筆者の主張を見つけよう:具体と抽象を往復する
このレッスンの役割
前のレッスンで、主張の三つの手掛かりを知りました。ここでは、文章から主張を特定し、それが本文の具体例と対応しているかを往復で確かめ、主張・根拠・具体の三層に置く手順を一つに決めます。
今回の中心技能は、「問いと文末で候補を絞る → 繰り返しで中心を決める → 候補を具体例に下りて確かめる → 主張・根拠・具体の三層に並べる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
【一】人は、「分かった」と思った瞬間に考えるのをやめる。【二】たとえば、数学の問題が解けた生徒は、別の解き方があるかを考えない。【三】しかし、深く理解するには、分かった後にもう一度「本当にそうか」と問い直す必要がある。【四】この二度目の疑問が、学びを深めるのである。
手順で特定します。候補:【三】(必要がある)、【四】(のである)。繰り返し:「問い直す」「二度目の疑問」が二回 → 中心は【四】、【三】が支える。下りる:【二】の数学の例は「分かって考えるのをやめる」の例で、【一】に対応。主張(【四】)の例は本文にないので、自分で「解けた後に別の解き方を確かめる」を置くと対応する。三層:主張【三】【四】/根拠【一】/具体【二】。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 問いと文末で候補を絞る | 【三】必要がある、【四】のである |
| 2 | 繰り返しで中心を決める | 二度目の疑問・問い直す → 【四】 |
| 3 | 候補を具体例に下りて確かめる | 【二】は【一】の例。主張の例は自分で置く |
| 4 | 主張・根拠・具体の三層に並べる | 主張【三】【四】/根拠【一】/具体【二】 |
段階1:候補の絞り方
| 手掛かり | 文末 |
|---|---|
| 判断 | べきだ、必要がある、と考える、ではないか |
| 強調 | のだ、のである、にほかならない |
| 問いの答え | 「〜だろうか」の後で「〜である」と答える文 |
候補は二〜三文に絞れます。
段階2:中心の決め方
| 手掛かり | 内容 |
|---|---|
| 繰り返しの語 | 最も多く出る語を含む文 |
| 位置 | 「しかし」「つまり」「だから」の後、最終段落 |
| 範囲 | 文章全体の話題を含む文(部分の話ではない) |
候補のうち、繰り返しの語を含み、文章全体を覆う文が中心です。
段階3:下りて確かめる
| 主張 | 本文の具体 | 対応 |
|---|---|---|
| 分かった瞬間に考えるのをやめる | 解けた生徒は別の解き方を考えない | ○ |
| 問い直す必要がある | (本文になし) | 自分で置く:解けた後に別の解き方で確かめる |
主張に本文の具体がないときは、自分で置いて対応を確かめます。対応しなければ、主張の読み違いです。
段階4:三層の表
| 層 | 文 |
|---|---|
| 主張(中心) | 【四】二度目の疑問が学びを深める |
| 主張(支え) | 【三】問い直す必要がある |
| 根拠 | 【一】分かった瞬間に考えるのをやめる(問題点) |
| 具体 | 【二】解けた生徒は別の解き方を考えない |
この表が、要約と設問の答えの土台になります。
例題:譲歩型
確かに、読書だけが語彙を増やすわけではない。会話や映像からも言葉は学べる。それでも、読書が最も効率よく多様な語彙に触れる手段であることは変わらない。だから、学校は読書の時間を守るべきなのである。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 「変わらない」「守るべきなのである」 |
| 2 | 「読書」「語彙」が繰り返し → 「守るべき」が中心(文章全体の結論) |
| 3 | 「最も効率よく多様な語彙」→ 具体:一冊の小説で日常会話にない語に数十出会う(自分で置く) |
| 4 | 主張:守るべき/支え:最も効率よい手段/譲歩:会話や映像からも/根拠:(調査があれば) |
よくある間違い
段階1で候補を一つに決める
複数の候補を挙げてから段階2で絞ります。
段階2で「位置」だけで決める
最終段落でも、最後の文が補足のこともあります。繰り返しと範囲で確かめます。
段階3を省く
主張が具体と対応しないまま答えると、読み違いに気づけません。
自分で確かめよう
確認1:主張の候補を絞る文末の手掛かり
べきだ、必要がある、のだ、のである、と考える、ではないか。
確認2:候補が複数あるとき、中心を決める手掛かり
繰り返しの語を含み、文章全体を覆う文。
確認3:主張に本文の具体がないとき、どうしますか
自分で具体を置いて対応を確かめる。
まとめと次の一歩
手順は、問いと文末で候補、繰り返しで中心、具体に下りて確かめる、三層に並べる、の四段階です。三層の表が要約と設問の土台になります。
次のレッスンでは、主張の特定でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
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