根拠と具体例の違い:具体と抽象を往復する
このレッスンの役割
前のレッスンで、根拠と具体例の違いを知りました。ここでは、本文の例について「どの主張を」「どのように」支えているかを説明するまでを一つの手順に決めます。主張が複数ある文章で、例の対応を間違えないための手順です。
今回の中心技能は、「例の要素を分ける → 対応する主張を本文から選ぶ → 根拠の側面と例の側面を分ける → 一文にする」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
【一】道具は人の能力を広げる。望遠鏡は目の届く範囲を広げた。 【二】しかし、拡張には代償がある。望遠鏡に頼れば、肉眼で星を探さなくなる。
「望遠鏡に頼れば肉眼で星を探さなくなる」は、どの主張をどのように支えているでしょうか。要素:望遠鏡(道具)、頼る、肉眼で探さない(能力を使わない)。対応:「探さなくなる」は【二】の「代償」に対応(【一】の「広げる」ではない)。側面:根拠(代償が実際にある証拠)+例(代償の意味)。一文:「『拡張には代償がある』という主張を、望遠鏡に頼ると肉眼で探す力を使わなくなるという事実を示すことで、代償の一例として裏づけている。」
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 例の要素を分ける | 道具/頼る/能力を使わなくなる |
| 2 | 要素が対応する主張を本文から選ぶ | 【二】拡張には代償がある |
| 3 | 根拠の側面と例の側面を分ける | 根拠:代償の証拠。例:代償の意味 |
| 4 | 「どの主張を」「どのように」の一文にする | 上の一文 |
段階2:対応する主張の選び方
| 例の要素 | 【一】広げる | 【二】代償 |
|---|---|---|
| 目の届く範囲を広げた | ○ | × |
| 肉眼で探さなくなる | × | ○ |
同じ「望遠鏡」でも、要素が「広げる」なら【一】、「使わなくなる」なら【二】。例の要素と主張の要素を照らします。
段階3:側面の分け方
| 問い | 側面 |
|---|---|
| この例があると、主張が正しいと思えるか | 根拠の側面 |
| この例があると、主張の意味が分かるか | 例の側面 |
| 両方 | 両方(事例の多くはこちら) |
設問「根拠として」なら根拠の側面、「例として」なら例の側面、「どのように支えるか」なら両方を書きます。
段階4:一文の形
| 部分 | 形 |
|---|---|
| どの主張を | 「〜」という主張を、 |
| 何を示して | 〜という事実(出来事)を示すことで、 |
| どのように | 〜の一例として裏づけている/〜の意味を具体的に示している |
例題:主張が三つ
【一】読書は語彙を増やす。【二】読書は集中力を育てる。【三】読書は他人の視点を知る機会になる。 例:ある生徒は、小説の主人公の立場で考えるうちに、友人とのけんかの原因が自分にもあったと気づいた。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 小説/主人公の立場で考える/自分の非に気づく |
| 2 | 「他人の立場で考える」→【三】他人の視点 |
| 3 | 根拠(視点を知った証拠)+例(視点を知るとはこういうこと) |
| 4 | 「『読書は他人の視点を知る機会になる』という主張を、主人公の立場で考えて自分の非に気づいたという出来事を示すことで、他人の視点を得る一例として裏づけている。」 |
設問の形への対応
| 設問 | 答え |
|---|---|
| この例はどの主張を支えているか | 段階2の主張 |
| この例はどのように主張を支えているか | 段階4の一文 |
| 筆者がこの例を挙げた理由 | 「〜を示すことで、〜を分かりやすくするため」 |
よくある間違い
段階2で例の直前の文を機械的に選ぶ
直前が別の主張のこともあります。要素の対応で選びます。
段階3で根拠か例かを一つに決めようとする
事例は両方です。設問が指定していなければ両方書きます。
段階4で「何を示して」を省く
「〜という主張を支えている」だけでは、「どのように」に答えていません。
自分で確かめよう
確認1:「望遠鏡は目の届く範囲を広げた」が支える主張
「道具は人の能力を広げる」(要素「広げる」が対応)。
確認2:例が支える主張を選ぶ方法
例の要素と主張の要素を照らし、対応するものを選ぶ。
確認3:「どのように支えるか」の一文に必ず入れる三つ
どの主張を、何を示して、どのように(一例として裏づける/意味を示す)。
まとめと次の一歩
手順は、要素を分ける、対応する主張を選ぶ、根拠と例の側面を分ける、一文にする、の四段階です。例の要素と主張の要素の対応で、どの主張を支えるかが決まります。
次のレッスンでは、根拠と具体例の取り違えでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。