高校入試・漢字マスターチェック:判断手順を一行ずつ使う
このレッスンの役割
前のレッスンで、問題の形から技能と手掛かりが決まることを確かめました。ここでは、入試本番で使う手順を一つに決め、どの形の漢字問題にも同じ順で当てられるようにします。
今回の中心技能は、「問題の形を見る → 技能と手掛かりを決める → 候補を出して文脈で絞る → 書いたあとに確かめる」の四段階を、読み・書き・意味のどの問題でも一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
次の──線部の片仮名を漢字に直しなさい。「新しい計画にイギを唱える人はいなかった。」
手順で解きます。形は片仮名→漢字の熟語。技能は書きで、手掛かりは同音異義語。候補は「異議」「意義」「威儀」。「唱える」との結びつきと「反対する」という文脈で「異議」。字形は「異」の下が「共」、「議」はごんべん。これで「異議」です。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「イギ」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 問題の形を見る | 片仮名→漢字、熟語 |
| 2 | 技能と手掛かりを決める | 書き、同音異義語 |
| 3 | 候補を出して文脈で絞る | 異議・意義・威儀 → 「唱える」で異議 |
| 4 | 書いたあとに確かめる | 異(下は共)、議(ごんべん) |
この四段階は、どの形でも同じです。段階2で技能が変わり、段階3で使う手掛かりが変わります。
例題1:読み
「彼女は快く引き受けてくれた。」の──線部の読みを書きなさい。
- 形:送り仮名付きの読み
- 技能:読み。手掛かり:送り仮名の前まで、訓読み
- 候補:「こころよ・く」。「かい・く」ではない
- 確かめ:送り仮名「く」は書かない → 「こころよ」
例題2:書き(同訓異字)
「友人の助言をウけて、計画を見直した。」
- 形:片仮名→漢字、訓
- 技能:書き。手掛かり:同訓異字
- 候補:受ける・請ける・承ける → 「助言を」なので「受ける」
- 確かめ:送り仮名は「受け・て」で「受」+「け」 → 「受け」
例題3:意味
「彼の主張は抽象的で、具体例に乏しかった。」の「抽象的」の意味として適切なものを選びなさい。 ア 分かりにくい イ 個々の事柄から離れて一般化された ウ 間違っている エ 短い
- 形:語の意味
- 技能:意味。手掛かり:対の語(具体)、文中の説明
- 候補:「具体例に乏しい」が対で説明されている → イ
- 確かめ:アは日常の軽い意味なので不可
例題4:空欄補充
「市民の声に耳を( )、政策を見直した。」に入る語を漢字と送り仮名で書きなさい。
- 形:空欄補充、和語動詞(「、」の前なので連用形)
- 技能:意味+書き。手掛かり:結びつき
- 候補:「耳を傾ける」 → 「傾け」
- 確かめ:送り仮名「傾け・る」で「け」から → 「傾け」
例題5:部首
「複」の部首を答えなさい。
- 形:部首
- 技能:字形。手掛かり:部首の位置と意味
- 候補:左側は点が二つある「ころもへん」。点が一つの「しめすへん」ではない
- 確かめ:「複」は衣服の「衣」と関係する字 → ころもへん
段階4で確かめる項目
| 技能 | 確かめ |
|---|---|
| 読み | 送り仮名の部分を書いていないか、音か訓か |
| 書き | 同音異義語・同訓異字、送り仮名、字形(へん・点・はらい) |
| 意味 | 日常の軽い意味で選んでいないか、対の語で境目が合うか |
よくある間違い
段階1を飛ばして、見た瞬間の答えを書く
見た瞬間の答えは、同音異義語で外れることがあります。形を見て候補を出す習慣が点を守ります。
段階3で候補を一つしか出さない
「イギ」で「意義」だけ思いつくと、文脈に合わなくても書いてしまいます。候補を二つ以上出します。
段階4を省く
正しい語が分かっていても、字形や送り仮名で落とせば同じです。書いたあとに一度見ます。
自分で確かめよう
確認1:「──線部『営む』の読み」を四段階で
送り仮名付きの読み → 読み、送り仮名の前まで → 「いとな・む」 → 送り仮名「む」は書かない → 「いとな」。
確認2:「成功をオサめる」を四段階で
片仮名→漢字、訓 → 書き、同訓異字 → 収める・納める・治める・修める → 「成功を」なので「収める」 → 送り仮名「め」から → 「収め」。
確認3:段階3で候補を二つ以上出す理由
一つだけだと、文脈に合わなくてもそのまま書いてしまうからです。候補を並べて初めて、文脈で絞るという段階が働きます。
まとめと次の一歩
本番の手順は、問題の形を見る、技能と手掛かりを決める、候補を出して文脈で絞る、書いたあとに確かめる、の四段階です。読み・書き・意味のどの問題でも同じ順で使えます。
次のレッスンでは、入試の漢字問題で実際に起きる失点を型に分け、コース全体の直し方を一覧にします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。