間違えやすい漢字の形:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
ここまでは、読みと意味の判断を扱いました。このセクションでは、意味も読みも分かっているのに、形で落とす誤りを扱います。
今回の中心技能は、字形の誤りを「点や線の有無」「似た部品の取り違え」「形の近い別の字」の三つの原因に分け、部品の意味を手掛かりに正しい形を覚えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「博士」の「博」と、「専門」の「専」。右上に点があるのはどちらでしょうか。
「博」には点があり、「専」にはありません。意味も読みも分かっている人が、ここで落とします。字形の誤りは、知識不足ではなく、どこを見ればよいかを知らないことで起きます。
字形の誤りの三つの原因
| 原因 | 起きていること | 例 |
|---|---|---|
| ① 点や線の有無 | 一画あるかないかを覚えていない | 博/専、犬/太/大、末/未、士/土、牛/午 |
| ② 似た部品の取り違え | 部品が一つだけちがう字を混同する | 微/徴、複/復/腹、績/積/責、講/構/購 |
| ③ 形の近い別の字 | 全体の形が似た別の字を書く | 暮/募/墓/幕、延/廷、綱/網/鋼、概/慨 |
原因が分かれば、何を見て覚えればよいかが決まります。
手掛かりは「部品の意味」
形で覚えようとすると、似た字を見分けられません。部品が何を表しているかで覚えると、見分けがつきます。
| 字 | 部品 | 意味の手掛かり |
|---|---|---|
| 暮 | 日 | 日が暮れる |
| 募 | 力 | 力を集める(募集) |
| 墓 | 土 | 土に埋める |
| 幕 | 巾(布) | 布のまく |
四つとも上が同じ「莫」です。下の部品が「日・力・土・巾」で、それぞれ意味を表しています。「募集」なら「力を集める」ので「力」、「墓地」なら「土」。意味から下の部品が決まります。
例題1:「複」「復」「腹」
| 字 | 部品 | 意味 | 熟語 |
|---|---|---|---|
| 複 | ころもへん | 重ねる(衣を重ねる) | 複数・複雑 |
| 復 | ぎょうにんべん | もとへ戻る(道を戻る) | 回復・往復 |
| 腹 | にくづき | 体の部分 | 腹痛・空腹 |
右側はすべて同じです。左の部首が意味を表しているので、「おなか」なら「にくづき」、「戻る」なら「ぎょうにんべん」、「重なる」なら「ころもへん」と決まります。
例題2:「末」と「未」
「末」は上の横線が長く、「未」は下の横線が長いです。意味で覚えます。「末」は「すえ・終わり」で、木の先端を長い線で示した字。「未」は「まだ〜ない」で、木の枝がまだ伸びきっていない様子を短い線で示した字です。「週末」「未来」と熟語とセットにすると定着します。
例題3:「博」の点
「博」の右上の点は、音符「尃(フ)」の一部です。「専」にはありません。「博」の仲間の「薄」「簿」「縛」にも点があります。仲間でそろえて覚えると、一字ずつ覚えるより確実です。
よくある間違い
字全体の印象で覚える
似た字は印象では区別できません。ちがう部品だけに注目して、その部品の意味を言います。
書けたら終わりにする
書けた直後は形が残っていますが、翌日には消えます。手本を閉じて書き、翌日もう一度書く、を繰り返します。
読めるから書けると思う
「博」と「専」は読めても、点の有無は書くときにしか問われません。書く練習をしなければ、字形は定着しません。
自分で確かめよう
確認1:「募集」の「募」の下の部品と、その理由
「力」です。人を集めるために力をつくす、という意味を表しています。「墓」なら「土」、「幕」なら「巾」です。
確認2:「往復」の「復」の部首と、その理由
「ぎょうにんべん」です。道を行って戻る、という意味を表しています。「複」はころもへん、「腹」はにくづきです。
確認3:「博」と「専」で点があるのはどちらですか
「博」です。仲間の「薄」「簿」にも点があります。「専」にはありません。
まとめと次の一歩
字形の誤りは、点や線の有無、似た部品の取り違え、形の近い別の字、の三つに分けられます。ちがう部品に注目し、その部品の意味を言えれば、似た字を見分けられます。
次のレッスンでは、迷う字に出会ったときに、部品の意味で正しい形を決める手順を一行ずつ使います。
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