LESSON 01

説明文・論説文の抽象語

説明文・論説文の抽象語:文章・入試問題で使い切る

入試の語彙問題(空欄補充・語義選択)と論説文の読解で、抽象語を対と組み立てと文中の説明から決め、記述の答えに使う力までまとめます。

説明文・論説文の抽象語:文章・入試問題で使い切る

このレッスンの役割

ここは「説明文・論説文の抽象語」の出口です。対と組み立てで見当をつける考え方、四段階の手順、誤りの四つの型を、入試の語彙問題と論説文の読解で通して使います。

中心技能は、抽象語の意味を文中で決め、空欄補充や語義選択に答え、記述の答えに抽象語を使えることです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

抽象語は、三つの形で出ます。

  1. 空欄補充:「( )的な意見ではなく( )的な事実に基づく」のように、対の語を入れる
  2. 語義選択:「──線部『相対的』の意味として最も適切なものを選べ」
  3. 読解と記述:抽象語の意味が分からないと設問が解けない。記述では、抽象語を自分の言葉で言い換えて答える

どの形でも、対の語、組み立て、文中の説明の三つを使います。

総合問題

問1

次の文の空欄に入る語の組み合わせを選びなさい。

科学は( A )的な印象ではなく、( B )的に確かめられる事実を積み重ねて進む。

ア A主観・B客観 イ A客観・B主観 ウ A具体・B抽象 エ A特殊・B普遍

問2

次の──線部「普遍的」の意味として適切なものを選びなさい。

人を思いやる心は、時代や国を超えた普遍的な価値である。

ア めずらしい イ どこでも誰にでも通じる ウ 昔からある エ 大切な

問3

次の文の「契機」を別の言葉で言い換えなさい。

友人の一言を契機に、彼は進路を考え直した。

問4

次の文章を読み、「逆説」の意味を文中の説明から答えなさい。

「急がば回れ」は逆説である。急ぐなら近道を行くべきだと思えるのに、遠回りのほうが結局早いという、一見矛盾した中に真理がある言い方だからだ。

問5

次の文の──線部の読みを書きなさい。

矛盾した説明では、読者を説得できない。

答えと判断

問1

ア。「印象」は自分の感じ方なので「主観」、「確かめられる事実」は誰が見ても同じなので「客観」。「〜ではなく」で対になっています。

問2

イ。「時代や国を超えた」が文中の説明で、「どこでも誰にでも通じる」と言い換えられます。対は「特殊」です。

問3

「きっかけ」。契(結ぶ)+機(きっかけ)で、「〜を契機に、〜した」は変化の始まりを示す形です。

問4

「一見矛盾しているように見えて、実は真理を含んでいる言い方」。文中の「一見矛盾した中に真理がある」がそのまま説明です。「逆の説明」ではありません。

問5

「むじゅん」。矛(ほこ)と盾(たて)の故事から、つじつまが合わないことです。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1でイ 主観と客観を取り違えた よくある誤りを見抜いて直す(型②)
問2でエ 日常の意味で「大切」と読んだ よくある誤りを見抜いて直す(型①)
問3で「約束」 組み立ての「契」だけで決めた 判断手順を一行ずつ使う(段階2・3)
問4で「逆の説明」 字面で決めつけた よくある誤りを見抜いて直す(型④)
問5で「ぼじゅん」 読みを知らない 意味と手掛かりをつかむ

論説文の中で使う

次の段落の、筆者の主張を一文で言ってみましょう。

現代の都市は、効率を最優先に設計されてきた。しかし、効率という単一の基準で画一的に整えられた空間は、人の多様な過ごし方を排除してしまう。都市には、効率とは別の、相対的で多様な価値を認める余地が必要だ。

「画一的」「多様」「相対的」が骨組みです。「画一(みな同じ型)」と「多様(さまざま)」が対、「相対的(比べて決まる、一つに固定しない)」が「効率という単一の基準」の反対です。主張は「都市は効率だけでなく、さまざまな価値を認める余地を持つべきだ」です。抽象語を対で読むと、主張が取れます。

記述で抽象語を使う

「どういうことか」と問われたら、抽象語を自分の言葉で言い換えて答えます。逆に、「筆者の考えをまとめよ」では、本文の抽象語をそのまま使うと短く正確にまとまります。

設問 抽象語の扱い
〜とはどういうことか 自分の言葉で言い換える(画一的→みな同じ型に)
筆者の主張をまとめよ 本文の抽象語を使う(多様な価値を認めるべきだ)

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
対の語を思い出したか 主観/客観、普遍/特殊、絶対/相対
文中の説明を探したか つまり・たとえば・〜ではなく・〜とは
日常の軽い意味で読んでいないか 絶対・必然・適当
似た字の語と取り違えていないか 概念/観念、対照/対象
自分の言葉で言い換えたか 記述の答えに使える形か

よくある間違い

語彙問題を暗記だけで解こうとする

空欄補充は、対の語と「〜ではなく」の構造で解けます。文の構造を見ます。

読解で抽象語を飛ばして読む

骨組みの語を飛ばすと主張が取れません。抽象語で止まり、対と説明で意味を決めます。

記述で抽象語をそのまま写すだけ

「どういうことか」の設問では言い換えが求められます。設問の型で使い分けます。

自分で説明しよう

確認1:抽象語の意味を文中で決める三つの手掛かり

対になる語、漢字の組み立て、文中の言い換えや具体例(つまり・たとえば・〜ではなく)です。

確認2:空欄補充で対の語を入れるときの手掛かり

「〜ではなく」「一方」などの対比の構造と、前後の語(印象→主観、事実→客観)です。

確認3:記述で抽象語をどう扱いますか

「どういうことか」なら自分の言葉で言い換え、「主張をまとめよ」なら本文の抽象語を使います。

セクションの出口

入試の語彙問題で抽象語を対と構造から選び、論説文で抽象語から主張を取り、記述で言い換えて使えたら完了です。

次のセクション「文章の中で読み書きしよう」では、ここまでの読み・意味・書きを、短い文章の空欄補充と書き取りで一体として使います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:抽象語を入試で使う

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「科学は( A )的な印象ではなく、( B )的に確かめられる事実を積み重ねて進む。」に入る組み合わせはどれですか。
  2. 設問 1
    「人を思いやる心は、時代や国を超えた普遍的な価値である」の「普遍的」の意味はどれですか。
  3. 設問 2
    「矛盾」の読みはどれですか。
  4. 設問 3
    「〜とはどういうことか」と問われたとき、抽象語はどう扱いますか。
  5. 設問 4
    「効率という単一の基準で画一的に整えられた空間」の「画一的」の対になる語はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。