抽象表現を具体化しよう:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「抽象表現を具体化しよう」の出口です。三つの条件、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、当てはまる例と当てはまらない例を選び、身近な例を記述し、例を添えた短い意見文を書くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
具体化は、四つの形で出ます。
- 当てはまる例の選択:「筆者の考えに当てはまる例として適切なものを選べ」
- 当てはまらない例の選択:「当てはまらないものを選べ」(反例・要素欠落)
- 身近な例の記述:「筆者の考えに当てはまる例を、身近な場面から挙げよ」
- 意見文:「筆者の考えについて、具体例を挙げて自分の意見を書け」(条件作文)
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
私たちは、「分かった」と思った瞬間に、考えるのをやめる。答えが出たのだから、それ以上考える必要はないと感じるからだ。しかし、本当に深く理解するためには、「分かった」の後にもう一度「本当にそうか」と問い直す必要がある。この問い直しを、私は「二度目の疑問」と呼びたい。一度目の疑問は、分からないから生まれる。二度目の疑問は、分かったつもりの自分に向けられる。学びを深めるのは、この二度目の疑問である。
問1
「二度目の疑問」に当てはまる例として最も適切なものを選びなさい。 ア 数学の問題が解けず、先生に質問した。 イ 数学の問題が解けたあと、別の解き方でも同じ答えになるか確かめた。 ウ 数学の問題が解けたので、次の問題に進んだ。 エ 数学の問題の答えを友人と見比べ、同じだったので安心した。
問2
「二度目の疑問」に当てはまらないものを選びなさい。 ア 実験の結果が予想どおりだったが、条件を変えても同じになるか試した。 イ 歴史の年号を覚えたあと、なぜその年に起きたのかを調べた。 ウ 作文を書き終えたあと、読み手に伝わるかを考えて読み直した。 エ テストで満点だったので、その単元の復習はしなかった。
問3
「二度目の疑問」に当てはまる例を、あなたの身近な場面から一つ、四十字以内で書きなさい。
問4
筆者の考えについて、問3の例を使って、賛成か反対かを八十字以内で書きなさい。
答えと判断
問1
イ。要素:分かった(解けた)/問い直す(別の解き方で確かめる)。アは一度目の疑問(分からないから)。ウは考えるのをやめた(反例)。エは確かめているが「本当にそうか」の問い直しではなく、安心して終えている(反例に近い)。
問2
エ。「満点だったので復習しなかった」は、分かったと思って考えるのをやめた反例。ア・イ・ウは「分かった後に問い直す」の例。
問3
例:「英単語の意味を覚えたあと、例文の中でも同じ意味で使えるか辞書で確かめた。」(三十八字)。要素:覚えた(分かった)+確かめた(問い直し)。
問4
例:「賛成だ。私は英単語を覚えたあと例文で確かめることで、意味の違いに気づけた。分かったつもりを疑うことが、理解を深めると実感したからだ。」(七十四字)。立場+例+例から導ける理由。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でア | 一度目の疑問と二度目を混同(範囲外) | 抽象度と役割をつかむ(条件②) |
| 問1でエ | 「確かめる」の語だけ見て要素(問い直し)を確かめていない | 根拠のずれを直す(型②) |
| 問3で「勉強は大切だ」 | 抽象のまま | 根拠のずれを直す(型④) |
| 問4で例と理由がつながらない | 例から抽象に戻していない | 具体と抽象を往復する(段階4) |
要素表(「二度目の疑問」)
| 要素 | 内容 | 例での対応 |
|---|---|---|
| 前提 | 分かったと思った | 解けた、覚えた、書き終えた |
| 行動 | 本当にそうかと問い直す | 別の解き方で確かめる、なぜかを調べる、読み直す |
| 向き | 自分に向ける | 自分の理解を疑う |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 「分かった後」の例になっているか | 一度目の疑問ではない |
| 「問い直す」行動があるか | 安心して終えていない |
| 記述は場面・行動に下りているか | 抽象のままでない |
| 意見文は立場・例・理由の順か | 例から理由が導けるか |
| 字数内か | 四十字、八十字 |
よくある間違い
「疑問」の語に引かれて一度目の疑問を選ぶ
本文は一度目と二度目を区別しています。「分かった後」が条件です。
記述で筆者の文を言い換えて終える
例は自分の場面に下ります。
意見文で例と理由が別の話になる
例から抽象(問い直すと理解が深まる)に戻し、それを理由にします。
自分で説明しよう
確認1:抽象表現を具体化する四段階
要素に分ける、場面を置く、一文にする、条件で点検して戻す。
確認2:「二度目の疑問」の例の必須要素
分かったと思った後に、本当にそうかと自分の理解を問い直す行動。
確認3:例を添えた意見文の順序
立場、例、例から導ける理由。
セクションの出口
論説文で、当てはまる例と当てはまらない例を要素・範囲・反例で判定し、身近な例を場面に下りて記述し、例を添えた意見文を書けたら完了です。
次のセクション「筆者の主張を見つけよう」では、抽象と具体の往復を土台に、問いへの答え・繰り返し・文末から中心となる考えを特定する方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。