必要な根拠を本文から選ぼう:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「必要な根拠を本文から選ぼう」の出口です。四つの基準、四段階の手順、誤りの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、根拠を抜き出し、理由を本文の言葉で記述し、適切な根拠を選び、根拠を絞って要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
根拠の選択は、四つの形で出ます。
- 抜き出し:「筆者がそう述べる根拠を、本文から〜字で抜き出せ」
- 記述:「筆者が〜と述べる理由を、本文の言葉を使って〜字以内で説明せよ」
- 選択:「筆者の主張の根拠として適切なものをすべて選べ」
- 要約:「筆者の主張と最も重要な根拠を〜字でまとめよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①「若者は本を読まなくなった」と言われて久しい。②確かに、一か月に一冊も読まない中学生の割合は、十年前より増えた。③しかし、読む生徒の平均冊数は、むしろ増えている。④読書は「みんなが少しずつ」から「読む人がたくさん」へと形を変えたのだ。⑤この変化の背景には、本の選び方の変化がある。⑥かつては学校や家庭が勧める本を読んだが、今は自分で情報を集めて選ぶ。⑦選べる人は深く読み、選べない人は入り口に立てない。⑧図書館の本棚の前で、どれを手に取ればよいか分からず立ち尽くす生徒を、私は何人も見てきた。⑨だとすれば、読書推進に必要なのは、読まない生徒に本の選び方を教えることである。
問1
筆者が⑨のように述べる最も直接の根拠を、本文から二十字以内で抜き出しなさい。
問2
筆者が「読書は形を変えた」(④)と述べる理由を、本文の言葉を使って五十字以内で説明しなさい。
問3
⑨の主張の根拠として適切なものをすべて選びなさい。 ア 若者は本を読まなくなったと言われている イ 読まない中学生の割合は十年前より増えた ウ 選べる人は深く読み、選べない人は入り口に立てない エ 本棚の前で立ち尽くす生徒を何人も見てきた
問4
筆者の主張と、最も重要な根拠を六十字以内でまとめなさい。
答えと判断
問1
「選べる人は深く読み、選べない人は入り口に立てない」(二十四字)→ 二十字以内なら「選べない人は入り口に立てない」(十四字)。⑨「選び方を教える」の要素「選ぶ」に直接対応。
問2
「読まない中学生の割合は増えたが、読む生徒の平均冊数はむしろ増えているから。」(三十七字)。②③の対比が④の理由。②は譲歩の形だが、④の「形を変えた」(分かれた)を示す事実として必要。
問3
ウ、エ(イも可)。ウは直接の根拠(選べるかの差)。エは筆者の観察(間接、弱いがウの例)。イは「読まない生徒がいる」という前提として⑨を支えるので含めてよい。アは引用で筆者の根拠ではない。
問4
「読書は読む人と読まない人に分かれ、その差は本を選べるかにあるので、読まない生徒に選び方を教えることが必要だ。」(五十六字)。④⑦の根拠と⑨の主張。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で⑧「立ち尽くす生徒を見てきた」 | 主張の直前を機械的に選んだ(間接の観察) | 根拠のずれを直す(型①) |
| 問2で③だけ | 対比の片側(②)を譲歩として除外しすぎた | 抽象度と役割をつかむ(直接と間接) |
| 問3でア | 引用を根拠に | 根拠のずれを直す(型②) |
| 問4に⑧を入れた | 最も重要な根拠を絞れていない | 具体と抽象を往復する(段階4) |
根拠の表
| 文 | 役割 | ⑨への関係 |
|---|---|---|
| ① | 引用 | 関係薄 |
| ② | 事実(譲歩の形) | 前提(読まない生徒がいる) |
| ③ | 事実 | ④の根拠 |
| ④ | 支える主張 | ⑨の前提 |
| ⑤⑥ | 理由(背景) | ⑦の説明 |
| ⑦ | 直接の根拠 | ⑨を直接支える |
| ⑧ | 観察(間接) | ⑦の例 |
| ⑨ | 中心の主張 | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 設問の主張の要素で走査したか | 選ぶ/教える |
| 引用・譲歩を除いたか | ① |
| 譲歩の形でも事実として必要なものは残したか | ②(対比の片側) |
| 直接と間接を区別したか | ⑦直接、⑧間接 |
| 指示(字数・本文の言葉・数)を照らしたか | 二十字、五十字、すべて |
よくある間違い
「確かに」の文を一律に除外する
②は譲歩の形ですが、④の「形を変えた」を示す対比の片側で、事実として必要です。向きと役割を両方見ます。
主張の直前の観察(⑧)を直接の根拠にする
⑧は⑦の例で、間接。直接は⑦。
「最も重要な根拠」に例を入れる
要約では直接の根拠(理由・数値)を優先します。
自分で説明しよう
確認1:根拠を本文から選ぶ四段階
主張を要素に分ける、走査して印、基準で分ける、指示に合わせて整える。
確認2:譲歩の形の文を残すのはどんなときですか
対比の片側として、主張や支える主張を示す事実になっているとき。
確認3:「最も直接の根拠」の選び方
設問の主張の要素に直接対応し、範囲が広く、理由か数値の役割を持つもの。
セクションの出口
論説文で、根拠を要素で走査して抜き出し、理由を本文の言葉で記述し、引用を除いて適切な根拠を選び、直接の根拠で要約できたら完了です。
次のセクション「主張と根拠を図にしよう」では、ここまでの関係を矢印と階層で可視化し、説明の抜けや重複を見つける方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。