主張と根拠を図にしよう:抽象度と役割をつかむ
このレッスンの役割
ここまで、主張を見つけ、根拠を分類し、接続語で流れを追い、根拠を選んできました。このセクションでは、それらを一枚の図にします。図にすると、根拠のない主張(抜け)、同じ根拠の繰り返し(重複)、主張と合わない根拠(ずれ)が目で分かります。入試の「本文の構成を図にしたものとして適切なもの」や、作文の構成づくりに直結します。
今回の中心技能は、主張・根拠・例を三層の図に置き、矢印と階層の約束を守って描き、図から抜け・重複・ずれを指摘できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
①祭りは続けるべきだ。②祭りは住民のつながりを強める。③準備で普段話さない人と作業するからだ。④参加者の方が頼れる人がいると答えた割合が高かった。⑤隣家の男性と太鼓の練習で初めて話した。
図にします。最上段:①(中心の主張)。二段目:②(支える主張)。三段目:③(理由)、④(数値)。四段目:⑤(③の例)。矢印は下から上へ「支える」。この図で、②を支える根拠が二本あり、③には例がある、と一目で分かります。
図の型:三層
| 層 | 置くもの | 抽象度 |
|---|---|---|
| 上 | 中心の主張(問いへの答え) | 最も高い |
| 中 | 支える主張・根拠(理由・性質) | 高い |
| 下 | 例・数値・経験・観察 | 低い |
抽象度の階段(上に行くほど抽象)と同じ構造です。支える主張があるときは、中層が二段になります。
二つの約束
| 約束 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 矢印は下から上へ「支える」 | 根拠 → 主張。例 → 根拠 | 「何が何を支えるか」を示すため |
| 上ほど抽象、下ほど具体 | 主張を下に置かない。例を上に置かない | 抽象度の階段を守るため |
矢印を逆(主張→根拠)に書くと、「主張が根拠を支える」という意味になり、誤りです。
今日の問いの図
① 祭りは続けるべきだ(中心)
↑
② つながりを強める(支える主張)
↑ ↑
③ 準備で作業する ④ 頼れる人の割合(数値)
↑
⑤ 隣家の男性と話した(例)
図から読み取れる三つのこと
| 読み取り | 図の形 | 意味 |
|---|---|---|
| 抜け | 主張に矢印が一本も向いていない | 根拠のない主張 |
| 重複 | 同じ内容の箱が二つ | 根拠が水増し |
| ずれ | 矢印の先の主張と要素が合わない | 根拠の範囲・向き・種類のずれ |
例題:抜けを見つける
①学校は制服を廃止すべきだ。②制服は高価だ。③私服の学校では生徒が自由に表現できる。④制服の廃止で校則違反は減る。
① 廃止すべき
↑ ↑ ↑
② ③ ④(根拠なし)
④「校則違反は減る」には支える事実も理由もない。抜けです。②③は根拠がある(②は事実、③は観察)。
例題:ずれを見つける
①中学生は毎日運動すべきだ。②週に一度運動する生徒は体力がある。
図にすると、②(週に一度)が①(毎日)を支える矢印は、範囲がずれています。②は「週に一度でよい」の根拠にもなり、「毎日」を支えていません。
よくある間違い
本文の順番で上から並べる
図は抽象度の順です。本文の最初にある例は下、最後にある主張は上。
矢印を上から下に書く
「主張→根拠」は「主張が根拠を支える」になります。根拠→主張。
例を根拠と同じ段に置く
例は根拠を支える下の段です。同じ段に置くと、根拠が多く見えて重複や抜けが隠れます。
自分で確かめよう
確認1:図の三層と置くもの
上:中心の主張。中:支える主張・根拠。下:例・数値・経験・観察。
確認2:矢印の向きと意味
下から上へ。「支える」(根拠→主張、例→根拠)。
確認3:図から読み取れる三つのこと
抜け(根拠のない主張)、重複(同じ根拠の繰り返し)、ずれ(主張と合わない根拠)。
まとめと次の一歩
主張と根拠は、上に主張、中に根拠、下に例の三層で図にし、矢印は下から上へ「支える」、上ほど抽象、の約束で描きます。図から、抜け・重複・ずれが読み取れます。
次のレッスンでは、本文から図を作る手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。