教科で使う漢字と語彙:文章・入試問題で使い切る
このレッスンの役割
ここは「教科で使う漢字と語彙」の出口です。教科語の三つの特徴、四段階の手順、誤りの四つの型を、国語の入試問題と教科書の文章で通して使います。
中心技能は、教科語を正しく読み書きし、組み立てと定義から意味を取って、説明文を正確に読むことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
国語の入試では、教科語が二つの形で出ます。
- 漢字の読み書き:「供給」「貿易」「蒸発」「憲法」「証明」などが、ふつうの熟語と同じように出題される
- 説明文の読解:科学や社会を扱った文章の中で、教科語の意味が分かっていないと内容が取れない
本番では次の順に考えます。
- 読み書きなら、音符と熟語の手掛かりで読みを決め、部品の意味で字形を決める
- 読解なら、組み立てで見当をつけ、文章中の説明(定義)で確定する
- 対になる語が出たら、境目を言ってから読み進める
- 日常の意味で読んで文意がずれたら、教科の意味に切り替える
総合問題
問1
次の──線部の読みを平仮名で書きなさい。
需要と供給の関係で価格が決まる。
問2
次の片仮名を漢字に直しなさい。
水がジョウハツして空気中に出ていく。
問3
次の片仮名を漢字に直しなさい。
国の基本を定めたケンポウを学ぶ。
問4
次の文の「仮定」の意味として、文脈に合うものを選びなさい。
三角形ABCで、AB=ACを仮定とし、∠B=∠Cを結論として証明する。
ア もしもの話として イ 与えられた条件として ウ 仮に決めた答えとして
問5
次の文を読み、「抽象」の意味を文中の説明から答えなさい。
多くの具体的な事例から、共通する性質だけを取り出して考えることを抽象という。「りんご」「みかん」から「果物」を取り出すのがその例である。
答えと判断
問1
「じゅよう」「きょうきゅう」。「需」はジュ(必需)、「供」はキョウ(提供)。対になる語で、買いたい量と売りたい量です。
問2
「蒸発」。蒸す+発する。「発」は「発生」の発で、「蒸発」が正しい形です。
問3
「憲法」。「憲」はりっしんべんを含む形で、「法」はさんずい。国の最高法規です。
問4
イ。数学の証明では、仮定は「与えられた条件」で、「もしも」ではありません。日常の意味(ア)で読むと証明の流れが分からなくなります。
問5
「多くの具体的な事例から、共通する性質だけを取り出して考えること」。文中に定義が書かれているので、それをそのまま使います。「あいまい」という日常の意味ではありません。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「じゅよう」を「しゅよう」 | 読みの誤り | よくある誤りを見抜いて直す(型④) |
| 問2で「蒸発」を「上発」 | 似た音の別の字 | 判断手順を一行ずつ使う(段階1) |
| 問4でア | 日常の意味で読んだ | 意味と手掛かりをつかむ |
| 問5で「あいまいなこと」 | 文中の定義で確定しなかった | 判断手順を一行ずつ使う(段階3) |
教科書の文章を読む
教科書の説明文は、教科語の定義を本文の中に書いています。次は理科の教科書の一節です。
液体が表面から気体に変わる現象を蒸発という。一方、液体の内部からも気体が発生する現象を沸騰といい、このときの温度を沸点という。
「蒸発」と「沸騰」が対で説明され、「沸点」まで定義されています。読むときは、「〜を〜という」の形を見つけて定義を取り、対になる語の境目(表面から/内部からも)に線を引きます。国語の説明文でも、同じ「〜を〜という」の形で語が定義されるので、この読み方はそのまま使えます。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 読みは熟語で固定したか | 需(必需)・供(提供)・凝(凝視) |
| 字形は部品の意味に合っているか | 堆(土)・融(鬲)・憲(心) |
| 教科の定義で読んだか | 仮定・圧力・抽象・供給 |
| 対になる語の境目を言ったか | 震源/震央、歳入/歳出 |
| 文中の「〜を〜という」を見つけたか | 定義は本文にある |
よくある間違い
教科語は教科のテストだけのものと思う
国語の読み書きと読解でも出ます。国語の語彙として扱います。
読解で日常の意味のまま進む
「仮定」「抽象」「供給」で文意がずれたら、教科の意味に切り替えます。
本文中の定義を読まずに自分の知識で答える
説明文では、定義は本文に書かれています。本文の定義が根拠です。
自分で説明しよう
確認1:教科語の三つの特徴
教科の中で意味が一つに決まる、日常の意味とずれることがある、漢字の組み立てから意味の見当がつく、です。
確認2:教科語を身につける四段階
読みを決める、組み立てで見当をつける、定義で確定する、対になる語と並べて例文を作る、です。
確認3:説明文で教科語の定義を見つける手掛かり
「〜を〜という」「〜とは〜である」の形です。対になる語は「一方」「これに対して」で並べられます。
セクションの出口
国語の入試で教科語を読み書きし、説明文の中で組み立てと定義から意味を取り、対になる語の境目を言えたら完了です。
次のセクション「説明文・論説文の抽象語」では、教科語よりさらに広く、入試の説明文を支える抽象的な漢字語(概念・根拠・対比など)を扱います。
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