  • 左辺 … 等号の左側にある式
  • 右辺 … 等号の右側にある式
  • 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
  • … その方程式を成り立たせる、文字の値
  • 文字式の約束 … ×は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/÷は使わず分数の形(\(x \div 3\)\(\dfrac{x}{3}\))/足し算は省略できない

前のレッスンの最後に、求めた \(x\) を元の式に戻して確かめる操作が出てきました。あの操作には名前があります。今日はその名前と、正しい書き方を身につけます。

代入とは、文字を数に置き換えること

式の中の文字を、数に置き換えることを代入するといいます。

\(2x + 1\)\(x\) に 5 を入れてみましょう。ここで効いてくるのが「×は省く」という約束です。\(2x\)\(2 \times x\) の「×」を省いた形なので、\(x\) を 5 に置き換えると、省いていた「×」が戻ってきます。

2x + 1 の x に 5 を代入すると

2 × 5 + 1

\(x\) に 3 を代入すれば \(2 \times 3 + 1\) です。文字がいた場所に、選んだ数がそのまま座るイメージです。

代入は文字を数に置き換えること 式 2x+1 の x の場所を箱と見て、その箱に 5 を入れると 2×5+1 になり、計算すると 11 になるまでの流れを、上から下へ四段で示した図。 ① もとの式 2x + 1 ② 箱と見る 2 × + 1 入れる数 5 ③ 代入した式 2 × 5 + 1 ④ 計算した結果 = 11

式の値

代入したあと、その式を計算した結果を、その式の式の値といいます。\(2 \times 5 + 1 = 11\) なので、「\(x = 5\) のときの \(2x + 1\) の式の値は 11」と言います。\(x\) が変われば式の値も変わります。

\(x\) の値 代入した式 式の値
3 \(2 \times 3 + 1\) 7
5 \(2 \times 5 + 1\) 11
8 \(2 \times 8 + 1\) 17

\(2x + 1\) は等号がないので方程式ではありませんが、代入して式の値を出すことはできます。代入は文字を数に置き換える操作であって、方程式だけの話ではありません。

解かどうかは、左辺と右辺を別々に計算して決める

\(2x + 1 = 11\) に戻ります。\(x = 5\) はこの方程式の解でしょうか。

ここで、これから何度も使う書き方の型を決めます。左辺と右辺を別々に計算して、最後に見比べるという型です。

左辺 = 2 × 5 + 1 = 10 + 1 = 11
右辺 = 11
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
左辺と右辺を別々に計算して見比べる流れ 方程式 2x+1=11 に x=5 を代入し、左辺と右辺をそれぞれ別に計算して、どちらも 11 になることを確かめ、x=5 が解だと判断するまでの流れ図。 2x + 1 = 11 に x = 5 を代入 左辺 = 2x + 1 = 2 × 5 + 1 = 11 右辺 = 11 文字がないので そのまま 左辺 = 右辺 なので x=5 は解

なぜ1行で書き流さないのか

\(2 \times 5 + 1 = 11\) と1行で書いても答えは同じです。ではなぜ分けるのか。\(x = 4\) のときに1行で書いてみると分かります。

2 × 4 + 1 = 11

この行は「\(9 = 11\)」と言っています。9 と 11 は等しくないので、これはまちがった等式です。型で書けばこうなります。

左辺 = 2 × 4 + 1 = 9
右辺 = 11
左辺 と 右辺 がちがうので x=4 は解ではない

こちらはどの行も正しいことしか言っていません。1行書きは、まだ分からない段階で「等しい」と決めつけてしまう書き方なのです。

負の数を代入するときは、かっこを付ける

\(x = -3\)\(2x - 1\) に代入します。\(2x\)\(2 \times x\) ですから、\(x\) の場所に \(-3\) が座って \(2 \times (-3)\) になります。かっこを付けないとどうなるか、実際に書いてみましょう。

2 × −3 − 1

「×」と「−」が並んでしまいました。こう書くと × − の部分を目で追えず、「×」を見落として

2 − 3 − 1 = −2

と読んでしまいます。正しい値は次のとおりで、\(-2\) とはまったくちがう数です。

2x − 1 = 2 × (−3) − 1 = −6 − 1 = −7

負の数を代入するときは、必ずかっこで囲む。 見た目の問題ではなく、記号が2つ並んで読めなくなるのを防ぐための決まりです。

文字が2か所以上に出る式に代入する

\(3x + 2 = x + 8\) のように、左辺にも右辺にも \(x\) がある式があります。守ることはひとつです。式の中のすべての \(x\) に、同じ数を入れる。

\(x = 3\) がこの方程式の解かどうか、いまの型で調べてみましょう。

左辺 = 3 × 3 + 2 = 9 + 2 = 11
右辺 = 3 + 8 = 11
左辺 = 右辺 なので x=3 は解

左辺には 3 が2つ並びました。前の 3 は \(3x\) にもとからあった「かける数」、後ろの 3 はいま代入した \(x\) の値で、同じ数字でも役割はちがいます。どちらが代入した数なのかを意識して書いてください。

