教科で使う漢字と語彙:意味と手掛かりをつかむ
このレッスンの役割
ここまでは、国語として漢字を扱ってきました。このセクションでは、数学・理科・社会の教科書に出る漢字語を扱います。
今回の中心技能は、教科語には「ふだんの語と意味がずれる」「教科の中で意味が一つに決まる」という特徴があることを知り、漢字の組み立てから教科の意味へつなぐ見方を身につけることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「仮定」という語を、ふだんの会話と数学では、同じ意味で使っているでしょうか。
ふだんは「仮に決めること」「もしも、の話」です。数学では、証明の中で「与えられている条件」を指します。「仮定:AB=AC」と書けば、「もしも」ではなく「これは成り立っているとする前提」です。
教科語は、ふだんの意味を知っていても、教科の中での意味を知らなければ教科書が読めません。これがこのセクションで扱う問題です。
教科語の三つの特徴
| 特徴 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| ① 意味が一つに決まる | 教科の中では定義があり、ゆれない | 密度=質量÷体積、垂直=直角に交わる |
| ② ふだんの意味とずれる | 日常語と同じ字でも、教科では別の意味 | 仮定・圧力・抽象・還元・供給 |
| ③ 漢字の組み立てから意味に近づける | 熟語の組み立てを使うと、定義の見当がつく | 対頂角(対の頂点の角)、示準化石(時代の準を示す化石) |
③が、このセクションで国語の力を使うところです。熟語の組み立て(前のセクション)を教科語に当てます。
組み立てから意味の見当をつける
| 教科語 | 組み立て | 意味の見当 | 教科での定義 |
|---|---|---|---|
| 反比例 | 反+比例 | 比例の反対 | 一方が2倍になると他方が1/2になる関係 |
| 凝固 | 凝る・固まる(似た意味) | かたまる | 液体が固体になる変化 |
| 蒸発 | 蒸す・発する | 気体になって出ていく | 液体が表面から気体になる現象 |
| 震源 | 震えの源 | 地震の起こったところ | 地震が発生した地下の地点 |
| 歳入 | 歳(一年)に入る | 一年に入ってくるもの | 国や地方の一年間の収入 |
| 促成栽培 | 促す+成る+栽培 | 成長を早める栽培 | 出荷時期を早める栽培 |
組み立てで見当をつけ、教科書の定義で確定する。この順で読むと、教科書の語が「覚えるもの」から「分かるもの」に変わります。
教科ごとによく出る語
| 教科 | 語 |
|---|---|
| 数学 | 係数・定数・変数・証明・仮定・結論・対頂角・錯角・同位角・垂直・平行・累乗・展開・因数分解・平方根・相似・合同・弧・弦・接線・斜辺・近似値・度数・階級・中央値・最頻値 |
| 理科 | 溶解・飽和・沸騰・蒸発・凝固・融解・酸化・還元・中和・電解質・質量・密度・圧力・浮力・屈折・反射・震源・震央・堆積・侵食・運搬・示準化石・遺伝・細胞・組織・器官・循環 |
| 社会 | 憲法・内閣・議会・立法・司法・行政・条例・歳入・歳出・需要・供給・貿易・関税・為替・扇状地・三角州・促成栽培・荘園・律令・摂関政治・参勤交代・殖産興業・文明開化 |
例題:「圧力」
ふだんは「プレッシャー」の意味でも使います。理科では、「面を垂直に押す力÷面積」と定義されます。「圧す力」という組み立てから「押す力」と見当をつけ、教科書で「面積あたり」という条件が付くことを確かめます。「力」そのものではなく「面積あたりの力」だと分かれば、同じ力でも面積が小さいほど圧力が大きい、という理科の考え方が読めます。
よくある間違い
ふだんの意味で教科書を読む
「仮定」を「もしも」と読むと、証明の流れが分からなくなります。教科の中の定義で読みます。
教科語を丸暗記する
定義を言葉だけ覚えても、組み立てが分かっていなければ、似た語(震源と震央、歳入と歳出)で混乱します。組み立てから意味を取ります。
読めれば分かったと思う
「殖産興業」を「しょくさんこうぎょう」と読めても、「産業を殖やし業を興す」という組み立てまで取らなければ、意味は入りません。
自分で確かめよう
確認1:「震源」と「震央」を組み立てで分けてください
震源は「震えの源」で、地震が起こった地下の地点。震央は「震えの中央」で、震源の真上の地表の地点です。
確認2:「歳入」と「歳出」の意味
歳入は一年間に入る収入、歳出は一年間に出ていく支出です。「歳」が一年を表します。
確認3:教科語の意味を取る順序
組み立てで見当をつけ、教科書の定義で確定します。ふだんの意味で読まず、教科の中の意味で読みます。
まとめと次の一歩
教科語は、意味が一つに決まり、ふだんの意味とずれることがあります。熟語の組み立てで見当をつけ、教科書の定義で確定する、という順で読むと、覚える語が分かる語に変わります。
次のレッスンでは、この読み方を手順にして、初めて見る教科語に当てられるようにします。
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