LESSON 01

抽象・具体と根拠マスターチェック

抽象・具体と根拠マスターチェック:具体と抽象を往復する

接続語に印をつけ各文の抽象度と役割を決める、中心の主張を決め根拠を種類と強さで分ける、三層の図にして抜け・重複・ずれを点検する、設問の形から柱を決めて答案を作るという統合手順を、一つの論説文で一行ずつ使います。

抽象・具体と根拠マスターチェック:具体と抽象を往復する

このレッスンの役割

前のレッスンで四つの柱の表を作りました。ここでは、論説文を読み始めてから設問に答えるまでを、四つの柱をつないだ一つの手順にします。本番ではこの手順を一回通すだけで、主張・根拠・図・要約の材料が揃います。

今回の中心技能は、「接続語に印をつけ各文の抽象度と役割を決める → 中心の主張を決め根拠を種類と強さで分ける → 三層の図にして点検する → 設問の形から柱を決めて答案を作る」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は10分です。

今日の問い

①「地域の行事は若者に敬遠されている」と言われる。②確かに、祭りの参加者の平均年齢は上がり続けている。③しかし、参加しない理由を尋ねた調査では、「興味がない」は二割にとどまり、「誘われたことがない」が五割を占めた。④若者は行事を嫌っているのではなく、入り口を知らないのである。⑤ある町では、中学校を通じて個別に声をかけたところ、翌年の若者の参加が三倍になった。⑥だから、行事を続けたいなら、若者に「来てほしい」と直接伝える仕組みを作ることが、最初の一歩になる。

手順で通します。段階1:印(確かに・しかし・だから)、抽象度(①↑引用、②↓事実、③↓数値、④↑主張、⑤↓事例、⑥↑中心)。段階2:中心⑥、支え④、根拠③(数値・確かめられる・範囲広)、⑤(事例・一町・範囲狭いが因果の排除あり)。段階3:図(⑥←④⑤、④←③、②は譲歩、①は引用)、抜けなし。段階4:設問に応じて柱を呼ぶ。

手順を一行ずつ

段階 柱 すること 今日の問いの場合
1 ①④ 接続語に印、各文の抽象度と役割 確かに・しかし・だから。①引用②事実③数値④主張⑤事例⑥中心
2 ②③ 中心の主張を決め、根拠を種類と強さで分ける 中心⑥、支え④。③数値(強)、⑤事例(中・因果)
3 ④ 三層の図にして抜け・重複・ずれを点検 ⑥←④⑤、④←③。①②は外。抜けなし
4 設問次第 設問の形から柱を決めて答案 下の表

段階1の表

文 接続語 抽象度 役割
① ― ↑ 引用(一般論)
② 確かに ↓ 譲歩(事実)
③ しかし ↓ 根拠(数値)
④ ― ↑ 支える主張(対立の構造「ではなく」)
⑤ ― ↓ 根拠(事例・因果)
⑥ だから ↑ 中心の主張

段階2の表

根拠 種類 確かめられるか 範囲 事実/推測 強さ
③ 二割・五割 数値 ○(調査) 広(調査対象) 事実 強
⑤ 三倍 事例+数値 ○ 狭(一町) 事実 中(因果:前後○、他の原因は不明)

⑤は「声をかけた→三倍」の因果を根拠にしています。前後はあるが、同じ年に別の要因(新しい催し物など)があった可能性は排除されていません。設問「筆者の根拠の弱点」なら、ここを指摘します。

段階3の図

   ⑥ 直接伝える仕組みを作ることが最初の一歩(中心)
          ↑                    ↑
   ④ 嫌っているのではなく入り口を知らない   ⑤ 声をかけたら三倍(事例・因果)
          ↑
   ③ 興味がない二割、誘われたことがない五割(数値)
   (① 引用、② 譲歩 は図の外)

段階4:設問の形ごとの答案

設問 柱 答案の作り方
筆者の主張を三十字で ②④ ⑥を要約「若者に直接来てほしいと伝える仕組みを作るべきだ」
④の根拠を抜き出せ ④③ ③(要素「嫌っていない・知らない」に対応する数値)
⑤を根拠とすることの弱点 ③ 一町の事例で範囲が狭い、他の原因が排除されていない
空欄(しかし)に入る接続語 ④ ②譲歩→③筆者側なので反転
五十字で要約 ④① 「若者は行事を嫌うのではなく入り口を知らないので、直接来てほしいと伝える仕組みを作ることが最初の一歩だ。」(五十字)

よくある間違い

段階1を飛ばして設問から読む

段階1の表があれば、どの設問も表を見るだけで答えられます。先に本文を一度通して表を作ります。

段階2で⑤の因果を「事実だから強い」と判定する

事実でも、因果の根拠としては他の原因の排除がなく、範囲も一町。種類と強さは別々に見ます。

段階3で②を根拠の段に置く

「確かに」は譲歩。図の外。

自分で確かめよう

確認1:統合手順の四段階と対応する柱

接続語と抽象度・役割(①④)、主張と根拠の強さ(②③)、図と点検(④)、設問から柱を決めて答案(設問次第)。

確認2:⑤「声をかけたら三倍」の根拠としての強さと弱点

事実で確かめられるが、一町で範囲が狭く、他の原因が排除されていない因果の根拠。

確認3:段階1の表が設問にどう役立ちますか

主張(↑)、根拠(↓の数値・事例)、譲歩・引用(外)が決まっているので、どの設問も表を見て材料を取り出せる。

まとめと次の一歩

統合手順は、接続語と抽象度・役割の表、主張と根拠の強さ、三層の図、設問から柱を決めて答案、の四段階です。一度通せば、全ての設問の材料が揃います。

次のレッスンでは、コース全体で起きる誤りを四つの大きな型にまとめ、答案を直す手順を確かめます。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:統合手順を通す

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    統合手順の段階1ですることはどれですか。
  2. 設問 1
    「『地域の行事は若者に敬遠されている』と言われる」の役割はどれですか。
  3. 設問 2
    「中学校を通じて個別に声をかけたところ、翌年の若者の参加が三倍になった」の根拠としての弱点はどれですか。
  4. 設問 3
    「若者は行事を嫌っているのではなく、入り口を知らない」の根拠はどれですか。
  5. 設問 4
    統合手順を先に一度通す利点はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。