\(x\) は「まだ分かっていないひとつの数の名前」です。同じ式に何か所出てきても、全部同じ数を指しています。だから片方だけ 3 にして、もう片方を \(x\) のまま残すことはできません。

式が成り立っても、場面に合わないことがある

もうひとつ、別の確かめが必要です。

「クラブの部員が何人かいて、12人がやめたら8人になった。はじめは何人いたか」という場面を考えます。はじめの人数を \(x\) 人とし、\(x + 12 = 8\) という式を作って解いたら、\(x = -4\) になったとします。代入すると左辺は \(-4 + 12 = 8\)、右辺は 8 で、式としては成り立っています。

✗ 式が成り立ったから、人数は −4 人です
○ 式は成り立っているが、人数が −4 人ということはありえない。
   式の作り方のほうを見直す

人数は 0 人以上の整数です。\(-4\) 人という人数は存在しません。「ペンの本数を \(x\) 本」として \(x = 2.5\) が出たときも同じで、ペン 2.5 本は存在しません。

何を確かめるか 見るところ 合わないときにすること
式の検算 代入して左辺と右辺が同じ数になるか 計算をやり直す
場面の確かめ 人数・本数・長さとしてありうる数か 何を \(x\) としたか、どの2つの数量を等しいとしたかを見直す

式の検算が通ったのに場面に合わないときは、計算は正しいのです。まちがっているのは式の作り方のほうで、そこを直さないかぎり何度計算しても同じ答えが出ます。

今日の問い

\(4x - 1 = x + 8\)\(x = 3\) を代入したら、左辺は 11 になりました。これで「\(x = 3\) は解です」と言ってよいでしょうか。

言えません。左辺が 11 だと分かっただけでは、右辺と同じかどうかが分かっていないからです。右辺も別に計算します。

左辺 = 4 × 3 − 1 = 12 − 1 = 11
右辺 = 3 + 8 = 11
左辺 = 右辺 なので x=3 は解

右辺も 11 になったので、今回はたしかに解でした。しかしそれは右辺を計算して初めて分かったことです。もし右辺が \(x + 9\) なら 12 になり、\(x = 3\) は解ではありませんでした。左辺だけでは何も決まりません。

よくある間違い

まちがい1:かけ算の記号を書き忘れる

\(x = 5\)\(2x\) に代入するとき、

✗ 25
○ 2 × 5 = 10

\(2x\)\(2 \times x\) の「×」を省いた形です。\(x\) を 5 に置き換えるときは、省いていた「×」を戻します。数字をそのまま並べると 25 という別の数になります。

まちがい2:負の数を代入するのにかっこを付けない

\(x = -3\)\(2x - 1\) に代入するとき、

✗ 2 × −3 − 1
○ 2 × (−3) − 1 = −6 − 1 = −7

✗ の式は「×」と「−」が並んでいて読めません。実際に多いのが、これを \(2 - 3 - 1 = -2\) と読みちがえるまちがいです。かっこを付ければ、どこからどこまでが1つの数かがはっきりします。

まちがい3:左辺だけ計算して、解かどうかを決めてしまう

\(x = 4\)\(5x - 2 = 13\) の解かを調べるとき、

✗ 左辺 = 5 × 4 − 2 = 18 だから成り立つ。x=4 は解
○ 左辺 = 5 × 4 − 2 = 20 − 2 = 18
  右辺 = 13
  左辺 と 右辺 がちがうので x=4 は解ではない

左辺が 18 と出ても、それだけでは何も分かりません。右辺 13 と見比べて初めて判定できます。

まちがい4:片方の辺の x だけを数に置き換える

\(x = 3\)\(3x + 2 = x + 8\) の解かを調べるとき、

✗ 3 × 3 + 2 = x + 8
○ 左辺 = 3 × 3 + 2 = 9 + 2 = 11
  右辺 = 3 + 8 = 11
  左辺 = 右辺 なので x=3 は解

✗ の行は、左辺の \(x\) だけ 3 にして、右辺の \(x\) を置き忘れています。右辺に \(x\) が残っている限り右辺の値は決まらず、見比べることもできません。

自分で確かめよう

紙に書いてから、答えを開いてください。

  1. \(x = 4\)\(3x - 5\) に代入して、式の値を求めましょう。
  2. \(x = 6\)\(2x - 3 = 9\) の解ですか。左辺と右辺を別々に計算して答えましょう。
  3. \(x = -2\)\(4x + 3\) に代入して、式の値を求めましょう。
  4. \(x = 5\)\(3x - 4 = x + 6\) の解ですか。
  5. 「クラブの人数を \(x\) 人」として式を作り、解いたら \(x = -4\) になりました。代入すると左辺と右辺は同じ数になりました。この答えをどう判断すればよいですか。
  6. 次は、\(x = -3\)\(5x + 2\) に代入した人の書き方です。まちがいが始まっている行はどれですか。その行から正しく書き直しましょう。
1行目  5x + 2
2行目  = 5 × −3 + 2
3行目  = 5 − 3 + 2
4行目  = 4
答えと考え方

