接続語で論理を追おう:具体と抽象を往復する
このレッスンの役割
前のレッスンで、接続語の三群と予測を知りました。ここでは、接続語を手掛かりに文章全体を「抽象度の上下」と「役割」の図にする手順を一つに決めます。この図ができれば、主張・根拠・例の位置が一目で分かり、要約と設問の答えが同時に用意できます。
今回の中心技能は、「接続語に印をつけて三群に分ける → 各文の抽象度を矢印で書く → 役割を添える → 主張の候補を線で結ぶ」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
①地域の祭りは住民のつながりを強める。②たとえば、準備で普段話さない人と何日も作業する。③実際、ある調査では参加者の方が頼れる人がいると答えた割合が高かった。④確かに、準備は負担が大きい。⑤しかし、その負担を分け合うことこそがつながりを作るのだ。⑥だから、祭りは続けるべきである。
手順で図にします。印:たとえば(下げる)、実際(下げる・根拠)、確かに(譲歩)、しかし(反転)、だから(主張へ)。抽象度:①高、②低、③低、④中、⑤高、⑥高。役割:①支える主張、②例、③根拠(数値)、④譲歩、⑤支える主張、⑥中心の主張。線:⑤と⑥を結び、①がそれを支える。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 接続語に印をつけて三群に分ける | たとえば・実際(下げる)、確かに・しかし(流れ)、だから(主張へ) |
| 2 | 各文の抽象度を矢印で書く | ①↑ ②↓ ③↓ ④→ ⑤↑ ⑥↑ |
| 3 | 役割を添える | 主張・例・根拠・譲歩・主張・中心 |
| 4 | 「つまり」「だから」「しかし」の後を主張の候補として線で結ぶ | ⑤⑥ |
段階2:矢印の付け方
| 矢印 | 意味 | 手掛かり |
|---|---|---|
| ↑ | 抽象度が高い(前の文より上がる) | つまり・だから・しかしの後、性質・判断の文 |
| ↓ | 抽象度が低い(下がる) | たとえば・実際の後、数値・固有名詞 |
| → | 同じ高さ(並列・補足) | また・さらに・ただしの後 |
矢印を縦に並べると、文章の「起伏」が見えます。主張は↑が続く場所、例は↓の場所です。
段階3:役割の対応
| 抽象度 | 接続語 | 役割 |
|---|---|---|
| ↑ | つまり・だから・しかしの後 | 主張(中心・支え) |
| ↑ | なぜならの後 | 根拠(理由) |
| ↓ | たとえばの後 | 例 |
| ↓ | 実際・調査ではの後 | 根拠(数値・事例) |
| → | ただし・もっともの後 | 補足 |
| → | 確かにの後 | 譲歩 |
段階4:線で結ぶ
| 結び方 | 意味 |
|---|---|
| 「だから」の後 ← 「なぜなら」の後 | 主張 ← 根拠 |
| 「つまり」の後 ← 「たとえば」の後 | 抽象 ← 具体 |
| 「しかし」の後 ⇔ 「確かに」の後 | 主張 ⇔ 譲歩 |
線でつないだ組が、「主張と根拠を図にしよう」(後のセクション)の材料になります。
完成した図
| 文 | 接続語 | 抽象度 | 役割 | 結び |
|---|---|---|---|---|
| ① | ― | ↑ | 支える主張 | ⑥へ |
| ② | たとえば | ↓ | 例 | ①を示す |
| ③ | 実際 | ↓ | 根拠(数値) | ①を裏づけ |
| ④ | 確かに | → | 譲歩 | ⑤と対 |
| ⑤ | しかし | ↑ | 支える主張 | ⑥へ |
| ⑥ | だから | ↑ | 中心の主張 | ― |
例題:接続語が少ない文章
①人は名前を呼ばれると実感する。②名前はただ一人であることを示す言葉だ。③店で名前を呼ばれると背筋が伸びる。④人と接する仕事では名前を呼ぶことが信頼を作る。
接続語がないので、抽象度と役割から補います。①↑主張、②↑根拠(なぜなら を補う)、③↓例(たとえば を補う)、④↑中心の主張(だから を補う)。
よくある間違い
段階1で「実際」「確かに」を見落とす
「実際」は下げる(根拠・例)、「確かに」は譲歩の開始。どちらも印をつけます。
段階2で全部の文を↑にする
抽象度の差がなくなり、図になりません。例・数値は↓。
段階4で「たとえば」の後に線を引く
例は材料です。主張の候補は「つまり」「だから」「しかし」の後。
自分で確かめよう
確認1:「たとえば」「つまり」「なぜなら」の後の矢印
たとえば:↓。つまり:↑。なぜなら:↑(理由)または↓(事実)。
確認2:主張の候補として線で結ぶ接続語
つまり、だから、しかし(の後の文)。
確認3:接続語がない文章で抽象度と役割を決める手掛かり
文の内容(性質・判断は↑、数値・場面は↓)と、前後の関係から接続語を補う。
まとめと次の一歩
手順は、接続語に印、抽象度を矢印で、役割を添える、主張の候補を線で結ぶ、の四段階です。矢印の起伏が文章の形、線が主張と根拠の対応を示します。
次のレッスンでは、接続語の読み違いでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。