LESSON 01

熟字訓・特別な読み方

熟字訓・特別な読み方:意味と手掛かりをつかむ

一字ずつの音訓では読めず、語全体に読みが当てられた熟字訓の仕組みを知り、意味とまとまりで覚える入口をつかみます。

熟字訓・特別な読み方:意味と手掛かりをつかむ

このレッスンの役割

ここまでは、漢字一字の音訓、形声文字の音符、熟語の組み立てなど、「字から読みや意味を導く」方法を扱いました。ここでは、その方法が使えない語を扱います。

今回の中心技能は、一字ずつの音訓では読めない語(熟字訓)があることを知り、それを語全体のまとまりと意味で覚える、という考え方を身につけることです。目安時間は8分です。

今日の問い

「大人」を一字ずつ読むと、「大(ダイ・おお)」「人(ジン・ひと)」です。でも、この語は「おとな」と読みます。「お・と・な」のどの音も、「大」「人」の音訓にはありません。

このように、二字以上の語全体に、一つの訓(日本語)を当てた読みを熟字訓といいます。「今日(きょう)」「明日(あす)」「昨日(きのう)」「今朝(けさ)」「大人(おとな)」「一人(ひとり)」「二人(ふたり)」「眼鏡(めがね)」「果物(くだもの)」「時雨(しぐれ)」などです。

なぜ字から読めないのか

熟字訓は、先に日本語の言葉(おとな、くだもの)があり、あとから意味の合う漢字を当てたものです。漢字の音を組み合わせて作った語ではないので、字から読みは導けません。

日本語の言葉 当てた漢字 漢字を当てた理由
くだもの 果物 木になる実(果)の物
めがね 眼鏡 眼のための鏡
しぐれ 時雨 時々降る雨
なだれ 雪崩 雪が崩れる
たなばた 七夕 七月七日の夕べ

意味から漢字を当てているので、漢字から意味は分かるのに、漢字から読みは分からないという逆転が起きます。これが熟字訓の特徴です。

覚え方の基本:語をまとまりで

熟字訓は、一字ずつではなく、語全体を一つのまとまりとして覚えます。

  1. 語を見て、意味を言う(「果物」→木の実などの食べ物)
  2. 意味から、日本語の言葉を思い出す(→くだもの)
  3. 漢字と読みを、意味を仲立ちにして結ぶ

「果物」を「か・もの」と読もうとするのは、一字ずつ読もうとしているからです。意味を先に取れば、「くだもの」が出てきます。

入試でよく出る熟字訓

分野 語
時・日 今日(きょう)・明日(あす)・昨日(きのう)・今朝(けさ)・今年(ことし)・二十日(はつか)
人 大人(おとな)・一人(ひとり)・二人(ふたり)・博士(はかせ)・息子(むすこ)・迷子(まいご)・玄人(くろうと)・素人(しろうと)
自然・季節 時雨(しぐれ)・五月雨(さみだれ)・梅雨(つゆ)・吹雪(ふぶき)・雪崩(なだれ)・紅葉(もみじ)・景色(けしき)・日和(ひより)
物 眼鏡(めがね)・果物(くだもの)・土産(みやげ)・風邪(かぜ)・足袋(たび)・浴衣(ゆかた)・竹刀(しない)
その他 上手(じょうず)・下手(へた)・田舎(いなか)・行方(ゆくえ)・名残(なごり)・笑顔(えがお)・真面目(まじめ)・最寄り(もより)

二通りに読める語

同じ漢字でも、熟字訓と音読みの両方がある語があります。

語 熟字訓 音読み 使い分け
今日 きょう こんにち 「今日は暑い」/「今日の社会では」
明日 あす・あした みょうにち ふだんは「あす・あした」
紅葉 もみじ こうよう 木の名前・葉そのもの/葉が色づく現象
清水 しみず せいすい 地名や湧き水/清らかな水
上手 じょうず (うわて・かみて) 得意/優位・舞台の向き

文脈でどちらか決まります。「今日の社会」を「きょうの社会」と読むと意味がずれます。

よくある間違い

一字ずつ読もうとする

「今朝」を「いまあさ」、「果物」を「かぶつ」と読む誤りです。意味を先に取り、日本語の言葉を思い出します。

音読みの熟語と決めつける

「時雨」を「じう」と読んでも語になりません。音読みで意味のある語にならなければ、熟字訓を疑います。

熟字訓を知らないことを「漢字が弱い」と思う

熟字訓は、字から導けないので、知らなければ読めないのが当たり前です。語として一つずつ覚えるものです。

自分で確かめよう

確認1:「眼鏡」の読みと、字から読めない理由

「めがね」です。先に「めがね」という日本語があり、「眼のための鏡」という意味で漢字を当てたので、字の音訓とは関係がありません。

確認2:「紅葉」の二つの読みと使い分け

「もみじ」は木の名前や葉そのもの、「こうよう」は葉が色づく現象を指します。「紅葉狩り(もみじがり)」「紅葉が進む(こうよう)」です。

確認3:熟字訓を覚えるとき、何を仲立ちにしますか

意味です。語を見て意味を言い、意味から日本語の言葉を思い出して、漢字と読みを結びます。

まとめと次の一歩

熟字訓は、日本語の言葉に意味の合う漢字を当てた語なので、字から読みは導けません。語全体を一つのまとまりとして、意味を仲立ちに覚えます。二通りに読める語は文脈で決めます。

次のレッスンでは、熟字訓かどうかを見分け、意味から読みを引き出す手順を一行ずつ使います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:熟字訓の仕組み

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    熟字訓とはどのような読みですか。
  2. 設問 1
    「果物」の読みはどれですか。
  3. 設問 2
    熟字訓を覚えるとき、漢字と読みを結ぶ仲立ちにするものは何ですか。
  4. 設問 3
    「時雨」の読みはどれですか。
  5. 設問 4
    「紅葉が進む」のように、葉が色づく現象を指すときの「紅葉」の読みはどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。