1. \(x = 4\)\(3x - 5\) に代入する

3x − 5 = 3 × 4 − 5 = 12 − 5 = 7

各行の理由:\(3x\)\(3 \times x\) なので、\(x\) に 4 を入れて「×」を戻し \(3 \times 4\)。かけ算を先に計算して 12。そこから 5 を引いて 7。

式の値は 7 です。

検算:3 を 4 個たすと \(3 + 3 + 3 + 3 = 12\)。そこから 5 を引くと 7。別のやり方でも 7 になりました。

2. \(x = 6\)\(2x - 3 = 9\) の解か

左辺 = 2 × 6 − 3 = 12 − 3 = 9
右辺 = 9
左辺 = 右辺 なので x=6 は解

各行の理由:左辺は \(2x\)\(x\) に 6 を入れて「×」を戻し \(2 \times 6\)、かけ算を先にして 12、3 を引いて 9。右辺は文字がないのでそのまま 9。どちらも 9 で等しいので解です。

検算:\(x = 5\) を入れると左辺 \(= 2 \times 5 - 3 = 7\)、右辺 \(= 9\) でちがう数になります。\(x = 6\) のときだけ左辺と右辺が 9 でそろいました。

3. \(x = -2\)\(4x + 3\) に代入する

4x + 3 = 4 × (−2) + 3 = −8 + 3 = −5

各行の理由:\(4x\)\(x\)\(-2\) を入れる。負の数なのでかっこで囲んで \(4 \times (-2)\)。かけ算を先に計算して \(-8\)。3 をたして \(-5\)

式の値は \(-5\) です。

検算:数直線で \(-8\) から右へ 3 進むと \(-5\)。合っています。なお、かっこを付けずに 4 × −2 + 3 と書くと \(4 - 2 + 3 = 5\) と読みちがえ、符号まで反対の答えになります。

4. \(x = 5\)\(3x - 4 = x + 6\) の解か

左辺 = 3 × 5 − 4 = 15 − 4 = 11
右辺 = 5 + 6 = 11
左辺 = 右辺 なので x=5 は解

各行の理由:左辺は \(3x\)\(x\) に 5 を入れて 15、4 を引いて 11。右辺の \(x\) にも同じ 5 を入れて \(5 + 6 = 11\)。左辺と右辺の \(x\) に同じ数を入れたことがポイントです。

検算:\(x = 4\) を入れると左辺 \(= 3 \times 4 - 4 = 8\)、右辺 \(= 4 + 6 = 10\) でちがう数になります。\(x = 5\) のときだけ 11 と 11 で並びました。

5. \(x = -4\) になったときの判断

代入して左辺と右辺が同じ数になったのですから、式としては成り立っています。計算まちがいではありません。

しかし人数は 0 人以上の整数です。\(-4\) 人という人数は存在しないので、これを問題の答えにはできません。

やり直すのは計算ではなく式の作り方です。何を \(x\) としたか、どの2つの数量を等しいとしたかを見直します。たとえば増えた分と減った分を取りちがえて、たし算とひき算が反対になっていることがあります。

検算の考え方:式の検算(代入して左辺 = 右辺か)と、場面の確かめ(その数が人数としてありうるか)は別々に行います。今回は前者に合格し、後者で不合格だった、ということです。

6. まちがいが始まっている行と、正しい書き直し

まちがいが始まっているのは 2行目 です。

2行目で 5 × −3 + 2 と、かっこを付けずに書きました。「×」と「−」が並んで読めなくなり、その結果 3行目で「×」が消えて \(5 - 3 + 2\) になっています。3行目は 2行目のまちがいから生まれた行なので、直すのは 2行目からです。

1行目  5x + 2
2行目  = 5 × (−3) + 2   (負の数はかっこで囲んで代入する)
3行目  = −15 + 2        (かけ算を先に計算する)
4行目  = −13

式の値は \(-13\) です。

検算:\(-15\) に 2 をたすと \(-13\)。もとの誤答は 4 でしたから、かっこ1組のあるなしで 4 と \(-13\) というまったくちがう答えに分かれることが分かります。

次のレッスンへ

代入という名前と、左辺と右辺を別々に計算して見比べる型が手に入りました。これで、ある数が解かどうかを自分で判定できます。

次は「数当て問題を方程式にする」です。言葉で書かれた数当て問題を、自分の手で方程式に直していきます。作った式が場面に合っているかも、今日の代入で確かめられます。

次のレッスンへ 数当て問題を方程式にする →

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:代入して確かめる

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「代入」とは何をすることですか。
  2. 設問 1
    $x = -4$ を $3x + 1$ に代入するとき、$-4$ をかっこで囲むのは、なぜですか。
  3. 設問 2
    $x = -4$ を $3x + 1$ に代入したときの式の値はどれですか。
  4. 設問 3
    $x = 4$ が $5x - 6 = 2x + 6$ の解かどうかを調べます。正しい確かめ方はどれですか。
  5. 設問 4
    $x = -5$ を $6x + 2$ に代入した人の書き方です。まちがいが始まっているのはどの行ですか。 1行目 $6x + 2$ 2行目 $= 6 \times -5 + 2$ 3行目 $= 6 - 5 + 2$ 4行目 $= 3$

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。