間違えやすい漢字の形:よくある誤りを見抜いて直す
このレッスンの役割
字形の誤りは、答案では「×」一つですが、原因は字ごとにちがいます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、どの原因で崩れたかを見つけて直します。
今回の中心技能は、誤った字を見て「一画の過不足」「部首の取り違え」「突き抜けと止めの混同」「形の近い別の字」のどれかを言い、直す方法を選べることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「専門」の「専」に右上の点を付けて書いた人と、「成績」を「成積」と書いた人は、同じ原因でしょうか。
ちがいます。前者は一画の過不足、後者は部首の取り違えです。前者は仲間でそろえて覚え、後者は部首の意味で覚えます。原因がちがえば、直し方もちがいます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 一画の過不足 | 点や横線が一つ多い・少ない | 専に点、博に点なし、未と末、士と土 | 仲間でそろえて覚える |
| ② 部首の取り違え | 右側が同じで部首だけちがう字を混同 | 績/積、講/構/購、複/復/腹 | 部首の意味を熟語で確かめる |
| ③ 突き抜けと止めの混同 | 縦線や横線が突き抜けるかどうか | 牛/午、達の中、降の右側 | 突き抜ける字を形で覚える |
| ④ 形の近い別の字 | 部品が複数ちがう別の字を書く | 暮/募/墓/幕、概/慨、綱/網/鋼 | 部品の意味で分ける |
型①を直す:仲間でそろえる
| よく落とす字 | 正しい形 | 仲間 |
|---|---|---|
| 専 | 点なし | 専門・専念 |
| 博 | 点あり | 博・薄・簿・縛 |
| 候 | 中に縦の短い線あり | 気候・候補(「侯」は線なし) |
| 率 | 中央の「幺」の左右に点が四つ | 確率・率いる |
| 卒 | 「九」ではなく「人・人」 | 卒業 |
意味で説明できない画は、熟語と仲間で覚えます。「博・薄・簿」のように同じ部品を持つ字をまとめて書くと、点の有無を一度に固定できます。
型②を直す:部首の意味
| 右側 | 部首ごとの意味 |
|---|---|
| 責 | 績(いとへん=糸の仕事の成果)/積(のぎへん=積む)/責(責任) |
| 冓 | 講(ごんべん=説く)/構(きへん=組む)/購(かいへん=買う) |
| 复 | 複(ころもへん=重なる)/復(ぎょうにんべん=戻る)/腹(にくづき=体) |
| 寺 | 持(てへん=手で持つ)/待(ぎょうにんべん=待つ)/侍(にんべん=人) |
「成績」で迷ったら、「紡績」「功績」から「いとへん」を引き出します。
型③を直す:突き抜ける字
| 字 | 注意する線 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 牛 | 縦線が上に突き抜ける | 牛の角が上に出る |
| 午 | 縦線は突き抜けない | 正午 |
| 達 | 中の「羊」の縦線は下に突き抜けない | 発達・友達 |
| 単 | 上の「ツ」の下に横線が二本、縦が突き抜ける | 単位・簡単 |
突き抜けの有無は、見て覚えるしかありません。書くときに、その線だけを意識して一度書きます。
型④を直す:部品の意味で分ける
| 字 | ちがう部品 | 意味 | 熟語 |
|---|---|---|---|
| 綱 | いとへん | 太いつな | 綱引き・大綱 |
| 網 | いとへん+中に「亡」 | あみ | 網戸・通信網 |
| 鋼 | かねへん | はがね | 鉄鋼・鋼鉄 |
| 概 | きへん | おおむね | 概要・大概 |
| 慨 | りっしんべん | なげく | 感慨・憤慨 |
「概要」は内容のあらまし、「感慨」は心の動き。意味が分かれば部首が決まります。
例題:どの型か
「気候」を「気侯」と書いた。
「候」の中の短い縦線が抜けています。型①一画の過不足です。「候補」「天候」の「候」と仲間でそろえます。
「鉄鋼」を「鉄綱」と書いた。
「はがね」は金属なので「かねへん」です。型④で、部品の意味で直します。
「正午」を「正牛」と書いた。
縦線が突き抜けてしまっています。型③で、「午」は突き抜けないと形で覚えます。
よくある間違い
「字が汚い」で済ませる
丁寧に書いても、点の有無を知らなければ同じ誤りをします。原因を四つの型で分けます。
間違えた字だけを直す
「積」を直しても、「績」「責」の区別がついていなければ、別の語でまた落とします。仲間ごと直します。
読めるから書けると思って練習しない
字形は書く練習でしか定着しません。閉じて書けるかを確かめます。
自分で確かめよう
確認1:「博物館」を「専物館」のような点のない形で書いた誤りの型と直し方
型①一画の過不足です。「博・薄・簿」の仲間でそろえて、点ありで覚えます。
確認2:「講演」を「構演」と書いた誤りの型と直し方
型②部首の取り違えです。言葉で説くので「ごんべん」の「講」。「構造」はきへん、「購入」はかいへんです。
確認3:「感慨」を「感概」と書いた誤りの型と直し方
型④形の近い別の字です。心の動きなので「りっしんべん」の「慨」。「概要」はきへんです。
まとめと次の一歩
誤りは、一画の過不足、部首の取り違え、突き抜けと止めの混同、形の近い別の字、の四つに分けられます。仲間でそろえる、部首の意味、形で覚える、部品の意味、でそれぞれ直せます。
次のレッスンでは、入試の書き取りで、字形の判断を通して使います。
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