因果関係を根拠にするとき:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「因果関係を根拠にするとき」の出口です。三つの関係、三条件、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、因果の主張を抽出し、前後・相関・因果を判定し、推論の問題点を説明し、確かめるために必要な事実を指摘することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
因果は、四つの形で出ます。
- 抽出:「筆者が原因として挙げているものを答えよ」
- 判定:「──線部の関係は、前後・相関・因果のどれか」
- 問題点:「筆者の推論の問題点を説明せよ」
- 必要な事実:「この因果関係を確かめるには、どのような事実が必要か」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①ある町では、図書館を駅前に移転した翌年、中学生の読書量が二割増えた。②駅前に移したことで、通学の帰りに立ち寄りやすくなったからである。③実際、移転後の利用者の六割は、放課後に来館した中学生だった。④また、同じ年に町は中学生向けの読書推進事業を始めており、こちらの効果も否定できない。⑤しかし、事業を実施した隣町では読書量がほとんど変わらなかったことを考えると、移転の効果が大きかったと言える。⑥図書館は、使いやすい場所にあってこそ、人を本に近づけるのである。
問1
筆者が「読書量の増加」の原因として挙げているものを答えなさい。
問2
①だけを見た場合、「移転」と「読書量の増加」の関係は、前後・相関・因果のどれと言えるか。理由とともに答えなさい。
問3
④で筆者が挙げている「第三の原因」の候補は何か。また、筆者は⑤でそれをどのように排除しているか説明しなさい。
問4
筆者の因果の説明をさらに確かめるために必要な事実を、一つ挙げなさい。
答えと判断
問1
図書館を駅前に移転したこと(通学の帰りに立ち寄りやすくなったこと)。
問2
前後。移転の翌年に増えたという時間の順だけで、他の原因や偶然と区別できない。③の利用者の構成、⑤の隣町との比較が加わって、因果に近づく。
問3
第三の原因の候補:同じ年に始めた読書推進事業。排除の仕方:事業だけを実施して移転していない隣町では読書量が変わらなかったことを示し、事業ではなく移転が効果を生んだと論じている。
問4
例:移転前の中学生の来館状況(移転前は放課後の来館が少なかったという事実)。または、移転した他の町でも同様に読書量が増えたという事実。移転前後の比較や、複数の町での繰り返しがあれば因果が強まる。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問2で「因果」 | 前後を因果と見なした | 根拠のずれを直す(型①) |
| 問3で「否定できない」を筆者の弱点とだけ読んだ | 筆者が自分で第三の原因を挙げて排除している構造を見ていない | 具体と抽象を往復する(段階4) |
| 問4で「他の原因があるかもしれない」 | 必要な事実を具体的に書いていない | 具体と抽象を往復する(段階3) |
| 問1で「読書推進事業」 | 筆者が排除した原因を挙げた | 抽象度と役割をつかむ |
因果の点検表
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| A→B | 移転→読書量増 |
| 前後 | ①翌年に増えた ○ |
| 相関 | ③利用者の六割が中学生(仕組みの裏づけ) |
| 第三の原因 | ④読書推進事業 |
| 排除 | ⑤隣町(事業のみ)では変化なし → 排除 |
| 判定 | 因果として比較的強い。ただし一つの町の一年なので、繰り返しがあればより強い |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 原因は筆者が最終的に主張しているものか | 移転(事業は排除) |
| 前後と因果を区別したか | ①だけなら前後 |
| 第三の原因と排除の方法を両方書いたか | 事業/隣町との比較 |
| 必要な事実は具体的か | 移転前の来館状況、他の町の例 |
| 筆者の「否定できない」を正しく読んだか | 自ら第三の原因を検討している |
よくある間違い
筆者が第三の原因に触れたことを「筆者の自信のなさ」と読む
第三の原因を自分で挙げて排除するのは、強い論じ方です。
「翌年に増えた」を因果の証拠だと思う
前後です。排除と仕組みの説明が加わって因果になります。
必要な事実を抽象的に答える
「他の原因を調べる」ではなく、「移転前の来館状況」のように具体的に。
自分で説明しよう
確認1:因果の根拠を点検する四段階
A→Bの形に書く、前後と相関を確かめる、第三の原因と逆の向きを考える、排除を判定する。
確認2:筆者が第三の原因を排除する典型的な方法
第三の原因だけがある場合(隣町)と比べて、結果が違うことを示す。
確認3:因果を確かめるために必要な事実の例
Aの前後の比較、Aがない場合との比較、複数の場所・年での繰り返し。
セクションの出口
論説文で、因果の主張を抽出し、前後・相関・因果を判定し、第三の原因とその排除を説明し、確かめるために必要な事実を具体的に挙げられたら完了です。
次のセクション「接続語で論理を追おう」では、つまり・たとえば・なぜなら・しかしなどの接続語から、抽象と具体、主張と根拠のつながりを素早く追う方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。