送り仮名を正しく書こう:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
前のセクションでは、熟語の組み立てを扱いました。ここからは、漢字と仮名の境目、つまり送り仮名をどこにするかを扱います。
今回の中心技能は、送り仮名が「語の形が変わる部分を仮名で書く」という一つの考え方で決まっていることを理解し、動詞・形容詞・形容動詞の基本の送り方を説明できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「みじかい」を漢字で書くとき、「短い」と「短かい」のどちらが正しいでしょうか。
正しいのは「短い」です。理由は、この語の形が変わるときに、変わるのは「い」の部分だからです。
短い・短く・短ければ・短かった
「か」は変わらず、「い・く・けれ・かっ」が変わります。変わる部分を仮名で書くのが送り仮名の基本です。だから「短い」です。
送り仮名の基本:活用する部分を送る
日本語の動詞・形容詞・形容動詞は、あとに続く言葉によって語の終わりの形が変わります(活用)。送り仮名は、この変わる部分(活用語尾)から送るのが原則です。
| 語 | 形の変化 | 変わらない部分 | 送り仮名 |
|---|---|---|---|
| 書く | 書か・書き・書く・書け | 書 | 書く |
| 生きる | 生き・生きる・生きれ | 生 | 生きる |
| 高い | 高く・高い・高けれ | 高 | 高い |
| 静かだ | 静かだ・静かに・静かな | 静 | 静かだ |
形容動詞「静かだ」は「だ・に・な」が変わりますが、「か」は変わりません。それでも「静かだ」と「か」から送るのは、次の決まりがあるからです。
基本に付け足す三つの決まり
| 決まり | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| ① 「しい」で終わる形容詞 | 「し」から送る | 美しい・新しい・楽しい・正しい |
| ② 「か・やか・らか」を含む形容動詞 | その音から送る | 静かだ・暖かだ・細やかだ・明らかだ |
| ③ もとの語に合わせる | 派生した語は、もとの語の送り方にそろえる | 動かす(←動く)・集まる(←集める)・暖かい(←暖まる)・重んじる(←重い) |
③が、入試でいちばん役立つ決まりです。「あつまる」を「集る」と書きそうになったら、「集める」から来た語なので「集まる」とそろえる、と考えます。
例題:「あらわす」はどう書くか
「表す」が標準の書き方です。活用を見ると「表さ・表し・表す・表せ」で、変わるのは「す」の部分だからです。「表わす」も許されている書き方ですが、標準は「表す」です。
同じ考え方で、「行う」「断る」も標準です。「行なう」「断わる」は許されてはいますが、入試の答案では標準の形で書きます。
名詞は原則として送らない
「月」「花」「山」のように、形の変わらない名詞には送り仮名を付けません。ただし、動詞や形容詞から転じた名詞は、もとの語の送り方を残します。
| 名詞 | もとの語 | 書き方 |
|---|---|---|
| うごき | 動く | 動き |
| こたえ | 答える | 答え |
| あつさ | 暑い | 暑さ |
| かなしみ | 悲しい | 悲しみ |
例外として、慣用で送り仮名を付けない名詞があります。「話」「光」「氷」「志」「係」「組」「畳」などです。「話し」と書くのは動詞「話す」の連用形のときだけで、名詞の「はなし」は「話」です。
よくある間違い
読める部分まで漢字にしてしまう
「短かい」「少い」「新らしい」は、どれも誤りです。「短い」「少ない」「新しい」が正しい形で、活用で変わる部分だけを送ります。「少ない」は「少な・少なく・少なけれ」と変わるので「な」から送ります。
名詞と動詞を同じに書く
「話をする」の「話」は名詞なので送りません。「友だちと話す」の「話す」は動詞なので「す」を送ります。品詞で書き分けます。
もとの語を考えない
「暖かい」を「暖い」と書く誤りは、「暖まる」「暖める」から来た語だと考えれば防げます。
自分で確かめよう
確認1:「あたらしい」の正しい送り仮名は何ですか
「新しい」です。「しい」で終わる形容詞は「し」から送ります。「新らしい」は誤りです。
確認2:「あつまる」を「集る」と書いてはいけない理由を説明してください
「集まる」は「集める」から派生した語なので、もとの語の送り方にそろえて「ま」から送ります。
確認3:「はなし」を名詞として書くとき、送り仮名はどうしますか
付けません。「話」と書きます。「話し」は動詞「話す」が活用した形です。
まとめと次の一歩
送り仮名は、語の形が変わる部分から送るのが基本です。「しい」形容詞は「し」から、「か・やか・らか」を含む形容動詞はその音から、派生した語はもとの語にそろえます。名詞は原則送らず、動詞や形容詞から転じた名詞はもとの送り方を残します。
次のレッスンでは、この決まりを手順にして、迷う語でも同じ順で判断できるようにします。
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