事実・意見・推測:抽象度と役割をつかむ
このレッスンの役割
「情報の関係」では事実と意見を二つに分けました。ここでは「推測」を加えて三つにし、根拠としての確かさを比べます。論説文の筆者は、事実から推測し、推測を重ねて意見に至ります。どこまでが確かで、どこからが筆者の判断かを分けられると、根拠の強さが見えます。
今回の中心技能は、文を「事実・意見・推測」の三つに分け、文末と内容の手掛かりを言い、根拠としての確かさの順を言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
①この町の人口は、五年で一割減った。②若い世代が都市へ出ているためだろう。③このままでは、町の祭りは続けられなくなるかもしれない。④町は、若者が残りたくなる仕事を作るべきだ。
①は数値で確かめられる事実。②は「だろう」で原因を推測。③は「かもしれない」で将来を推測。④は「べきだ」で意見。事実→推測→推測→意見の順に、確かさが下がり、筆者の判断が増えています。
三つの定義
| 種類 | 内容 | 文末・手掛かり | 確かさ |
|---|---|---|---|
| 事実 | 確かめられる内容 | 〜た、〜である、数値、調査 | 高い |
| 推測 | 事実から可能性として述べた内容 | だろう、かもしれない、と思われる、と考えられる、〜ようだ | 中(事実に支えられていれば) |
| 意見 | 書き手の判断・評価・提案 | べきだ、大切だ、と考える、ではないか | 筆者の立場(確かさとは別) |
推測の見分け方
| 手掛かり | 例 |
|---|---|
| 文末 | だろう、かもしれない、と思われる、と考えられる、らしい、ようだ |
| 原因の推測 | 〜ためだろう、〜からではないか |
| 将来の推測 | 〜になるだろう、〜なるかもしれない |
| 程度 | おそらく、たぶん、〜の可能性がある |
推測は「まだ確かめられていないが、事実から導かれる」内容です。事実との間に飛躍がないかが、推測の強さを決めます。
三つの関係
| 流れ | 例 |
|---|---|
| 事実 → 推測 | 人口が一割減った → 若者が出ているためだろう |
| 推測 → 推測 | 若者が出ている → 祭りが続かないかもしれない |
| 推測 → 意見 | 祭りが続かない → 仕事を作るべきだ |
推測が重なるほど、意見は事実から遠くなります。設問「筆者の意見の根拠となる事実」は、一番上の事実(①)を答えます。
根拠としての確かさ
| 根拠 | 確かさ | 例 |
|---|---|---|
| 事実 | 強い | 人口が一割減った |
| 事実に支えられた推測 | 中 | 若者が出ているためだろう(転出のデータがあれば強くなる) |
| 事実に支えられない推測 | 弱い | 祭りが続かないかもしれない(根拠がない) |
| 意見 | 根拠にならない | 仕事を作るべきだ |
例題:三つに分ける
①昨年、この地域の最高気温は三十八度を記録した。②温暖化の影響と考えられる。③今後も記録は更新されるだろう。④学校は夏の屋外活動を見直すべきだ。
| 文 | 種類 | 手掛かり |
|---|---|---|
| ① | 事実 | 記録した(数値) |
| ② | 推測 | と考えられる(原因) |
| ③ | 推測 | だろう(将来) |
| ④ | 意見 | べきだ |
よくある間違い
推測を事実と読む
「〜と考えられる」「〜ようだ」は推測です。確かめられていません。
推測を意見と読む
推測は「可能性」で、意見は「判断」。「だろう」と「べきだ」は違います。
意見の根拠に推測を挙げて済ませる
設問「根拠となる事実」には、推測ではなく事実(数値・出来事)を答えます。
自分で確かめよう
確認1:事実・意見・推測の文末の手掛かり
事実:〜た、数値。推測:だろう、かもしれない、と考えられる。意見:べきだ、と考える。
確認2:「若い世代が都市へ出ているためだろう」の種類
推測(原因の推測)。
確認3:根拠として最も確かなものと、根拠にならないもの
最も確か:事実。根拠にならない:意見。
まとめと次の一歩
文は事実・推測・意見の三つに分かれ、文末で見分けます。筆者は事実から推測し、意見に至ります。根拠として確かなのは事実で、推測は事実に支えられているかで強さが決まります。
次のレッスンでは、文章の事実・推測・意見を表にして、推測の飛躍を点検する手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。