事実・意見・推測:根拠のずれを直す
このレッスンの役割
事実・意見・推測の取り違えは、推測を事実として書く、推測を重ねて意見に飛ぶ、一部の事実から全体を推測する、推測と意見の文末を混同する、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。読むときは筆者の飛躍を見つけ、書くときは自分の文の文末を正します。
今回の中心技能は、事実・推測・意見の誤りを見て四つの型のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
人口が五年で一割減った。若者が都市へ出ている。だから町は仕事を作るべきだ。
「若者が都市へ出ている」は、転出者の年齢の事実がなければ推測です。それを「〜ている」と事実の形で書くと、読み手は確かめられた内容だと思います。推測を事実として書く型①です。「若者が都市へ出ているためだろう」または、転出者の年齢の事実を添えます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 推測を事実に | 確かめていない内容を「〜である」「〜ている」で断定 | 若者が都市へ出ている | 「だろう」「と考えられる」にする、または事実を添える |
| ② 推測の重ね飛び | 推測→推測→意見で、途中に事実がない | 若者が出ている→祭りが続かない→仕事を作るべき | 各推測に事実を添える、または意見を推測の範囲に狭める |
| ③ 一部から全体 | 一つの事実から広い推測 | 一人の転出者を見て「若者は皆出ていく」 | 範囲に合う事実(割合・複数年)に替える |
| ④ 文末の混同 | 推測(だろう)と意見(べきだ)を同じに扱う | 「続かないだろう」を筆者の提案と読む | 推測は可能性、意見は判断。設問で区別 |
型①を直す:文末の対応
| 内容の確かさ | 文末 |
|---|---|
| 確かめた(数値・出来事) | 〜た、〜である |
| 事実から導いた可能性 | 〜だろう、〜と考えられる、〜かもしれない |
| 判断・提案 | 〜べきだ、〜と考える、〜が必要だ |
書くときは、内容の確かさに合う文末を選びます。入試の「表現の適切さ」で問われます。
型②を直す:事実を挟む
| 重ね飛び | 直し |
|---|---|
| 若者が出ている(推)→ 祭りが続かない(推)→ 仕事を作るべき(意) | 転出の七割は二十代(事)→ 若者が出ている(推)。祭りの担い手の平均年齢は六十歳(事)→ 続かないかもしれない(推)→ 仕事を作るべき(意) |
推測ごとに事実を一つ添えると、飛躍が小さくなります。
型③を直す:範囲の対応
| 事実 | 推測 | 判定 |
|---|---|---|
| 隣家の息子が都市へ出た | 若者は皆出ていく | 一部から全体(弱い) |
| 転出者の七割が二十代 | 若者が出ている傾向がある | 範囲が合う |
「情報の関係」の範囲のずれと同じです。
型④を直す:設問での区別
| 設問 | 答えるもの |
|---|---|
| 筆者の推測を答えよ | だろう、かもしれない の文 |
| 筆者の意見(主張)を答えよ | べきだ、と考える の文 |
| 筆者が事実として述べていること | 数値・出来事の文 |
「祭りは続かないだろう」は推測で、「仕事を作るべきだ」が意見。混同すると設問を落とします。
例題:どの型か
「温暖化の影響で、今年の夏は暑い」と書いた。
型①。「温暖化の影響」は推測(と考えられる)。「今年の夏は暑い」は事実(気温の数値があれば)。「温暖化の影響と考えられる暑さだ」。
「スマートフォンの普及で読書時間が減り、思考力が落ち、日本の未来は暗い」
型②。普及→読書減(事実があれば可)→思考力低下(推測、事実なし)→未来は暗い(推測+意見)。各段に事実が要る。
よくある間違い
筆者が断定しているから事実だと思う
断定の形でも、確かめられない内容は推測です。内容で判断します。
推測が並んでいれば根拠が厚いと思う
推測の数ではなく、事実に支えられているかです。
「だろう」の文を筆者の主張として答える
推測と意見は別です。設問を見ます。
自分で確かめよう
確認1:「若者が都市へ出ている」(転出者の年齢の事実なし)の誤りの型と直し方
型①(推測を事実に)。「出ているためだろう」にするか、転出者の年齢の事実を添える。
確認2:推測の重ね飛びを直す方法
各推測に事実を一つずつ添える(飛躍を小さくする)。
確認3:「祭りは続かないだろう」と「仕事を作るべきだ」の種類
前者は推測、後者は意見。
まとめと次の一歩
事実・推測・意見の誤りは、推測を事実に、推測の重ね飛び、一部から全体、文末の混同、の四つに分けられます。文末の対応、事実を挟む、範囲の対応、設問での区別、で直します。
次のレッスンでは、入試形式の「事実と推測を分けよ」「推測の根拠となる事実」「表現として適切なもの」で、三つの区別を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。