LESSON 01

抽象表現を具体化しよう

抽象表現を具体化しよう:具体と抽象を往復する

抽象を要素に分ける、各要素に対応する身近な場面を置く、一文にする、三つの条件で点検して抽象に戻すという四段階で、抽象表現を具体化する手順を一行ずつ使います。

抽象表現を具体化しよう:具体と抽象を往復する

このレッスンの役割

前のレッスンで、具体化の三つの条件を知りました。ここでは、抽象的な説明から例を作り、点検して抽象に戻すまでを一つの手順に決めます。記述の「当てはまる例を挙げよ」と、選択の「当てはまるものを選べ」の両方に使います。

今回の中心技能は、「抽象を要素に分ける → 各要素に対応する身近な場面を置く → 一文にする → 三つの条件で点検して抽象に戻す」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。

今日の問い

「小さな譲歩」:人の都合を少し譲って、他の生き物の居場所を残す試み。この考え方に当てはまる身近な例を挙げなさい。

手順で作ります。要素:人の都合/少し譲る/生き物/居場所を残す。場面:庭の一角/草を刈らない/虫や小鳥/隠れる場所。一文:「庭の一角だけ草を刈らずに残し、虫や小鳥が隠れる場所にしている。」点検:都合(庭をきれいにしたい)を少し(一角だけ)譲り、生き物(虫・小鳥)の居場所 → 全要素○、範囲内、反例でない。

手順を一行ずつ

段階 すること 今日の問いの場合
1 抽象を要素に分ける 人の都合/少し譲る/生き物/居場所
2 各要素に対応する身近な場面を置く 庭/一角を刈らない/虫・小鳥/隠れ場所
3 一文にする 庭の一角だけ草を刈らずに残し、虫や小鳥の隠れ場所にしている
4 三つの条件で点検して抽象に戻す 要素○、範囲内、反例でない

段階1:要素の分け方

抽象 要素
小さな譲歩 誰が(人)/何を(都合)/どれだけ(少し)/誰のために(生き物)/何を残す(居場所)
既知の枠 知らないもの/知っている枠/押し込める
名前を呼ばれると実感する 名前を呼ぶ人/呼ばれる人/実感する場面

「誰が・何を・どれだけ・誰のために・何が起きる」で分けると漏れません。

段階2:場面の置き方

要素 身近な場面の候補
人の都合 庭をきれいに、道を広く、夜を明るく
少し譲る 一角だけ、一部だけ、時間を限って
生き物 虫、小鳥、魚、野良猫
居場所 隠れる場所、通り道、水辺

自分の経験、学校、家、通学路から選ぶと具体的になります。

段階3:一文の形

形 例
〜して、〜している 一角を刈らずに残して、隠れ場所にしている
〜することで、〜になる 街灯を減らすことで、虫が集まらなくなる
〜のとき、〜する 初めての料理を食べたとき、知っている味に例える

段階4:点検と戻し

点検 問い
要素 段階1の要素が全部、段階3の文に入っているか
範囲 抽象の範囲(人が生き物のために)の中か
反例 抽象を否定していないか(草を全部刈る、は反例)
戻し この例から抽象(小さな譲歩)が導けるか

戻しは、前のセクションの「共通点を取る」の逆確認です。例から抽象が導ければ、対応しています。

例題:選択問題に使う

「既知の枠」(知っている枠に押し込める働き)に当てはまる例を選びなさい。 ア 初めて食べた料理を、「カレーに似ている」と言った。 イ 初めて食べた料理を、何にも似ていないと感じた。 ウ いつものカレーを食べた。 エ 新しい料理の作り方を本で調べた。

選択肢 要素(知らない・枠・押し込める) 判定
ア 初めて(知らない)・カレー(枠)・似ている(押し込める)○ 適切
イ 押し込めていない 反例
ウ 知らないものではない 範囲外
エ 枠に押し込めていない(調べている) 要素なし

よくある間違い

段階1を飛ばして思いついた場面を書く

要素が抜けます。「庭に虫がいる」では譲歩がありません。

段階2で抽象的な場面を置く

「自然を大切にする」は場面ではありません。具体的な行動に。

段階4の戻しを省く

例から抽象が導けなければ、別の話になっています。

自分で確かめよう

確認1:「名前を呼ばれると実感する」の例を四段階で

呼ぶ人/呼ばれる人/場面 → 転校先の先生/私/初日 → 転校初日に先生が名前で呼んでくれて、この教室にいてよいと感じた → 要素○、範囲内、反例でない、例から抽象が導ける。

確認2:「初めての料理を何にも似ていないと感じた」が「既知の枠」の例にならない理由

反例(枠に押し込めていない)。

確認3:段階4の「戻し」で確かめること

作った例から元の抽象が導けるか。

まとめと次の一歩

手順は、要素に分ける、場面を置く、一文にする、条件で点検して戻す、の四段階です。選択問題では、各選択肢を要素・範囲・反例で判定します。

次のレッスンでは、具体化でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:抽象表現を具体化する手順

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    抽象表現を具体化する四段階の段階1はどれですか。
  2. 設問 1
    「小さな譲歩(人の都合を少し譲って生き物の居場所を残す)」の例として適切なものはどれですか。
  3. 設問 2
    「既知の枠」の例として適切なものはどれですか。
  4. 設問 3
    段階4の「戻し」で確かめることはどれですか。
  5. 設問 4
    「自然を大切にする」を場面として置いたときの問題はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。