代入して確かめる
このレッスンでできるようになること
- 式の中の文字を数に置き換える代入ができ、式の値を求められる。
- 左辺と右辺を別々に計算して見比べ、その数が方程式の解かどうかを判定できる。
- 負の数を代入するときにかっこが必要な理由を説明でき、答えが場面に合うかまで確かめられる。
前のレッスンの確認
このレッスンで実際に使う言葉だけ、先に思い出しておきます。
- 左辺 … 等号の左側にある式
- 右辺 … 等号の右側にある式
- 成り立つ … 左辺の値と右辺の値が等しくなること
- 解 … その方程式を成り立たせる、文字の値
- 文字式の約束 … ×は省く/数を文字の前に書く/1は書かない/÷は使わず分数の形(\(x \div 3\) は \(\dfrac{x}{3}\))/足し算は省略できない
前のレッスンの最後に、求めた \(x\) を元の式に戻して確かめる操作が出てきました。あの操作には名前があります。今日はその名前と、正しい書き方を身につけます。
代入とは、文字を数に置き換えること
式の中の文字を、数に置き換えることを代入するといいます。
\(2x + 1\) の \(x\) に 5 を入れてみましょう。ここで効いてくるのが「×は省く」という約束です。\(2x\) は \(2 \times x\) の「×」を省いた形なので、\(x\) を 5 に置き換えると、省いていた「×」が戻ってきます。
2x + 1 の x に 5 を代入すると
2 × 5 + 1
\(x\) に 3 を代入すれば \(2 \times 3 + 1\) です。文字がいた場所に、選んだ数がそのまま座るイメージです。
式の値
代入したあと、その式を計算した結果を、その式の式の値といいます。\(2 \times 5 + 1 = 11\) なので、「\(x = 5\) のときの \(2x + 1\) の式の値は 11」と言います。\(x\) が変われば式の値も変わります。
| \(x\) の値 | 代入した式 | 式の値 |
|---|---|---|
| 3 | \(2 \times 3 + 1\) | 7 |
| 5 | \(2 \times 5 + 1\) | 11 |
| 8 | \(2 \times 8 + 1\) | 17 |
\(2x + 1\) は等号がないので方程式ではありませんが、代入して式の値を出すことはできます。代入は文字を数に置き換える操作であって、方程式だけの話ではありません。
解かどうかは、左辺と右辺を別々に計算して決める
\(2x + 1 = 11\) に戻ります。\(x = 5\) はこの方程式の解でしょうか。
ここで、これから何度も使う書き方の型を決めます。左辺と右辺を別々に計算して、最後に見比べるという型です。
左辺 = 2 × 5 + 1 = 10 + 1 = 11
右辺 = 11
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
なぜ1行で書き流さないのか
\(2 \times 5 + 1 = 11\) と1行で書いても答えは同じです。ではなぜ分けるのか。\(x = 4\) のときに1行で書いてみると分かります。
2 × 4 + 1 = 11
この行は「\(9 = 11\)」と言っています。9 と 11 は等しくないので、これはまちがった等式です。型で書けばこうなります。
左辺 = 2 × 4 + 1 = 9
右辺 = 11
左辺 と 右辺 がちがうので x=4 は解ではない
こちらはどの行も正しいことしか言っていません。1行書きは、まだ分からない段階で「等しい」と決めつけてしまう書き方なのです。
負の数を代入するときは、かっこを付ける
\(x = -3\) を \(2x - 1\) に代入します。\(2x\) は \(2 \times x\) ですから、\(x\) の場所に \(-3\) が座って \(2 \times (-3)\) になります。かっこを付けないとどうなるか、実際に書いてみましょう。
2 × −3 − 1
「×」と「−」が並んでしまいました。こう書くと × − の部分を目で追えず、「×」を見落として
2 − 3 − 1 = −2
と読んでしまいます。正しい値は次のとおりで、\(-2\) とはまったくちがう数です。
2x − 1 = 2 × (−3) − 1 = −6 − 1 = −7
負の数を代入するときは、必ずかっこで囲む。 見た目の問題ではなく、記号が2つ並んで読めなくなるのを防ぐための決まりです。
文字が2か所以上に出る式に代入する
\(3x + 2 = x + 8\) のように、左辺にも右辺にも \(x\) がある式があります。守ることはひとつです。式の中のすべての \(x\) に、同じ数を入れる。
\(x = 3\) がこの方程式の解かどうか、いまの型で調べてみましょう。
左辺 = 3 × 3 + 2 = 9 + 2 = 11
右辺 = 3 + 8 = 11
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
