前提チェック(情報の関係):根拠のずれを直す
このレッスンの役割
「根拠がある」ことと「根拠が主張を支えている」ことは別です。根拠が主張と合っていないとき、それを「ずれ」と呼びます。このコースの各セクションの三つ目のレッスンは、このずれを見つけて直す練習です。ここでは、ずれの三つの型を導入します。
今回の中心技能は、主張と根拠の組を見て「範囲のずれ」「向きのずれ」「種類のずれ」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
主張:中学生は毎日三十分読書すべきだ。 根拠:私の友人は本をたくさん読んでいて、成績がよい。
この根拠は主張を支えているでしょうか。友人一人の話で、「中学生全体」の主張には範囲が狭すぎます。また、「本を読むから成績がよい」とは限らず(成績がよいから本を読む余裕があるのかもしれない)、向きも確かではありません。範囲のずれと向きのずれが重なっています。
ずれの三つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 範囲のずれ | 根拠が主張より狭い(一例だけ)か広い(関係ない範囲まで) | 友人一人 → 中学生全体 | 範囲を合わせる(複数の例、調査、または主張を狭める) |
| ② 向きのずれ | 因果が逆、または前後しただけで因果でない | 読む→成績 の向きが不明 | 因果テスト(AがなければBは起きないか)で確かめる |
| ③ 種類のずれ | 事実が要る場所に意見・推測、または例が要る場所に理由 | 「読書は大切だと思う」を根拠に | 主張に合う種類の根拠(事実・数値・事例)に替える |
型①:範囲のずれ
| 主張 | 根拠 | ずれ |
|---|---|---|
| 中学生は読書すべきだ | 友人一人の例 | 狭すぎ |
| この学校の生徒は読書すべきだ | 全国の読書率の低下 | 広すぎ(この学校の話ではない) |
| 読書は語彙を増やす | 読書量と語彙力の調査(千人) | 合っている |
範囲を合わせるには、根拠を増やす(複数の例・調査)か、主張を狭める(「私の周りでは」)かのどちらかです。
型②:向きのずれ
| 主張 | 根拠 | ずれ |
|---|---|---|
| 読書は成績を上げる | 読書量の多い生徒は成績がよい | 向きが不明(成績がよいから読む余裕がある可能性) |
| 朝食は集中力を上げる | 朝食をとった日は集中できた | 前後だけの可能性(他の要因) |
向きのずれは「情報の関係」の因果テストで見つけます。「読書がなければ成績は上がらないか」が確かでなければ、根拠として弱いと判定します。
型③:種類のずれ
| 主張 | 根拠 | ずれ |
|---|---|---|
| 読書の時間を確保すべきだ | 読書は大切だと思う | 意見で支えている(事実が要る) |
| 読書は語彙を増やす | 読書は心を豊かにする | 別の性質(主張の内容に合わない) |
| この方法は効果がある | 専門家が効果があると言っている | 許容(専門家の見解は根拠の一種)、ただし数値があればより強い |
主張が事実の問題(効果がある、増える)なら、根拠も事実(数値・観察)が要ります。
例題:どの型か
主張:運動は睡眠の質を上げる。根拠:よく眠れる人は運動している。
型②。「よく眠れるから運動できる」の可能性。向きを確かめる根拠(運動を始めた人の睡眠の変化)が要る。
主張:日本人は礼儀正しい。根拠:私の祖父は礼儀正しい。
型①。一人で全体を支えられない。
よくある間違い
根拠があれば主張は成り立つと思う
根拠の有無ではなく、主張との対応を見ます。
「ずれ」を「嘘」だと思う
根拠の内容が本当でも、主張とずれていれば支えになりません。
一つの型しかないと思う
今日の問いのように、範囲と向きが重なることがあります。全部挙げます。
自分で確かめよう
確認1:根拠のずれの三つの型
範囲のずれ、向きのずれ、種類のずれ。
確認2:「友人一人が読書で成績がよい」→「中学生は読書すべきだ」のずれ
範囲のずれ(狭すぎ)と向きのずれ(因果が不明)。
確認3:範囲のずれを直す二つの方法
根拠を増やす(複数の例・調査)、主張を狭める。
まとめと次の一歩
根拠のずれは、範囲・向き・種類の三つの型で見つけます。範囲は合わせる、向きは因果テスト、種類は主張に合う根拠に替える、で直します。
次のレッスンでは、この三つの関係と二つの軸を、要約と入試形式の問題で通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。