送り仮名を正しく書こう:判断手順を一行ずつ使う
このレッスンの役割
前のレッスンで、送り仮名は「活用で変わる部分から送る」という考え方で決まることを知りました。ここでは、その考え方を手順にして、迷う語に同じ順で当てられるようにします。
今回の中心技能は、「品詞を決める → 活用させて変わる部分を見つける → もとの語にそろえる → 慣用の例外を確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
「おこなう」は「行う」でしょうか、「行なう」でしょうか。
手順で決めます。動詞です。活用させると「行わ・行い・行う・行え」で、変わるのは「う」の部分です。したがって「行う」が標準です。「行なう」は読み誤りを防ぐために許されている形ですが、答案では「行う」と書きます。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「あたたかい」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 品詞を決める | 形容詞 |
| 2 | 活用させて、変わる部分を見つける | 暖かく・暖かい・暖かけれ → 「い」が変わる |
| 3 | もとの語や仲間の語にそろえる | 暖まる・暖める があるので「か」から送る |
| 4 | 慣用の例外にあたらないか確かめる | 例外ではない → 「暖かい」 |
段階2だけなら「暖い」になりそうですが、段階3で「暖まる」にそろえて「暖かい」と決まります。段階を飛ばすと、ここで間違えます。
例題1:「うけつけ」
- 名詞(「受け付けをする」)
- 名詞なので活用しない
- もとの語は「受ける」「付ける」。複合した動詞「受け付ける」の送り方を残す → 「受け付け」
- 慣用で「受付」と書くことも多い(役所や施設の表示)。答案で語として書くなら「受け付け」が本則
複合語は、それぞれの語の送り方を残すのが基本です。「申し込む」「書き抜く」「打ち合わせ」も同じです。
例題2:「いきおい」
- 名詞
- 活用しない
- 動詞「勢う」はいまは使わないので、そろえる語がない
- 慣用で「勢い」と「い」を送る
もとの語がないのに送り仮名が付く名詞は、慣用で決まっています。「幸い」「災い」「互い」「便り」などは、形で覚える語です。
例題3:「かならず」
- 副詞
- 活用しない
- そろえる語がない
- 慣用で「必ず」。「必らず」は誤り
副詞は「ず」「く」など最後の一音だけを送るものが多いです。「全く」「少し」「再び」「最も」「常に」もこの仲間です。
迷ったときの見分け表
| 迷う語 | 正しい形 | 決め手 |
|---|---|---|
| すくない | 少ない | 「少な・少なく」と「な」から変わる |
| あぶない | 危ない | 「危な・危なく」と「な」から変わる |
| おぎなう | 補う | 「補わ・補い・補う」で「う」だけ変わる |
| こころよい | 快い | 「快く・快い」で「い」だけ変わる |
| たしかめる | 確かめる | 「確かだ」にそろえる |
| はずかしい | 恥ずかしい | 「しい」形容詞。「恥かしい」は誤り |
| あきらかだ | 明らかだ | 「らか」を含む形容動詞 |
段階4の例外を知っておく
次の名詞は、動詞から転じていても送り仮名を付けません。
話・光・氷・志・係・組・畳・帯・印・頂・隣・恋・舞・折・並・割
「話し合い」のように複合語の中では「話し」と送りますが、単独の名詞「話」には送りません。
よくある間違い
段階1を飛ばして形だけで決める
「話」は名詞なら送らず、動詞「話す」なら送ります。品詞を決めずに書くと、同じ語を二通りに書いてしまいます。
段階3を飛ばす
「暖い」「確める」は、段階2だけで決めた形です。「暖まる」「確かだ」にそろえる段階3で直ります。
許容の形と標準の形を混同する
「行なう」「表わす」「断わる」は許されている形ですが、標準は「行う」「表す」「断る」です。答案では標準の形を書きます。
自分で確かめよう
確認1:「すくない」を四段階で決めてください
形容詞 → 「少な・少なく・少なけれ」と「な」から変わる → そろえる語はない → 例外ではない → 「少ない」。
確認2:「もうしこみ」の送り仮名を決めてください
名詞ですが、複合動詞「申し込む」から転じた語なので、それぞれの語の送り方を残して「申し込み」と書きます。
確認3:「かならず」を「必らず」と書く誤りを直してください
副詞で活用せず、慣用で「必ず」と最後の一音だけを送ります。
まとめと次の一歩
手順は、品詞を決める、活用させて変わる部分を見つける、もとの語にそろえる、慣用の例外を確かめる、の四段階です。活用しない語は、段階3と4で決まります。
次のレッスンでは、送り仮名でよく起きる間違いを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
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