漢字のつくりから読みを推測しよう:判断手順を一行ずつ使う
このレッスンの役割
前のレッスンで、形声文字は「意味の部品+音の部品」でできていることを知りました。ここでは、その知識を手順として動かします。
今回の中心技能は、初めて見る漢字について「部品に分ける → 音符を見つける → 候補を作る → 文で確かめる」を、飛ばさずに一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
次の文の「償」は、どう読むでしょうか。
損害を賠償する。
見たことがなくても、手順で候補が作れます。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 「償」の場合 |
|---|---|---|
| 1 | 部品に分ける | にんべん+賞 |
| 2 | 部首でない側を音符の候補とみる | 「賞」 |
| 3 | 同じ部品を持つ知っている漢字から候補を作る | 賞(ショウ)→ 候補「ショウ」 |
| 4 | 熟語に戻す | 「バイショウ」。損害をつぐなう、という意味が通る |
「ショウ」と仮決めして、文で確かめて確定です。段階3で「知っている漢字」を使うところが大切です。部品の名前を知らなくても、その部品を持つ漢字を一つ思い出せれば候補は作れます。
読みが少し変わる型を知っておく
音符の読みと、漢字の読みがぴったり同じとは限りません。よくある変化を知っておくと、候補を広げられます。
| 変化の型 | 音符 | 例 |
|---|---|---|
| 清音が濁音になる | 方(ホウ) | 防・坊・妨(ボウ) |
| 頭の子音が変わる | 支(シ) | 技(ギ)・岐(キ) |
| 母音が変わる | 工(コウ) | 空(クウ) |
| 語末が変わる | 昔(セキ) | 借(シャク)・錯(サク) |
候補を作るときは、「セイ、またはそれに近い音」とゆるく持っておきます。文に戻したとき、聞いたことのある語になれば確定できます。
例題1:「紡績」の「紡」
- 部品は「糸」と「方」
- 「糸」は部首(糸に関係する意味)。「方」が音符の候補
- 「方(ホウ)」「防(ボウ)」から、候補は「ホウ」または「ボウ」
- 「ボウセキ」と読むと、糸をつむぐ仕事という意味が通る。「ホウセキ」では意味のある語にならない
候補を二つ持っておいたので、文に戻したときに選べました。
例題2:「惜別」の「惜」
- 部品は「りっしんべん」と「昔」
- りっしんべんは心に関係する意味。「昔」が音符の候補
- 「昔(セキ)」から候補は「セキ」。「借(シャク)」のような変化も頭に置く
- 「セキベツ」。別れをおしむ、という意味が通る
りっしんべんから「気持ちに関係する」と分かるので、「おしむ」という意味とも合います。意味の部品と音の部品を両方使うと、確かめが強くなります。
「分からない」で止まらないための順番
音符が思い当たらないときは、次の順で切り替えます。
- 音符を持つ別の漢字を思い出せないか、もう一度探す
- 部首から意味の方向だけ決め、文脈で意味を推測する
- 熟語のもう一方の漢字から、語全体の意味を考える
- それでも決まらなければ保留し、他の設問へ進む
読みが分からなくても、意味が分かれば読解問題は解けることが多くあります。
よくある間違い
段階3を飛ばして、いきなり読みを言う
「なんとなくショウ」ではなく、「賞がショウだからショウ」と根拠を言います。根拠があれば、間違えたときに戻る場所が分かります。
候補を一つしか作らない
濁音や母音の変化を考えず「ホウセキ」で止まると、意味が通らないまま進んでしまいます。候補は二つまで持ちます。
文に戻さない
「ボウ」と仮決めしただけでは終わりません。熟語として意味が通るかを確かめて、初めて確定です。
自分で確かめよう
確認1:「胴体」の「胴」を手順で読んでください
部品は「にくづき」と「同」。にくづきは体に関係する意味、「同(ドウ)」が音符。候補「ドウ」。「ドウタイ」で体の中心部分という意味が通ります。
確認2:「妨害」の「妨」で、候補を二つ作るとしたら何と何ですか
音符「方(ホウ)」から「ホウ」と、濁音の「ボウ」です。「ボウガイ」で、じゃまをするという意味が通ります。
確認3:段階4でやることを一文で言ってください
作った読みの候補を熟語や文に戻し、意味が通る読みを一つに決めることです。
まとめと次の一歩
手順は、部品に分ける、音符を見つける、知っている漢字から候補を作る、文で確かめる、の四段階です。濁音や母音の変化を頭に置いて、候補は二つまで持ちます。
次のレッスンでは、この手順でよく起きる間違いを集めて、どの段階で崩れたかを自分で見つけられるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。