教科で使う漢字と語彙:判断手順を一行ずつ使う
このレッスンの役割
前のレッスンで、教科語は組み立てで見当をつけ、定義で確定することを知りました。ここでは、その読み方を手順にして、教科書で初めて見る語に当てられるようにします。
今回の中心技能は、「読みを決める → 組み立てで見当をつける → 教科書の定義で確定する → 対になる語と並べて例文を作る」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
理科の教科書に「還元」という語が出てきました。どう読んで、どう意味を取ればよいでしょうか。
手順で進めます。読みは「かんげん」。組み立ては「還る(もとへ戻る)+元」で「元へ戻す」。教科書の定義は「酸化物から酸素を取り去る化学変化」。対になる語は「酸化(酸素と結びつく)」。例文は「酸化銅を炭素で還元すると銅ができる」。これで、語が使える状態になります。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「還元」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 読みを決める(音符や熟語の知識を使う) | かんげん(「元」はゲン) |
| 2 | 組み立てで意味の見当をつける | 元へ還す → もとに戻す |
| 3 | 教科書の定義で確定する | 酸化物から酸素を取り去る変化 |
| 4 | 対になる語と並べ、例文を作る | 酸化↔還元。「酸化銅を還元する」 |
段階4の「対になる語」が、教科語を定着させる鍵です。教科語は多くが対で出てきます。
対になる語の例
| 教科 | 対になる語 |
|---|---|
| 数学 | 比例↔反比例、合同↔相似、仮定↔結論、展開↔因数分解、最大値↔最小値 |
| 理科 | 酸化↔還元、融解↔凝固、蒸発↔凝縮、震源↔震央、動脈↔静脈、顕性↔潜性 |
| 社会 | 歳入↔歳出、需要↔供給、輸出↔輸入、立法↔司法↔行政、促成栽培↔抑制栽培 |
片方を覚えるとき、もう片方も一緒に並べると、意味の境目がはっきりします。
例題1:「抑制栽培」(社会)
- よくせいさいばい(「抑」はヨク、「制」はセイ)
- 抑える+制する+栽培 → 成長を抑える栽培
- 定義:出荷時期を遅らせる栽培(高原の涼しい気候を利用)
- 促成栽培(早める)↔抑制栽培(遅らせる)。「長野県では高原野菜の抑制栽培がさかん」
例題2:「錯角」(数学)
- さっかく(「錯」はサク、「交錯」の錯)
- 錯=交わる・入れちがう → 入れちがいの位置の角
- 定義:二直線に一直線が交わるとき、交線をはさんで反対側にある内側の角
- 同位角(同じ位置)・対頂角(対の頂点)と並べる。「平行線の錯角は等しい」
「錯覚」の「錯」と同じ字ですが、数学では「入れちがう」の意味で使います。
例題3:「飽和」(理科)
- ほうわ(「飽」はホウ、「飽食」の飽)
- 飽きる(満ちる)+和(まざる) → 満ちてこれ以上まざらない
- 定義:溶質がそれ以上溶けなくなった状態
- 飽和水溶液・飽和水蒸気量と並べる。「飽和水溶液を冷やすと結晶が出る」
段階1で読みが出ないとき
教科語には、読みにくい漢字が含まれます。形声文字の音符(前のセクション)を使います。
| 語 | 音符からの手掛かり |
|---|---|
| 荘園(しょうえん) | 荘=壮(ソウ)に近い → ショウ |
| 堆積(たいせき) | 堆=隹を含む → タイ |
| 扇状地(せんじょうち) | 扇(セン) |
| 凝固(ぎょうこ) | 凝=疑(ギ)に近い → ギョウ |
読みが出なくても、組み立てで意味が取れれば教科書は読めます。読みは授業で確かめます。
よくある間違い
段階3を飛ばして組み立てだけで決める
「仮定」を「仮に定める」と取って「もしも」で止まると、証明で使う意味とずれます。定義で確定します。
対になる語を別々に覚える
「歳入」だけ覚えると、「歳出」が出たときに混同します。必ず対で並べます。
例文を作らない
定義だけでは、問題文の中で使われたときに気づけません。教科書の例文を一つ書き写すか、自分で作ります。
自分で確かめよう
確認1:「需要」を四段階で
じゅよう → 需(もとめる)+要(いる)→ 必要として求めること → 定義:買いたいという欲求・量 → 供給↔需要。「需要が供給を上回ると価格が上がる」。
確認2:「凝固」の対になる語と意味
「融解」です。凝固は液体が固体になる変化、融解は固体が液体になる変化です。
確認3:教科語を定着させるために段階4でやること
対になる語と並べ、教科書の例文を一つ確かめるか、自分で例文を作ります。
まとめと次の一歩
手順は、読みを決める、組み立てで見当をつける、教科書の定義で確定する、対になる語と並べて例文を作る、の四段階です。対で覚えると意味の境目がはっきりします。
次のレッスンでは、教科語でよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
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