抽象・具体と根拠マスターチェック:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「抽象・具体と根拠」コースの出口です。四つの柱、統合手順、四つの大きな型を、一つの論説文と七つの設問で通して使います。
中心技能は、一つの本文に対して、具体化、主張の特定、根拠の抜き出し、根拠の弱点、接続語の補充、構成図、要約を、統合手順の表から取り出して答えることです。目安時間は12分です。
入試でどう出るか
このコースの技能は、一つの論説文に対して複数の設問が並ぶ形で出ます。本文を一度通して統合手順の表を作り、各設問で柱を決めて表から材料を取り出します。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①「失敗は成功のもと」と言われる。②( A )、失敗がそのまま成功につながるわけではない。③同じ失敗を繰り返す人は、いくらでもいる。④失敗が役立つのは、失敗の後に「なぜ失敗したか」を言葉にしたときだけである。⑤ある学習塾では、間違えた問題に「どこで間違えたか」を一行書かせる指導を始めたところ、半年後の同じ単元の正答率が、書かせない生徒より二割高かった。⑥言葉にすることで、失敗は「出来事」から「知識」に変わる。⑦( B )、失敗から学ぶとは、失敗することではなく、失敗を言葉にすることなのである。
問1
④の「『なぜ失敗したか』を言葉にする」の具体例として適切なものを一つ選びなさい。 ア テストで低い点を取って落ち込む イ 計算問題を間違えたあと、「かっこを外すときの符号を忘れた」とノートに書く ウ 同じ問題をもう一度解き直す エ 次は頑張ろうと決意する
問2
筆者の中心の主張を、文の番号で答えなさい。
問3
④の根拠となる数値を含む文を、文の番号で答えなさい。
問4
⑤を根拠とすることの弱点を、二十五字以内で書きなさい。
問5
空欄A・Bに入る接続語を、次から選びなさい。ア つまり イ しかし ウ たとえば エ なぜなら
問6
本文の構成を図にしたものとして最も適切なものを選びなさい。 ア ⑦ ← ④⑥、④ ← ⑤、①②③は導入 イ ⑦ ← ①、① ← ③⑤ ウ ④ ← ⑦、⑦ ← ⑤⑥ エ ⑦ ← ③⑤⑥、①②④は譲歩
問7
本文を五十字以内で要約しなさい。
答えと判断
問1
イ。要素「なぜ失敗したか」「言葉にする」を両方含む。アは言葉にしていない。ウは言葉にせず行動だけ。エは原因でなく決意。
問2
⑦。「つまり」の後、「〜のである」の断定、④⑥を抽象化したまとめ。④は支える主張。
問3
⑤。「二割高かった」。
問4
「一つの塾の事例で、他の原因が排除されていない。」(二十三字)。範囲が狭い、因果の第三の原因(書かせた生徒は元々熱心、など)が排除されていない。どちらか一方でも可。
問5
A イ(しかし)、B ア(つまり)。A:①引用→②反転。B:④⑥→⑦まとめ。
問6
ア。⑦(中心)を④(支える主張)と⑥(理由)が支え、④を⑤(数値)が支える。①は引用、②③は①への反論(導入)。イは①(引用)を主張にしている。ウは向きが逆。エは④を譲歩にしている(④は主張)。
問7
「失敗が役立つのは原因を言葉にしたときだけなので、失敗から学ぶとは失敗を言葉にすることだ。」(四十四字)。⑦と④。⑤の塾の例は削る。
誤答を診断する
| 誤答 | 大きな型 | 小さな型 | 戻るセクション |
|---|---|---|---|
| 問1でウ | ① | 具体化の要素落ち(言葉にする) | 抽象表現を具体化しよう |
| 問2で① | ② | 引用を筆者の考えに | 筆者の主張を見つけよう |
| 問2で④ | ② | 支える主張を中心に | 筆者の主張を見つけよう |
| 問4で「数値が小さい」 | ③ | 範囲と第三の原因を見ていない | 因果関係を根拠にするとき |
| 問5のAにエ | ④ | ①②が対立であることを見ていない | 接続語で論理を追おう |
| 問6でエ | ② | ④を譲歩に | 主張と根拠を図にしよう |
| 問7に塾の例 | ① | 例が残る | 抽象語を使って要約しよう |
統合手順の表
| 文 | 接続語 | 抽象度 | 役割 | 根拠の強さ |
|---|---|---|---|---|
| ① | ― | ↑ | 引用 | ― |
| ② | しかし | ↑ | 反論(導入) | ― |
| ③ | ― | ↓ | ②の根拠(観察) | 弱(範囲不明) |
| ④ | ― | ↑ | 支える主張 | ― |
| ⑤ | ― | ↓ | ④の根拠(数値・因果) | 中(一塾、第三の原因あり得る) |
| ⑥ | ― | ↑ | 理由(仕組み) | 中(説明) |
| ⑦ | つまり | ↑ | 中心の主張(定義) | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 具体例は要素を全部含むか | なぜ・言葉にする |
| 中心は「つまり」の後か | ⑦ |
| 根拠の弱点は範囲と因果の三条件で言ったか | 一塾、第三の原因 |
| 接続語は前後の抽象度と役割から決めたか | 反転、まとめ |
| 図は向き・譲歩・層の順で確かめたか | ①引用、④主張 |
| 要約は上二層だけか | ⑦④ |
よくある間違い
冒頭の格言を筆者の主張だと思う
「と言われる」は引用。筆者は②で反転しています。
数値があれば根拠は強いと思う
⑤は数値だが一塾の因果。範囲と第三の原因を言えるようにします。
要約で「塾」を残す
例は削り、「原因を言葉にしたとき」に置き換えます。
自分で説明しよう
確認1:コースの四つの柱
抽象度、役割、根拠の確かさ、構造。
確認2:統合手順の四段階
接続語と抽象度・役割の表、主張と根拠の強さ、三層の図と点検、設問から柱を決めて答案。
確認3:誤りの四つの大きな型と、直す道具
抽象度の段(階段を一段ずつ)、役割(接続語と文末)、確かさ(文末と三条件)、構造(図と指示の照合)。
コースの出口
一つの論説文に対して、具体化、主張の特定、根拠の抜き出し、根拠の弱点、接続語、構成図、要約を、統合手順の表から取り出して答えられたら、このコースは完了です。
次のコース「情報の信頼性」では、ここで学んだ「根拠の確かさ」をさらに広げ、情報の出どころ、数値の読み方、意見と事実の見分けを、本文の外にある情報にも使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。