必要な根拠を本文から選ぼう:抽象度と役割をつかむ
このレッスンの役割
入試の記述問題の多くは、「〜の根拠を本文から抜き出せ」「〜と筆者が述べる理由を本文の言葉で説明せよ」です。本文には主張を支える文と、関係の薄い文が混ざっています。ここでは、設問の主張に直接対応する根拠を選び、関係の薄い情報を除く基準をつかみます。
今回の中心技能は、設問の主張に対して本文の各文が「直接の根拠」「間接の根拠」「関係が薄い」のどれかを判定し、除外すべき情報の種類を言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
設問:筆者が「祭りは続けるべきだ」と述べる根拠を答えよ。 本文:①祭りは住民のつながりを強める。②準備で普段話さない人と作業するからだ。③参加者の方が頼れる人がいると答えた割合が高かった。④確かに準備は負担が大きい。⑤祭りの日は、太鼓の音が町中に響く。
直接の根拠:①②③(つながりを強める、その理由、その数値)。関係が薄い:④(譲歩)、⑤(描写)。設問が「根拠」なら①②③を選び、④⑤は除きます。
判定の四つの基準
| 基準 | 問い | 直接の根拠 | 関係が薄い |
|---|---|---|---|
| 要素の対応 | 設問の主張の要素(祭り・続ける)に対応するか | つながりを強める(続ける理由) | 太鼓の音(要素なし) |
| 向き | 主張を支える向きか | 強める(支える) | 負担が大きい(反対の向き=譲歩) |
| 範囲 | 主張の範囲に合うか | 参加者の調査(住民全体) | 一人の感想 |
| 役割 | 根拠の役割か | 理由・数値・事例 | 描写・引用・問い |
除外すべき情報の種類
| 種類 | 合図 | 理由 |
|---|---|---|
| 譲歩 | 確かに、もちろん | 反対の向き。主張を支えない |
| 引用・一般論 | と言われる、と信じられている | 筆者の根拠ではない |
| 別の主張の根拠 | 別の段落の「なぜなら」 | 設問の主張とは要素が対応しない |
| 描写 | 五感の語 | 印象づけで根拠ではない |
| 問い | だろうか | 出発点で根拠ではない |
直接と間接
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 直接の根拠 | 主張を支える理由・事実そのもの | 準備で作業するから、調査の数値 |
| 間接の根拠 | 直接の根拠を支える、またはその例 | 隣家の男性と話した(②の例) |
設問「根拠を一つ」なら直接の根拠、「根拠を具体例とともに」なら間接も含めます。
例題:判定する
設問:筆者が「手書きを重視すべきだ」と述べる根拠を答えよ。 ①手書きは記憶を深める。②内容を自分の言葉に直すからだ。③実験では手書きの学生の点が十二点高かった。④私の弟も手書きで英語の点が上がった。⑤パソコン入力は速くて便利だ。⑥ノートの文字が整っていると気分がよい。
| 文 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 直接 | 重視すべき理由(効果) |
| ② | 直接 | ①の理由 |
| ③ | 直接 | ①の数値 |
| ④ | 間接(弱い) | ①の例、範囲が狭い |
| ⑤ | 関係が薄い | 譲歩(反対の向き) |
| ⑥ | 関係が薄い | 別の話(気分)、要素が対応しない |
よくある間違い
主張の近くにある文を全部根拠にする
譲歩や描写が近くにあっても、根拠ではありません。基準で判定します。
話題が同じなら根拠だと思う
「ノートの文字が整う」は手書きの話ですが、「記憶を深める」の要素に対応しません。
弱い根拠を除外する
一人の例は弱くても、設問が「根拠をすべて」なら含めます。除外するのは「関係が薄い」ものです。
自分で確かめよう
確認1:根拠を選ぶ四つの基準
要素の対応、向き、範囲、役割。
確認2:除外すべき情報の種類を三つ
譲歩、引用・一般論、描写。(別の主張の根拠、問い も可)
確認3:「確かに準備は負担が大きい」を根拠から除く理由
向きが反対(譲歩)で、主張を支えていない。
まとめと次の一歩
根拠は、要素の対応・向き・範囲・役割の四つの基準で選び、譲歩・引用・描写・別の主張の根拠・問いを除きます。直接の根拠と間接の根拠は、設問の指示で使い分けます。
次のレッスンでは、設問の主張を要素に分け、本文を走査して根拠を選び、記述の形に整える手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。