前提チェック(情報の関係):要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「前提チェック」の出口です。二つの軸、往復の四段階、ずれの三つの型を、短い論説文と入試形式の問題で通して使い、このコースを進める準備が整っているかを確かめます。
中心技能は、主張と根拠を指摘し、抽象度を判定し、根拠のずれを指摘し、抽象語で要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
このコースの内容は、四つの形で出ます。
- 主張と根拠:「筆者の主張と、その根拠を答えよ」
- 抽象と具体:「──線部の具体例として挙げられているものを抜き出せ」「──線部とはどういうことか」
- 根拠の評価:「筆者の根拠として適切でないものを選べ」「この根拠の問題点を説明せよ」
- 要約:「本文を〜字以内で要約せよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①人は、手で書くことで記憶を深める。②ある実験では、講義の内容をノートに手書きした学生は、パソコンで入力した学生より、一週間後の理解度テストの点が高かった。③手で書くには時間がかかるため、聞いた内容を自分の言葉に直して要点だけを書く。④この「直す」作業が、理解を深めるのだと考えられる。⑤私の弟も、手書きで単語を覚えるようになってから、英語の点が上がった。⑥したがって、学校では手書きのノートを重視すべきである。
問1
筆者の主張を一文で抜き出しなさい。
問2
①〜⑥を、抽象度が高いものと低いものに分けなさい。
問3
②と⑤は、どちらも主張を支える根拠として挙げられている。⑤の根拠としての問題点を、「範囲」「向き」「種類」のいずれかの語を使って説明しなさい。
問4
本文を、具体例を使わずに四十字以内で要約しなさい。
答えと判断
問1
「したがって、学校では手書きのノートを重視すべきである。」「したがって」の後、「べきである」。
問2
高い:①④⑥(性質・考え・主張)。低い:②⑤(実験の数値、弟の出来事)。③は中(手書きの一般的な過程)。
問3
範囲のずれ。弟一人の出来事で、「学校では」という全体への主張を支えるには狭すぎる。また、英語の点が上がった原因が手書きとは限らない(向きのずれも指摘できる)。②は実験で範囲が広く、根拠として適切。
問4
「手で書くと内容を自分の言葉に直す作業が理解を深めるので、学校は手書きを重視すべきだ。」(三十九字)。①③④の抽象をつなぎ、⑥の主張で結ぶ。②⑤は入れない。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で①「人は、手で書くことで記憶を深める」 | 根拠を主張と取り違えた | 抽象度と役割をつかむ |
| 問2で③を低い | 一般的な過程を具体例と見た | 抽象度と役割をつかむ |
| 問3で「嘘だから」 | ずれを内容の真偽と混同した | 根拠のずれを直す |
| 問4に「実験で」「弟が」を入れた | 具体を要約に入れた | 具体と抽象を往復する |
文章の表
| 文 | 抽象度 | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 高 | 根拠(主張を支える一般論) |
| ② | 低 | 例(①を裏づける実験) |
| ③ | 中 | 根拠(理由の説明) |
| ④ | 高 | 根拠(③のまとめ) |
| ⑤ | 低 | 例(範囲が狭い) |
| ⑥ | 高 | 主張 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 主張は「べきだ」「したがって」の文か | ⑥ |
| 抽象度は「多くの場合に当てはまるか」で決めたか | 数値・固有名詞は低い |
| 根拠のずれを型の語で言ったか | 範囲・向き・種類 |
| 要約に具体(数値・人名)を入れていないか | 実験、弟 |
| 要約は抽象の文をつないだか | ①③④⑥ |
よくある間違い
最初の文を主張だと思う
①は一般論で、主張は「したがって」の後。
実験の文を「事実だから抽象度が高い」と思う
事実かどうかと抽象度は別です。実験の数値は具体(低い)。
要約で「弟の例」を省くと情報が足りないと思う
要約は抽象の側で書きます。例は材料です。
自分で説明しよう
確認1:このコースの二つの軸と、往復の四段階
抽象度と役割。抽象度を決める、一段上る、一段下りる、対応を確かめる。
確認2:⑤が根拠として弱い理由を型の語で
範囲のずれ(一人の例で全体を支えられない)。
確認3:要約に入れる文と入れない文
入れる:抽象度の高い根拠と主張(①③④⑥)。入れない:具体例(②⑤)。
セクションの出口
短い論説文で、主張と根拠を指摘し、抽象度を分け、根拠のずれを型の語で説明し、抽象の側で要約できたら、このコースの準備は完了です。
次のセクション「具体的な表現とは」では、具体の側をさらに細かく見て、目に見える事例・行動・数値の見分けと役割を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。