左辺には 3 が2つ並びました。前の 3 は \(3x\) にもとからあった「かける数」、後ろの 3 はいま代入した \(x\) の値で、同じ数字でも役割はちがいます。どちらが代入した数なのかを意識して書いてください。
\(x\) は「まだ分かっていないひとつの数の名前」です。同じ式に何か所出てきても、全部同じ数を指しています。だから片方だけ 3 にして、もう片方を \(x\) のまま残すことはできません。
式が成り立っても、場面に合わないことがある
もうひとつ、別の確かめが必要です。
「クラブの部員が何人かいて、12人がやめたら8人になった。はじめは何人いたか」という場面を考えます。はじめの人数を \(x\) 人とし、\(x + 12 = 8\) という式を作って解いたら、\(x = -4\) になったとします。代入すると左辺は \(-4 + 12 = 8\)、右辺は 8 で、式としては成り立っています。
✗ 式が成り立ったから、人数は −4 人です
○ 式は成り立っているが、人数が −4 人ということはありえない。
式の作り方のほうを見直す
人数は 0 人以上の整数です。\(-4\) 人という人数は存在しません。「ペンの本数を \(x\) 本」として \(x = 2.5\) が出たときも同じで、ペン 2.5 本は存在しません。
| 何を確かめるか | 見るところ | 合わないときにすること |
|---|---|---|
| 式の検算 | 代入して左辺と右辺が同じ数になるか | 計算をやり直す |
| 場面の確かめ | 人数・本数・長さとしてありうる数か | 何を \(x\) としたか、どの2つの数量を等しいとしたかを見直す |
式の検算が通ったのに場面に合わないときは、計算は正しいのです。まちがっているのは式の作り方のほうで、そこを直さないかぎり何度計算しても同じ答えが出ます。
今日の問い
\(4x - 1 = x + 8\) に \(x = 3\) を代入したら、左辺は 11 になりました。これで「\(x = 3\) は解です」と言ってよいでしょうか。
言えません。左辺が 11 だと分かっただけでは、右辺と同じかどうかが分かっていないからです。右辺も別に計算します。
左辺 = 4 × 3 − 1 = 12 − 1 = 11
右辺 = 3 + 8 = 11
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
右辺も 11 になったので、今回はたしかに解でした。しかしそれは右辺を計算して初めて分かったことです。もし右辺が \(x + 9\) なら 12 になり、\(x = 3\) は解ではありませんでした。左辺だけでは何も決まりません。
よくある間違い
まちがい1:かけ算の記号を書き忘れる
\(x = 5\) を \(2x\) に代入するとき、
✗ 25
○ 2 × 5 = 10
\(2x\) は \(2 \times x\) の「×」を省いた形です。\(x\) を 5 に置き換えるときは、省いていた「×」を戻します。数字をそのまま並べると 25 という別の数になります。
まちがい2:負の数を代入するのにかっこを付けない
\(x = -3\) を \(2x - 1\) に代入するとき、
✗ 2 × −3 − 1
○ 2 × (−3) − 1 = −6 − 1 = −7
✗ の式は「×」と「−」が並んでいて読めません。実際に多いのが、これを \(2 - 3 - 1 = -2\) と読みちがえるまちがいです。かっこを付ければ、どこからどこまでが1つの数かがはっきりします。
まちがい3:左辺だけ計算して、解かどうかを決めてしまう
\(x = 4\) が \(5x - 2 = 13\) の解かを調べるとき、
✗ 左辺 = 5 × 4 − 2 = 18 だから成り立つ。x=4 は解
○ 左辺 = 5 × 4 − 2 = 20 − 2 = 18
右辺 = 13
左辺 と 右辺 がちがうので x=4 は解ではない
左辺が 18 と出ても、それだけでは何も分かりません。右辺 13 と見比べて初めて判定できます。
まちがい4:片方の辺の x だけを数に置き換える
\(x = 3\) が \(3x + 2 = x + 8\) の解かを調べるとき、
✗ 3 × 3 + 2 = x + 8
○ 左辺 = 3 × 3 + 2 = 9 + 2 = 11
右辺 = 3 + 8 = 11
左辺 = 右辺 なので x=3 は解
✗ の行は、左辺の \(x\) だけ 3 にして、右辺の \(x\) を置き忘れています。右辺に \(x\) が残っている限り右辺の値は決まらず、見比べることもできません。
自分で確かめよう
紙に書いてから、答えを開いてください。
- \(x = 4\) を \(3x - 5\) に代入して、式の値を求めましょう。
- \(x = 6\) は \(2x - 3 = 9\) の解ですか。左辺と右辺を別々に計算して答えましょう。
- \(x = -2\) を \(4x + 3\) に代入して、式の値を求めましょう。
- \(x = 5\) は \(3x - 4 = x + 6\) の解ですか。
- 「クラブの人数を \(x\) 人」として式を作り、解いたら \(x = -4\) になりました。代入すると左辺と右辺は同じ数になりました。この答えをどう判断すればよいですか。
