抽象語を使って要約しよう:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「抽象語を使って要約しよう」の出口です。残すもの・削るもの、置き換えの三つの型、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、字数内で要約し、筆者の主張を記述し、要約の選択肢を判定し、抽象語の空欄を補うことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
要約は、四つの形で出ます。
- 字数指定の要約:「本文を〜字以内で要約せよ」
- 主張の記述:「筆者の主張を〜字以内で書け」
- 選択:「本文の要約として最も適切なものを選べ」
- 空欄補充:「本文の内容を一語で表した次の文の空欄に入る語を答えよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①私たちは、便利な道具を手にするたびに、何かを手放してきた。②自動車を得て歩く距離を減らし、検索を得て覚える手間を減らし、地図アプリを得て道を記憶しなくなった。③失ったのは、歩く力や記憶力そのものではない。④それらを使う「機会」である。⑤能力は、使う機会がなければ育たず、やがて衰える。⑥だから、道具の便利さを享受しながらも、あえて使わない場面を自分で作ることが、能力を保つ唯一の方法なのである。
問1
本文を五十字以内で要約しなさい。
問2
筆者の主張を三十字以内で書きなさい。
問3
本文の要約として最も適切なものを選びなさい。 ア 自動車や検索や地図アプリは、歩く力や記憶力を奪うので、使うべきではない。 イ 便利な道具は能力を使う機会を奪い、機会がなければ能力は衰えるので、あえて使わない場面を作ることが能力を保つ方法だ。 ウ 便利な道具は素晴らしいが、人は怠けやすいので注意が必要だ。 エ 道具を使わない場面を作ることが能力を保つ方法なので、道具は能力を使う機会を奪う。
問4
次の文の空欄に入る語を、本文から二字で抜き出しなさい。「筆者は、道具が人から奪うのは能力そのものではなく、能力を使う( )だと述べている。」
答えと判断
問1
「便利な道具は能力を使う機会を奪い、機会がなければ能力は衰えるので、あえて使わない場面を作って能力を保つべきだ。」(五十字)。上二層:⑥(中心)、④⑤(根拠)。②の例は「便利な道具」に置き換え。
問2
「道具の便利さを享受しつつ、あえて使わない場面を作って能力を保つべきだ。」(三十字)。⑥の要点。「享受しながらも」の対立の構造を保つ。
問3
イ。アは例が残り(型①)、「使うべきではない」は本文にない判断(型④。筆者は「享受しながらも」と言っている)。ウは上げすぎで要素(機会・衰える・使わない場面)が落ち、「怠けやすい」は判断の追加。エは向きが逆(型③)。
問4
「機会」。④。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1に「自動車、検索、地図アプリ」 | 例が残る | 根拠のずれを直す(型①) |
| 問1で「道具は人を弱くする」 | 上げすぎ(機会・衰える が落ちた) | 根拠のずれを直す(型②) |
| 問2で「道具を使うべきでない」 | 判断を足した(「享受しながらも」を無視) | 根拠のずれを直す(型④) |
| 問3でエ | 向きが逆 | 根拠のずれを直す(型③) |
| 問4で「能力」 | 空欄の前「能力を使う」と重複 | 抽象度と役割をつかむ(キーワード) |
要約の図
⑥ 使わない場面を作ることが能力を保つ方法(中心)
↑ ↑
④ 失うのは使う機会 ⑤ 機会がなければ衰える
↑
② 自動車・検索・地図アプリ(例 → 「便利な道具」に置き換え)
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 例を抽象語に置き換えたか | ②→便利な道具 |
| 要素が落ちていないか | 機会・衰える・使わない場面・保つ |
| 「〜ので」の前が根拠、後が主張か | ④⑤ので⑥ |
| 本文にない判断を足していないか | 「使うべきでない」は× |
| 対立の構造を保ったか | 享受しながらも |
よくある間違い
筆者の「〜ながらも」を落として極端な主張にする
「便利さを享受しながらも」は、主張の範囲を限定する対立の構造です。落とすと型④(判断の追加)になります。
空欄補充で、空欄の前後と重複する語を入れる
「能力を使う(能力)」は重複。空欄は前後と別の要素を持つキーワードです。
要約の選択肢を長さで選ぶ
長い選択肢が正解とは限りません。四つの型で消します。
自分で説明しよう
確認1:要約で残すものと削るもの
残す:中心の主張、直接の根拠、対立の構造、キーワード。削る:例、描写、譲歩、繰り返し、引用。
確認2:要約の誤りの四つの型と、選択肢の消し方
例が残る、上げすぎ、向きが逆、判断を足す。選択肢をこの四つで消す。
確認3:要約の四段階
上二層を取り出す、具体を抽象語に置き換える、「〜ので〜」につなぐ、字数と要素を照らす。
セクションの出口
論説文で、例を抽象語に置き換えて字数内に要約し、対立の構造を保って主張を記述し、四つの型で選択肢を消し、キーワードで空欄を補えたら完了です。
次のセクション「抽象・具体と根拠マスターチェック」では、コース全体の技能を一枚の表にまとめ、総合問題で仕上げます。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。