根拠と具体例の違い:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「根拠と具体例の違い」の出口です。二つの定義、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、例が支える主張を特定し、支え方を記述し、理由と例を区別し、例を圧縮して要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
根拠と具体例は、四つの形で出ます。
- 対応:「──線部の例は、どの主張を支えているか」
- 支え方の記述:「──線部の例は、筆者の主張をどのように支えているか説明せよ」
- 区別:「筆者が挙げている『理由』と『例』をそれぞれ答えよ」
- 要約:「例を省いて、主張と理由を〜字でまとめよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①人は、名前を呼ばれると、その場に「いる」ことを実感する。②名前は、その人がただ一人であることを示す、最も短い言葉だからだ。③行きつけの店で「田中さん、いつもの?」と言われると、背筋が少し伸びる。④一方、病院で番号で呼ばれると、ただの順番になった気がする。⑤ある調査では、名前で呼ばれた顧客は、番号で呼ばれた顧客より、店への満足度が二割高かった。⑥だから、人と接する仕事では、相手の名前を覚えて呼ぶことが、最初の信頼を作るのである。
問1
③の例は、①と⑥のどちらの主張を直接支えているか。番号で答えなさい。
問2
③④の例は、①の主張をどのように支えているか。「〜という主張を、〜を示すことで、〜」の形で説明しなさい。
問3
①の主張を支える「理由」と「例」を、それぞれ番号で答えなさい。
問4
③④⑤の例と数値を省いて、本文の主張と理由を五十字以内でまとめなさい。
答えと判断
問1
①。要素:名前で呼ばれる/実感する(背筋が伸びる)が①に対応。⑥は「仕事での信頼」で、③は直接それを示していない。
問2
「『名前を呼ばれると「いる」ことを実感する』という主張を、名前で呼ばれて背筋が伸びる場面と、番号で呼ばれて順番になった気がする場面を対比して示すことで、実感の有無の違いを具体的に分からせている。」
問3
理由:②(名前はただ一人であることを示す言葉だから)。例:③④(場面)、⑤(調査の数値も根拠だが、「例」としては③④が場面の例)。設問が「例」なら③④、「根拠」なら③④⑤。
問4
「名前はその人がただ一人であることを示す言葉なので、呼ばれると人はいることを実感し、名前を呼ぶことが信頼を作る。」(四十九字)。②の理由と①⑥の主張。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で⑥ | 別の主張に対応(直後の主張を選んだ) | 根拠のずれを直す(型①) |
| 問2で「主張を支えている」だけ | 「何を示して」「どのように」がない | 具体と抽象を往復する(段階4) |
| 問3で理由を③ | 理由と例の混同 | 根拠のずれを直す(型③) |
| 問4に「背筋が伸びる」を残した | 例を圧縮していない | 抽象度と役割をつかむ |
文章の表
| 文 | 役割 | 支える主張 |
|---|---|---|
| ① | 主張(前提) | ― |
| ② | 理由 | ① |
| ③④ | 例(対比) | ① |
| ⑤ | 根拠(数値) | ①(⑥にも) |
| ⑥ | 主張(結論) | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 例の要素と主張の要素を照らしたか | 呼ばれる・実感する → ① |
| 支え方に「何を示して」があるか | 対比の場面 |
| 理由は理屈の文か | ②からだ |
| 例は出来事・場面か | ③④ |
| 要約は理由+主張で、例を省いたか | ②+①⑥ |
よくある間違い
例の直後の主張を支えていると思う
⑥は③の直後ではないが、「だから」で結ばれるので選びがち。要素で①を選びます。
「理由」に場面の例を答える
②の「からだ」が理由。③は場面。
対比の例を片方だけ説明する
③④は一組で、対比によって実感の違いを示しています。
自分で説明しよう
確認1:例の支え方を説明する四段階
要素を分ける、対応する主張を選ぶ、根拠と例の側面を分ける、一文にする。
確認2:理由と例の見分け
理由は理屈(〜からだ、抽象)、例は出来事・場面(具体)。
確認3:対比の例が主張を支える仕方
二つの場面の違いを示すことで、主張の内容を具体的に分からせる。
セクションの出口
論説文で、例が支える主張を要素で特定し、支え方を「何を示して」まで記述し、理由と例を区別し、例を省いて要約できたら完了です。
次のセクション「事実・意見・推測」では、確かめられる内容、書き手の判断、可能性として述べた内容の三つを区別し、根拠の確かさを見る方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。