根拠の種類を知ろう:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「根拠の種類を知ろう」の出口です。六種、強さの二軸、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、根拠を分類し、最も説得力のある根拠を選び、問題点を説明し、根拠の種類を明示して要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
根拠の種類は、四つの形で出ます。
- 分類:「筆者が挙げている根拠を、種類ごとに答えよ」
- 選択:「筆者の主張を最も強く支える根拠を選べ」
- 問題点:「──線部の根拠の問題点を説明せよ」
- 要約:「筆者の主張と、それを支える根拠を〜字でまとめよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①地域の祭りは、住民のつながりを強める。②祭りの準備で、普段は話さない人同士が何日も一緒に作業するからだ。③ある市の調査では、祭りに参加した住民は、参加しなかった住民より、「近所に頼れる人がいる」と答えた割合が十八ポイント高かった。④私自身、昨年初めて祭りの運営に加わり、隣家の男性と初めて長く話した。⑤社会学の研究者も、共同作業が信頼を育てると指摘している。⑥確かに、祭りの準備は負担が大きい。⑦しかし、その負担を分け合うことこそが、つながりを作るのである。
問1
②③④⑤の根拠の種類を、それぞれ答えなさい。
問2
①の主張を最も強く支える根拠を、②〜⑤から一つ選び、その理由を「確かめられるか」「範囲」の語を使って説明しなさい。
問3
④の根拠の問題点を説明しなさい。また、④は文章の中でどのような役割を果たしているか。
問4
筆者の主張と、それを支える根拠を種類ごとに一つずつ挙げて、八十字以内でまとめなさい。
答えと判断
問1
②理由。③数値(調査)。④経験。⑤専門家の見解。
問2
③。市の調査という出典があり読み手が確かめられ、住民全体という広い範囲を覆っているから。
問3
問題点:筆者一人の経験で、「住民のつながり」という全体の主張を覆えない(範囲が狭く、確かめられない)。役割:③の数値が示す傾向を、一人の体感として読者に実感させる(説明・印象づけ)。③と組になって使われている。
問4
「祭りは住民のつながりを強める。準備で普段話さない人と作業するという理由、参加者の方が頼れる人がいると答えた割合が高い調査、研究者の指摘が支える。」(七十九字)。理由・数値・専門家を一つずつ。経験は弱いので省略可。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で⑥を根拠に入れた | 譲歩を根拠に数えた | 具体と抽象を往復する(段階2) |
| 問2で④ | 「本当のこと」を強いと判定 | 抽象度と役割をつかむ(二軸) |
| 問3で「嘘かもしれない」 | 問題点を真偽と混同 | 根拠のずれを直す(型①) |
| 問4で根拠を一種類だけ | 設問の「種類ごとに」を見落とした | 具体と抽象を往復する(段階2) |
根拠の表
| 文 | 種類 | 確かめられる | 範囲 | 強さ |
|---|---|---|---|---|
| ② | 理由 | △ | 広い | 中 |
| ③ | 数値 | ○(市の調査) | 広い | 強 |
| ④ | 経験 | × | 狭い | 弱(③の体感) |
| ⑤ | 専門家 | ○ | 広い | 強 |
| ⑥ | 譲歩 | ― | ― | 根拠ではない |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 譲歩を根拠に入れていないか | 確かに |
| 強さは二軸で判定したか | 確かめられる・範囲 |
| 経験の問題点は範囲と確認のしにくさか | 一人、確かめられない |
| 経験の役割(体感・説明)も答えたか | 数値と組 |
| 要約は種類ごとに一つずつか | 理由・数値・専門家 |
よくある間違い
経験を「問題点」だけで片づける
弱い根拠でも、数値と組になって読者に実感させる役割があります。両方答えます。
「確かに」の文を根拠に数える
譲歩は主張を支えていません。
要約で根拠の内容を省く
「調査がある」ではなく、「参加者の方が〜と答えた割合が高い調査」と中身を入れます。
自分で説明しよう
確認1:根拠の構成を点検する四段階
主張を決める、根拠を分類する、強さを二軸で判定する、不足と補い方を言う。
確認2:経験の根拠の問題点と役割
問題点:一人で範囲が狭く確かめられない。役割:数値の傾向を体感として実感させる。
確認3:最も強い根拠を選ぶ基準
出典があって確かめられ、主張の範囲を広く覆うもの(数値・専門家)。
セクションの出口
論説文で、根拠を六種に分類し、最も強い根拠を二軸で選び、経験の問題点と役割を説明し、種類ごとに根拠を挙げて要約できたら完了です。
次のセクション「根拠と具体例の違い」では、例として挙げられた内容が「どの主張を」「どのように」支えるかを、根拠と例の違いから説明する方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。