熟字訓・特別な読み方:よくある誤りを見抜いて直す
このレッスンの役割
熟字訓の誤りは、「知らない」だけでなく、「知っている語を別の読み方で読んでしまう」ことでも起きます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、どの段階で崩れたかを見つけて直します。
今回の中心技能は、誤った読みを見て「一字ずつ読んだ」「音読みで押し通した」「二通りの読みを取り違えた」「送り仮名や濁りを落とした」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
ある人が「今朝」を「いまあさ」と読み、別の人が「今朝」を「こんちょう」と読みました。どちらも誤りですが、原因は同じでしょうか。
ちがいます。「いまあさ」は一字ずつ訓で読んだ誤り、「こんちょう」は音読みで押し通した誤りです。どちらも、「けさ」という日本語の言葉を意味から引き出す段階を飛ばしています。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 一字ずつ読む | 各字の訓を並べる | 今朝→いまあさ、果物→かもの | 意味を取って語全体の言葉を思い出す |
| ② 音読みで押し通す | 語にならないのに音で読む | 時雨→じう、雪崩→せっぽう | 語にならなければ熟字訓を疑う |
| ③ 二通りの読みの取り違え | 文脈に合わない方を選ぶ | 今日の社会→きょうのしゃかい | 文脈の意味で選ぶ |
| ④ 送り仮名や濁りの落とし | 語の形を正確に覚えていない | 最寄→もより(「り」が要る)、小春日和→こはるひより | 語の形をまとまりで覚える |
型①を直す:意味が先
| 語 | 一字ずつ読んだ誤り | 意味 | 正しい読み |
|---|---|---|---|
| 果物 | かもの | 木の実などの食べ物 | くだもの |
| 大人 | おおひと | 成長した人 | おとな |
| 景色 | けいいろ | 眺め | けしき |
| 行方 | いきかた | 行った先 | ゆくえ |
意味を言ってから、その意味の日本語を思い出します。
型②を直す:語になるかの確かめ
| 語 | 音読みの誤り | 判断 | 正しい読み |
|---|---|---|---|
| 時雨 | じう | 語にならない | しぐれ |
| 雪崩 | せっぽう | 語にならない | なだれ |
| 五月雨 | ごがつう | 語にならない | さみだれ |
| 眼鏡 | がんきょう | 語になる(専門語)が、ふつうは熟字訓 | めがね |
音読みで語にならなければ、熟字訓を疑います。「眼鏡(がんきょう)」のように専門語として音読みがある語もありますが、入試で問われるのは熟字訓の「めがね」です。
型③を直す:文脈で選ぶ
| 語 | 読み | 文脈 |
|---|---|---|
| 今日 | きょう/こんにち | この日/現代 |
| 明日 | あす・あした/みょうにち | ふだん/改まった場面 |
| 紅葉 | もみじ/こうよう | 木・葉そのもの/色づく現象 |
| 上手 | じょうず/うわて/かみて | 得意/優位・相撲の組み手/舞台の向き |
| 清水 | しみず/せいすい | 湧き水・地名/清らかな水 |
どちらも正しい読みなので、文脈の意味に合う方を選びます。「今日の社会」は「現代の社会」なので「こんにち」です。
型④を直す:語の形
| 語 | 落としやすい点 | 正しい形 |
|---|---|---|
| 最寄り | 「り」を送る | もより |
| 名残 | 送り仮名なし | なごり |
| 日和 | 送り仮名なし | ひより(小春日和は「びより」) |
| 真っ赤 | 「っ」を送る | まっか |
| 二十日 | 「にじゅうにち」ではない | はつか |
| 二十歳 | 「にじゅっさい」ではない | はたち |
熟字訓は語全体で一つの形なので、送り仮名や促音、濁りまで含めて覚えます。
例題:どの型か
「息子」を「そくし」と読んだ。
音読みで押し通した型②です。語にならないので、「自分の男の子」という意味から「むすこ」を引き出します。
「紅葉狩りに行く」を「こうようがり」と読んだ。
型③です。「紅葉狩り」は色づいた葉を見に行くことで、「もみじがり」と読みます。
よくある間違い
読めなかった語を「知らなかった」で済ませる
型①や②は、知っていた語でも起きます。意味を取る段階を飛ばしていないかを確かめます。
二通りある語をどちらかに固定する
「今日」は文脈で変わります。固定すると、半分の場面で誤ります。
読みだけ覚えて語の形を覚えない
「最寄」と書いて「もより」と読ませる問題はありません。「最寄り」という形ごと覚えます。
自分で確かめよう
確認1:「景色」を「けいしょく」と読んだ誤りの型と直し方
型②です。「けいしょく」は語にならないので、「眺め」という意味から「けしき」を引き出します。
確認2:「清水寺」の「清水」の読み
「きよみず」です。地名や寺の名前は、その土地の読みで覚えます。湧き水は「しみず」、清らかな水は「せいすい」です。
確認3:「小春日和」の読みで落としやすい点
「日和」が「ひより」ではなく「びより」と濁ることです。語全体で「こはるびより」と覚えます。
まとめと次の一歩
誤りは、一字ずつ読む、音読みで押し通す、二通りの読みの取り違え、送り仮名や濁りの落とし、の四つに分けられます。意味を先に取る、語になるか確かめる、文脈で選ぶ、語の形ごと覚える、で直せます。
次のレッスンでは、入試形式の読み問題で熟字訓を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。