- 次は、\(x = -3\) を \(5x + 2\) に代入した人の書き方です。まちがいが始まっている行はどれですか。その行から正しく書き直しましょう。
1行目 5x + 2
2行目 = 5 × −3 + 2
3行目 = 5 − 3 + 2
4行目 = 4
答えと考え方
1. \(x = 4\) を \(3x - 5\) に代入する
3x − 5 = 3 × 4 − 5 = 12 − 5 = 7
各行の理由:\(3x\) は \(3 \times x\) なので、\(x\) に 4 を入れて「×」を戻し \(3 \times 4\)。かけ算を先に計算して 12。そこから 5 を引いて 7。
式の値は 7 です。
検算:3 を 4 個たすと \(3 + 3 + 3 + 3 = 12\)。そこから 5 を引くと 7。別のやり方でも 7 になりました。
2. \(x = 6\) は \(2x - 3 = 9\) の解か
左辺 = 2 × 6 − 3 = 12 − 3 = 9
右辺 = 9
左辺 = 右辺 なので x=6 は解
各行の理由:左辺は \(2x\) の \(x\) に 6 を入れて「×」を戻し \(2 \times 6\)、かけ算を先にして 12、3 を引いて 9。右辺は文字がないのでそのまま 9。どちらも 9 で等しいので解です。
検算:\(x = 5\) を入れると左辺 \(= 2 \times 5 - 3 = 7\)、右辺 \(= 9\) でちがう数になります。\(x = 6\) のときだけ左辺と右辺が 9 でそろいました。
3. \(x = -2\) を \(4x + 3\) に代入する
4x + 3 = 4 × (−2) + 3 = −8 + 3 = −5
各行の理由:\(4x\) の \(x\) に \(-2\) を入れる。負の数なのでかっこで囲んで \(4 \times (-2)\)。かけ算を先に計算して \(-8\)。3 をたして \(-5\)。
式の値は \(-5\) です。
検算:数直線で \(-8\) から右へ 3 進むと \(-5\)。合っています。なお、かっこを付けずに 4 × −2 + 3 と書くと \(4 - 2 + 3 = 5\) と読みちがえ、符号まで反対の答えになります。
4. \(x = 5\) は \(3x - 4 = x + 6\) の解か
左辺 = 3 × 5 − 4 = 15 − 4 = 11
右辺 = 5 + 6 = 11
左辺 = 右辺 なので x=5 は解
各行の理由:左辺は \(3x\) の \(x\) に 5 を入れて 15、4 を引いて 11。右辺の \(x\) にも同じ 5 を入れて \(5 + 6 = 11\)。左辺と右辺の \(x\) に同じ数を入れたことがポイントです。
検算:\(x = 4\) を入れると左辺 \(= 3 \times 4 - 4 = 8\)、右辺 \(= 4 + 6 = 10\) でちがう数になります。\(x = 5\) のときだけ 11 と 11 で並びました。
5. \(x = -4\) になったときの判断
代入して左辺と右辺が同じ数になったのですから、式としては成り立っています。計算まちがいではありません。
しかし人数は 0 人以上の整数です。\(-4\) 人という人数は存在しないので、これを問題の答えにはできません。
やり直すのは計算ではなく式の作り方です。何を \(x\) としたか、どの2つの数量を等しいとしたかを見直します。たとえば増えた分と減った分を取りちがえて、たし算とひき算が反対になっていることがあります。
検算の考え方:式の検算(代入して左辺 = 右辺か)と、場面の確かめ(その数が人数としてありうるか)は別々に行います。今回は前者に合格し、後者で不合格だった、ということです。
6. まちがいが始まっている行と、正しい書き直し
まちがいが始まっているのは 2行目 です。
2行目で 5 × −3 + 2 と、かっこを付けずに書きました。「×」と「−」が並んで読めなくなり、その結果 3行目で「×」が消えて \(5 - 3 + 2\) になっています。3行目は 2行目のまちがいから生まれた行なので、直すのは 2行目からです。
1行目 5x + 2
2行目 = 5 × (−3) + 2 (負の数はかっこで囲んで代入する)
3行目 = −15 + 2 (かけ算を先に計算する)
4行目 = −13
式の値は \(-13\) です。
検算:\(-15\) に 2 をたすと \(-13\)。もとの誤答は 4 でしたから、かっこ1組のあるなしで 4 と \(-13\) というまったくちがう答えに分かれることが分かります。
次のレッスンへ
代入という名前と、左辺と右辺を別々に計算して見比べる型が手に入りました。これで、ある数が解かどうかを自分で判定できます。
次は「数当て問題を方程式にする」です。言葉で書かれた数当て問題を、自分の手で方程式に直していきます。作った式が場面に合っているかも、今日の代入で確かめられます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。