教科で使う漢字と語彙:よくある誤りを見抜いて直す
このレッスンの役割
教科語の誤りは、教科のテストでは「意味の取り違え」として、国語のテストでは「読み書きの誤り」として現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、どの段階で崩れたかを見つけて直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「日常の意味で読んだ」「対になる語を混同した」「似た字を取り違えた」「読みを誤った」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
ある生徒が、理科の問題「飽和水溶液とは何か」に「水が飽きるほど入った水溶液」と答えました。どこで崩れたのでしょうか。
「飽」の日常の意味「飽きる」で読んでいます。組み立てで「満ちる」と見当をつけるところまではよいのですが、段階3の定義「溶質がそれ以上溶けなくなった状態」で確定していません。日常の意味で止まった型①です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 日常の意味で読む | 教科の定義で確定しない | 仮定=もしも、圧力=プレッシャー、抽象=あいまい | 教科書の定義で確定する |
| ② 対になる語の混同 | 片方だけ覚えて取り違える | 震源と震央、歳入と歳出、融解と溶解 | 対で並べて境目を言う |
| ③ 似た字の取り違え | 字形の近い別の語を書く | 堆積→推積、融解→溶解、侵食→浸食 | 部品の意味で分ける |
| ④ 読みの誤り | 音符や慣用の読みを知らない | 荘園→そうえん、還元→かんがん、凝固→ぎょうこ以外 | 音符と熟語で読みを固定する |
型①を直す:定義で確定する
| 語 | 日常の意味 | 教科の定義 |
|---|---|---|
| 仮定 | もしも | 証明で与えられている条件 |
| 圧力 | プレッシャー | 面積あたりに垂直に押す力 |
| 抽象 | あいまい | 共通する性質を取り出すこと(数学・国語) |
| 供給 | あたえる | 売りたい量(経済) |
| 器官 | 役所のような組織 | 特定の働きをする体の部分(理科) |
教科書の定義を一文で言えるかを確かめます。
型②を直す:対で境目を言う
| 対 | 境目 |
|---|---|
| 震源/震央 | 地下の地点/その真上の地表 |
| 歳入/歳出 | 入る収入/出る支出 |
| 融解/凝固 | 固体→液体/液体→固体 |
| 蒸発/沸騰 | 表面から気体に/内部からも気体に |
| 促成/抑制 | 早める/遅らせる |
| 顕性/潜性 | 現れる形質/隠れる形質 |
片方を問われたら、もう片方も言ってから答えると取り違えません。
型③を直す:部品の意味
| 正しい語 | 誤りやすい形 | 部品の意味 |
|---|---|---|
| 堆積 | 推積 | 堆=土が高く積もる(つちへん) |
| 融解 | 溶解 | 融=とける(固体が液体に)。溶解は「溶質が液体にとける」で別の語 |
| 侵食 | 浸食 | 侵=おかす(けずる)。「浸食」も使われるが教科書は「侵食」 |
| 沸騰 | 沸謄 | 騰=のぼる(うまへん) |
| 摂関 | 接関 | 摂=摂政の摂(てへん) |
「融解」と「溶解」は、どちらも理科の語ですが意味がちがいます。氷が水になるのは「融解」、砂糖が水にとけるのは「溶解」です。
型④を直す:読みを固定する
| 語 | 読み | 手掛かり |
|---|---|---|
| 荘園 | しょうえん | 「荘」はショウ(別荘) |
| 還元 | かんげん | 「元」はゲン(元気) |
| 凝固 | ぎょうこ | 「凝」はギョウ |
| 扇状地 | せんじょうち | 「扇」はセン(扇風機) |
| 殖産興業 | しょくさんこうぎょう | 「殖」はショク(養殖) |
| 律令 | りつりょう | 「令」はリョウ(この語では) |
読みは、その字を使う別の熟語(別荘・元気・養殖)で固定します。
例題:どの型か
「地震の震央を答えなさい」に、地下の地点を答えた。
型②です。震央は震源の真上の地表の地点。「源(地下)」と「央(地表の中心)」を対で並べれば分けられます。
「氷が水になる変化」を「溶解」と書いた。
型③です。固体が液体になるのは「融解」。「溶解」は物質が液体にとけることです。
よくある間違い
教科のテストの誤りを「暗記不足」で済ませる
定義で確定していない、対で並べていない、など原因は手順にあります。段階で見直します。
国語の書き取りで教科語を軽く見る
「供給」「貿易」「憲法」「蒸発」は国語の入試でも出ます。教科語は国語の語彙でもあります。
似た語を「どちらも同じ」と思う
「融解」と「溶解」は別の現象です。似た語ほど境目を言います。
自分で確かめよう
確認1:「圧力」を「押す力」とだけ答えた誤りの型と直し方
型①です。教科の定義は「面積あたりに垂直に押す力」で、「面積あたり」が抜けています。定義で確定します。
確認2:「歳出」を「一年間の収入」と答えた誤りの型と直し方
型②です。歳出は支出、歳入が収入。対で並べて「入る/出る」の境目を言います。
確認3:「推積」と書いた誤りの型と直し方
型③です。「堆」はつちへんで、土が高く積もる意味。「堆積」が正しい形です。
まとめと次の一歩
誤りは、日常の意味で読む、対になる語の混同、似た字の取り違え、読みの誤り、の四つに分けられます。定義で確定する、対で境目を言う、部品の意味で分ける、熟語で読みを固定する、で直せます。
次のレッスンでは、国語の入試で出る教科語の読み書きと、教科書の文章の読み取りを通して使います。
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