事実・意見・推測:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「事実・意見・推測」の出口です。三つの定義、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、文を三つに分類し、推測の根拠となる事実を指摘し、飛躍の大きい推測を選び、確かさを保って要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
事実・意見・推測は、四つの形で出ます。
- 分類:「①〜⑥のうち、筆者の推測を述べた文をすべて選べ」
- 根拠の事実:「──線部の推測は、どの事実をもとにしているか」
- 飛躍の判定:「筆者の推測のうち、根拠が最も弱いものを選べ」
- 要約:「事実と筆者の意見を区別して、本文を〜字でまとめよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①この地域では、過去十年で夏の最高気温が平均二度上がった。②熱中症による救急搬送も、同じ期間に二倍になった。③気温の上昇が搬送の増加を招いたと考えられる。④高齢者の割合が増えたことも影響しているかもしれない。⑤今後、搬送はさらに増えるだろう。⑥自治体は、夏の屋外活動の指針を見直すべきである。
問1
①〜⑥を、事実・推測・意見に分類しなさい。
問2
③の推測は、どの事実をもとにしているか。番号で答えなさい。
問3
③④⑤のうち、本文の事実による支えが最も弱い推測を選び、理由を説明しなさい。
問4
事実と筆者の意見を区別して、本文を六十字以内で要約しなさい。
答えと判断
問1
事実:①②。推測:③④⑤。意見:⑥。③「と考えられる」、④「かもしれない」、⑤「だろう」が推測の文末、⑥「べきである」が意見。
問2
①と②。気温の上昇(①)と搬送の増加(②)の二つの事実から、因果を推測している。
問3
④。高齢者の割合についての事実が本文にない(①②は気温と搬送の事実のみ)。③は①②に支えられ、⑤は①②の傾向の延長として導けるが、④は支える事実がなく飛躍が大きい。
問4
「気温が二度上がり搬送が二倍になったという事実から、筆者は気温上昇が原因と推測し、自治体は屋外活動の指針を見直すべきだと述べている。」(六十字)。事実(①②)、推測(③)、意見(⑥)を区別して書く。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で③を事実 | 推測を事実と読んだ | 抽象度と役割をつかむ |
| 問2で②だけ | 因果の推測は原因と結果の両方の事実から | 具体と抽象を往復する(段階2) |
| 問3で⑤ | 傾向の延長を「事実なし」と判定 | 具体と抽象を往復する(段階3) |
| 問4で「気温上昇が原因で」と断定 | 推測を事実として要約 | 根拠のずれを直す(型①) |
確かさの表
| 文 | 種類 | 支える事実 | 飛躍 |
|---|---|---|---|
| ① | 事実 | ― | ― |
| ② | 事実 | ― | ― |
| ③ | 推測 | ①② | 中(他の原因もあり得る) |
| ④ | 推測 | なし | 大 |
| ⑤ | 推測 | ①②の傾向 | 中 |
| ⑥ | 意見 | ①②(③経由) | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 文末で三つに分けたか | た/だろう/べきだ |
| 因果の推測は原因と結果の両方の事実を挙げたか | ①② |
| 支える事実がない推測を選んだか | ④ |
| 要約で推測を「と推測し」と書いたか | 断定していない |
| 要約で意見を「と述べている」と書いたか | 筆者の判断として |
よくある間違い
「と考えられる」を客観的な事実だと思う
筆者が「考えている」内容で、推測です。
因果の推測の根拠を結果の事実だけで答える
「気温上昇が搬送増加を招いた」は、気温(①)と搬送(②)の両方から。
要約で筆者の推測を事実のように書く
「気温上昇が原因で」ではなく「気温上昇が原因と推測し」。
自分で説明しよう
確認1:文章の確かさの構造を点検する四段階
三つに分類、推測を事実と結ぶ、飛躍を判定、意見を支える事実を特定。
確認2:因果の推測を支える事実の数
原因側と結果側の二つ。
確認3:要約で事実・推測・意見を区別する書き方
事実は「〜という事実」、推測は「〜と推測し」、意見は「〜べきだと述べている」。
セクションの出口
論説文で、文を事実・推測・意見に分け、推測の根拠となる事実を両側から指摘し、支えのない推測を選び、三つを区別して要約できたら完了です。
次のセクション「因果関係を根拠にするとき」では、推測の中でも最も多い「因果の推測」を取り上げ、前後しただけの出来事と原因として説明できる関係を見分ける方法を扱います。
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