具体例から共通点をまとめよう:具体と抽象を往復する
このレッスンの役割
前のレッスンで、抽象化の仕組みと高さの基準を知りました。ここでは、複数の具体から共通点を取り出し、記述の答えに整えるまでを一つの手順に決めます。最後に各具体へ戻して確かめるのが、往復の要点です。
今回の中心技能は、「具体を要素に分ける → 要素ごとに共通する語を探す → 一文にして高さを点検する → 各具体に戻して当てはまるか確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
望遠鏡は目の届く範囲を広げた。自動車は足の届く範囲を広げた。計算機は頭の処理できる量を広げた。これらに共通することを、二十字以内で答えなさい。
手順で作ります。要素:道具(望遠鏡・自動車・計算機)、能力(目・足・頭)、変化(広げた)。共通語:道具、人の能力、広げる。一文:「道具が人の能力の及ぶ範囲を広げること」(十九字)。戻す:望遠鏡は道具で目の能力を広げた ○、自動車 ○、計算機 ○。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 具体を要素に分ける | 道具/能力/変化 |
| 2 | 要素ごとに共通する語を探す | 道具/人の能力/広げる |
| 3 | 一文にして高さを点検する | 道具が人の能力の及ぶ範囲を広げること |
| 4 | 各具体に戻して当てはまるか確かめる | 三つとも ○ |
段階1:要素の分け方
| 問い | 要素 |
|---|---|
| 誰が/何が | 主体(望遠鏡、先輩、水墨画) |
| 何を/どうした | 行動・働き(広げた、名前を呼んだ、描かない) |
| 何に対して | 対象(目、後輩、景色) |
| 何が起きた | 結果(範囲が広がる、個別に接する、意味が生まれる) |
表にすると、縦に見て共通語が探せます。
段階2:共通語の探し方
| 具体の語 | 共通語 |
|---|---|
| 望遠鏡、自動車、計算機 | 道具 |
| 目、足、頭 | 人の能力(感覚・運動・思考) |
| 後輩、生徒、孫 | 相手(目下の人) |
| 名前を呼ぶ、一言書く、続きを尋ねる | 個別に接する |
一段上の語を選びます。「物」は広すぎ、「光学機器」は狭すぎ。
段階3:高さの点検
| 点検 | 問い |
|---|---|
| 全部に当てはまるか | 三つの具体のどれにも言えるか |
| 他と区別できるか | 別の具体の組でも同じことが言えてしまわないか |
| 字数 | 設問の字数に収まるか(要素を圧縮) |
段階4:戻して確かめる
| 共通点 | 望遠鏡 | 自動車 | 計算機 |
|---|---|---|---|
| 道具が人の能力の及ぶ範囲を広げる | 道具・目・広げた ○ | 道具・足・広げた ○ | 道具・頭・広げた ○ |
一つでも当てはまらなければ、段階2に戻って語を変えます。
例題:記述の形で
ある町では、空き店舗を若者に貸した。別の町では、祭りの運営を中学生に任せた。また別の町では、観光案内を高齢者が担った。これらの取り組みに共通する考え方を三十字以内で答えなさい。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 町/何を/誰に |
| 2 | 町の仕事や場所/住民(若者・中学生・高齢者)/任せる |
| 3 | 町の役割を特定の住民に任せ、担い手を広げる考え方(二十七字) |
| 4 | 三つとも「町が、住民に、任せる」○ |
字数の調整
| 字数 | 書き方 |
|---|---|
| 十五字以内 | 共通語だけ(道具が能力を広げること) |
| 三十字以内 | 共通語+結果(道具が人の能力の及ぶ範囲を広げ、便利にすること) |
| 五十字以内 | 共通語+結果+具体の代表(望遠鏡や自動車のように〜) |
よくある間違い
段階1を飛ばして印象で共通点を言う
「便利」「すごい」になります。要素に分けてから。
段階2で一段上りすぎる
「物」「人」「何か」は広すぎます。具体の組を区別できる語に。
段階4を省く
一つの具体に当てはまらない共通点を答えてしまいます。
自分で確かめよう
確認1:「先輩は名前を呼ぶ、先生は一言書く、祖母は続きを尋ねる」を四段階で
主体/行動/相手 → 目上の人/個別に接する/目下の相手 → 相手を一人の人として覚え個別に接すること → 三つとも ○。
確認2:段階2で「物」が不適切な理由
広すぎて、望遠鏡・自動車・計算機の組を区別できない。
確認3:段階4で当てはまらない具体があったらどうしますか
段階2に戻って共通語を変える。
まとめと次の一歩
手順は、要素に分ける、共通語を探す、一文にして高さを点検、戻して確かめる、の四段階です。字数は、共通語・結果・代表の具体の順に足して調整します。
次のレッスンでは、共通点の取り出しでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。