LESSON 01

主張と根拠を図にしよう

主張と根拠を図にしよう:具体と抽象を往復する

中心の主張を最上段に置く、各文の役割と抽象度で層を決める、「何を支えるか」で矢印を引く、抜け・重複・ずれを点検するという四段階で、本文から主張と根拠の図を作る手順を一行ずつ使います。

主張と根拠を図にしよう:具体と抽象を往復する

このレッスンの役割

前のレッスンで、三層の図と二つの約束を知りました。ここでは、本文を読んでから図を完成させるまでを一つの手順に決めます。この手順は、入試の「構成図の選択」と、作文の「構成メモ」の両方に使えます。

今回の中心技能は、「中心の主張を最上段に置く → 各文の役割と抽象度で層を決める → 『何を支えるか』で矢印を引く → 抜け・重複・ずれを点検する」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。

今日の問い

①人は名前を呼ばれると、その場にいることを実感する。②名前は、その人がただ一人であることを示す最も短い言葉だからだ。③店で名前を呼ばれると背筋が伸びる。④病院で番号で呼ばれると、人ではなく順番になった気がする。⑤調査では、名前で呼ばれた顧客の満足度が二割高かった。⑥だから、人と接する仕事では、名前を呼ぶことが最初の信頼を作る。

手順で図にします。最上段:⑥。層:①支える主張(中)、②理由(中)、⑤数値(中〜下)、③④例(下)。矢印:②→①、③→①、④→①(対比の例)、⑤→⑥、①→⑥。点検:抜けなし(⑥に①⑤、①に②③④)、重複なし、ずれなし。

手順を一行ずつ

段階 すること 今日の問いの場合
1 中心の主張を最上段に置く ⑥(だから の後、文末「作る」の断定)
2 各文の役割と抽象度で層を決める ①中(支える主張)、②中(理由)、⑤中下(数値)、③④下(例)
3 「何を支えるか」で矢印を引く ②③④→①、①⑤→⑥
4 抜け・重複・ずれを点検する いずれもなし

段階1:中心の主張の決め方

「筆者の主張を見つけよう」の三つの合図を使います。問いへの答え、繰り返し、文末(べきだ・である・のだ)。接続語なら「つまり」「だから」「しかし」の後。

段階2:層の決め方

役割 層
中心の主張 上
支える主張、理由、性質 中
数値、調査 中〜下(直接の根拠だが具体)
例、経験、観察、場面描写 下
譲歩、引用、補足 図の外(または横に点線)

譲歩と引用は、主張を支えないので図の本体には入れません。構成図の設問で「譲歩」の箱があれば、主張の横に点線で置きます。

段階3:矢印の引き方

問い 矢印
この理由は、どの主張を支えるか 理由 → その主張
この例は、どの理由(または主張)を示すか 例 → その理由
この数値は、何を裏づけるか 数値 → その主張

一つの箱から出る矢印は原則一本です。二本出るなら、どちらを支えるかを本文の接続語で確かめます。

完成した図

      ⑥ 名前を呼ぶことが最初の信頼を作る(中心)
            ↑                    ↑
   ① 名前で実感する(支える主張)   ⑤ 満足度二割高(数値)
     ↑        ↑         ↑
   ② ただ一人  ③ 店の例   ④ 病院の対比例

段階4:点検の表

点検 問い 見つかったら
抜け 矢印が向いていない主張はあるか その主張の根拠を本文で探す。なければ「根拠のない主張」と指摘
重複 同じ内容の箱はあるか 一つにまとめる
ずれ 矢印の先と要素・範囲・向きが合うか 矢印を正しい主張に引き直すか、「ずれ」と指摘

例題:構成図の選択

本文:①読書は語彙を増やす。②読書は読解力を高める。③だから読書の時間を増やすべきだ。④調査では読書量と語彙力に相関があった。

選択肢 図 判定
ア ③ ← ①②、① ← ④ ○(④は語彙の数値で①を支える)
イ ③ ← ①②④ ×(④は③を直接でなく①を通して支える)
ウ ① ← ③ ×(矢印が逆)

選択肢の違いは、④の矢印の先。「④は何を裏づけるか」で決めます。

よくある間違い

段階1で最初の文を中心に置く

最初の文は話題や一般論のことが多い。合図と接続語で決めます。

段階2で譲歩を中層に置く

譲歩は主張を支えない。図の外か点線。

段階3で全部の矢印を中心の主張に向ける

例は理由を支え、理由が主張を支えます。段を飛ばした矢印は「ずれ」を隠します。

自分で確かめよう

確認1:図を作る四段階

中心の主張を最上段に、役割と抽象度で層を決める、「何を支えるか」で矢印、抜け・重複・ずれを点検。

確認2:譲歩と引用はどこに置きますか

図の外(または主張の横に点線)。主張を支えないから。

確認3:一つの箱から矢印が二本出そうなとき、どう決めますか

本文の接続語で、どちらを支えているかを確かめ、一本にする。

まとめと次の一歩

手順は、中心の主張を上に、層を決め、矢印を引き、点検する、の四段階です。層は役割と抽象度で、矢印は「何を支えるか」で決めます。

次のレッスンでは、図の作成でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:本文から図を作る手順

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    本文から図を作る四段階の段階1は何ですか。
  2. 設問 1
    譲歩と引用は図のどこに置きますか。
  3. 設問 2
    「この例はどの理由を示すか」で決めるものはどれですか。
  4. 設問 3
    「調査では読書量と語彙力に相関があった」は、「読書は語彙を増やす」と「読書の時間を増やすべきだ」のどちらを支えますか。
  5. 設問 4
    一つの箱から矢印が二本出そうなときの決め方はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。