漢字のつくりから読みを推測しよう:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
前のセクションでは、部首から漢字の「意味」の方向を考えました。このセクションでは、漢字のもう一つの部品から「読み」を考えます。
今回の中心技能は、漢字を部品に分け、どの部品が音を表しているかを見つけることです。目安時間は8分です。漢字そのものを覚えるのではなく、「見たことのない漢字に出会ったとき、どこを見るか」を身につけます。
今日の問い
次の五つの漢字に共通する部品は何でしょうか。そして、読みはどうなっているでしょうか。
清・晴・精・請・静
すべてに「青」が入っています。読みは、清(セイ)、晴(セイ)、精(セイ)、請(セイ)、静(セイ)で、音読みがそろっています。
「青」そのものの音読みも「セイ」です。つまり「青」は、これらの漢字の中で音を表す部品として働いています。
形声文字という仕組み
漢字の多くは、二つの部品を組み合わせて作られています。
| 部品 | 役割 | 「清」の場合 |
|---|---|---|
| 意味を表す部品(意符) | その漢字が何の仲間かを示す。多くは部首 | さんずい → 水に関係する |
| 音を表す部品(音符) | その漢字の音読みを示す | 青 → セイ |
このように「意味の部品+音の部品」でできた漢字を形声文字といいます。常用漢字の八割以上がこの仕組みでできているので、ここを使えるようになると、初めて見る漢字の読みに見当をつけられます。
同じ音符を持つ仲間をもう少し見てみましょう。
| 音符 | 音 | 同じ音符を持つ漢字 |
|---|---|---|
| 同 | ドウ | 銅・胴・洞 |
| 寺 | ジ | 時・持・侍 |
| 反 | ハン | 飯・板・版・販 |
| 丁 | テイ | 訂・頂・停 |
「候補を作る」のであって「決める」のではない
音符は、読みを仮決めするための手掛かりです。同じ音符でも、読みが少し変わることがあります。
| 音符 | 読みが同じ例 | 読みが変わる例 |
|---|---|---|
| 方(ホウ) | 訪(ホウ)・芳(ホウ) | 防(ボウ)・坊(ボウ) |
| 支(シ) | 枝(シ) | 技(ギ)・岐(キ) |
| 工(コウ) | 功(コウ)・攻(コウ) | 空(クウ) |
濁音になる、母音が変わる、という変化はよくあります。ですから、音符から読みの候補を作ったら、熟語や文の意味に戻して確かめるところまでが一つの判断です。
読みを推測する四段階
- 漢字を部品に分ける
- 部首でない側の部品を「音符かもしれない」と見る
- その部品を持つ知っている漢字を思い出し、読みの候補を作る
- 熟語や文に戻し、意味が通るか確かめる
このセクションでは、この四段階を一つずつ練習します。
例題:「銅像」の「銅」
「銅」を見たことがないとします。
- 部品は「金」と「同」
- 「金」は部首で、金属の仲間を表す。「同」が音符の候補
- 「同」を持つ漢字は「同(ドウ)」「胴(ドウ)」。読みの候補は「ドウ」
- 「ドウゾウ」と読んで、「金属で作った像」という意味が通る
金属の仲間で「ドウ」と読む、と仮決めできました。これが形声文字の使い方です。
よくある間違い
部首を音符だと思う
「清」のさんずいは意味の部品です。さんずいから「セイ」という音は出てきません。部首と音符は役割が違います。
音符があれば必ず同じ読みだと思う
「空(クウ)」の音符は「工(コウ)」です。候補は作れますが、そのままではありません。候補を作ったら必ず確かめます。
すべての漢字に音符があると思う
「明」「林」「休」のように、意味の部品だけを組み合わせた漢字(会意文字)や、形をかたどった漢字(象形文字)には音符がありません。見当がつかなければ、別の手掛かりに切り替えます。
自分で確かめよう
確認1:「晴天」の「晴」の音符は何ですか
「青」です。「日」は部首で、太陽や天気に関係する意味を表します。「青(セイ)」から「セイテン」と読めます。
確認2:「版画」の「版」の読みを、音符から考えてください
音符は「反(ハン)」です。「飯」「板」も「ハン」なので、「ハンガ」と仮決めし、「木の板に彫って刷る絵」という意味が通ることで確定します。
確認3:音符から作った読みを、そのまま答えにしてはいけない理由
同じ音符でも、濁音になったり母音が変わったりする漢字があるからです。熟語や文の意味に戻して確かめる必要があります。
まとめと次の一歩
漢字の多くは「意味の部品+音の部品」でできています。音の部品を見つければ、読みの候補が作れます。ただし候補は候補なので、最後は文に戻して確かめます。
次のレッスンでは、この四段階を実際の漢字で一行ずつたどり、読みが少し変わる型にも対応できるようにします。
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