熟字訓・特別な読み方:文章・入試問題で使い切る
このレッスンの役割
ここは「熟字訓・特別な読み方」の出口です。熟字訓の仕組み、四段階の手順、誤りの四つの型を、入試形式の読み問題と文章の中で通して使います。
中心技能は、熟字訓を含む語を文脈に合わせて正しく読み、どの段階で判断したか説明することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
熟字訓は、漢字の読みの問題で毎年のように出ます。「次の──線部の読みを平仮名で書きなさい」という形で、「名残」「行方」「日和」「最寄り」「吹雪」などが出題されます。二通りに読める語は、文脈で読みが決まる形で出ます。
本番では次の順に考えます。
- 音読みで語になるか試す
- ならなければ、意味を取って日本語の言葉を思い出す
- 二通りあるなら、文脈の意味で選ぶ
- 送り仮名・促音・濁りまで含めて書く
- 読めなくても、意味が取れていれば読解は進める
総合問題
──線部の読みを平仮名で書き、判断した段階も書いてください。
問1
台風の行方が気になる。
問2
絶好の運動会日和になった。
問3
今日の日本社会では、少子化が大きな課題である。
問4
駅の最寄りの出口で待ち合わせる。
問5
春の名残を惜しむように、桜の花びらが舞った。
答えと判断
問1
「ゆくえ」。「こうほう」では語にならず、「行った先」という意味から引き出します。
問2
「びより」。「日和」は「ひより」ですが、「運動会日和」のようにあとに付くと濁って「びより」になります。語の形ごと覚えます。
問3
「こんにち」。「現代の」という意味なので音読みです。「きょう」と読むと「この日の日本社会」になり、文脈に合いません。
問4
「もより」。「最寄り」は「り」を送る形で、いちばん近いという意味です。
問5
「なごり」。「めいざん」では語にならず、「残っている気配・余韻」という意味から引き出します。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「いきかた」 | 一字ずつ読んだ | 意味と手掛かりをつかむ |
| 問2で「ひより」 | 濁りを落とした | よくある誤りを見抜いて直す(型④) |
| 問3で「きょう」 | 二通りの読みを文脈で選ばなかった | 判断手順を一行ずつ使う(段階3) |
| 問4で「さいき」 | 音読みで押し通した | よくある誤りを見抜いて直す(型②) |
| 問5で「めいざん」 | 音読みで押し通した | 判断手順を一行ずつ使う(段階1) |
文章の中で使う
読解問題の本文には、読めなくても意味が取れれば進める熟字訓が出ます。
祖母は田舎の家で、縁側に座って時雨の音を聞いていた。
「田舎(いなか)」「時雨(しぐれ)」が読めなくても、「田と舎(建物)」から都会でない場所、「時々の雨」から雨の一種だと分かれば、情景は取れます。設問が読みを問うなら答える必要がありますが、内容を問うなら意味だけで解けます。読めない語で止まらず、意味を取って進むことが読解では大切です。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 音読みで語になるか | ならなければ熟字訓 |
| 意味から言葉を引き出したか | 一字ずつ読んでいないか |
| 二通りある語か | 今日・明日・紅葉・清水・上手 |
| 語の形は正確か | 送り仮名(最寄り)・促音(真っ赤)・濁り(小春日和) |
| 平仮名で書いたか | 読み問題は平仮名指定が多い |
よくある間違い
読みが出ない語で止まって読解を進めない
意味が取れれば読解は進みます。読みは設問が要求するときだけ答えます。
二通りある語を、見慣れた方で読む
「今日」はふだん「きょう」ですが、「今日の社会」は「こんにち」です。文脈で選びます。
読みは合っているが形を落とす
「もより」と読めても、書き取りで「最寄」と書けば不正解です。読みと形はセットで覚えます。
自分で説明しよう
確認1:熟字訓とは何か、一文で
二字以上の語全体に一つの日本語の読みを当てたもので、字の音訓からは読みを導けない語です。
確認2:熟字訓を読む手順
音読みで語になるか試し、ならなければ意味を取って日本語の言葉を思い出し、二通りあれば文脈で選び、語の形ごと書きます。
確認3:読解の中で熟字訓が読めないとき
字の意味から語の意味を取り、情景や内容をつかんで読み進めます。読みは設問が求めるときだけ確かめます。
セクションの出口
入試形式で熟字訓を文脈に合わせて読み、二通りの読みを選び分け、読めなくても意味を取って読解を進められたら完了です。
次のセクション「教科で使う漢字と語彙」では、数学・理科・社会の教科書に出る漢字語を、意味と一緒に身につけます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。