文章の中で読み書きしよう:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
ここまでのセクションで、読み(音訓・形声文字・熟字訓)、意味(熟語の組み立て・同音異義語・同訓異字・抽象語)、書き(送り仮名・字形)を分けて扱ってきました。このセクションでは、それらを文章の中で一体として使います。
今回の中心技能は、文章の空欄や片仮名を見たとき、文脈から意味を取り、意味から語を思い出し、漢字で正しく書く、という流れが一つにつながることです。目安時間は8分です。
今日の問い
次の空欄に入る語を、漢字で書いてください。
委員長として、与えられた責任を( )さなければならない。
「責任を〜す」という結びつきから、「果たす」が思い浮かびます。「果たす」の送り仮名は「果たさ・果たし・果たす」と変わるので「た」から送ります。文脈(責任)→ 結びつき(〜を果たす)→ 語(はたす)→ 漢字と送り仮名(果たさ)、と一本につながりました。
文章の中で働く三つの力
| 力 | 文章の中での問われ方 | 使うもの |
|---|---|---|
| 読む | ──線部の読みを書け | 音訓・形声文字・熟字訓 |
| 意味を取る | 空欄に入る語を選べ・──線部の意味を答えよ | 熟語の組み立て・抽象語・文脈 |
| 書く | 片仮名を漢字に直せ・空欄を漢字で埋めよ | 同音異義語・同訓異字・送り仮名・字形 |
空欄補充は、この三つを一度に使う問題です。意味を取って語を決め、漢字で書く、という順になります。
手掛かり①:前後の語との結びつき
語には、一緒に使われる決まった相手があります。空欄の前後にその相手があれば、語が決まります。
| 結びつき | 入る語 |
|---|---|
| 責任を〜す | 果たす |
| 目標を〜する | 達成する |
| 問題を〜する | 解決する |
| 注意を〜う | 払う |
| 関心を〜つ | 持つ |
| 期待に〜える | 応える |
| 影響を〜える | 与える |
| 〜を図る | 解決・改善・向上 |
| 〜に努める | 解決・改善・保全 |
結びつきを知っていると、意味を考える前に語が出てきます。
手掛かり②:同じ段落の言い換え
空欄の語は、同じ段落の別の場所で、別の言葉で言われていることがあります。
山田さんは、どんな困難にも( )しなかった。最後まであきらめずに挑戦を続けたのだ。
「あきらめずに挑戦を続けた」が、空欄の反対の内容です。「あきらめる」の意味の語で、「〜しなかった」に合うのは「屈服」や「挫折」。「困難に屈服する」が自然な結びつきなので「屈服」です。
例題:読み・意味・書きを一度に
新しい制度の導入には、慎重なケントウが必要だ。
- 意味:「慎重に考える」という文脈
- 候補:検討/見当(同音異義語)
- 結びつき:「検討が必要」「見当がつく」。「〜が必要」に合うのは「検討」
- 字形:「検」はきへん、「討」はごんべん
意味 → 候補 → 結びつき → 字形、の順で、同音異義語のセクションと字形のセクションが一つの流れになりました。
よくある間違い
空欄だけ見て、前後を読まない
結びつきの相手は前後にあります。空欄を含む一文を最後まで読みます。
意味は合うが結びつきが不自然な語を入れる
「責任を達成する」は意味が近くても日本語として不自然です。結びつきで確かめます。
語が決まったら安心して、漢字を確かめない
「果す」と書けば送り仮名で不正解です。語が決まったあと、送り仮名と字形を一度見ます。
自分で確かめよう
確認1:「期待に( )える」に入る語と、その漢字
「応える」です。「期待に応える」という結びつきで、「答える」ではありません。送り仮名は「こた・える」で「え」から送ります。
確認2:空欄補充で、意味を考える前に使える手掛かり
前後の語との結びつき(〜を果たす、〜を図る)です。
確認3:語が決まったあとに確かめること
同音異義語でないか、送り仮名は正しいか、字形は正しいか、の三つです。
まとめと次の一歩
文章の中では、読み・意味・書きが一つの流れで働きます。空欄補充は、文脈から意味を取り、結びつきや言い換えで語を決め、同音異義語・送り仮名・字形を確かめて書く、という順です。
次のレッスンでは、この流れを手順にして、空欄補充と書き取りに同じ順で当てられるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。